技術図書館置ける場所を選び、高さと距離で守る高電圧の格子がむき出しになる装置なのでまず場所を絞る。そのうえで高さと離隔、表示をそろえるこの資料をスライドで見る資料一覧を見る
この記事は連載「内線規程の解釈と解説」(全119回)の1本です。
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出典:電気設備の技術基準の解釈 第193条・第29条

電撃殺虫器は、高電圧で虫を感電させて駆除する装置です。高い電圧を扱うため、設置場所や電撃格子の高さ、周囲との離隔距離などについて、感電や火災を防ぐための決まりが解釈第193条にあります。ここでは電気設備の技術基準の解釈にもとづいて、その要点を整理します。

電安法の器具と、危険の表示 第一号・第二号。
電撃格子は、3.5m以上 第三号。
まわりと、0.3m以上 第四号。
施設しない場所がある 第193条第2項。
ペン太ペン太
電撃殺虫器って、どこにでも吊るしていいものなんですか?
ハリタハリタ
いいえ。電波障害のおそれがある場所や、腐食性ガス・粉じん・可燃性ガス・危険物・火薬庫の場所には施設しません。高さや離隔も決まっています。

この記事で押さえる3つのこと

  • 施設しない場所は第193条第2項(電波・腐食性ガス・爆発のおそれ)。
  • 電撃格子は3.5m以上、条件がそろえば1.8m以上。
  • まわりと0.3m以上、近くに専用の開閉器、危険の表示。
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高さの例外条件は、2つ目の項にまとめています。

1. 施設しない場所

電波障害のおそれがある場所 第2項第一号。
腐食性ガスの場所 省令第70条。
粉じん・ガス・危険物・火薬庫 第175〜178条。
湿気・水気・興行場は内線規程 解釈には書いていない。
  • 電撃殺虫器は、電気用品安全法の適用を受けるものを使い、施設した場所には危険である旨の表示をします(解釈第193条第一号・第二号)
  • 施設しない場所は、電波・高周波電流が無線設備の機能に継続的かつ重大な障害を与えるおそれがある場所です(第2項第一号)
  • 省令第70条の腐食性のガス・溶液の場所(めっき工場や開放形蓄電池室など)と、第175条から第178条までの粉じん・可燃性ガス・危険物・火薬庫の場所にも施設しません(第2項第二号)
  • 湿気の多い場所・水気のある場所・興行場に設置しないことは、内線規程で確かめます
施設しない場所 根拠(解釈第193条第2項)
電波障害のおそれ 第一号
腐食性ガス・溶液 第二号(省令第70条)
粉じん・可燃性ガス 第二号(第175・176条)
危険物・火薬庫 第二号(第177・178条)
湿気・水気・興行場 内線規程で確認
たとえるなら
施設しない場所は、マッチを持ち込まない倉庫
燃えやすい物がある倉庫に、火花を出す道具は持ち込みません。電撃殺虫器も、粉じん・可燃性ガス・危険物・火薬庫の場所や、腐食性ガスの場所には施設しません。
ここに注意!
「湿気・水気の場所や興行場には、解釈で設置が禁止」ではありません。
解釈第193条第2項で施設しない場所は、電波障害のおそれがある場所、省令第70条の腐食性ガスの場所、第175条から第178条の場所です。湿気・水気の場所や興行場を禁止するのは、内線規程で確かめます。
ここに注意!
「電撃殺虫器なら、無線のそばでもよい」ではありません。
装置や電路から出る電波・高周波電流が、無線設備の機能に継続的かつ重大な障害を与えるおそれがある場所には施設しません(第2項第一号)。
ペン太ペン太
手が届くくらいの高さに付けようとしてました!
ハリタハリタ
電撃格子は地表上3.5m以上が原則です。条件を満たせば1.8mまで下げられますが、例外扱いですよ。
ここまでのポイント
  • 電波障害のおそれがある場所には施設しない
  • 腐食性ガス(省令第70条)の場所にも施設しない
  • 粉じん・可燃性ガス・危険物・火薬庫の場所にも施設しない
  • 電撃殺虫器は、電気用品安全法の適用を受けるものである必要がある


2. 電撃格子の高さと離隔

原則は、3.5m以上 地表上・床面上。
7,000V以下の、絶縁変圧器 ただし書きの条件1。
触れたら、1次側を自動遮断 ただし書きの条件2。
そろえば、1.8m以上 第三号ただし書き。
  • 電撃格子は、地表上か床面上3.5m以上に施設します(第三号)
  • 2次側開放電圧7,000V以下の絶縁変圧器を使い、保護格子に手を入れたり触れたりしたら1次側電路を自動で遮断する保護装置を設けるなら、1.8m以上にできます
工作物と、0.3m以上 第四号。
植物とも、0.3m以上 第四号。
架空電線は、除く 第四号かっこ書き。
燃え移りを、防ぐ 離しておく。
  • 電撃格子とほかの工作物(架空電線を除く)や植物との離隔距離は、0.3m以上です(第四号)
条件 電撃格子
原則 3.5m以上
7,000V以下+自動遮断 1.8m以上
工作物・植物 0.3m以上
架空電線 離隔の対象外
たとえるなら
電撃殺虫器は、高い所に掲げた高圧の虫取り網
網そのものに電気が通っているので、人の手が届かない高さに掲げます。電撃格子は地表上か床面上3.5m以上で、変圧器と保護装置の条件がそろえば1.8m以上まで下げられます。
たとえるなら
0.3mの離隔は、ストーブとカーテンの距離
ストーブをカーテンにくっつけると燃え移ります。電撃格子もほかの工作物や植物から0.3m以上離して、火花が燃え移らないようにします。
ここに注意!
「電撃格子は、手の届く高さでよい」ではありません。
原則は地表上か床面上3.5m以上です(解釈第193条第三号)。
ここに注意!
「1.8mまで下げるには、絶縁変圧器だけでよい」ではありません。
2次側開放電圧7,000V以下の絶縁変圧器に加えて、保護格子に手を入れたり触れたりしたら1次側を自動で遮断する保護装置が要ります(第三号ただし書き)。
ここに注意!
「離隔の0.3mは、架空電線にもかかる」ではありません。
電撃格子と0.3m以上離すのは、ほかの工作物(架空電線を除く)と植物です(第四号)。
ここまでのポイント
  • 電撃格子は、地表上または床面上3.5m以上に設ける
  • 二次側開放電圧7,000V以下の絶縁変圧器を使用し、保護格子内に手を入れたり触れたりした際に一次側電路を自動的に遮断する保護装置を設ける場合は1.8mまで下げられる
  • 電撃格子と他の工作物または植物との離隔距離は30cm以上とする(架空電線は除く)


3. 開閉器と接地

専用の開閉器を、近くに 第五号。
容易に、開閉できるように 第五号。
危険である旨の、表示 第一号。
外箱の接地は、第29条 300V以下D種。
  • 電撃殺虫器に電気を送る電路には、専用の開閉器を、殺虫器に近い箇所で容易に開閉できるように施設します(第五号)
  • 鉄台・金属製外箱などの接地は、解釈第29条により、300V以下はD種、300Vを超えるとC種の接地工事です
ペン太ペン太
先生、電撃殺虫器ってどこにでも付けていいんですか?
ハリタハリタ
いや、電波障害のおそれがある場所や、腐食性ガス・粉じん・可燃性ガス・危険物・火薬庫の場所には施設しないんだ(解釈第193条第2項)。湿気・水気の場所や興行場の禁止は内線規程で確かめよう。
ペン太ペン太
高さや周りとの距離に決まりはありますか?
ハリタハリタ
電撃格子は地表や床から3.5m以上が原則。条件を満たせば1.8mまで下げられるよ。工作物や植物とは30cm以上離して、接地と危険表示も必要だね。
思いこみ 正しくは
湿気・興行場は解釈で禁止 内線規程で確認
手の届く高さで可 3.5m以上
変圧器だけで1.8m 保護装置も要る
架空電線も0.3m 架空電線は除く
開閉器は分電盤で可 近くに専用で
無線のそばでも可 障害の場所は不可
ここに注意!
「開閉器は、分電盤にあればよい」ではありません。
専用の開閉器を、電撃殺虫器に近い箇所で容易に開閉できるように施設します(第五号)。
ここまでのポイント
  • 電気を供給する電路には、装置に近い箇所で容易に開閉できるよう専用の開閉器を施設する
  • 金属製外箱の接地は第29条(300V以下D種、超えるとC種)
  • 電撃殺虫器を施設した場所には、危険である旨の表示を行う
  • 無線設備に継続的かつ重大な障害を与えるおそれがある場所には施設できない

よくある質問(FAQ)

Q1. 置けない場所は? 第193条第2項。
Q2. 格子の高さは? 3.5m以上。
Q3. まわりとの距離は? 0.3m以上。
湿気・興行場は? 内線規程で確かめる。
Q. 電撃殺虫器を設置できない場所はどこですか?
A. 解釈第193条第2項で施設しない場所は、電波・高周波電流が無線設備に重大な障害を与えるおそれがある場所、省令第70条の腐食性のガス・溶液の場所、第175条から第178条までの粉じん・可燃性ガス・危険物・火薬庫の場所です。湿気・水気の場所や興行場を禁止するのは、内線規程で確かめます。
Q. 電撃格子の高さはどのくらい必要ですか?
A. 地表上か床面上3.5m以上です。2次側開放電圧7,000V以下の絶縁変圧器を使い、保護格子に手を入れたり触れたりしたら1次側電路を自動で遮断する保護装置を設けるなら、1.8m以上にできます(解釈第193条第三号)。
Q. 周囲の工作物や植物との距離はどのくらい必要ですか?
A. 電撃格子とほかの工作物(架空電線を除く)や植物との離隔距離は0.3m以上です(第四号)。あわせて、近くに専用の開閉器を施設し、危険である旨の表示をします。金属製外箱は解釈第29条で接地します。


まとめ|置ける場所を選び、高さと距離で守る

電撃殺虫器は高電圧の格子がむき出しになる装置のため、「設置できない場所を除く」「高さ3.5m以上」「まわりと30cm以上離す」の3点が基本になります。そのうえで、専用の開閉器と危険表示を必ずセットにします。

確認する項目 決まり
器具 電気用品安全法
表示 危険である旨
施設しない場所 第193条第2項
電撃格子の高さ 3.5m以上(条件で1.8m)
まわりとの離隔 0.3m以上
開閉器 近くに専用
外箱の接地 第29条(D種・C種)

虫の集まる場所に付けたくなる装置ですが、腐食性ガスや粉じんの場所などには施設できません(水気の場所の扱いは内線規程で確かめます)。設置位置を決める前に、場所の条件と高さの2つを確認しておくと確実です。

ペン太ペン太
高さのほかに確認することはありますか?
ハリタハリタ
工作物や植物との離隔30cm以上、専用開閉器・接地・危険表示です。順に押さえれば大丈夫です。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。