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「金属製可とう電線管には1種と2種がある」と聞いても、見た目はどちらも曲がる金属の管です。何が違って、どこで使い分けるのか、なぜ1種にだけ銅線を添えるのか。この記事は、構造・使える場所・接地の3つの違いと、現場での選び方だけにしぼって説明します。

ペン太ペン太
図面に「可とう電線管」とだけ書いてあって、1種か2種か分かりません…。
ハリタハリタ
現場で「可とう」といえば、ほとんどが2種のプリカだよ。でも、なぜ2種なのかを知っておくと迷わなくなるよ。
はじめての方へ:まず言葉の意味
1種は金属1層、2種は3層で水に強く、迷ったら2種、を3コマで示す動く図解
ひとことで言うと
金属製可とう電線管には1種と2種があり、1種は金属の帯を巻いただけの管、2種は金属とファイバーを重ねた丈夫な管です。2種が原則で、1種は乾燥した場所などに限って使えます。
読み方
きんぞくせいかとうでんせんかん(いっしゅ・にしゅ)
どこで出てくる?
モーターや空調機への配線、天井内の照明器具への渡り、屋外の機器まわり、第二種電気工事士の学科・技能試験。

結論

1種は金属の帯を巻いただけの1層の管(フレキ)、2種は帯鋼とファイバーなどを重ねた多層の管(プリカ)です。2種が原則で場所の制限がなく、1種は乾燥した展開場所・点検できる隠ぺい場所に限られ、4mを超えたら裸軟銅線1.6mm以上のボンドが要ります。

  • 見分け方は切り口:金属だけなら1種、ファイバーの層があれば2種
  • 点検できない隠ぺい場所・湿気や水気のある場所は2種だけ
  • 1種のボンドは、管の導通が保証されていないから
  • 迷ったら2種。屋外や水気はビニル被覆の2種

この記事に出てくる言葉

読む前に、意味をざっと押さえておくと分かりやすくなります。

言葉 読み方 やさしい説明
1種金属製可とう電線管 いっしゅ 金属の帯をらせん状に巻いた1層の管。通称フレキ。
2種金属製可とう電線管 にしゅ 帯鋼とファイバーなどを重ねた多層の管。通称プリカ。
ビニル被覆 ビニルひふく 2種の外側にビニルを巻いたもの。屋外・水気の場所向け。
展開した場所 てんかいしたばしょ 露出していて、目で見えるところ。
点検できる隠ぺい場所 てんけんできるいんぺいばしょ 点検口から入れる天井内など、隠れていても点検できるところ。
ボンド ― 管どうし・管とボックスを電気的につなぐための銅線。
裸軟銅線 はだかなんどうせん 被覆のないやわらかい銅線。1種のボンドに使う。
先に理解しておきたいこと

1種と2種の違いを読むために、土台になる考え方を3つだけ押さえておきましょう。

1

可とう電線管は「曲がる金属管」

金属管のように電線を守りながら、手で曲げられる管です。振動する機械につなぐところや、曲がりの多い経路に使います。

2

金属の管は、接地の通り道にもなる

電線の被覆が傷んで管に電気がもれたとき、管を伝って接地へ流れることで、感電を防ぎます。だから管そのものが電気を通すかどうかが大事です。

3

使える場所は、電技解釈 第160条で決まっている

金属可とう電線管工事のルールは、電気設備技術基準の解釈 第160条にまとまっています。1種と2種の違いも、ここに書かれています。

何が違う? ― 管の「中身」が違う

1種と2種の違いは、管が何層でできているかです。電気用品安全法の技術基準では、1種は金属の帯(条片)をらせん状に巻いた管で、帯の厚さは太さに応じて0.8mm・1.0mm・1.2mmと決まっています。2種は外層がめっきした帯鋼(0.14mm以上)、中間と内層が帯鋼・ファイバー・合成樹脂など(0.11mm以上)を重ねた多層の管です。

1種金属1層
2種3層
見分け方切り口の層
ビニル被覆中身は2種
くらべるところ 1種 2種
通称 フレキ(フレキシブルコンジット) プリカ
つくり 金属の帯をらせんに巻いた1層 帯鋼+ファイバーなどの多層
切り口の内側 金属がむき出し ファイバーなどの層が見える
太さ 細いものが中心 呼び10〜101まで
曲げやすさ(試験) 内径の10倍の円筒に巻きつける 内径の3.5倍の円筒に巻きつける
管の電気抵抗の試験 なし 500mmあたり0.02Ω以下
水が入らないかの試験 なし 48時間水につけても浸水しない
出典:電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈 別表第二(可撓電線管)

表の下の3行が、使い分けの理由そのものです。2種は、細い円筒にきつく巻いても大丈夫で、管だけで電気が通り、水も入らないことまで試験で確かめられています。この「保証の差」が、使える場所と接地のしかたの差になります。

たとえるなら
1種は「金属のバネ」、2種は「金属でサンドイッチしたホース」
1種はつる巻きバネのように金属を巻いただけなので、すき間から水も入るし、バネの1巻きずつが電気的にしっかりつながっているとは限りません。2種は金属とファイバーを重ねたホースのようなもので、水を通さず、管全体が1本の電線のように電気を通します。
ここに注意!
外側がビニルの管を「樹脂の管」と思わないでください。
外側にビニルを巻いた「ビニル被覆」の可とう電線管は、中身が2種の金属管です。PF管やCD管とは別物で、接地も金属の管として行います。
ここまでのポイント
  • 1種は金属の帯を巻いた1層、2種は帯鋼とファイバーなどの多層
  • 切り口に金属以外の層が見えたら2種
  • 2種だけが、導通と防水の試験に合格している


使える場所 ― 2種が原則、1種は乾燥した見える所

ペン太ペン太
中身が違うと、何が変わるんですか?
ハリタハリタ
使える場所と、接地のしかたが変わるんだ。順番に見ていこう。

電気設備技術基準の解釈 第160条では、金属可とう電線管工事に使う管は2種が原則です。1種を使えるのは、次の条件をすべて満たすときだけです。

  1. 展開した場所か、点検できる隠ぺい場所であること
  2. 乾燥した場所であること
  3. 管の厚さが0.8mm以上であること
  4. 300Vを超える回路なら、電動機につなぐ部分で可とう性が必要な部分であること
乾燥・露出両方○
点検できない隠ぺい2種だけ
湿気・水気2種+防湿
300V超の1種電動機の接続部
ペン太ペン太
天井内なら、1種でも使えますよね?
ハリタハリタ
点検口があって乾燥していればね。仕上げで閉じてしまう天井内はダメなんだ。

現場でよく迷うのが天井の中です。点検口があって中に入れる天井内なら「点検できる隠ぺい場所」なので、乾燥していれば1種も使えます。ところが、仕上げで閉じてしまう天井や壁の中は「点検できない隠ぺい場所」で、1種は使えません。2種なら、どちらでも使えます。

湿気の多い場所や水気のある場所では、2種に防湿の措置をして使います。屋外や地下ピットでは、ビニル被覆の2種と、防水形のコネクタを組み合わせるのが一般的です。

ここに注意!
「天井内だから1種でよい」とは限りません。
1種が使えるのは「点検できる」隠ぺい場所だけです。点検口がなく、あとから開けられない天井内に1種を通すと規定違反になります。図面の段階で天井の種類を確かめます。
ここまでのポイント
  • 2種が原則。場所の制限がない
  • 1種は乾燥した展開場所・点検できる隠ぺい場所だけ
  • 湿気・水気は2種+防湿の措置

接地のちがい ― 1種だけボンド線が要る

ペン太ペン太
1種にだけ銅線を入れるのは、なぜですか?
ハリタハリタ
1種は管が電気を通す保証がないからさ。2種は管そのものが試験に受かっているんだ。

金属可とう電線管は、使用電圧300V以下ならD種接地工事、300Vを超えるならC種接地工事をします。ここまでは1種も2種も同じです。違うのはボンドです。

1種ボンド必要
条件4m超
2種ボンド不要
接地どちらも同じ

1種は、管の長さが4mを超えるとき、直径1.6mm以上の裸軟銅線を全長にわたって管の中に入れるか添わせ、両端で管と電気的に完全に接続します。1種は金属の帯を巻いただけで、管そのものの電気抵抗が試験されていないため、管だけでは接地までの通り道として頼れないからです。

2種は、管500mmあたりの電気抵抗が0.02Ω以下であることを試験で確かめているので、管そのものが接地の通り道になります。ボンド線は要りません。

1種 2種
ボンド線 4mを超えたら裸軟銅線1.6mm以上を全長に 不要
300V以下の接地 D種(管の長さ4m以下は省略できる) D種(管の長さ4m以下は省略できる)
300V超の接地 C種(接触防護措置をすればD種) C種(接触防護措置をすればD種)
出典:電気設備技術基準の解釈 第160条
ここに注意!
「4m以下ならボンドも接地も要らない」と、まとめて覚えないようにします。
4m以下で省けるのは、1種のボンドと、300V以下のD種接地工事です。300Vを超えるC種接地工事には、4m以下の省略はありません。
ここまでのポイント
  • 接地はどちらも同じ:300V以下D種、300V超C種
  • 1種は4mを超えたら裸軟銅線1.6mm以上のボンド
  • 2種は管そのものが導通の試験に合格している


現場ではどちらを選ぶ? ― 迷ったら2種

1種は「乾燥」「点検できる」「4m超はボンド」と条件が多く、2種はそのどれも気にしなくてよいので、現場で「可とう」といえばほとんどが2種です。場面ごとの選び方をまとめます。

場面 選ぶ管 理由・注意
屋内のモーター・ポンプへの接続 2種 1種も使えるが、300V超は電動機の接続部に限られる
点検口のない天井内の照明器具への渡り 2種 点検できない隠ぺい場所は1種不可
屋外の空調室外機・ポンプまわり ビニル被覆の2種 防水形のコネクタと組み合わせる
地下ピット・水気のある場所 ビニル被覆の2種 防湿の措置が必要
乾燥した露出の短い区間(4m以下) 1種でもよい ボンドが要らない長さなら1種の手軽さが生きる

ほかの電線管とつなぐときは、コンビネーションカップリングを使います。部品の選び方や曲げ半径は基本知識#006【2種金属製可とう電線管工事】、規定の全体は基本知識#027【金属可とう電線管工事】と内線規程【037】で確認できます。

たとえるなら
2種は「どこでも歩ける靴」、1種は「室内用のスリッパ」
スリッパは乾いた室内なら軽くて便利ですが、外や水たまりでは使えません。靴ならたいていの場所を歩けます。迷ったら靴(2種)を選んでおけば、まず困りません。
ここまでのポイント
  • 現場の「可とう」はほとんど2種
  • 屋外・水気はビニル被覆の2種+防水形のコネクタ
  • 1種は乾燥した露出の短い区間で使える

まとめ|結論

結論

1種は金属の帯を巻いた1層の管、2種は帯鋼とファイバーなどを重ねた多層の管です。2種は導通と防水が試験で確かめられているので場所の制限がなく、ボンドも要りません。1種は乾燥した展開場所・点検できる隠ぺい場所に限られ、4mを超えたら裸軟銅線1.6mm以上のボンドが要ります。

可とう電線管を選ぶときは、この順で確かめます。

  1. 通す場所は、乾燥しているか、湿気・水気があるか
  2. 露出か、点検できる隠ぺいか、点検できない隠ぺいか
  3. 使用電圧は300V以下か、超えるか
  4. 1種なら、長さが4mを超えるか(ボンドの要否)


よくある質問

金属製可とう電線管の1種と2種の違いは何ですか?

1種は金属の帯をらせん状に巻いただけの1層の管で、使える場所が乾燥した展開場所や点検できる隠ぺい場所に限られます。2種は外層のめっき帯鋼、中間のファイバー、内層の帯鋼などを重ねた多層の管で、場所の制限がなく、湿気や水気のある場所にも防湿の措置をすれば使えます。

1種と2種はどうやって見分けますか?

管の切り口をのぞくのがいちばん確実です。内側まで金属だけなら1種、金属のあいだに茶色や黒のファイバーの層が見えれば2種です。外側にビニルを巻いたビニル被覆品も、中身は2種です。

プリカとフレキは同じものですか?

現場では、2種金属製可とう電線管を「プリカ」、1種を「フレキ(フレキシブルコンジット)」と呼ぶことが多く、別のものです。プリカはもともと商品名ですが、2種の通称として広く使われています。

1種にボンド線が必要なのはなぜですか?

1種は金属の帯を巻いただけなので、継ぎ目で電気が通りにくく、管だけでは接地までの通り道として頼れません。そのため、管の長さが4mを超えるときは、直径1.6mm以上の裸軟銅線を全長に添えて両端で管と接続します。2種は管そのものの電気抵抗が試験で確かめられているので、ボンド線は要りません。

モーターへの配線には1種と2種のどちらを使いますか?

ほとんどの現場で2種を使います。1種でも乾燥した露出場所なら使えますが、300Vを超える回路では電動機につなぐ可とう性が必要な部分に限られます。屋外や水がかかる場所なら、ビニル被覆の2種と防水形のコネクタを使います。

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ABOUT ME
HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。