引込設備の設計|電力の1引込・2引込の定義と対策方法について詳しく解説
既設の建物の横に離れを増築する。幹線を引き回すより、目の前の電柱から直接引き込んだほうが安くて早い――設計の現場でよく出る相談です。ところが電力の引込みには「1需要場所に1引込み」という原則があり、同じ構内の建物なら、棟が増えても引込みは1つが基本です。この記事では、一般送配電事業者の託送供給等約款にある「需要場所」の決め方と、別引込(2引込)を検討できる場合を、3つの質問と動く図で整理します。
先に言葉をそろえる
| 言葉 | ひとことで言うと |
|---|---|
| 需要場所 | 電気の供給を受ける単位となる場所。料金や引込みはこの単位で決まる |
| 1構内 | さく・へい等で区切られ、公衆が自由に出入りできない区域(原則、建物は同一会計主体) |
| 1建物 | 独立した1つの建物。連結していて所有者・使用者が同じなら1建物とみなす |
| 会計主体 | 電気料金を払う主体(会社・個人など) |
| 託送供給等約款 | 送配電事業者が定める供給のルール。各社でほぼ共通 |
質問① 引込みの原則は?
託送供給等約款では、1需要場所について、1電気方式・1引込み・1計量で供給することを原則としています。つまり、同じ需要場所と判断される限り、建物が2棟、3棟と増えても、引込みは1つ。離れへは、既設側の受電点から構内の幹線で送るのが基本です。
- 1需要場所に1電気方式・1引込み・1計量が原則
- 同じ需要場所なら、棟が増えても引込みは1つ
- 費用は別引込の理由にならない
質問② 需要場所の単位は? ― 構内と建物
約款では、1構内をなすものは1構内を1需要場所とし、これによりがたい場合に1建物をなすものは1建物を1需要場所とします。判断の順番は「構内 → 建物」です。
| 単位 | 約款の定義 |
|---|---|
| 1構内 | さく、へい等によって区切られ、公衆が自由に出入りできない区域。原則として区域内の各建物が同一会計主体に属するもの |
| 1建物 | 独立した1建物。複数の建物でも、地上または地下で連結され、所有者と使用者が同一など一体性があれば1建物とみなす |
| 付属の屋外灯 | 看板灯・庭園灯・門灯など建物に付属した屋外電灯は、建物と同じ需要場所 |
- 判断の順番は「構内 → 建物」
- 1構内=さく・へいで区切られ、原則として同一会計主体
- 連結していても所有者・使用者が違えば1建物とみなされないことがある
質問③ 2引込にできるのは?
別引込を検討できるのは、大きく分けて別の需要場所と認められる場合と、約款の例外にあたる場合です。
| 検討できる場合 | ポイント |
|---|---|
| 別の構内として整理できる | さく・へい等で区域を区切り、公衆が自由に出入りできない区域がそれぞれに成り立つ。扉や開口で行き来できる区切りは1構内と見られやすい |
| 会計主体が異なる | 別の会社・別の世帯が使う建物や部分は、条件を満たせば別の需要場所になりうる |
| 約款の例外にあたる | 臨時・電灯と動力・予備送電・共同引込線・特例区域等・特別の事情(下の図) |
このうち「特例区域等」は、災害対策や温室効果ガスの排出抑制などのための設備(たとえば非常用の設備や充電設備など)を新たに使う際に、その設備の区域を別の需要場所にできる規定です。ほかの需要者の承諾、外観上の区分、配線の分離などの条件があります。
- 別の構内・別の会計主体として整理できれば別の需要場所に
- 臨時・予備送電・特例区域等などの例外もある
- 柵だけでなく、会計主体と使い方の実態が見られる
電力会社との協議の進め方
別引込を考えるときは、早い段階で管轄の送配電事業者に相談します。協議では、次のものをそろえておくと話が早く進みます。
| 準備するもの | 内容 |
|---|---|
| 配置図 | 敷地境界・さくやへい・出入口・建物の位置と、既設の引込位置 |
| 使い方 | 各建物の所有者・使用者(会計主体)・用途 |
| 設備の概要 | 受電電圧・契約電力の見込み、既設の受電設備 |
| 希望の理由 | 別引込を希望する理由(費用だけでなく、運用・保安上の理由) |
よくある質問
電力の引込みは1引込と2引込のどちらが原則ですか?
1需要場所について1電気方式・1引込み・1計量が原則です(託送供給等約款)。同じ需要場所なら、建物が複数あっても引込みは1つです。
1構内とは何ですか?
さく・へい等によって区切られ、公衆が自由に出入りできない区域で、原則として区域内の各建物が同一会計主体に属するものです。
同じ敷地の離れを別引込にできますか?
同じ構内・同じ会計主体なら原則として1需要場所なので、離れへは構内の幹線で送ります。別の構内・別の会計主体として整理できる場合や、約款の例外にあたる場合は、協議の上で別引込を検討できます。
柵で区切れば別構内になりますか?
区切り方に加え、会計主体や使い方も判断されます。扉や開口で行き来できる区切りは1構内と見られやすく、最終的には送配電事業者との協議によります。
1需要場所で引込みを分けられる例外は?
臨時接続送電サービス、低圧の電灯と動力、予備送電サービス、共同引込線、特例区域等、技術上・経済上やむをえない特別の事情などです。
まとめ ― 取り違えやすいところ
| 取り違えやすいところ | 正しくは |
|---|---|
| 棟ごとに引込みを取れる | 1需要場所に1引込みが原則 |
| 1構内=人が行き来できる敷地 | さく・へいで区切られ公衆が自由に入れない区域 |
| 建物が独立していれば別引込可 | 構内が先。同じ構内なら原則1需要場所 |
| 柵を立てれば別構内 | 会計主体と使い方の実態も見られる |
| 幹線が高いから別引込に | 費用は理由にならない。例外と協議で判断 |
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