第二種電気工事士 合格カリキュラム学科④ 電気工事の施工方法
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玄関のチャイム、インターホン、照明のリモコンスイッチ。これらの配線は、コンセントの配線とは別の小勢力回路という扱いです。電圧も電流も小さい弱い電気の回路なので、使える電線や施工の決まりが緩和されています。この記事では、小勢力回路のしくみ、電圧と電流の上限、使える電線、低圧配線と分けることを、図とたとえで確認していきます。

結論

小勢力回路は絶縁変圧器で60V以下にした回路。電圧が高いほど電流の上限は小さくなります。電線は0.8mm以上の軟銅線、架空なら1.2mm以上の硬銅線です。

  • 絶縁変圧器の一次側の対地電圧は300V以下
  • 15V以下は短絡電流8A、30V以下は5A、60V以下は3A
  • チャイム・インターホン・リモコンリレーなどに使う
  • 低圧の配線とは接触させない
この記事でわかること
気になるものを選べば、その項目へ飛べます。全部を読まなくても、必要なところだけで解決します。
100Vを絶縁変圧器で60V以下に下げ、チャイム・インターホン・リモコンリレーに電気を送る小勢力回路のしくみを示した図
小勢力回路は、絶縁変圧器で電圧を下げた「弱い電気」の回路です。

小勢力回路 ― 60V以下の弱い電気

小勢力回路は、絶縁変圧器で電圧を60V以下に下げ、流れる電流も小さく抑えた回路です。感電や火災の危険が小さいので、使える電線や施工の決まりが緩和されています。

たとえるなら子ども用プールです。水(電気)が浅いので、ふつうのプールより決まりがゆるやかです。ただし、深いプール(100Vの配線)とつながってしまえば意味がないので、しっかり分けておく必要があります。

ペン太ペン太
玄関チャイムの配線も、コンセントと同じ厳しいルールなんですか?
ハリタハリタ
いいえ、チャイムは小勢力回路という別枠です。絶縁変圧器の二次側で60V以下なら、細い電線でも配線できるんですよ。
ここまでのポイント
  • 絶縁変圧器で60V以下に下げた回路
  • チャイム・インターホン・リモコンリレーなど
  • 危険が小さいので決まりが緩和

電圧と電流 ― 高いほど電流は小さく

小勢力回路の最大使用電圧ごとの電流の上限として、15V以下は絶縁変圧器の二次短絡電流8A以下または過電流遮断器5A以下、15V超30V以下は5A以下または3A以下、30V超60V以下は3A以下または1.5A以下であることを順に示した動く図解
動く図解:電圧が高くなるほど、電流の上限が小さくなります。
最大使用電圧 絶縁変圧器の二次短絡電流 過電流遮断器の定格(代わりに設ける場合)
15V以下 8A以下 5A以下
15V超 30V以下 5A以下 3A以下
30V超 60V以下 3A以下 1.5A以下
電気設備技術基準の解釈(小勢力回路の施設)をもとに作成

電圧と電流をかけたものが電力です。電圧が高いほど電流を小さくすることで、回路全体の「勢い」を小さく保っています。

ここまでのポイント
  • 最大使用電圧は60V以下
  • 電圧が高いほど電流の上限は小さい
  • 変圧器の短絡電流か、過電流遮断器で制限

使える電線 ― 0.8mmと1.2mm

小勢力回路の電線として、屋内で造営材に取り付ける場合は直径0.8mm以上の軟銅線(絶縁電線)やコード・ケーブル、架空で施設する場合は直径1.2mm以上の硬銅線を使うことを比べた図
空中に張るなら、引っぱりに強い硬銅線を使います。
施設のしかた 電線
造営材に取り付けるなど 直径0.8mm以上の軟銅線(絶縁電線)、コード、ケーブルなど
架空で施設する 直径1.2mm以上の硬銅線
電気設備技術基準の解釈(小勢力回路の施設)をもとに作成

空中に張る電線は、風や自分の重さに耐える強さが必要なので、引っぱりに強い硬銅線を使います。引込線(「電気設備の基本知識 #019【引込線・引込口配線】」)と同じ考え方です。

ここまでのポイント
  • ふつうは直径0.8mm以上の軟銅線
  • 架空なら直径1.2mm以上の硬銅線
  • 空中は強さが大事


分ける ― 低圧配線と接触させない

低圧屋内配線(100V・200V)と小勢力回路(60V以下)を接触させず、離して施設することを示した動く図解
動く図解:100Vの配線と小勢力回路は、はっきり分けます。

小勢力回路が「安全な回路」でいられるのは、100Vや200Vの配線とつながっていないからです。もし低圧の配線と接触すれば、小勢力回路に高い電圧がかかってしまいます。そこで、低圧の配線や弱電流電線と接触しないように施設し、接近・交差する場合は離隔などの措置をとります。

📘 絶縁変圧器の役割

絶縁変圧器は、一次側(100V)と二次側(60V以下)の巻線が電気的につながっていない変圧器です。一次側の対地電圧は300V以下とします。

ここまでのポイント
  • 低圧の配線と接触させない
  • 接近・交差は離隔などの措置
  • 絶縁変圧器の一次側対地電圧は300V以下

規定の全体像 ― 5つの視点

小勢力回路の規定を、電源(絶縁変圧器・一次側対地300V以下)、電圧・電流(最大60V・電圧が高いほど電流は小さく)、電線(屋内0.8mm以上の軟銅線)、電線(架空1.2mm以上の硬銅線)、分ける(低圧配線と接触させない)の5つの視点で整理した図
小勢力回路の規定は、5つの視点で整理できます。

電源・電圧と電流・電線(屋内と架空)・分ける、の5つを押さえれば、小勢力回路の規定はひととおり確認できます。

ここまでのポイント
  • 電源は絶縁変圧器
  • 電圧・電流の上限
  • 電線の太さと、低圧配線との分離

押さえる要点 ― 6つのルール

小勢力回路で押さえる要点として、電源は絶縁変圧器(一次側対地300V以下)、最大電圧60V以下、15V以下は短絡8A・遮断器5A、30V・60V以下は5A・3A(遮断器3A・1.5A)、電線は屋内0.8mm以上・架空は硬銅線1.2mm以上、低圧配線と接触させないの6つを並べた図
小勢力回路のまとめ。

次の#032は「電気設備の基本知識 #032【メタルラス壁貫通工事】」です。

ここまでのポイント
  • 絶縁変圧器で60V以下
  • 8A・5A・3A(遮断器5A・3A・1.5A)
  • 0.8mm以上、架空は1.2mm以上の硬銅線

よくある質問

小勢力回路とは何ですか?

チャイムやインターホン、リモコンリレーなどに使われる、最大使用電圧60V以下の回路です。絶縁変圧器で電圧を下げ、流れる電流も小さく抑えているので、ふつうの低圧配線より施工の決まりが緩和されています。

小勢力回路の電圧と電流の上限は?

最大使用電圧は60V以下です。最大使用電圧15V以下なら絶縁変圧器の二次短絡電流8A以下(または過電流遮断器の定格5A以下)、15V超30V以下なら5A以下(3A以下)、30V超60V以下なら3A以下(1.5A以下)です。

小勢力回路に使える電線は?

造営材に取り付ける場合などは、直径0.8mm以上の軟銅線(絶縁電線)、コード、ケーブルなどを使います。

小勢力回路を架空で施設する場合の電線は?

風や自重に耐えられるよう、直径1.2mm以上の硬銅線を使います。

小勢力回路の電源の決まりは?

絶縁変圧器を使い、その一次側の対地電圧は300V以下とします。二次側(小勢力回路)は低圧の配線と接触しないように施設します。

ハリタ

この記事を書いた人:ハリタ

電気設備設計の実務者。内線規程・電気工事士資格・住宅の電気設備を「設計者の視点」で解説しています。プロフィール詳細

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。