電気設備の基本知識 #001【ケーブルの種類】
電気の現場では、「IV」「VVF」「CVT」といったアルファベットが飛び交います。はじめは呪文のように聞こえますが、じつはどれも材料と形を表す略語です。1文字ずつ分ければ、そのケーブルが何でできていて、どこで使えるのかが読めるようになります。この記事では、絶縁電線とケーブルのちがい、記号の読み方、最高許容温度と使える場所を、図とたとえで1つずつ解説します。第二種電気工事士の筆記試験でもよく出るところです。
結論
電線とケーブルのちがいはシース(外装)があるかどうか。記号は材料と形の略語で、最高許容温度は60℃・75℃・90℃の3段で覚えます。
- 絶縁電線(IVなど)は導体+絶縁体。ケーブル(VVF・CVなど)はさらにシースで守られている
- VVF=ビニル絶縁・ビニルシース・平形。CVT=架橋ポリエチレン・ビニルシース・3本より
- IV・VVF・VVRは60℃、HIV・EM-IE・EM-EEFは75℃、CV・CVTは90℃
- 地中に使えるのはケーブルだけ。IVは屋内で管などに入れて使う
- 電線とケーブルは、何がちがう?
- IV・VVF・CVTの記号は、どう読む?
- 絶縁電線には、どんな種類がある?
- ケーブルには、どんな種類がある?
- 最高許容温度と使える場所は?
- 現場では、どう使い分けて見分ける?
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電線とケーブルのちがい ― シースがあるかどうか
電気を通す銅線を導体といいます。導体をむき出しのまま使うと感電やショートが起きるので、ビニルなどの絶縁体で包みます。これが絶縁電線です。さらにその外側をシース(外装)で包んだものがケーブルです。
たとえるなら、絶縁電線は下着1枚、ケーブルはその上にコートを着た状態です。下着1枚では外を歩けないように、絶縁電線は電線管などの「家」に入れて守ってやる必要があります。コートを着たケーブルは、そのまま天井裏や壁の中を通したり、管に入れて地中に埋めたりできます。
| 絶縁電線 | ケーブル | |
|---|---|---|
| つくり | 導体+絶縁体 | 導体+絶縁体+シース |
| 代表例 | IV、HIV、EM-IE、DV | VVF、VVR、EM-EEF、CV、CVT |
| 使い方 | 屋内では電線管などに収めて使う | 造営材に沿わせて配線できる。管などに入れて地中にも使える |
- 導体を絶縁体で包んだものが絶縁電線
- 絶縁電線をさらにシースで包んだものがケーブル
- 絶縁電線は管などで守り、ケーブルはそのまま配線できる
記号の読み方 ― 1文字ずつ分けると意味が読める
電線・ケーブルの記号は、材料や形の頭文字を並べたものです。多くの場合、前から「絶縁体の材料 → シースの材料 → 形」の順に並んでいます。
| 文字 | 意味 | 使われている例 |
|---|---|---|
| V | ビニル(Vinyl) | IV、VVF、VVR、CV |
| C | 架橋ポリエチレン(Cross-linked) | CV、CVT |
| E | ポリエチレン(polyEthylene) | EM-IE、EM-EEF |
| F / R | 平形(Flat)/丸形(Round) | VVF、VVR |
| T | 3本をより合わせた形(Triplex) | CVT |
| I / O / D | 屋内(Indoor)/屋外(Outdoor)/引込(Drop) | IV、OW、DV |
| H | 耐熱(Heat-resistant) | HIV |
| EM | エコマテリアル(環境配慮) | EM-IE、EM-EEF |
ペン太
ハリタ- 記号は材料と形の略語
- V=ビニル、C=架橋ポリエチレン、E=ポリエチレン、F=平形、R=丸形
- I=屋内、O=屋外、D=引込、H=耐熱、EM=エコ
絶縁電線の種類 ― 管の中で使う「下着」
絶縁電線は、電線管や線ぴ・ダクトなどに収めて使うのが基本です。よく出てくるのは次のとおりです。
| 記号 | 名称 | 最高許容温度 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| IV | 600Vビニル絶縁電線 | 60℃ | 屋内配線。電線管などに収めて使う |
| HIV | 600V二種ビニル絶縁電線 | 75℃ | 耐熱性が必要な配線(非常用設備の耐熱配線など) |
| EM-IE | 600V耐燃性ポリエチレン絶縁電線 | 75℃ | IVのエコ版。公共建築などで使う |
| DV | 引込用ビニル絶縁電線 | ― | 電柱から建物への低圧の架空引込 |
| OW | 屋外用ビニル絶縁電線 | ― | 屋外の架空配線 |
- IV(60℃)は屋内で管などに入れて使う基本の電線
- HIVとEM-IEは75℃
- DVは引込用、OWは屋外の架空配線用
ケーブルの種類 ― そのまま使える「コート」
ケーブルは、シースで守られているので、配線できる場所が広がります。建物の中で使うことが多いのは次のとおりです。
| 記号 | 名称 | 最高許容温度 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| VVF | 600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル平形 | 60℃ | 住宅・事務所の照明やコンセントの回路 |
| VVR | 600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル丸形 | 60℃ | 太めの回路や幹線 |
| EM-EEF | 600Vポリエチレン絶縁耐燃性ポリエチレンシースケーブル平形 | 75℃ | VVFのエコ版 |
| CV | 600V架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル | 90℃ | 幹線、動力、屋外・地中 |
| CVT | CVの単心3本より | 90℃ | 太い幹線。曲げやすく熱を逃がしやすい |
| キャブタイヤケーブル | VCT など | ― | 移動して使う機器への配線 |
- 住宅の回路はVVF(エコならEM-EEF)
- 幹線や屋外・地中はCV・CVT(90℃)
- 動かして使う機器にはキャブタイヤケーブル
最高許容温度と使える場所 ― 60・75・90と「地中はケーブル」
電線に電流を流すと、導体の抵抗で熱が出ます。絶縁体が傷まずに使い続けられる温度の上限が最高許容温度です。たとえるなら、服の耐熱温度です。暑さに強い服ほど、たくさん動いても(電流を流しても)平気です。だから最高許容温度が高いケーブルほど、同じ太さでも流せる電流(許容電流)が大きくなります。許容電流の考え方は「電気設備の基本知識 #014【絶縁電線の許容電流】」で解説しています。
📘 地中に使えるのはケーブルだけ
地中の配線には、絶縁電線ではなくケーブルを使います。さらに、ケーブルを管などに収めたり、深さを確保したりする決まりがあります。地中配線の細かな条件は「電気設備の基本知識 #023【地中配線】」で、ケーブルを使った工事の決まりは「電気設備の基本知識 #022【ケーブル工事】」で解説しています。
- 最高許容温度は、絶縁体が耐えられる温度の上限
- 60℃・75℃・90℃の3段。高いほど許容電流が大きい
- 地中にはケーブル。IVは屋内で管などに入れる
現場での使い分けと見分け方
建物の中では、電気の流れにそって使うケーブルが変わります。電柱から建物への引込にはDV、受電盤から各階の分電盤への幹線にはCV・CVT、分電盤から照明やコンセントへの分岐回路にはVVFやEM-EEF。役割に合わせて、太さと材料を選びます。
ケーブルの表面には、種類・太さ・心線の数などが一定の間隔で印字されています。見た目が似ているVVFとEM-EEFも、印字を見れば区別できます。現場では、配線する前に印字を声に出して読む習慣をつけると、太さや種類の取り違えを防げます。ケーブルどうしのつなぎ方は「電気設備の基本知識 #002【ケーブルの結線・接続方法】」で解説しています。
⚠️ 「コード」と「ケーブル」は別物
電気スタンドなどに付いているコードは、移動して使う電気器具のための電線で、建物に固定して配線するものではありません。天井裏や壁の中の配線にコードを使うのは誤りです。コードの種類は「電気設備の基本知識 #012【コードの種類と用途】」で解説しています。
- 引込はDV、幹線はCV・CVT、分岐回路はVVF・EM-EEF
- 表面の印字で種類・太さ・心線数を確かめる
- コードは建物の配線には使わない
よくある質問
絶縁電線とケーブルの違いは何ですか?
絶縁電線は、導体(銅線)を絶縁体で包んだものです。ケーブルは、絶縁電線をさらにシース(外装)で包んだものです。シースがある分だけ外からの傷や水に強く、ケーブルはそのまま造営材に沿わせて配線したり、管などに入れて地中に埋めたりできます。絶縁電線は、屋内では原則として電線管などに収めて使います。
IV線は屋外や地中で使えますか?
IV(600Vビニル絶縁電線)は屋内配線用の絶縁電線で、屋外や地中には使いません。屋内でも、そのまま天井裏にころがすのではなく、電線管などに収めて使います。屋外への引込には引込用ビニル絶縁電線(DV)、地中にはケーブルを使います。
VVFとVVRの違いは何ですか?
どちらもビニル絶縁ビニルシースケーブルで、最高許容温度は60℃です。VVFは平形(Flat)、VVRは丸形(Round)という形のちがいです。住宅の照明やコンセントの回路には、扱いやすいVVFがよく使われます。
最高許容温度はどう覚えればよいですか?
60℃・75℃・90℃の3段で覚えます。ビニルのなかま(IV・VVF・VVR)が60℃、耐熱ビニルやエコ電線(HIV・EM-IE・EM-EEF)が75℃、架橋ポリエチレンのCV・CVTが90℃です。最高許容温度が高いほど、同じ太さでもたくさんの電流を流せます。
エコ電線(EM)とは何ですか?
燃やしても有害なガスが出にくいように、ビニルの代わりにポリエチレン系の材料を使った電線・ケーブルです。記号の頭にEM(エコマテリアル)が付き、EM-IE(絶縁電線)やEM-EEF(平形ケーブル)などがあります。公共建築などでよく指定されます。
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