医用コンセントの鉄ボックスはD種接地?医用接地?|保護接地のつなぎ方と等電位接地の部屋の扱い
「医用コンセント(保護接地)を付ける鉄ボックスの接地は、D種ですか?医用接地ですか?」という質問をいただきました。医用接地の記事では、医用接地センタや接地幹線の話はしていても、ボックスそのものをどう扱うかまでは書いていませんでした。この記事は、その1点だけを答えます。
結論
鉄ボックス(金属ボックス)は、種類でいえばD種接地工事の対象です。ただし医用室では、つなぎ先を医用接地センタにそろえます。医用接地の接地極は10Ω以下なので、その系統につなげばD種(100Ω以下)の求めも満たします。どちらか一方を選ぶものではありません。
- 300V以下の金属管・ボックスはD種接地工事の対象(電技解釈 第159条)
- 医用コンセントの接地極は、接地分岐線で医用接地センタへ直接つなぐ
- 接地極刃受と医用接地センタの間は0.1Ω以下
- 等電位接地の部屋では、患者のまわりの金属も医用接地センタへ
答え ― 種類はD種、つなぎ先は医用接地センタ
まず言葉を分けます。D種接地工事は、電気設備の技術基準の解釈(電技解釈)が決めている「接地工事の種類」です。300V以下の金属管やボックス、機器の金属製外箱が対象で、接地抵抗は100Ω以下です。
一方の医用接地は、JIS T 1022(病院電気設備の安全基準)が決めている「医用室の接地のしかた」です。医用室ごとに医用接地センタを置き、医用コンセントや医用接地端子をそこへ集めます(保護接地)。接地極は原則10Ω以下です。
| D種接地工事 | 医用接地(保護接地) | |
|---|---|---|
| 決めているもの | 電技解釈 第17条・第159条 | JIS T 1022 |
| 考え方 | 接地工事の「種類」 | 医用室の接地の「しかた」 |
| 対象 | 300V以下の金属管・ボックス・機器の外箱 | 医用コンセント・医用接地端子・医用電気機器 |
| 接地抵抗 | 100Ω以下 | 接地極は10Ω以下(4.1 d)) |
| つなぎ先 | 接地極(系統は設計による) | 医用室ごとの医用接地センタ |
つまり、鉄ボックスは「D種の対象」で、医用室ではその接地を医用接地センタの系統で取る、と考えれば矛盾しません。医用接地の系統は10Ω以下なので、D種に求められる100Ω以下は自然に満たされます。
- D種は電技の「種類」、医用接地はJISの「しかた」
- 鉄ボックスはD種の対象
- 医用室では医用接地センタの系統でD種の求めを満たす
つなぎ方 ― 接地極はボックス経由にしない
医用コンセントの接地極(アースの刃受)は、接地分岐線で医用接地センタへ直接つなぎます(JIS T 1022 4.1 a) 3))。ボックスのアースねじを経由させたり、ボックスに落としたから大丈夫、としたりはしません。
| 項目 | 決まり | 条文 |
|---|---|---|
| 医用接地センタ | 医用室ごとに置く(隣の室と合わせて50m²以下なら共用できる) | 4.1 a) 2) |
| 医用コンセントの接地 | 接地分岐線で医用接地センタへ直接つなぐ | 4.1 a) 3) |
| 接地分岐線 | 5.5mm²以上、緑または緑/黄 | 4.1 a) 4) |
| 接地極刃受〜医用接地センタ | 0.1Ω以下(6V以下・約25Aで測る) | 4.1 a) 5) |
| 接地極 | 原則10Ω以下(等電位接地をすれば100Ω以下も可) | 4.1 d) 3) |
鉄ボックスや金属管は、ボンド線などで医用接地センタの系統(または接地幹線)へつなぎます。どこで落とすかは、設計図書の接地系統図と特記仕様書で確かめます。図面に合成樹脂製のボックスが指定されていれば、ボックスの接地は不要ですが、コンセントの接地分岐線はそのまま必要です。
- 接地極は接地分岐線5.5mm²以上で医用接地センタへ直結
- 刃受〜医用接地センタは0.1Ω以下
- ボックス・金属管の落とし先は接地系統図で確かめる
等電位接地の部屋 ― 患者のまわりの金属もつなぐ
電極などを心臓に入れたり接したりする医療を行う部屋(手術室やICUなど、設計図書で等電位接地が指定された部屋)では、保護接地に加えて等電位接地が要ります(JIS T 1022 4.1 b))。
患者が占める場所から水平2.5m・床上2.3mの範囲にある、固定設備の露出導電性部分(故障時に電気が来るおそれのある金属)と系統外導電性部分(金属サッシ・給水管・ベッドの金属枠など)を医用接地センタへつなぎ、間を0.1Ω以下にします。表面積0.02m²以下の系統外導電性部分は対象外にできます。
この範囲に露出した金属ボックスや金属プレートがあれば、つなぐ対象になりえます。どこまで含めるかは、設計図書の医用室の区分と等電位接地の範囲で確かめます。
- 等電位接地は、心臓に関わる医療を行う部屋
- 患者から水平2.5m・床上2.3mの金属をつなぐ
- つなぎ先は医用接地センタ、0.1Ω以下
図面で迷ったら ― 確かめる順番と質疑の例
- 医用室の区分 その部屋が保護接地だけか、等電位接地もあるか
- 接地系統図 医用接地センタの位置と、接地幹線・接地極のつながり
- ボックスの材質 金属か合成樹脂か(特記仕様書・凡例)
- ボックス・金属管の落とし先 医用接地センタか、接地幹線か
- 医用室の区分を先に確かめる
- 接地系統図で落とし先を見る
- 前提を書いて質疑する
まとめ|結論
結論
医用コンセントを付ける鉄ボックスは、種類でいえばD種接地工事の対象です。医用室ではそのつなぎ先を医用接地センタの系統にそろえ、10Ω以下の医用接地でD種の求めも満たします。コンセントの接地極は接地分岐線で医用接地センタへ直結し、等電位接地の部屋では患者のまわりの金属もつなぎます。
迷ったら、この順で確かめます。
- 医用室の区分(保護接地のみ/等電位接地あり)を確かめる
- 接地極は接地分岐線5.5mm²以上で医用接地センタへ直結する
- 鉄ボックス・金属管は医用接地センタの系統へつなぐ
- 等電位接地の部屋は、2.5m・2.3mの範囲の金属もつなぐ
- 迷ったら、前提を書いて質疑する
よくある質問
医用コンセントの鉄ボックスの接地はD種ですか?医用接地ですか?
種類でいえばD種接地工事の対象です。医用室では、そのつなぎ先を医用接地センタの系統にそろえます。医用接地の接地極は10Ω以下なので、D種の100Ω以下も満たします。
医用コンセントの接地を、ボックスのアースねじに落としてもいいですか?
いいえ。医用コンセントの接地極は、接地分岐線で医用接地センタへ直接つなぎます(JIS T 1022 4.1 a) 3))。
接地分岐線の太さと色は?
5.5mm²以上で、緑または緑/黄の絶縁電線です(JIS T 1022 4.1 a) 4))。
医用接地の接地抵抗はいくつですか?
接地極は原則10Ω以下です。難しいときは、医用室に等電位接地をすれば100Ω以下にできます(JIS T 1022 4.1 d) 3))。
樹脂ボックスなら接地はいりませんか?
ボックスの接地は不要になりますが、医用コンセントの接地極から医用接地センタへの接地分岐線は必要です。
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