CT比の決め方と計算|受電点・変圧器一次側・二次側の電流計に付けるCTの早見表と過電流強度
キュービクルの単線結線図にある「CT 75/5A」や、変圧器ごとの電流計の下にある「CT 15/5A」「CT 800/5A」。この数字はどこから来たのか、計算で出せるのか。CTは受電点・変圧器の一次側・二次側の3か所にあって、場所ごとに決め方のクセが違います。この記事は、場所ごとのCT比の計算と早見表、過電流強度と定格負担の確かめ方だけにしぼって説明します。
ペン太
ハリタ- ひとことで言うと
- 「CT比」は、変流器(CT)が大きな電流を何分の1にして5Aにするかを表す比です。75/5Aなら、一次に75A流れると二次に5Aが流れ、電流計は75Aの目盛いっぱいまで振れます。
- 読み方
- シーティーひ(へんりゅうひ)
- どこで出てくる?
- キュービクルの単線結線図、受電点や変圧器ごとの電流計、OCR(過電流継電器)の整定表、受変電設備の機器表。
結論
CT比は、その場所の定格電流から決めて、電流計の目盛と同じ値にします。高圧(受電点・変圧器一次側)は定格電流の1.5倍以上でいちばん近い標準値、低圧(変圧器二次側)は定格電流が目盛の50〜70%に入る値。変圧器一次側は電流が小さいので、過電流強度が足りるかを必ず確かめます。
- 受電500kVAなら75/5A、三相100kVA変圧器の一次側なら15/5A
- 三相200kVA・210Vの二次側なら800/5A(定格で針69%)
- 必要な過電流強度 = 短絡電流 × √時間 ÷ 定格一次電流
- 定格負担は、計器・継電器・配線の合計より大きく
この記事に出てくる言葉
読む前に、意味をざっと押さえておくと分かりやすくなります。
| 言葉 | 読み方 | やさしい説明 |
|---|---|---|
| 変流比(CT比) | へんりゅうひ | 定格一次電流/定格二次電流。75/5Aなど。 |
| 定格一次電流 | ていかくいちじでんりゅう | CTの一次側の定格の電流。電流計の目盛の最大値になる。 |
| 過電流強度 | かでんりゅうきょうど | 事故の大電流に、熱や力で壊れずに耐えられる強さ。定格一次電流の何倍を1秒、で表す。 |
| 定格耐電流 | ていかくたいでんりゅう | 耐えられる電流と時間を直接示したもの。12.5kA/0.125秒など。 |
| 定格負担 | ていかくふたん | CTの二次側につないでも精度が保てる重さ(VA)。 |
| AS | エーエス | 電流計切換開閉器。1台の電流計で3相を切り換えて読む。 |
| OCR | オーシーアール | 過電流継電器。CTの二次電流を見て、遮断器を切る。 |
CT比の計算を読むために、土台になる考え方を3つだけ押さえておきましょう。
電流計は5A計で、目盛だけが大きい
キュービクルの電流計は、CTの二次側の5Aを測る計器です。目盛はCTの定格一次電流に合わせて書かれているので、CT比を決めることは電流計の目盛を決めることでもあります。
ふだんの電流と、事故の電流の両方を考える
ふだんは負荷電流を読みやすく測れること、事故のときは短絡電流に壊れず耐えること。CT比はこの2つの間で決めます。
電流は、三相は kVA ÷(√3 × 電圧)、単相は kVA ÷ 電圧
6.6kVの三相なら100kVAあたり約8.75A、210Vの三相なら100kVAあたり約275Aです。CT比の計算は、ここから始まります。
CTは3か所 ― 場所で決め方のクセが違う
キュービクルの中で電流計が付くのは、おもに次の3か所です。どこのCTを選んでいるのかを先に決めると、計算で迷わなくなります。
| 場所 | 何に使う | CT比の決め方 | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| ① 受電点 | 受電の電流計・OCR | 受電設備容量の定格電流×1.5 | OCRの整定と、過電流強度 |
| ② 変圧器一次側(高圧) | 変圧器ごとの高圧の電流計 | 変圧器の一次電流×1.5 | 電流が小さく、過電流強度が足りなくなりやすい |
| ③ 変圧器二次側(低圧) | 低圧の電流計(AS切換) | 二次電流が目盛の50〜70% | 低圧の短絡電流は大きいので、CTの耐電流も確認 |
- CTは受電点・変圧器一次側・二次側の3か所
- 電流計の目盛 = CTの定格一次電流
- いちばん迷いやすいのは変圧器一次側
① 受電点のCT ― 定格電流の1.5倍から選ぶ
ペン太
ハリタ受電点のCTは、受電設備容量(変圧器容量の合計)から出した定格電流に、1.5倍程度の余裕をみて決めます。6.6kVの三相なら、定格電流は kVA ÷(√3 × 6.6)です。
この1.5倍は、規格で決まった倍率ではなく実務の目安です。定格電流と同じ値のCT(電流計の目盛)にすると、定格運転で針が振り切れる寸前になります。逆に大きくしすぎると、針が下のほうにしか動かず、目盛が読めなくなります。その間をとったのが、1.5倍前後という値です。
キュービクル用のCTの定格一次電流は、10・15・20・30・40・50・75・100・150・200Aのように決まった値があります(二次はどれも5A)。計算で出た電流以上で、いちばん近い値を選びます。
| 受電設備容量 | 定格電流 | CT比 | 必要な倍数 | 過電流強度の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 100kVA | 8.7A | 15/5A | 295倍 | 300倍 |
| 150kVA | 13.1A | 20/5A | 221倍 | 300倍 |
| 200kVA | 17.5A | 30/5A | 147倍 | 150倍 |
| 300kVA | 26.2A | 40/5A | 110倍 | 150倍 |
| 500kVA | 43.7A | 75/5A | 59倍 | 75倍 |
| 750kVA | 65.6A | 100/5A | 44倍 | 75倍 |
| 1,000kVA | 87.5A | 150/5A | 29倍 | 40倍 |
| 1,500kVA | 131.2A | 200/5A | 22倍 | 40倍 |
| 2,000kVA | 175.0A | 300/5A | 15倍 | 40倍 |
受電点のCTはOCRにもつながります。CT比を大きくしすぎると、OCRで整定したい電流に合うタップがなくなります。例えば500kVA(43.7A)で限時要素を約57Aで動かしたいとき、75/5Aなら二次換算3.8A→4Aタップで合わせられますが、150/5Aでは1.9Aになり、タップが3〜5Aの継電器では整定できません。OCRの整定の考え方は変圧器一次側開閉器の記事にまとめています。
- 定格電流 = kVA ÷(√3 × 6.6)
- 1.5倍以上でいちばん近い標準値(500kVAなら75/5A)
- 大きすぎるとOCRが整定できない
② 変圧器一次側のCT ― 小さいCTほど過電流強度に注意
ペン太
ハリタ変圧器ごとに高圧の電流計を付けるときは、その変圧器1台の一次電流から決めます。ここにも明確な決まりはなく、受電点と同じく一次電流×1.5以上でいちばん近い標準値を目安にします。同じ容量の目盛では振り切れ、大きすぎると読めない、という理由も同じです。ただし、変圧器1台分の電流は数A〜数十Aと小さいので、CT比も小さくなり、あとの章の過電流強度が足りなくなりやすくなります。
| 三相変圧器 | 一次電流 | CT比 | 必要な倍数 | 過電流強度の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 50kVA | 4.4A | 10/5A | 442倍 | 定格耐電流形など |
| 75kVA | 6.6A | 10/5A | 442倍 | 定格耐電流形など |
| 100kVA | 8.7A | 15/5A | 295倍 | 300倍 |
| 150kVA | 13.1A | 20/5A | 221倍 | 300倍 |
| 200kVA | 17.5A | 30/5A | 147倍 | 150倍 |
| 300kVA | 26.2A | 40/5A | 110倍 | 150倍 |
| 500kVA | 43.7A | 75/5A | 59倍 | 75倍 |
| 750kVA | 65.6A | 100/5A | 44倍 | 75倍 |
| 1,000kVA | 87.5A | 150/5A | 29倍 | 40倍 |
| 単相変圧器 | 一次電流 | CT比 | 必要な倍数 | 過電流強度の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 20kVA | 3.0A | 5/5A | 884倍 | 定格耐電流形など |
| 30kVA | 4.5A | 10/5A | 442倍 | 定格耐電流形など |
| 50kVA | 7.6A | 15/5A | 295倍 | 300倍 |
| 75kVA | 11.4A | 20/5A | 221倍 | 300倍 |
| 100kVA | 15.2A | 30/5A | 147倍 | 150倍 |
| 150kVA | 22.7A | 40/5A | 110倍 | 150倍 |
| 200kVA | 30.3A | 50/5A | 88倍 | 150倍 |
| 300kVA | 45.5A | 75/5A | 59倍 | 75倍 |
表の右の列を見ると、100kVA以下の変圧器では必要な倍数が300倍前後かそれ以上になり、40倍や75倍の一般のCTでは耐えられないことが分かります。こうした小さいCTには、過電流強度の高いCTや、定格耐電流12.5kA/0.125秒などで作られたキュービクル用のCT(JIS C 4620 附属書)を選びます。
なお、PF付LBSで変圧器を受けている場合、限流ヒューズの負荷側にあるCTには、ヒューズが電流を抑えて切った後の電流しか流れません。この場合の必要な強さは、CTとヒューズのメーカーの適用表で確かめます。
- 変圧器の一次電流×1.5でCT比を選ぶ(三相100kVAなら15/5A)
- 小さいCT比ほど、必要な過電流強度が大きい
- 高過電流強度形・キュービクル用CTを選び、限流ヒューズとの組合せも確認
③ 変圧器二次側のCT ― 目盛の50〜70%に入れる
ペン太
ハリタ低圧側の電流計のCTは、変圧器の定格電流が電流計の目盛の50〜70%に入る値を選びます。定格電流ぴったりの目盛にすると、定格運転で針が振り切れる寸前になり、少しの過負荷で目盛からはみ出します。逆に大きすぎると、ふだんの増減が読めなくなります。
| 三相変圧器(210V) | 二次電流 | CT比(=電流計の目盛) | 定格時の針の位置 |
|---|---|---|---|
| 50kVA | 137A | 200/5A | 69% |
| 75kVA | 206A | 300/5A | 69% |
| 100kVA | 275A | 400/5A | 69% |
| 150kVA | 412A | 600/5A | 69% |
| 200kVA | 550A | 800/5A | 69% |
| 300kVA | 825A | 1200/5A | 69% |
| 500kVA | 1,375A | 2000/5A | 69% |
| 750kVA | 2,062A | 3000/5A | 69% |
| 1,000kVA | 2,749A | 4000/5A | 69% |
50〜70%に入れるということは、定格電流の約1.5倍の目盛を選ぶということで、高圧側の「1.5倍」と同じ考え方です。単相3線210-105Vや400V級の早見表、電圧計の選び方は変圧器二次側の定格電流と電流計の選定にまとめています。
- 定格電流が目盛の50〜70%に入るCT比
- 三相200kVA・210V(550A)なら800/5A
- 単相・400V級は二次側の早見表の記事で
過電流強度の確かめ方 ― 1秒の値に換算して比べる
受電点でショートが起きると、電力会社の系統から大きな短絡電流が流れます。高圧の受電設備では短絡電流12.5kAを前提にすることが多く、CTはOCRと遮断器が電流を切るまでのあいだ、これに耐えなければなりません。
CTの過電流強度は「定格一次電流の何倍を1秒」で表します(40倍・75倍・150倍・300倍など)。熱は電流の2乗×時間で決まるので、短い時間の電流は1秒の値に換算して比べます。
実際の短絡電流は、受電点の短絡容量から計算できます。考え方は%インピーダンスの記事にまとめています。
- 必要な倍数 = 短絡電流 × √時間 ÷ 定格一次電流
- 12.5kA・0.125秒で75/5Aは59倍、15/5Aは295倍
- 足りなければ高過電流強度形・キュービクル用CT
定格負担の選び方 ― 二次側の「重さ」を足す
ペン太
ハリタCTの二次側には、電流計・OCR・電力計などがつながります。それぞれに負担(VA)があり、配線の抵抗も負担になります。この合計より大きい定格負担のCTを選ばないと、精度が落ちます。
配線の負担は、5A²×往復の線の抵抗です。2mm²の電線は約9.24Ω/kmなので、往復20mで約4.7VAになります。盤までの距離が長いときは、線を太くするか、定格負担の大きいCTを選びます。計器や継電器の負担は、機器ごとにカタログで確かめます。
- 定格負担は、計器・継電器・配線の合計より大きく
- 配線の負担 = 25 × 往復の線の抵抗
- 長い配線は、太くするか負担の大きいCTに
まとめ|結論
結論
CT比は、その場所の定格電流から決めて、電流計の目盛と同じ値にします。高圧(受電点・変圧器一次側)は定格電流の1.5倍以上でいちばん近い標準値、低圧(変圧器二次側)は定格電流が目盛の50〜70%に入る値です。小さいCT比ほど過電流強度がきびしいので、変圧器一次側は必ず確かめます。
電流計のCTを選ぶときは、この順で確かめます。
- 受電点・変圧器一次側・二次側のどこのCTか
- その場所の定格電流を出す(三相は√3で割る、単相は割らない)
- 高圧は×1.5、低圧は目盛の50〜70%で標準値を選ぶ
- 短絡電流と遮断時間から、必要な過電流強度を確かめる
- 計器・継電器・配線の負担を足し、定格負担を選ぶ
よくある質問
変圧器の電流計に付けるCTは、どう選びますか?
明確な決まりはありませんが、実務では変圧器の定格電流を出し、一次側(高圧)なら1.5倍程度の余裕をみて標準値を選び、過電流強度を確かめます。二次側(低圧)なら、定格電流が電流計の目盛の50〜70%に入るCT比を選びます。電流計の目盛は、CTの定格一次電流と同じ値にします。
変圧器一次側のCTで、過電流強度が問題になるのはなぜですか?
変圧器1台分の高圧電流は数A〜数十Aと小さく、CT比も10/5Aや15/5Aと小さくなります。短絡電流12.5kAに対する倍数が数百倍になり、40倍や75倍の一般のCTでは耐えられません。過電流強度の高いCTや、定格耐電流12.5kA/0.125秒などで作られたキュービクル用のCTを選び、限流ヒューズの負荷側に置く場合はメーカーの適用表も確かめます。
CT比はどうやって計算しますか?
三相は kVA ÷(√3 × 電圧)、単相は kVA ÷ 電圧 で電流を出し、1.5倍程度の余裕をみて、それ以上でいちばん近い標準の定格一次電流を選びます。6.6kV・500kVAなら43.7A×1.5=65.6Aなので75/5Aです。
CTの過電流強度はどう計算しますか?
必要な倍数=短絡電流×√通電時間÷定格一次電流 で、1秒あたりの倍数に換算します。短絡電流12.5kA・0.125秒で75/5Aなら約59倍、15/5Aなら約295倍です。
CTの定格負担はどう選びますか?
CTの二次側につながる電流計・過電流継電器などの負担と、配線の負担(5Aの2乗×往復の線の抵抗)を足し、その合計より大きい定格負担を選びます。
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