避雷設備の点検|点検の周期・目視と測定の項目・接地抵抗の記録と判断、落雷後の点検
避雷設備は、つくったら終わりではありません。屋上の導体は風雨で外れ、接続部は緩み、接地極は土の中で少しずつ腐食します。しかも、ふだんは誰も見ない場所にあります。この記事では、避雷設備の点検の周期、目視点検で見る箇所、接地抵抗の記録と判断、落雷を受けたあとの点検を整理します。
結論
点検の目安はクラスⅢ・Ⅳで目視2年・完全な点検4年(Ⅰ・Ⅱは1年・2年)。接地抵抗は値より推移を見て、落雷後・改修後にも臨時で点検します。
点検の周期 ― クラスで決まる目安
JIS Z 9290-3(IEC 62305-3)の附属書には、LPSクラスに応じた点検の周期の目安があります。
| LPSクラス | 目視点検 | 完全な点検 | 重要な設備の完全な点検 |
|---|---|---|---|
| Ⅰ・Ⅱ | 1年 | 2年 | 1年 |
| Ⅲ・Ⅳ | 2年 | 4年 | 1年 |
目視点検は、外から見える部分の状態を確認する点検、完全な点検は、目視に加えて導通試験と接地抵抗の測定まで行う点検です。爆発の危険がある建物では、6か月ごとの目視点検と年1回の電気的な点検が望ましいとされています。
💡 法律上の点検との関係
一般の建物では、建築基準法の定期報告の対象に避雷設備が入っていないことが多く、点検は規格の推奨や建物の管理計画で行います。危険物施設では、消防法の定期点検(年1回以上)の中で避雷設備も点検します。自治体や用途によって扱いが違うので、所轄の行政機関にも確認してください。
- クラスⅢ・Ⅳは目視2年・完全な点検4年、Ⅰ・Ⅱは1年・2年が目安
- 爆発の危険がある建物は、目視6か月・電気的な点検1年
- 危険物施設は消防法の定期点検の中で点検
目視点検 ― 上から順に6か所
| 箇所 | 見ること |
|---|---|
| ① 受雷部 | 曲がり・破損・溶損(落雷の跡)、固定の緩み |
| ② 屋上の導体・笠木 | 外れ・継目の緩み・橋絡の外れ、防水の傷み、後から増えた屋上機器 |
| ③ 引下げ導線 | 固定金物の外れ、腐食、外装工事による損傷 |
| ④ 試験用接続部 | 緩み・腐食、工具で開けられるか、ふだん閉じているか |
| ⑤ ボンディング・SPD | 接続の緩み、SPDの劣化表示、分離器の状態 |
| ⑥ 接地極まわり | 掘削・外構工事の跡、地上に出る部分の腐食 |
とくに見落としやすいのが、後から増えた屋上機器です。前回の点検から室外機や太陽光パネルが増えていないか、保護範囲に入っているかも確認します(「屋上の機器と避雷設備|室外機・太陽光・アンテナ・キュービクルを守る保護範囲・離隔距離・ボンディング」参照)。
- 受雷部 → 屋上導体 → 引下げ導線 → 試験用接続部 → SPD → 接地極まわり
- 落雷の跡(溶損)と、継目・接続の緩みを見る
- 後から増えた屋上機器も確認
測定 ― 導通と接地抵抗
完全な点検では、目視に加えて次の測定を行います。
- 導通試験:受雷部から試験用接続部まで、導体が電気的につながっているか。構造体を利用している場合は、最上階〜地上の抵抗も確認します
- 接地抵抗(単独):試験用接続部を開いて、接地極を1本ずつ測ります
- 接地抵抗(総合):すべてつないだ状態で測ります
- 記録:測定値、測定日、天候・季節、測定器、前回値との比較
測定のあとは、試験用接続部を必ず閉じるのを忘れないでください。開けたままにすると、その引下げ導線が接地極から切り離されたままになります。
たとえるなら、ブレーカーを1回路ずつ切って確かめる作業です。1本ずつ切り離して測るから、どの接地極が弱っているかが分かります。
- 導通試験と、接地抵抗の単独・総合測定
- 測定日・天候・前回値と一緒に記録
- 試験用接続部は必ず閉じて終わる
接地抵抗の判断 ― 値より推移
接地抵抗は、土の水分や温度で季節ごとに変わります。1回だけの値で良し悪しを決めるのではなく、前回値・設計値と比べた推移で判断します。
- ほぼ一定:問題なし
- 1回だけ高い:季節(乾燥・凍結)の影響のこともある。次回の測定で確認
- 上がり続ける:接地極の腐食、接続部の緩み、外構工事による切断を疑い、掘って確認
- 10Ωを超えた:すぐに不合格ではない。接地極の長さが規格の最小長さを満たしているかを確認(「避雷設備の接地極|A形・B形の選び方、最小長さ l1 と等価半径の計算、10Ωの本当の意味」参照)
- 接地抵抗は季節で変わる。推移で判断
- 上がり続けたら腐食・緩み・切断を疑う
- 10Ω超えは最小長さの確認へ
臨時の点検 ― 落雷後と改修後
| タイミング | 見ること |
|---|---|
| 落雷を受けたとき | 受雷部の溶損・変形、導体の外れ・断線、SPDの劣化表示、機器の故障、接地抵抗 |
| 屋上の改修・機器の増設 | 保護範囲と離隔、防水の貫通部、受雷部・導体の復旧 |
| 外壁の改修 | 引下げ導線の固定と損傷、試験用接続部の位置 |
| 外構・掘削工事 | 接地極・環状導体の切断や損傷。工事前に位置を知らせる |
⚠️ 点検の安全
点検・測定は雷雨のときに行ってはいけません。屋上の点検は墜落防止の措置をとり、充電部にかかわる点検(SPDなど)は電気主任技術者の立会いのもとで行います。
ペン太
ハリタ- 落雷後・改修後・外構工事のあとは臨時点検
- 落雷の跡は受雷部の先端や角に残りやすい
- 雷雨時は点検しない。屋上は墜落防止、充電部は主任技術者の立会い
よくある質問
避雷設備の点検はどのくらいの周期で行いますか?
JIS Z 9290-3(IEC 62305-3)の附属書では、LPSクラスに応じた目安が示されています。クラスⅠ・Ⅱは目視点検1年・完全な点検2年、クラスⅢ・Ⅳは目視点検2年・完全な点検4年、重要な設備の完全な点検は1年が目安です。爆発の危険がある建物では、6か月ごとの目視点検と年1回の電気的な点検が望ましいとされています。
避雷設備の点検は法律で義務ですか?
一般の建物では、建築基準法の定期報告の対象に避雷設備は含まれていないことが多く、点検は規格の推奨や建物管理の計画によって行います。危険物施設では、消防法の定期点検(年1回以上)の中で避雷設備も点検します。自治体や建物の用途によって扱いが違うので、所轄の行政機関にも確認してください。
避雷設備の点検では何を見ますか?
目視点検では、受雷部の曲がりや溶損、屋上の導体や笠木の外れ、引下げ導線の固定と腐食、試験用接続部の状態、ボンディングとSPDの状態、接地極まわりの掘削の有無を見ます。完全な点検では、これに加えて導通試験と接地抵抗の測定を行います。
接地抵抗が前回より上がっていたら、どうしますか?
一度の上昇は、季節や土の水分による変動のこともあります。何回か続けて上がっている場合は、接地極の腐食、接続部の緩み、外構工事による切断などを疑って調べます。10Ωを超えても即不合格ではなく、接地極の長さが規格の最小長さを満たしているかを確認します。
落雷を受けたら、何を点検しますか?
受雷部の溶損・変形、導体の外れや断線、接続部の緩み、SPDの劣化表示、建物の中の機器の故障の有無を確認し、接地抵抗も測ります。落雷の跡は屋上の受雷部の先端や角に残ることが多いので、そこから確認します。
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