引込設備の設計|高圧ケーブルの離隔距離と緩和基準について詳しく解説
高圧ケーブルを地中に埋めるとき、ほかのケーブルとの距離は相手で決まります。低圧とは0.15m、弱電・光ケーブルと特別高圧とは0.3mです(電技解釈 第125条)。距離が取れないときは、不燃性か自消性のある難燃性の被覆・管、または耐火性の隔壁で守れば、0mまで近づけられます。ここでは原則の距離、緩和の3つの型、用語の違い、弱電との条件の違い、判定の順番まで、図で順に確かめます。
原則の離隔距離 ― 相手で0.15mか0.3m
地中電線どうしが近づいたり交差したりするときの距離は、電技解釈 第125条で決まっています。高圧ケーブルから見ると、相手によって次の距離になります。
| 相手 | 離隔距離 | 根拠 |
|---|---|---|
| 低圧ケーブル | 0.15m以上 | 解釈125条 第1項第一号 |
| 特別高圧ケーブル | 0.3m以上 | 解釈125条 第1項第二号 |
| 弱電・光ケーブル | 0.3m以上 | 解釈125条 第2項 |
離隔をとる理由は、事故のときの延焼を防ぐことです。高圧側で短絡や地絡が起きると、アークや熱が隣のケーブルまで傷めます。だから緩和の条件は、どれも「燃えない・燃え広がらない材料」か「火を止める壁」になっています。距離で守るか、材料・構造で守るかのどちらかは必ず要る、と覚えておくと判断を誤りません。
ガス管や水道管との離隔(第125条第3項・第4項)は、特別高圧の地中電線が対象の条文です。高圧でも、道路管理者やほかの埋設物の管理者との協議で離隔を求められることがあるので、ルート計画の早い段階で確かめます。
- 低圧とは0.15m以上
- 弱電・光ケーブル、特別高圧とは0.3m以上
- 離隔の目的は、事故のときの延焼を防ぐこと
- ガス管・水道管の条文(第3項・第4項)は特別高圧が対象
緩和の3つの型 ― 距離の代わりに材料か壁で守る
低圧・特別高圧との離隔(第1項)は、次のどれか1つを満たせば、距離を0m以上にできます。つまり、触れていてもよくなります。
| 型 | 条件 | 距離 |
|---|---|---|
| ① 不燃性 | いずれかの電線が、不燃性の被覆か、堅ろうな不燃性の管に収められている | 0m以上 |
| ② 自消性難燃 | それぞれの電線が、自消性のある難燃性の被覆か、堅ろうな自消性のある難燃性の管に収められている | 0m以上 |
| ③ 隔壁 | 電線どうしの間に、堅ろうな耐火性の隔壁を設ける | 規定なし |
いちばん大事なのは、①は「いずれか(片側)」、②は「それぞれ(両側)」という違いです。高圧側だけを難燃FEP管に入れても、低圧側がふつうの管なら②は成り立ちません。片側だけで済ませたいなら、①の不燃性(鋼管など)を使います。
このほか、暗きょ(洞道など)の中で、決められた耐燃措置をした電線どうしなら0.1m以上でよい、という型もあります(第1項第三号)。一般の建物の引込ではあまり使いません。
- いずれかが不燃性 → 片側だけでよい
- それぞれが自消性のある難燃性 → 両側とも要る
- 耐火性の隔壁 → 間に壁を入れる
- どれかを満たせば、0m以上(触れていてもよい)
「不燃性」と「自消性のある難燃性」 ― 言葉の中身
緩和の判断は、この2つの言葉を正しく読めるかで決まります。どちらも解釈125条の第5項で中身が決められています。
| 言葉 | 中身 | 求められ方 |
|---|---|---|
| 不燃性 | 建築基準法の不燃材料で造られたもの(コンクリート・れんが・鉄鋼・アルミ・モルタルなど) | いずれか(片側)でよい |
| 自消性のある難燃性 | 被覆はIEEE Std 383の燃焼試験、管は電気用品の耐燃性試験かJESC E7003の試験に適合したもの | それぞれ(両側)に要る |
「自消性」は、火を離すと自然に消える性質です。「難燃」は燃え広がりにくい性質を指す言葉で、製品名に「難燃」と付いていても、自消性のある難燃性の試験に適合しているかは別に確かめます。難燃FEP管の中には、メーカーが「堅ろうな自消性のある難燃性の管」に当たると示している製品があります(例:未来工業の難燃ミラレックスF)。採用する製品のカタログで適合の表示を確認します。
ケーブルの被覆で緩和する場合も同じです。ケーブルがIEEE Std 383の燃焼試験に適合した難燃ケーブルかどうかを、カタログで確かめてから使います。
- 不燃性=建築基準法の不燃材料。片側だけでよい
- 自消性のある難燃性=試験に適合した被覆・管。両側に要る
- 「難燃」と付いた製品も、適合の表示をカタログで確認
弱電・光ケーブルとの離隔 ― 緩和の条件が違う
電話や光ファイバなどの弱電線との離隔は、第125条の第2項で別に決まっています。低圧・高圧の電線とは0.3m以上、特別高圧とは0.6m以上です。
緩和の条件も第1項とは違います。主な方法は、耐火性の隔壁を設けるか、地中電線を堅ろうな不燃性または自消性のある難燃性の管に収め、その管が弱電線に直接触れないように施設することです。光ファイバケーブルは、被覆などの条件と管理者の承諾で緩和できる場合があります。弱電線は他社の設備であることが多いので、管理者との協議を早めに始めます。
- 弱電・光とは0.3m以上(特別高圧は0.6m以上)
- 緩和は第2項の条件。第1項とは別
- 隔壁か、地中電線を管に収めて弱電線に触れさせない
- 弱電線の管理者との協議を早めに
判定の順番と、現場で見落としやすいところ
スペースが取れない現場では、次の順番で確かめると判断が早くなります。
- 交差部:並行区間だけでなく、ルートが交差する箇所も対象です。掘削断面図で見落としやすい部分です。
- ハンドホールの中:第1項(低圧・特別高圧との離隔)は、ただし書きで地中箱内には適用しないとされています。ただし、保守のときの誤切断を防ぐため、識別と整理は必要です。弱電線との関係は第2項で別に確かめます。
- 既設との関係:改修で既設ケーブルの被覆や管の仕様がわからないときは、緩和を前提にせず、距離で確保するのが安全です。
- 根拠を図面に残す:採用した管種・製品・隔壁の仕様を、断面図と特記仕様に書きます。書いていないと、検査や引き継ぎで確認し直すことになります。
引込ルートの決め方は引込・受電設備の設計マニュアル③ 引込方式とルート、埋設の深さは地中配線について詳しく解説で扱っています。
- 相手 → 距離 → 材料 → 隔壁 → 図面の順で判定
- 交差部も対象
- 第1項はハンドホール(地中箱)内には適用しない
- 既設が不明なら距離で確保する
よくある質問
高圧ケーブルと低圧ケーブルの離隔距離は?
0.15m以上です(電技解釈 第125条第1項第一号)。条件を満たせば緩和できます。
弱電ケーブル・特高ケーブルとの離隔距離は?
どちらも0.3m以上です。弱電・光ケーブルは第125条第2項、特別高圧は第1項第二号が根拠です。
離隔距離はどこまで緩和できますか?
低圧・特別高圧との離隔は、いずれかが不燃性、それぞれが自消性のある難燃性、または耐火性の隔壁のどれかを満たせば、0m以上(触れていてもよい)にできます。
高圧側だけ難燃FEP管に入れれば緩和できますか?
自消性のある難燃性の管で緩和するなら、両側の電線がそれぞれ条件を満たす必要があります。片側だけで済ませたいなら、不燃性の管(鋼管など)を使います。
難燃性と不燃性はどう違いますか?
不燃性は建築基準法の不燃材料で、燃えないものです。自消性のある難燃性は、燃えても火を離せば消えるもので、試験への適合が条件です。不燃性は片側、自消性のある難燃性は両側に求められます。
ハンドホールの中でも離隔は必要ですか?
低圧・特別高圧との離隔(第125条第1項)は、ただし書きで地中箱内には適用しないとされています。ただし、保守のときのために識別と整理はしておきます。弱電線との関係は第2項で別に確認します。
交差する箇所も離隔の対象ですか?
対象です。第125条は「接近又は交差する場合」と書かれているので、並行区間だけでなく交差部も確かめます。
まとめ ― 取り違えやすいところ
| 取り違えやすいところ | 正しくは |
|---|---|
| 離隔はどの相手でも0.15m | 低圧は0.15m、弱電・特高は0.3m |
| 緩和しても0.15m近くは要る | 条件を満たせば0m以上(触れてよい) |
| 片側を難燃管にすれば緩和できる | 自消性難燃なら両側。片側なら不燃性 |
| 「難燃」と付けば条件を満たす | 試験への適合をカタログで確認 |
| ハンドホール内も第1項の離隔が要る | 第1項は地中箱内には適用しない |
| 弱電も第1項と同じ緩和 | 第2項の別の条件で緩和する |
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