技術図書館電線とケーブルはシースで分かれる絶縁電線とケーブルのちがい、記号の読み方、60℃・75℃・90℃の許容温度と使える場所この資料をスライドで見る資料一覧を見る
第二種電気工事士 合格カリキュラム学科③ 電気機器・配線器具・材料・工具
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電気の現場では、「IV」「VVF」「CVT」といったアルファベットが飛び交います。はじめは呪文のように聞こえますが、じつはどれも材料と形を表す略語です。1文字ずつ分ければ、そのケーブルが何でできていて、どこで使えるのかが読めるようになります。この記事では、絶縁電線とケーブルのちがい、記号の読み方、最高許容温度と使える場所を、図とたとえで1つずつ解説します。第二種電気工事士の筆記試験でもよく出るところです。

結論

電線とケーブルのちがいはシース(外装)があるかどうか。記号は材料と形の略語で、最高許容温度は60℃・75℃・90℃の3段で覚えます。

  • 絶縁電線(IVなど)は導体+絶縁体。ケーブル(VVF・CVなど)はさらにシースで守られている
  • VVF=ビニル絶縁・ビニルシース・平形。CVT=架橋ポリエチレン・ビニルシース・3本より
  • IV・VVF・VVRは60℃、HIV・EM-IE・EM-EEFは75℃、CV・CVTは90℃
  • 地中に使えるのはケーブルだけ。IVは屋内で管などに入れて使う
絶縁電線は導体と絶縁体だけ、ケーブルはその外側にシースがあることを断面図で比べた図。絶縁電線は下着1枚、ケーブルはコートを着ているというたとえ
絶縁電線は「下着1枚」、ケーブルは「コートを着ている」状態です。

電線とケーブルのちがい ― シースがあるかどうか

電気を通す銅線を導体といいます。導体をむき出しのまま使うと感電やショートが起きるので、ビニルなどの絶縁体で包みます。これが絶縁電線です。さらにその外側をシース(外装)で包んだものがケーブルです。

たとえるなら、絶縁電線は下着1枚、ケーブルはその上にコートを着た状態です。下着1枚では外を歩けないように、絶縁電線は電線管などの「家」に入れて守ってやる必要があります。コートを着たケーブルは、そのまま天井裏や壁の中を通したり、管に入れて地中に埋めたりできます。

絶縁電線 ケーブル
つくり 導体+絶縁体 導体+絶縁体+シース
代表例 IV、HIV、EM-IE、DV VVF、VVR、EM-EEF、CV、CVT
使い方 屋内では電線管などに収めて使う 造営材に沿わせて配線できる。管などに入れて地中にも使える
一般的な構成の例
ここまでのポイント
  • 導体を絶縁体で包んだものが絶縁電線
  • 絶縁電線をさらにシースで包んだものがケーブル
  • 絶縁電線は管などで守り、ケーブルはそのまま配線できる

記号の読み方 ― 1文字ずつ分けると意味が読める

VVFはビニル絶縁・ビニルシース・平形、CVTは架橋ポリエチレン絶縁・ビニルシース・3本より、IVは屋内用・ビニル絶縁と、記号を1文字ずつ分けて意味を示した動く図解
動く図解:VVF・CVT・IVを1文字ずつ分解すると、材料と形が読めます。

電線・ケーブルの記号は、材料や形の頭文字を並べたものです。多くの場合、前から「絶縁体の材料 → シースの材料 → 形」の順に並んでいます。

文字 意味 使われている例
V ビニル(Vinyl) IV、VVF、VVR、CV
C 架橋ポリエチレン(Cross-linked) CV、CVT
E ポリエチレン(polyEthylene) EM-IE、EM-EEF
F / R 平形(Flat)/丸形(Round) VVF、VVR
T 3本をより合わせた形(Triplex) CVT
I / O / D 屋内(Indoor)/屋外(Outdoor)/引込(Drop) IV、OW、DV
H 耐熱(Heat-resistant) HIV
EM エコマテリアル(環境配慮) EM-IE、EM-EEF
記号の由来は一般的な読み方の例
ペン太ペン太
CVTの「T」は、3本の「Three」じゃないんですか?
ハリタハリタ
「3本」のイメージで覚えてかまいませんが、正式にはトリプレックス(Triplex)、つまり単心のケーブルを3本より合わせた形のことです。1本の太いケーブルより曲げやすく、熱も逃げやすいので、幹線によく使われますよ。
ここまでのポイント
  • 記号は材料と形の略語
  • V=ビニル、C=架橋ポリエチレン、E=ポリエチレン、F=平形、R=丸形
  • I=屋内、O=屋外、D=引込、H=耐熱、EM=エコ


絶縁電線の種類 ― 管の中で使う「下着」

絶縁電線は、電線管や線ぴ・ダクトなどに収めて使うのが基本です。よく出てくるのは次のとおりです。

記号 名称 最高許容温度 主な用途
IV 600Vビニル絶縁電線 60℃ 屋内配線。電線管などに収めて使う
HIV 600V二種ビニル絶縁電線 75℃ 耐熱性が必要な配線(非常用設備の耐熱配線など)
EM-IE 600V耐燃性ポリエチレン絶縁電線 75℃ IVのエコ版。公共建築などで使う
DV 引込用ビニル絶縁電線 ― 電柱から建物への低圧の架空引込
OW 屋外用ビニル絶縁電線 ― 屋外の架空配線
第二種電気工事士の学習範囲で出てくる主なものを抜粋
ここまでのポイント
  • IV(60℃)は屋内で管などに入れて使う基本の電線
  • HIVとEM-IEは75℃
  • DVは引込用、OWは屋外の架空配線用

ケーブルの種類 ― そのまま使える「コート」

ケーブルは、シースで守られているので、配線できる場所が広がります。建物の中で使うことが多いのは次のとおりです。

記号 名称 最高許容温度 主な用途
VVF 600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル平形 60℃ 住宅・事務所の照明やコンセントの回路
VVR 600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル丸形 60℃ 太めの回路や幹線
EM-EEF 600Vポリエチレン絶縁耐燃性ポリエチレンシースケーブル平形 75℃ VVFのエコ版
CV 600V架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル 90℃ 幹線、動力、屋外・地中
CVT CVの単心3本より 90℃ 太い幹線。曲げやすく熱を逃がしやすい
キャブタイヤケーブル VCT など ― 移動して使う機器への配線
第二種電気工事士の学習範囲で出てくる主なものを抜粋
ここまでのポイント
  • 住宅の回路はVVF(エコならEM-EEF)
  • 幹線や屋外・地中はCV・CVT(90℃)
  • 動かして使う機器にはキャブタイヤケーブル


最高許容温度と使える場所 ― 60・75・90と「地中はケーブル」

最高許容温度を60℃のIV・VVF・VVR、75℃のHIV・EM-IE・EM-EEF、90℃のCV・CVTの3段で示した図
最高許容温度は60℃・75℃・90℃の3段で覚えます。

電線に電流を流すと、導体の抵抗で熱が出ます。絶縁体が傷まずに使い続けられる温度の上限が最高許容温度です。たとえるなら、服の耐熱温度です。暑さに強い服ほど、たくさん動いても(電流を流しても)平気です。だから最高許容温度が高いケーブルほど、同じ太さでも流せる電流(許容電流)が大きくなります。許容電流の考え方は「電気設備の基本知識 #014【絶縁電線の許容電流】」で解説しています。

IVは屋内の管の中だけ、DVは屋外の引込用、VVFとCV・CVTは屋内・屋外・地中(管などに入れて)で使えることを示した早見表
地中に使えるのはケーブルだけです。

📘 地中に使えるのはケーブルだけ

地中の配線には、絶縁電線ではなくケーブルを使います。さらに、ケーブルを管などに収めたり、深さを確保したりする決まりがあります。地中配線の細かな条件は「電気設備の基本知識 #023【地中配線】」で、ケーブルを使った工事の決まりは「電気設備の基本知識 #022【ケーブル工事】」で解説しています。

ここまでのポイント
  • 最高許容温度は、絶縁体が耐えられる温度の上限
  • 60℃・75℃・90℃の3段。高いほど許容電流が大きい
  • 地中にはケーブル。IVは屋内で管などに入れる

現場での使い分けと見分け方

電柱から建物への引込にDV、受電盤から分電盤への幹線にCV・CVT、照明やコンセントの回路にVVF・EM-EEF、動かす機器にキャブタイヤケーブルを使う様子を、電気の流れにそって示した動く図解
動く図解:電気の流れにそって、使うケーブルが変わります。

建物の中では、電気の流れにそって使うケーブルが変わります。電柱から建物への引込にはDV、受電盤から各階の分電盤への幹線にはCV・CVT、分電盤から照明やコンセントへの分岐回路にはVVFやEM-EEF。役割に合わせて、太さと材料を選びます。

ケーブルの表面に印字された「EM-EEF 2.0mm 3C 600V JIS」を、種類・太さ・心線の数・定格電圧・規格に分けて読む方法を示した図
ケーブルの表面の印字を読めば、種類と太さがわかります。

ケーブルの表面には、種類・太さ・心線の数などが一定の間隔で印字されています。見た目が似ているVVFとEM-EEFも、印字を見れば区別できます。現場では、配線する前に印字を声に出して読む習慣をつけると、太さや種類の取り違えを防げます。ケーブルどうしのつなぎ方は「電気設備の基本知識 #002【ケーブルの結線・接続方法】」で解説しています。

⚠️ 「コード」と「ケーブル」は別物

電気スタンドなどに付いているコードは、移動して使う電気器具のための電線で、建物に固定して配線するものではありません。天井裏や壁の中の配線にコードを使うのは誤りです。コードの種類は「電気設備の基本知識 #012【コードの種類と用途】」で解説しています。

ここまでのポイント
  • 引込はDV、幹線はCV・CVT、分岐回路はVVF・EM-EEF
  • 表面の印字で種類・太さ・心線数を確かめる
  • コードは建物の配線には使わない


よくある質問

絶縁電線とケーブルの違いは何ですか?

絶縁電線は、導体(銅線)を絶縁体で包んだものです。ケーブルは、絶縁電線をさらにシース(外装)で包んだものです。シースがある分だけ外からの傷や水に強く、ケーブルはそのまま造営材に沿わせて配線したり、管などに入れて地中に埋めたりできます。絶縁電線は、屋内では原則として電線管などに収めて使います。

IV線は屋外や地中で使えますか?

IV(600Vビニル絶縁電線)は屋内配線用の絶縁電線で、屋外や地中には使いません。屋内でも、そのまま天井裏にころがすのではなく、電線管などに収めて使います。屋外への引込には引込用ビニル絶縁電線(DV)、地中にはケーブルを使います。

VVFとVVRの違いは何ですか?

どちらもビニル絶縁ビニルシースケーブルで、最高許容温度は60℃です。VVFは平形(Flat)、VVRは丸形(Round)という形のちがいです。住宅の照明やコンセントの回路には、扱いやすいVVFがよく使われます。

最高許容温度はどう覚えればよいですか?

60℃・75℃・90℃の3段で覚えます。ビニルのなかま(IV・VVF・VVR)が60℃、耐熱ビニルやエコ電線(HIV・EM-IE・EM-EEF)が75℃、架橋ポリエチレンのCV・CVTが90℃です。最高許容温度が高いほど、同じ太さでもたくさんの電流を流せます。

エコ電線(EM)とは何ですか?

燃やしても有害なガスが出にくいように、ビニルの代わりにポリエチレン系の材料を使った電線・ケーブルです。記号の頭にEM(エコマテリアル)が付き、EM-IE(絶縁電線)やEM-EEF(平形ケーブル)などがあります。公共建築などでよく指定されます。

ハリタ

この記事を書いた人:ハリタ

電気設備設計の実務者。内線規程・電気工事士資格・住宅の電気設備を「設計者の視点」で解説しています。プロフィール詳細

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