【表皮効果】交流が電線の表面に集まる理由とは?表皮深さ9.3mm(50Hz)・太い電線と高調波への影響
ケーブルのカタログの「交流導体抵抗」や、太い幹線・バスダクト・高調波の話に出てくる「表皮効果」。用語集では一言で説明されますが、なぜ表面に集まるのか、どのくらいの太さから効いてくるのか、設計でどう扱うのかまでは分かりにくい言葉です。この記事は、この3つだけにしぼって説明します。
ペン太
ハリタ- ひとことで言うと
- 「表皮効果」は、交流の電流が電線の表面の近くに集まって流れる現象です。電線の真ん中が使われにくくなり、交流の抵抗が大きくなります。
- 読み方
- ひょうひこうか/スキンエフェクト
- どこで出てくる?
- ケーブルのカタログの交流導体抵抗、太い幹線やバスダクトの設計、高調波の対策、電験の理論科目。
結論
表皮効果は、交流の電流が電線の表面の近くに集まって流れる現象です。銅の表皮深さは50Hzで約9.3mm、60Hzで約8.5mmで、周波数が高いほど浅くなります。太い電線や高調波の多い回路では交流の抵抗が大きくなるので、並列にする・平らな導体にする・交流導体抵抗で計算することで対応します。
- 交流は、変わり続ける磁界にじゃまされて、真ん中を流れにくい
- 表皮深さ:50Hz 約9.3mm・250Hz 約4.2mm(銅)
- 半径が表皮深さに近い太い電線ほど、影響が大きい
- 計算は直流抵抗ではなく、交流導体抵抗で
この記事に出てくる言葉
読む前に、意味をざっと押さえておくと分かりやすくなります。
| 言葉 | 読み方 | やさしい説明 |
|---|---|---|
| 直流・交流 | ちょくりゅう・こうりゅう | 直流は向きが変わらない電気、交流は向きが周期的に変わる電気。 |
| 周波数 | しゅうはすう | 交流の向きが1秒間に何回変わるか。東日本は50Hz、西日本は60Hz。 |
| 導体 | どうたい | 電気を通す部分。電線では銅やアルミの芯。 |
| 表皮深さ | ひょうひふかさ | 電流の濃さが表面の約37%まで下がる深さ。周波数が高いほど浅い。 |
| 交流導体抵抗 | こうりゅうどうたいていこう | 交流を流したときの電線の抵抗。表皮効果などで直流より大きい。 |
| 高調波 | こうちょうは | ふつうの50・60Hzの何倍もの周波数の成分。インバーターなどが出す。 |
| 近接効果 | きんせつこうか | 近くの電線の影響で、電流が片側に寄る現象。 |
| sq(スケア) | スケア | 電線の太さを表す単位。断面積(mm²)のこと。 |
「表皮効果」を理解するために、土台になる考え方を3つだけ押さえておきましょう。
電流が流れると、まわりに磁界ができる
電線に電流が流れると、そのまわりと電線の中に磁界ができます。交流では電流の向きが変わり続けるので、磁界も変わり続けます。
変わる磁界は、電流をじゃまする
変わり続ける磁界は、電線の中に、もとの電流を打ち消す向きの電流を生みます。この打ち消しは、電線の真ん中ほど強く効きます。
だから、電流は表面に追いやられる
真ん中ほど電流が流れにくくなり、結果として電流は表面の近くに集まります。周波数が高いほど、この働きは強くなります。
なぜ表面に集まる? ― 変わり続ける磁界が、真ん中をじゃまする
ペン太
ハリタ直流は、電線の断面全体をまんべんなく流れます。ところが交流では、電流の向きが変わり続けるので、電線の中の磁界も変わり続けます。この磁界が、電線の真ん中ほど電流を打ち消すように働くため、電流は表面の近くに集まって流れます。これが表皮効果です。
電流が通る部分が実質的にせまくなるので、同じ電線でも交流の抵抗は直流の抵抗より大きくなります。表面から、電流の濃さが表面の約37%まで下がる深さを表皮深さといいます。
- 交流は、電線の表面の近くに集まって流れる
- 真ん中が使われにくく、交流の抵抗が大きくなる
- 表皮深さ:電流の濃さが約37%まで下がる深さ
どのくらいで効いてくる? ― 周波数と電線の太さ
ペン太
ハリタ表皮深さは、周波数が高いほど浅くなります。銅の表皮深さを計算すると、次のようになります。
| 周波数 | 表皮深さ(銅) | どんな電流 |
|---|---|---|
| 50Hz | 約9.3mm | 東日本の電源 |
| 60Hz | 約8.5mm | 西日本の電源 |
| 250Hz | 約4.2mm | 50Hz系の第5高調波 |
| 1kHz | 約2.1mm | インバーターなどの高い周波数の成分 |
| 10kHz | 約0.66mm | さらに高い周波数 |
電線の半径が表皮深さよりずっと小さければ、影響はほとんどありません。たとえば100sqの半径は約5.6mm、325sqの半径は約10mmで、太い幹線になるほど50・60Hzでも影響が出てきます。高調波を多く含む回路では、表皮深さが浅くなるので、ふつうの太さでも抵抗が増えて発熱が大きくなります。
- 表皮深さは周波数が高いほど浅い(周波数4倍で半分)
- 50Hzで約9.3mm、第5高調波で約4.2mm
- 太い幹線や高調波の多い回路で効いてくる
設計での扱い ― 並列・平らな導体・交流導体抵抗
ペン太
ハリタ同じ断面積でも、太い1本より細い何本かに分けたほうが、表面が増えて電流が流れやすくなります。そのため、大きな幹線ではケーブルを並列にし、バスダクトは導体を薄い平らな形にしています。
計算では、メーカーの資料にある交流導体抵抗(50Hz・60Hz)を使います。許容電流の表にも、表皮効果や近くの電線どうしの影響(近接効果)が含まれています。幹線の太さの考え方は幹線設備の設計マニュアル③で説明しています。
- 太い1本より、細い何本かの並列
- バスダクトは薄い平らな導体
- 計算は交流導体抵抗で。高調波も減らす
まとめ|結論
結論
表皮効果は、交流の電流が電線の表面の近くに集まって流れる現象で、交流の抵抗を大きくします。銅の表皮深さは50Hzで約9.3mm、周波数が高いほど浅くなります。太い幹線や高調波の多い回路では、並列や平らな導体、交流導体抵抗での計算で対応します。
太い幹線を設計するときは、この順で確かめます。
- 電線の太さ(半径)が、表皮深さに近くないか
- インバーターなど、高調波を出す負荷が多くないか
- 電圧降下・発熱の計算に、交流導体抵抗を使っているか
- 太い1本ではなく、並列やバスダクトにしたほうがよくないか
よくある質問
表皮効果とは何ですか?
交流の電流が、電線の中心よりも表面の近くに集まって流れる現象です。周波数が高いほど、また電線が太いほど目立ちます。電流が通る断面が実質的にせまくなるので、交流の抵抗が直流の抵抗より大きくなります。
表皮深さとは何ですか?
電流の濃さが表面の約37%(1/e)まで下がる深さです。銅の場合、計算で50Hzは約9.3mm、60Hzは約8.5mm、250Hz(第5高調波)は約4.2mmになります。
ふつうの電線でも、表皮効果は気にする必要がありますか?
細い電線では、表皮深さより半径が小さいので、ほとんど影響はありません。半径が表皮深さに近づく太い電線(目安として数百sq)や、バスダクト、高調波を多く含む回路で影響が出てきます。
表皮効果は、どうやって設計に入っていますか?
メーカーの資料にある交流導体抵抗や、許容電流の表には、表皮効果や近接効果の影響が含まれています。電圧降下や発熱を計算するときは、直流抵抗ではなく交流導体抵抗を使います。
近接効果とは何ですか?
近くにある電線どうしの磁界の影響で、電流が電線の片側に寄って流れる現象です。表皮効果と同じく、交流の抵抗を大きくします。電線を近づけて並べる幹線やバスダクトで影響が出ます。
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