【新人講座 第4回】電気設備図面の種類 ― 配置図・単線結線図・幹線系統図は「答える質問」が違う
今回から第2部「図面を読めるようになる」に入ります。配属されて最初に渡される分厚い「図面一式」——実はぜんぶ同じ建物を、目的別に切り取ったものです。種類と役割さえ分かれば、怖くありません。
図面は「同じ建物の、別の切り口」
はりたさん、案件の図面フォルダを開いたら、配置図、単線結線図、幹線系統図、器具表…と何十枚もあって。どれが何の図面なのか、さっぱりです…。
最初はみんなそう。でもタネを明かすと、あれは全部「同じ建物」を目的別に切り取った図なんだ。図①を見て。それぞれの図面が「何の質問に答えるか」に注目!

- ① 配置図(平面図):どこに・何を置く? 建築の平面に電気シンボルを描き込んだ「場所の図」。
- ② 単線結線図:電気がどうつながる? 盤・ブレーカー・回路の関係を1本線で表す「系統の図」。
- ③ 幹線系統図:太い幹線が建物をどう通る? 受電から各階の盤までの縦のルート。
- ④ 器具表・盤表:何を・何台使う? 記号と品名・数量の対応リスト。見積や発注の土台。
同じ回路を、2つの図面でたどってみる
「場所の図」と「系統の図」…。同じコンセントが、違う図面に別の姿で出てくるってことですか?
その通り!これが図面読みのいちばん大事な感覚。図②で、黄色い点=“同じ電気”が2つの図面をどう流れるか見てみて。

なるほど…配置図だとぐねぐね曲がってる配線が、結線図だと1本にまとまるんですね。
うん。単線結線図は実際の電線が2〜3本でも、わざと1本に省略して「つながり」を見やすくした図なんだ。だから図面は往復して読む。結線図で系統をつかみ、配置図で場所を確かめる。この往復ができれば、もう図面は怖くないよ。
新人はこの順番で読もう
おすすめは「大きい話 → 小さい話」の順です。
- STEP1:単線結線図 ― 建物全体の電気のつながり(系統)を頭に入れる。
- STEP2:幹線系統図 ― 太い幹線がどの縦ルート(EPS)を通るか確認。
- STEP3:配置図 ― 各階の「現場のどこに何があるか」を見る。
- STEP4:器具表・盤表 ― 数量・仕様の答え合わせ。
💼 この回が実務でこう生きる
- 「それはどの図面を見れば分かる?」に即座に手が伸びる。
- 質問が具体的になる(「配置図の3階の、この回路番号なんですが…」)。
- 図面チェックの基本動作=結線図と配置図の突き合わせができる。
📋 実務活用事例|現場からの電話に、図面の“往復”で即答する
ケース:現場から電話。「3階西側のコンセントが使えない。これ、どの回路?」
① 配置図(3階)で該当のコンセントを探す → そばに回路番号「L-3-5」の書き込み。
② 単線結線図・盤表で「L-3盤の5番回路」を確認 → 20Aブレーカー、コンセント3個口の回路と判明。
③ 回答:「L-3盤の5番、20Aの回路です。同じ回路にあと2か所コンセントがあるので、そちらも確認を」——電話1本、数分で解決。
結論:場所(配置図)→ 系統(結線図・盤表)の往復こそ、実務の図面読みの基本動作。今日の内容そのままです。
🐣 いまさら聞けない素朴なギモン
「こんなこと聞いていいのかな…」という質問ほど大事。ここで拾います。
Q.図面に書いてある「S=1/100」って何ですか?
→ 縮尺です。実物の1/100の大きさで描いてあるという意味。図面上の1cmが実際の1mです。
Q.図面って、上が北なんですか?
→ とは限りません!図面には方位記号(Nの矢印)が描かれています。まず方位記号を探すのがクセになると、現場で迷いません。
🔎 深掘りQ&A ― もう一歩、聞いてみよう
Q.「平面図」と「配置図」って同じものですか?
A.ほぼ同じ意味で使われることが多いよ。建築の平面図に電気設備を描き込んだものを、会社によって「配置図」「電気平面図」「プロット図」などと呼ぶ。名前より「場所を答える図」という役割で覚えるのがコツ。
Q.単線結線図って、なんでわざわざ1本線に省略するんですか?
A.実際の電線どおりに2〜3本描くと、線だらけで「つながり」が見えなくなるから。系統の理解が目的の図なんだ。逆に、電線1本1本の接続が必要な場面では「複線図」や「展開接続図」という別の図を使うよ(第二種電気工事士の試験でも出てくる!)。
Q.図面の中の「EPS」って何ですか?
A.Electric Pipe Space(またはShaft)=電気配線専用の縦シャフトのこと。幹線系統図の縦ルートは、実際の建物ではこのEPSの中を通っている。配置図で「EPS」と書かれた小部屋を見つけたら、そこが電気の幹の通り道だよ。
⚠️ ここだけ注意
図面の呼び名は会社・案件によってかなり揺れます(配置図/平面図/プロット図、幹線系統図/竪系統図…など)。名前が違っても慌てず、「これは何を答える図ですか?」と確認すればOK。それ自体が良い質問です。
まとめ
- 図面一式は同じ建物を目的別に切り取ったもの(図①)。
- 配置図=場所/単線結線図=系統/幹線系統図=縦のルート/器具表=数量。
- 同じ回路が、配置図では「配線ルート」、結線図では「1本の線」で描かれる(図②)。
- 読む順番は結線図→幹線系統図→配置図→器具表(大→小)。
- 実務の基本動作は図面の往復(場所⇄系統)。
▶ 次回・第5回
電気図記号の読み方 ― コンセント・照明・盤・機器
図面の“文字”にあたる図記号を、頻出のものから一気に覚えます。これが読めれば配置図はもう解読できる!





