この記事は連載「内線規程の解釈と解説」(全119回)の1本です。
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出典:電気設備の技術基準の解釈 第196条

寒冷地や育苗施設などで使われる電気温床は、土壌や空気を電気で加温し、作物や動物の生育環境を一定に保つ設備です。発熱線を使うため火災や感電のリスクがあり、対地電圧・発熱線・温度・施設のしかた・接地などの決まりが解釈第196条にあります。本記事では、電気設備の技術基準の解釈にもとづいて整理します。

電路の対地電圧は、300V以下 第1項第一号。
発熱線は、80℃以下 第1項第四号。
専用の開閉器と、D種接地 第七号・第六号。
地中・コンクリートは、地絡遮断 第3項・第4項。
ペン太ペン太
育苗ハウスの電気温床って、火事にならないか心配です。
ハリタハリタ
だから決まりがあります。電路の対地電圧300V以下、発熱線は電気温床線で80℃以下など、火災と感電への対策が中心です。

この記事で押さえる3つのこと

  • 電路の対地電圧は300V以下、発熱線は電気温床線。
  • 発熱線は80℃以下、空中は間隔と支持点1m。
  • コンクリート中・地中は地絡遮断、金属体にD種。
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空中に施設するときの間隔は、2つ目の項にまとめています。

1. 対地電圧と電気温床線

電路の対地電圧は、300V以下 第一号。
発熱線は、電気温床線 第二号。
つなぐ電線も、電気温床線 第二号。
損傷のおそれは、防護装置 第三号。
  • 電気温床等は、植物の栽培や養蚕・ふ卵・育すうに使う電熱装置です。電気用品安全法の電気育苗器・観賞植物用ヒーター・電気ふ卵器・電気育すう器は除きます(解釈第196条第1項)
  • 電気温床等に電気を送る電路の対地電圧は300V以下です(第一号)
  • 発熱線と、発熱線に直接接続する電線は、電気温床線です。損傷を受けるおそれがあるなら、適当な防護装置を施します(第二号・第三号)
  • 電路には専用の開閉器と過電流遮断器を各極に施設します。過電流遮断器を施設し、移動電線を差込み接続器でつなぐなら、この限りではありません(第七号・第八号)
ペン太ペン太
発熱線の温度は、どこまで上げていいんですか?
ハリタハリタ
80℃を超えないようにします。ほかの設備や水管・ガス管に熱の障害を与えないことも大事です。
確認する項目 解釈の決まり
電路の対地電圧 300V以下
発熱線 電気温床線
直接つなぐ電線 電気温床線
損傷のおそれ 防護装置
開閉器 専用・各極
たとえるなら
電気温床は、苗のためのホットカーペット
土の中にホットカーペットを敷いて、苗の根元を温めるイメージです。ただし温めすぎは危ないので、発熱線は80℃を超えないようにします。
ここに注意!
「使用電圧が300V以下」ではありません。
解釈が定めるのは、電気温床等に電気を送る電路の対地電圧300V以下です(第一号)。
ここに注意!
「発熱線は、MIケーブルやキャブタイヤケーブル」ではありません。
発熱線と、発熱線に直接接続する電線は、電気温床線です(第二号)。
ここまでのポイント
  • 電路の対地電圧は300V以下
  • 発熱線と直接つなぐ電線は電気温床線
  • 損傷のおそれがあれば防護装置
  • 電路には専用の開閉器と過電流遮断器


2. 発熱線の温度と空中の施設

がいしで支持し、簡易接触防護 第2項第一号。
発熱線相互は、3cm以上 箱内は2cm。
造営材とは、2.5cm以上 第一号ニ。
支持点間は、1m以下 6cm以上なら2m。
  • 発熱線は、その温度が80℃を超えないように施設します(第四号)
  • ほかの電気設備・弱電流電線・水管・ガス管などに、電気的・磁気的・熱的な障害を与えないように施設します(第五号)
発熱線は、80℃以下 第四号。
水管・ガス管に、障害を与えない 第五号。
電安法の育苗器などは、対象外 第1項本文。
90℃では、ない 解釈は80℃。
  • 発熱線を空中に施設するなら、がいしで支持し、簡易接触防護措置を施します(取扱者以外が出入りしない場所なら不要)。展開した場所か、金属製部分にD種接地を施した堅ろうな箱に施設します(第2項第一号)
  • 発熱線相互は3cm(箱内2cm)以上、造営材とは2.5cm以上、箱の構成材とは1cm以上離します。支持点間は1m以下、発熱線相互が6cm以上なら2m以下です(第2項第一号)
  • 発熱線を金属管に収め、第159条(金属管工事)に準じて施設する方法もあります(第2項第二号)
空中の施設 解釈の決まり
発熱線相互 3cm(箱内2cm)
造営材と 2.5cm以上
箱の構成材と 1cm以上
支持点間 1m(6cm以上は2m)
がいし 絶縁・難燃・耐水
たとえるなら
がいしの支持間隔は、物干しざおの支え
物干しざおも、支えの間が長すぎるとたわみます。空中の発熱線の支持点間は1m以下(発熱線相互が6cm以上なら2m以下)にします。
ここに注意!
「発熱線の温度は、90℃以下」ではありません。
解釈は、発熱線をその温度が80℃を超えないように施設するとしています(解釈第196条第1項第四号)。
ここに注意!
「空中の発熱線は、間隔を気にしなくてよい」ではありません。
発熱線相互は3cm(箱内2cm)以上、造営材とは2.5cm以上、箱の構成材とは1cm以上離し、支持点間は1m以下(相互6cm以上なら2m以下)です(第2項第一号)。
ここまでのポイント
  • 発熱線は80℃以下
  • ほかの設備・水管・ガス管に障害を与えない
  • 空中はがいしで支持し、簡易接触防護
  • 発熱線相互3cm(箱内2cm)・造営材2.5cm・箱1cm
  • 支持点間は1m以下(相互6cm以上なら2m以下)


3. コンクリート中・地中と接地

コンクリート中は、遮断か警報 第3項。
地中などは、表示と地絡遮断 第4項。
150V以下で、さくがあれば除く 第4項ただし書。
専用開閉器と、D種接地 第七号・第六号。
  • コンクリート中に施設するなら、発熱線を合成樹脂管か金属管に収め、地絡が起きたら自動で遮断するか警報する装置を施設します(第3項)
  • それ以外(地中など)は、発熱線相互を接触させず、発熱線がある旨を表示し、地絡が起きたら自動で遮断する装置を施設します。対地電圧150V以下の発熱線を地中に施設し、さくを設けるなら遮断装置は不要です(第4項)
  • 発熱線や直接接続する電線の被覆の金属体と、防護装置の金属製部分にはD種接地工事を施します(第六号)
  • 発熱線を布や紙で覆わないこと、口出し線以外で接続しないこと、ろう付けや接続管で接続すること、架空配線の高さは、解釈第196条にはありません。内線規程で確かめます
ペン太ペン太
電気温床って、ただ発熱線を土に埋めればいいわけじゃないんですね。
ハリタハリタ
そうだよ。発熱線は電気温床線を使って、温度は80℃を超えないようにするんだ。空中に施設するなら、間隔と支持点の決まりもあるよ。
ペン太ペン太
漏電の対策はどうすればいいんですか?
ハリタハリタ
コンクリート中なら地絡で遮断か警報、地中などは地絡で遮断する装置を付けるんだ。金属体にはD種接地もね。
施設のしかた 地絡の対策
空中 定めなし
コンクリート中 遮断か警報
地中など 自動で遮断
150V以下・地中・さく 遮断不要
布・接続方法 内線規程で確認
たとえるなら
地中の地絡遮断は、土の中の見張り番
土の中は見えないので、電気がもれても気づきにくいです。地中やコンクリート中の発熱線には、地絡を見張って電路を切る(または知らせる)装置を付けます。
ここに注意!
「漏電遮断器は、どの電気温床にも必須」ではありません。
コンクリート中は地絡で遮断か警報(第3項)、地中などは地絡で遮断(第4項。150V以下で地中にさくを設けるなら除く)です。空中に施設するものには定めがありません。
ここに注意!
「布で覆わない・口出し線で接続する、は解釈の決まり」ではありません。
解釈第196条にこの書き方はありません。発熱線は80℃以下で、ほかの設備に熱的な障害を与えないようにします(第四号・第五号)。覆いや接続方法は内線規程で確かめます。
ここまでのポイント
  • コンクリート中は管に収め、地絡で遮断か警報
  • 地中などは表示し、地絡で遮断(150V以下・さくなら除く)
  • 金属体と防護装置の金属製部分にD種接地
  • 布で覆わない・接続方法は内線規程で確かめる


よくある質問(FAQ)

Q1. 電圧の決まりは? 対地300V以下。
Q2. 温度の決まりは? 80℃以下。
Q3. 漏電対策の決まりは? 施設場所で決まる。
布・接続方法は? 内線規程で確かめる。
Q. 電気温床の電圧の上限は?
A. 電気温床等に電気を送る電路の対地電圧は300V以下です(解釈第196条第1項第一号)。
Q. 発熱線の温度はどこまで許容されますか?
A. 発熱線は、その温度が80℃を超えないように施設します(第四号)。ほかの電気設備や水管・ガス管などに熱的な障害を与えないようにもします(第五号)。
Q. 電気温床の漏電対策に決まりはありますか?
A. コンクリート中なら地絡で自動遮断か警報する装置、地中などは地絡で自動遮断する装置を施設します(第3項・第4項)。金属体にはD種接地工事を施します(第六号)。発熱線の接続方法は解釈第196条にはないので、内線規程で確かめます。

まとめ|温度を抑え、場所に合わせて守る

電気温床は「電路の対地電圧300V以下」「発熱線は電気温床線で80℃以下」「施設のしかたに合わせた地絡の対策」の3点が要になります。そのうえで、専用の開閉器と過電流遮断器、金属体のD種接地を施します。

確認する項目 決まり
電路の対地電圧 300V以下
発熱線 電気温床線・80℃
障害 水管・ガス管に与えない
開閉器 専用・各極
接地 金属体にD種
空中 間隔・支持点1m
コンクリート中 遮断か警報
地中など 表示・地絡遮断

農業用途では覆いをして保温したくなりますが、発熱線の温度が80℃を超えないことが前提です。覆いの扱いは内線規程で確かめ、発熱線そのものは放熱できる状態に保つのが安全です。

ペン太ペン太
仕上げのチェックは何をすればいいですか?
ハリタハリタ
金属体のD種接地と、コンクリート中・地中なら地絡の遮断(又は警報)です。これで安心ですね。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。