技術図書館特殊な電線路は環境ごとに節が違うトンネル内、水上、水底、橋、がけ。この5つは、それぞれ別の節に従って施設するこの資料をスライドで見る資料一覧を見る
この記事は連載「内線規程の解釈と解説」(全119回)の1本です。
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電線路はいつも電柱や地中とはかぎりません。トンネルの中、池の上や川底、橋、がけ――ふつうとは違う場所を通すこともあります。場所ごとに危ないことが違うので、電技解釈は場所ごとに別の条文で施設方法を決めています。この記事では、電技解釈 第126条・第127条・第129条・第131条をもとに、内線規程の「その他の電線路」を3つの質問と動く図で整理します。

①人が常時通るトンネルの低圧は、がいし引き(2.6mm・路面上2.5m以上)など5つの工事で、②水上はキャブタイヤケーブルを浮き台で支え(低圧・高圧だけ)、水底は鉄線がい装などのケーブルを使い、③橋の上面は路面上5m以上、がけは技術上やむを得ない場合だけ支持点間15m以下で施設します。
この記事でわかること
気になるものを選べば、その項目へ飛べます。全部を読まなくても、必要なところだけで解決します。

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先に言葉をそろえる

言葉 ひとことで言うと
トンネル内電線路 トンネルの中に施設する電線路。人が常時通るかどうかで条件が変わる
水上電線路 浮き台などで水面に浮かべて施設する電線路
水底電線路 川や海の底に施設する電線路
がい装 ケーブルの外側を鉄線などでよろい、外からの力に強くしたもの
二層橋 上段と下段に通路がある橋。上段の下面に電線を施設することがある
電技解釈 第126条・第127条・第129条・第131条。

質問① トンネル内は?

人が常時通るトンネルや鉄道・自動車道の専用トンネルの低圧は、がいし引き・合成樹脂管・金属管・金属可とう電線管・ケーブル工事で施設し、がいし引きは2.6mm以上の硬銅線など・路面上2.5m以上とします。それ以外のトンネルの低圧はケーブル工事だけです。
トンネル 低圧 高圧
人が常時通る・鉄道等の専用 がいし引き(2.6mm以上、路面上2.5m以上)・合成樹脂管・金属管・金属可とう電線管・ケーブル 第111条第2項に準じる(専用トンネルのがいし引きは4mm以上・3m以上)
上記以外 ケーブル工事だけ 第111条第2項に準じる
電技解釈 第126条。特別高圧は、人が常時通るトンネルは35,000V以下など、それ以外はCV・OFケーブルです。
たとえるなら
人が通るトンネルは、「歩道のある地下道」です。
人の頭より高い位置(2.5m以上)に電線を張れば、手が届きません。人が入らないトンネルは点検も少ないので、傷みにくいケーブルに限ります。
ひっかけ注意
「トンネルなら、どれも同じ工事でよい」ではありません。
人が常時通るトンネル(と鉄道等の専用トンネル)では5つの工事から選べますが、それ以外のトンネルの低圧はケーブル工事だけです。
ここまでのポイント
  • 人が常時通るトンネルの低圧は5つの工事
  • がいし引きは2.6mm以上・路面上2.5m以上
  • それ以外のトンネルの低圧はケーブル工事だけ


質問② 水上・水底は?

水上電線路は低圧・高圧だけで、キャブタイヤケーブルを鎖等で連結した浮き台で支えます。架空電線との接続点は水面上低圧4m・高圧5m以上。水底電線路は損傷のおそれがない場所に、鉄線がい装ケーブルや管に収めたケーブルで施設します。
電線路 おもな決まり
水上 低圧・高圧だけ。低圧は3種・4種キャブタイヤケーブル、高圧は高圧用キャブタイヤケーブル。浮き台(鎖等で強固に連結)で支え、被覆を傷めない
水上の接続点 水が入らないように。高さは陸上 低圧4m・高圧5m、道路上5m、水面上 低圧4m・高圧5m以上
水上の電源側 専用の開閉器と過電流遮断器を各極に。高圧は地絡遮断装置も
水底 損傷のおそれがない場所に。鉄線がい装の水底ケーブル、堅ろうな管に収めたケーブルなど
電技解釈 第127条。水底に埋設するなら4.5mm以上の亜鉛めっき鉄線相当のがい装でもよい。
ひっかけ注意
「水底に沈めれば外から傷つかない」ではありません。
水底は流れや船の錨で引っかけられることがあります。だから損傷を受けるおそれがない場所を選び、鉄線でがい装したケーブルや堅ろうな管に収めたケーブルを使います。
ここまでのポイント
  • 水上は低圧・高圧だけ、キャブタイヤを浮き台で
  • 接続点は水面上 低圧4m・高圧5m以上
  • 水底は損傷のおそれがない場所に、がい装ケーブルなど

質問③ 橋・がけは?

橋の上面に施設する電線路は路面上5m以上とし、低圧のがいし支持は2.6mm以上・造営材0.3m以上、架空ケーブルは低圧0.15m・高圧0.3m以上離します。がけの電線路は技術上やむを得ない場合だけで、支持点間15m以下、接触防護措置を施します。
場所 おもな決まり
橋の上面 路面上5m以上。低圧がいし支持は2.6mm以上・造営材から0.3m以上、架空ケーブルは低圧0.15m・高圧0.3m以上
橋の側面・下面 側面は上面の方法か屋側電線路(第110条)に準じる。下面は合成樹脂管・金属管・金属可とう電線管・ケーブル工事(低圧)
がけ(施設できる場合) 技術上やむを得ない場合だけ。建造物の上、道路・鉄道・架空電線などとの交差、3m未満の接近は不可
がけ(施設方法) 支持点間15m以下、がいしは金属製腕金類に、接触防護措置。低圧と高圧を並べるなら高圧を上に、0.5m以上
電技解釈 第129条(橋)・第131条(がけ)。
たとえるなら
がけの電線路は、「山道の手すり沿いに這わせたホース」のようなものです。
落石や人の手から守るのが難しい場所なので、本当にほかに方法がないときだけ使い、短い間隔でしっかり留め、触れないように覆います。
ここまでのポイント
  • 橋の上面は路面上5m以上
  • がけは技術上やむを得ない場合だけ
  • がけは支持点間15m以下・接触防護・高圧を上
ひとことで言うと:「トンネルは人が通るかで工事が変わる、水上はキャブタイヤと浮き台、水底はがい装ケーブル、橋の上面は5m、がけはやむを得ないときだけ15m以下で」。


よくある質問

トンネル内の低圧電線路はどう施設しますか?

人が常時通るトンネルや鉄道等の専用トンネルでは、がいし引き(2.6mm以上・路面上2.5m以上)、合成樹脂管、金属管、金属可とう電線管、ケーブル工事で施設します。それ以外のトンネルはケーブル工事だけです。

水上電線路の条件は?

使用電圧は低圧か高圧で、キャブタイヤケーブルを鎖等で強固に連結した浮き台で支えます。架空電線との接続点は水面上で低圧4m・高圧5m以上とし、電源側に専用の開閉器と過電流遮断器(高圧は地絡遮断装置も)を施設します。

水底電線路にはどんな電線を使いますか?

損傷のおそれがない場所に、鉄線でがい装した水底ケーブルや、堅ろうな管に収めたケーブルなどを使います。

がけに電線路を施設できますか?

技術上やむを得ない場合に限り、建造物の上や道路・鉄道・架空電線などとの交差を避けて施設できます。支持点間は15m以下とし、接触防護措置を施します。

まとめ ― 取り違えやすいところ

取り違えやすいところ 正しくは
トンネルの工事はどこも同じ 人が通らないトンネルの低圧はケーブルだけ
水上は特別高圧でもよい 水上電線路は低圧・高圧だけ
水底は沈めればよい 損傷のおそれがない場所に、がい装ケーブルなど
がけはいつでも施設できる 技術上やむを得ない場合だけ
「どの場所か(トンネル・水上・水底・橋・がけ) → 電圧 → 電線と支え方 → 高さ・離隔」の順で確かめます。

📘 この記事の根拠規程|解説の原文は内線規程(JEAC8001-2022)に掲載されています。実務で使う方は手元に1冊どうぞ → 電気設備の必携書籍おすすめ4選【2026年版】

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ハリタ

この記事を書いた人:ハリタ

電気設備設計の実務者。引込・高圧受変電・幹線・接地を「設計者の視点」で解説しています。プロフィール詳細

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。