第二種電気工事士 合格カリキュラム学科② 配電理論と配線設計
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学科試験の「配電理論及び配線設計」は、毎回3〜5問。電気理論より式の数が少なく、パターンを覚えれば確実に取れる分野です。電線で失われる電圧と電力、単相3線式の中性線、管に入れたときの許容電流、幹線と遮断器の決め方。この4つを順に押さえます。

結論

配電理論は「電線1本の抵抗 r に、何本ぶん電流が流れるか」で式が決まります。単相2線は 2Ir、平衡した単相3線は Ir、三相3線は √3Ir。許容電流はがいし引きの値 × 電流減少係数で求めます。

  • 電圧降下:単相2線 2Ir/単相3線 Ir/三相3線 √3Ir
  • 電力損失:単相2線 2I²r/単相3線 2I²r/三相3線 3I²r
  • 中性線が切れると、容量の小さい負荷に高い電圧がかかる
  • 管に3本以下なら ×0.70、4本 ×0.63、5〜6本 ×0.56
単相2線式・単相3線式・三相3線式で電線に流れる電流と、電圧降下・電力損失の式を比べた動く図解
黄色の粒が電流。平衡した単相3線式では、真ん中の中性線に電流が流れません。

電圧降下と電力損失 ― 電線にも抵抗がある

電線は細い抵抗の集まりです。電源から負荷までの距離が長いと、途中で電圧が少しずつ減ります。ホースが長いと先端の水の勢いが弱くなるのと同じで、これを電圧降下といいます。電線で熱になって消える電力が電力損失です。

配電方式 電圧降下 e 電力損失 理由
単相2線式 2 I r 2 I² r 行きと帰りの2本に同じ電流
単相3線式(平衡) I r 2 I² r 中性線は電流0。外線1本分だけ下がる
三相3線式 √3 I r 3 I² r 3本に電流。電圧は線間で見るので √3
r は電線1本の抵抗、I は線電流です。
例題で確かめる
単相2線式で、電線1本の抵抗が 0.1Ω、負荷電流 10A。電源電圧 104V のとき、負荷の電圧は?
電圧降下 e = 2 × 10 × 0.1 = 2 V。負荷の電圧は 104 − 2 = 102 V。電力損失は 2 × 10² × 0.1 = 20 W です。

「電線の抵抗」が長さで与えられることもあります。1km あたり 5Ω の電線が 20m なら、1本の r は 5 × 0.02 = 0.1Ω。1本ぶんの r を先に出してから式に入れると迷いません。

こう長・電流・電線サイズから、電圧降下と降下率をその場で計算できます(実務では内線規程の簡略式を使います)。
ここまでのポイント
  • e は単相2線 2Ir、単相3線 Ir、三相3線 √3Ir
  • 損失は単相 2I²r、三相 3I²r
  • 先に電線1本の r を出す

単相3線式 ― 中性線の電流と断線

住宅の引込みは、ほとんどが単相3線式 100/200V です。外線(L1・L2)と中性線(N)の3本で、外線と中性線の間が100V、外線同士が200Vになります。

中性線の電流は「上と下の差」

中性線には、上側の負荷電流と下側の負荷電流の差が流れます。上 10A・下 10A なら 0A、上 15A・下 10A なら 5A です。上下の負荷をそろえる(平衡させる)ほど、中性線の電流と電圧降下が小さくなります。

中性線が断線すると1kWの負荷に66.7V、500Wの負荷に約133Vがかかることを示した動く図解

中性線が切れると、何が起きるか

中性線が断線すると、上下の負荷が直列になり、200V を抵抗の比で分け合います。容量の小さい(抵抗の大きい)負荷ほど高い電圧がかかるため、小さな機器が焼損するおそれがあります。だから中性線にはヒューズ(過電流遮断器)を入れず、開閉器は3極を同時に開閉するもの(3P2E の配線用遮断器など)を使って、中性線だけが切れる状態をつくらないようにします。

例題で確かめる
図の条件で中性線が断線した。500W の負荷にかかる電圧は?
1kW は R = 100² ÷ 1000 = 10Ω、500W は 100² ÷ 500 = 20Ω。直列で 30Ω に 200V なので I = 6.67A。500W 側は 6.67 × 20 ≒ 133 V。1kW 側は約67V で、合計200V になっていることを確かめます。
ここまでのポイント
  • 外線と中性線で100V、外線同士で200V
  • 中性線の電流は上下の電流の差
  • 断線すると小さい負荷に高い電圧。中性線にヒューズは入れない


許容電流と電流減少係数 ― 管に入れると冷えにくい

許容電流は、電線が安全に流せる電流の上限です。上限を決めているのは熱。電線管の中に何本も入れると、互いの熱がこもって冷えにくくなるため、本数に応じた係数(電流減少係数)を掛けて小さくします。

IV1.6mmの許容電流27Aに、電線管の本数に応じた電流減少係数0.70・0.63・0.56を掛けた値を比べた棒グラフ
IV電線 がいし引きの許容電流 管に3本以下(×0.70)
1.6 mm 27 A 19 A
2.0 mm 35 A 24 A
2.6 mm 48 A 33 A
2 mm² 27 A 19 A
3.5 mm² 37 A 26 A
5.5 mm² 49 A 34 A
周囲温度30℃以下。計算結果の小数点以下は7捨8入(内線規程)で丸めます。VVFケーブルは3本以下の値(×0.70)で扱うのが試験の定番です。

試験では「直径2.0mm のIV線を電線管に4本入れたときの許容電流」のように出ます。35 × 0.63 = 22.05 → 22A。表のがいし引きの値だけは覚えておき、係数を掛けて求めます。

ここまでのポイント
  • 許容電流は熱で決まる
  • 3本以下 0.70、4本 0.63、5〜6本 0.56
  • 1.6mm 27A・2.0mm 35A・2.6mm 48A は暗記

幹線の太さと過電流遮断器 ― 電動機は多めに見る

幹線は、分電盤まで電気を運ぶ太い電線です。電動機(モーター)は動き始めに大きな電流が流れるので、ほかの負荷より多めに見て太さを決めます。試験で問われる計算は、電技解釈148条の次の形です。

電動機の定格電流の合計IMとその他の負荷IHの大小で、幹線の許容電流Iwと過電流遮断器の定格電流IBを決める流れ図
例題で確かめる
電動機の定格電流の合計 40A、その他の負荷 20A。幹線の許容電流の最小値と、過電流遮断器の定格電流の最大値は?
IM(40A)> IH(20A)で IM ≦ 50A なので、Iw ≧ 1.25 × 40 + 20 = 70 A。遮断器は 3 × 40 + 20 = 140A と 2.5 × 70 = 175A を比べ、140A は 175A を超えないので IB ≦ 140 A。
実務で幹線を決めるときは
  1. 試験の式は考え方の基本。実務では需要率や電圧降下もあわせて確かめる
  2. 電技解釈や内線規程は改正されることがあるので、設計では最新版で確認する
  3. 幹線から分岐して細い電線に落とすときは、長さで遮断器の省略条件が変わる(3m・8m)
電流から遮断器・電線サイズ・電線管まで、一度にたどれます。
ここまでのポイント
  • IM と IH の大小、IM が50A以下かで係数が変わる
  • 遮断器は 3IM+IH、ただし 2.5Iw を超えない
  • 式を暗記するより、流れ図の順番で考える


分岐回路の組み合わせ ― 遮断器・電線・コンセント

分岐回路は「遮断器の定格」「電線の太さ」「コンセントの定格」の3つがセットで決まっています。表の縦1行ずつ覚えるのが近道です。

過電流遮断器(配線用遮断器) 電線の太さ コンセント
15 A 1.6 mm 以上 15 A 以下
20 A 1.6 mm 以上 20 A 以下
30 A 2.6 mm(5.5 mm²)以上 20 A 以上 30 A 以下
40 A 8 mm² 以上 30 A 以上 40 A 以下
50 A 14 mm² 以上 40 A 以上 50 A 以下
配線用遮断器の場合。ヒューズの20A分岐はコンセントが20A以下で電線2.0mm以上になります。

よく出るのは「30A の分岐回路に 15A コンセント」を×にする問題です。30A 回路のコンセントは20A以上。回路の定格より小さすぎるコンセントも不適切と覚えます。詳しい解説と幹線分岐の3m・8mルールは、下の記事にまとめています。

ここまでのポイント
  • 遮断器・電線・コンセントは3点セットで覚える
  • 30A 回路のコンセントは 20A 以上 30A 以下
  • 20A 配線用遮断器なら電線は1.6mm以上
第二種電気工事士 合格カリキュラム:この記事は「学科②配電理論と配線設計」の1本目です。続けて 絶縁電線の許容電流、分岐回路の設計と3m・8mルール を読むと、この分野はそろいます。週ごとの計画は 学習ページ で作れます。

よくある質問

単相3線式の電圧降下が Ir になるのはなぜですか?
負荷が上下で平衡していると中性線に電流が流れず、中性線での電圧降下が0になるからです。電源から負荷までで電圧が下がるのは外線1本分だけなので、e = I r になります。平衡していない場合は、中性線にも差の電流が流れます。
電力損失を小さくするにはどうしますか?
損失は I² r なので、電流を減らすのが最も効きます。同じ電力なら電圧を上げると電流が減るため、100V より 200V のほうが損失は小さくなります。電線を太くして r を小さくする方法もあります。
VVFケーブルの許容電流はどう考えればいいですか?
試験では、VVFケーブルは電線管に3本以下で入れた場合と同じ扱い(がいし引きの値 × 0.70)で出題されるのが一般的です。1.6mm なら 19A、2.0mm なら 24A です。
7捨8入とは何ですか?
小数点以下が0.7以下なら切り捨て、0.8以上なら切り上げる丸め方で、内線規程の許容電流の計算で使います。18.9A は19A、33.6A は33A、22.05A は22A になります。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。