避雷設備の材料と腐食対策|銅・アルミ・ステンレス・溶融亜鉛めっき鋼の使い分けと異種金属の注意
避雷設備が機能しなくなる原因で多いのは、雷そのものよりさびと電食です。屋上や外壁で風雨にさらされ、土の中に埋まる避雷設備は、材料の選び方と組み合わせを間違えると、数年で導体が細り、接続が外れます。この記事では、材料ごとの使える場所、断面積と金属屋根の厚さ、異種金属の注意、腐食しやすい場所の対策を整理します。
結論
材料は銅・アルミ・溶融亜鉛めっき鋼・ステンレス。アルミは土とコンクリートに使わない、銅とアルミ・亜鉛めっきを直接組み合わせないが基本です。
- どの材料も空気中は使える。アルミは土・コンクリート不可、亜鉛めっき鋼の土中は要注意
- 受雷部の断面積・金属屋根の厚さは規格の表で決まる
- 異種金属はバイメタル継手で。銅を亜鉛めっき・アルミの上に置かない
- 腐食しやすいのは地際と接続部
材料と使える場所 ― アルミは地面に入れない
| 材料 | 特徴 | 注意 |
|---|---|---|
| 銅 | 電気を通しやすく、腐食に強い。受雷部・導線・接地極のどこにでも使える | 亜鉛めっき鋼やアルミの上に置くと、下の金属を腐食させる |
| アルミニウム | 軽く、加工しやすい。屋上の導体や笠木に多い | 土の中・コンクリートの中には使えない。しっくいなどに直接付けない |
| 溶融亜鉛めっき鋼 | 安価で強い。支持金物や構造体まわり | 土の中では腐食しやすい。コンクリート中の鉄筋とつなぐと、とくに注意 |
| ステンレス鋼 | 腐食に強い。塩害地域や接地極にも使える | 価格が高め。ほかの金属との組み合わせを確認 |
材料は、置かれる環境(空気中・土の中・コンクリートの中)と、まわりの環境(塩分・硫化物・酸性の土など)で選びます。細かい使用条件は規格の表で確認します。
- どの材料も空気中では使える
- アルミは土・コンクリート不可。亜鉛めっき鋼の土中は要注意
- 環境(塩分・硫化物)で条件が変わる
断面積と厚さ ― 規格の表で決まる
導体の太さと金属板の厚さは、雷電流で溶けたり、熱で周りを傷めたりしないように決められています。
- 受雷部・突針:銅のテープ状・丸線で50mm²が基本です。ほかの材料は規格の表で確認します
- 引下げ導線:材料とLPSクラスごとに最小断面積が決まっています。構造体を利用する場合は、鉄骨・鉄筋がこれを満たします
- 金属の屋根・笠木:受雷部として使うときは、厚さの条件があります
| 材料 | 穴があいてはいけない場合 | 穴があいてもよい場合 |
|---|---|---|
| 鋼 | 4mm以上 | 0.5mm以上 |
| 銅 | 5mm以上 | 0.5mm以上 |
| アルミニウム | 7mm以上 | 0.65mm以上 |
「穴があいてはいけない」のは、屋根の下に燃えやすいものがあるなど、雷で穴があくと危険な場合です。一般的な金属屋根や笠木は「穴があいてもよい」側で考えることが多く、その場合は薄い板でも受雷部として使えます。継目は電気的につなぎます。
- 受雷部は銅50mm²が基本。材料ごとに規格の表で確認
- 引下げ導線はクラスと材料で最小断面積が決まる
- 金属屋根は「穴があいてもよいか」で必要な厚さが変わる
異種金属 ― つなぎ方と置き方に注意
ちがう金属を接触させると、電位差で弱い側の金属が溶け出します(電食)。避雷設備では、次の3つに気をつけます。
- 銅を亜鉛めっき鋼やアルミの上に置かない:雨水に溶けた銅の成分が流れて、下の金属を腐食させます
- 銅とアルミを直接つながない:電位差が大きく、接続部で電食が進みます
- アルミをコンクリートやしっくいに直接付けない:アルカリで腐食します
どうしても異種金属をつなぐ場合は、異種金属用(バイメタル)の継手を使います。支持金物やボルトも、導体と同じか相性のよい材料にそろえます。
たとえるなら、さびた鉄の上を流れた雨水が、下のコンクリートに茶色いしみをつけるのと同じです。上の金属の成分が、雨水に運ばれて下の金属を傷めます。
- 銅を上に、亜鉛めっき・アルミを下に置かない
- 銅とアルミは直接つながない。バイメタル継手を使う
- アルミはコンクリート・しっくいに直接付けない
環境で選ぶ ― 海岸・工場・温泉地
| 環境 | 選び方 |
|---|---|
| 一般の市街地 | 屋上はアルミ・銅、接地は銅・ステンレス・構造体接地極 |
| 海岸・塩害地域 | 銅・ステンレスを優先。アルミ・亜鉛めっき鋼は腐食が進みやすい |
| 工場・温泉地(硫化物) | 銅は硫化物に弱いことがある。ステンレスなど環境に合った材料を規格の表で確認 |
| 酸性・高抵抗の土 | 接地極は銅・ステンレス。接地抵抗低減剤を使う場合は、材料との相性を確認 |
- 海岸は銅・ステンレスを優先
- 硫化物の多い環境は、規格の表で材料の条件を確認
- 接地極は銅・ステンレス・構造体接地極が基本
腐食しやすい場所 ― 地際と接続部
- 地際:鋼製の導線が土やコンクリートから地上に出る部分は、空気・水分・土の境目で腐食が進みやすい場所です。耐食性のテープなどで上下に保護します(銅・ステンレスなら不要)
- 接続部:圧着・溶接・専用金物で確実に。地中の溶接部には防食処理をします。接続はできるだけ少なくします
- 支持金物:導体と金物の材料をそろえ、異種金属の接触をつくらないようにします
- 点検:目視点検で、接続部の緑青や白さび、地際の細りを確認します(「避雷設備の点検|点検の周期・目視と測定の項目・接地抵抗の記録と判断、落雷後の点検」参照)
ペン太
ハリタ- 地際は耐食テープなどで保護(銅・ステンレスは不要)
- 接続は確実に、少なく。地中の溶接部は防食
- 支持金物も同じ材料にそろえる
よくある質問
避雷設備に使う材料は何がありますか?
主に銅、アルミニウム(合金を含む)、溶融亜鉛めっき鋼、ステンレス鋼です。どの材料も空気中では使えますが、アルミニウムは土の中やコンクリートの中には使えません。溶融亜鉛めっき鋼は土の中で腐食しやすいので注意が必要です。
銅とアルミニウムをつないでもいいですか?
直接つないではいけません。電位差で電食が進むためです。異種金属をつなぐときは、専用の異種金属用(バイメタル)継手を使います。また、銅を亜鉛めっき鋼やアルミの上に置くと、雨水に溶けた銅の成分で下の金属が腐食するので避けます。
金属の屋根や笠木を受雷部に使うとき、厚さの条件はありますか?
あります。雷で穴があいてはいけない屋根(下に燃えやすいものがある場合など)と、穴があいてもよい屋根で、必要な厚さが違います。IEC 62305-3 では、穴があいてはいけない場合は鋼4mm・銅5mm・アルミニウム7mm以上、穴があいてもよい場合は鋼・銅0.5mm、アルミニウム0.65mm以上とされています。JIS Z 9290-3 の表で確認してください。
海の近くの建物では、どの材料を選びますか?
塩分の多い環境では、銅やステンレス鋼を優先します。アルミニウムや溶融亜鉛めっき鋼は、塩化物の多い環境では腐食が進みやすいためです。支持金物やボルトも、導体と同じか相性のよい材料にそろえます。
接地極まわりで腐食しやすいのはどこですか?
鋼製の導線が土やコンクリートから地上に出る「地際」です。空気と水分と土の境目になるため腐食が進みやすく、耐食性のテープなどで上下に保護します。銅やステンレスの導線なら、この保護は不要です。
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