事務所ビルの消防設備設置基準|消防法(15)項 早見表
事務所ビルは、消防法施行令別表第一の(15)項に当たる非特定防火対象物です。どの消防用設備が要るかは延べ面積・階数・収容人員などで決まり、それぞれの設備には停電しても動く非常電源が要ります。この記事では、事務所ビルの消防用設備と非常電源の考え方を3つの質問と動く図で整理し、設備ごとの早見表を掲載します。
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| 言葉 | ひとことで言うと |
|---|---|
| 防火対象物 | 消防法で火災予防の対象になる建物。用途で(1)〜(20)項に分かれる |
| 特定防火対象物 | 不特定多数の人や避難が難しい人が使う建物。基準が厳しい |
| 非常電源 | 停電しても消防用設備を動かすための電源 |
| 非常電源専用受電設備 | 電力会社からの電気を、消防用設備専用に受ける設備 |
質問① どの設備が要る?
- 延べ面積が基本の物差し
- 地階・無窓階・11階以上は厳しい
- 収容人員で警報・避難器具
質問② 非常電源は何が使える?
- 非特定は受電設備も使える
- 誘導灯は蓄電池
- 設備ごとに使える種類が違う
質問③ 何分もてばよい?
- 消火栓・スプリンクラーは30分
- 自火報・非常警報は10分
- 誘導灯は20分(大規模は60分)
事務所ビルの早見表
消防法施行令別表第一 (15)項(事務所等)に必要な消防用設備等について、非常電源として使用できる種類を早見表で解説します。まず下の早見表で「どの消防用設備に、どの非常電源が使えるか」をご確認ください。
事務所等に必要な非常電源の早見表
| 消防用設備等 | 自家発電設備 | 蓄電池設備 | 非常電源専用受電設備 |
|---|---|---|---|
| 屋内消火栓設備 | ● | ● | ● |
| スプリンクラー設備 | ● | ● | ● |
| 水噴霧消火設備 | ● | ● | ● |
| 泡消火設備 | ● | ● | ● |
| 屋外消火栓設備 | ● | ● | ● |
| 排煙設備 | ● | ● | ● |
| 連結送水管 | ● | ● | ● |
| 非常コンセント設備 | ● | ● | ● |
| 不活性ガス消火設備 | — | ● | — |
| ハロゲン化物消火設備 | — | ● | — |
| 粉末消火設備 | — | ● | — |
| 自動火災報知設備 | — | ● | ● |
| 非常警報設備 | — | ● | ● |
| ガス漏れ火災警報設備 | — | ● | — |
| 誘導灯設備 | — | ● | — |
| 火災通報装置 | — | ● | — |
| 非常電話 | — | ● | — |
| 無線通信補助設備 | — | ● | — |
●=適用できる / △=延べ面積1,000㎡未満に限り適用できる(1,000㎡以上は不可) / —=該当しない
※ 動力を要する消火設備・排煙設備などは自家発電設備・蓄電池設備を非常電源とし、延べ面積1,000㎡未満に限り非常電源専用受電設備も使用できます。自動火災報知設備・誘導灯・非常警報設備などは機器内蔵の蓄電池(内部予備電源)を非常電源とします。詳細は建築消防advice等でご確認ください。
事務所ビルに必要な消防用設備等の設置基準
→ 屋内消火栓設備・自動火災報知設備等の設置対象が拡大
→ 一部設備は緩和・対象外
消火設備等
火を消す・抑える設備。延べ面積や階数、建物構造のしきい値で設置義務が変わります。
| 消火器具 | 延べ面積300㎡以上、地階・無窓階又は3階以上の階で床面積50㎡以上、指定可燃物の数量が750倍以上のいずれかに該当する場合に設置(10条)。 |
|---|---|
| 屋内消火栓設備 | 主要構造部の耐火性能と内装制限の有無の組み合わせにより、基準となる延べ面積は700〜3,000㎡の範囲で変動します(11条)。地階を除く階数が5以上等の一定条件を満たす場合はパッケージ型消火設備での代替も可能です。 |
| スプリンクラー設備 | 地階を除く階数が11階以上の階、または地階の床面積合計が2,000㎡以上となる地階に設置(12条)。パッケージ型自動消火設備で代替できる場合があります。 |
| 屋外消火栓設備 | 1階・2階の床面積合計が耐火建築物で9,000㎡以上、準耐火建築物で6,000㎡以上、その他の建築物で3,000㎡以上の場合に設置(19条)。動力消防ポンプ設備での代替も可能です。 |
| 水噴霧消火設備等 | 全出力1,000kW以上の高圧受変電設備がある場所、地階の冷凍・冷蔵倉庫用途部分で床面積合計500㎡以上、地盤面から高さ31mを超える階の通信機器室・コンピュータ室等に設置(40条)。 |
警報設備等
火災の発生をいち早く知らせる設備。延べ面積・収容人員・階数が基準になります。
| 自動火災報知設備 | 延べ面積1,000㎡以上、地階・無窓階又は3階以上の階で床面積300㎡以上、11階以上の階、地階を除く階数2以下で駐車の用に供する部分がある階(一部除く)で床面積200㎡以上、指定可燃物750倍以上のいずれかで設置(21条)。 |
|---|---|
| ガス漏れ火災警報設備 | 温泉採取のための設備がある場所(可燃性ガスが発生するおそれのある事業場で収容人員1人以上)、LPガスを使用する場所は面積を問わず設置(21条の2)。 |
| 漏電火災警報器 | 鉄網入りの壁・床・天井を有し延べ面積1,000㎡以上、又は契約電流容量が50Aを超える場合に設置(22条)。 |
| 消防機関へ通報する火災報知設備 | 延べ面積1,000㎡以上で設置(23条)。消防機関から著しく離れている場合や、常時通話できる電話等を設けた場合は設置対象外となる規定があります。 |
| 非常警報器具・非常警報設備 | 収容人員50人以上で非常警報器具、地階を除く階数が11以上又は地階を除く階数3以上で非常放送設備を含む非常警報設備が必要です(24条)。 |
避難設備・誘導灯
逃げ道を確保・案内する設備。階数・地階の有無と収容人員の組み合わせで判断します。
| 避難器具 | 3階以上の無窓階又は地階で収容人員100人以上、3階以上の一般階で収容人員150人以上、直通階段が1か所しかなく3階以上で収容人員10人以上の階のいずれかで設置(25条)。 |
|---|---|
| 避難口誘導灯・通路誘導灯 | 地階、無窓階及び地上11階以上の階に設置(26条)。避難口の位置や避難方向を案内します。 |
| 誘導標識 | 原則としてすべての防火対象物に設置。ただし避難口誘導灯又は通路誘導灯の有効範囲内の部分は設置を省略できます(26条)。 |
よくある質問
この記事の対象は何ですか?
消防法施行令別表第一の(15)項に当たる「事務所ビル」で、非特定防火対象物に分類されます。
事務所ビルの設備はどこで確かめますか?
この記事の早見表で設備ごとの条件を確かめ、最後に所轄の消防署で確かめます。
非常電源専用受電設備はいつ使えませんか?
非特定防火対象物では面積によらず使えます。ただし誘導灯は蓄電池設備です。
設計で最後に確かめることは?
既存遡及の有無や火災予防条例で基準が変わることがあるため、所轄の消防署に確かめます。
まとめ ― 取り違えやすいところ
| 取り違えやすいところ | 正しくは |
|---|---|
| 非常電源はどれでもよい | 誘導灯は蓄電池 |
| 自火報は蓄電池だけ | 受電設備も使える場合がある |
| 誘導灯も30分 | 誘導灯は20分(大規模は60分) |
| 面積だけで決まる | 階・収容人員・構造でも変わる |
参照:消防法施行令・施行規則、消防設備等の早見帳(2022年版)。既存遡及や火災予防条例で基準が変わるため、所轄消防署で確かめてください。
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