【単線結線図の見方⑪】接地 ― EA・EB・EC・EDで読み、A種〜D種の目的とB種だけが特別な理由を知る
洗濯機の裏には、緑色の線をつなぐアース端子があります。ふだんは何もしていないように見えますが、洗濯機の中で電気が漏れたとき、その電気を大地へ逃がして、触った人を守ります。建物でいえば電気の非常口です。キュービクルにも、この非常口が4種類あります。第11回は、単線結線図に「EA」「EB」と書かれる接地(A種〜D種)の読み方です。
結論
接地は何を接地するかでA種〜D種に分かれます。A・C・D種は機器の外箱ですが、B種だけは変圧器の低圧側の電路を接地し、高圧と低圧が混ざったときに低圧側を150V以下におさえる安全弁です。
- A種は高圧機器と避雷器、10Ω以下
- B種は150÷I Ω以下(Iは1線地絡電流)
- C種は300V超、D種は300V以下の低圧機器
- 図面ではEA・EB・EC・EDと書く
接地は「電気の非常口」
機器の中で絶縁が傷むと、金属の外箱に電気が漏れることがあります。外箱が接地されていれば、漏れた電気は接地線を通って大地へ流れ、触った人に流れる電流はずっと小さくなります。同時に、漏電遮断器や地絡継電器が漏電を見つけて回路を切ります。
| 接地の役目 | たとえば |
|---|---|
| 外箱の電圧を下げる | モーターの外箱に触っても感電しにくくする |
| 遮断器を動かす | 漏電の電流を流して、ELCBやGRに検出させる |
| 雷の電流を逃がす | 避雷器(LA)が受けた雷を大地へ流す |
| 高圧の混入を防ぐ | 変圧器の中の混触から低圧側を守る(B種) |
- 漏れた電気を大地へ
- 触った人を守る
- 遮断器を動かす道にもなる
A種〜D種は「何を接地するか」で分かれる
| 種別 | 記号 | 何を接地するか | 接地抵抗値 | 接地線の太さ |
|---|---|---|---|---|
| A種 | EA | 高圧機器の外箱・避雷器 | 10Ω以下 | 直径2.6mm以上 |
| B種 | EB | 変圧器の低圧側の電路 | 150÷I Ω以下 | 直径2.6mm以上 |
| C種 | EC | 使用電圧300Vをこえる低圧機器 | 10Ω以下 | 直径1.6mm以上 |
| D種 | ED | 使用電圧300V以下の低圧機器 | 100Ω以下 | 直径1.6mm以上 |
高圧の計器用変成器(VT・CT)の二次側にもD種接地を施します。万一、変成器の中で高圧が二次側に混ざっても、計器側に高い電圧が出ないようにするためです(第6回)。
- A種は高圧側
- C・D種は300Vで分かれる
- VT・CTの二次側はD種
B種だけが特別 ― 混触の安全弁
A種・C種・D種は、機器の外箱を接地します。B種だけは、変圧器の低圧側の電路そのもの(中性点や1つの端子)を接地します。変圧器の中で高圧と低圧の巻線が触れる(混触する)と、低圧側に6,600Vの高圧が入り込むおそれがあります。B種接地は、このとき低圧側の対地電圧を150V以下におさえる安全弁です。
| 混触したときに自動で切れる時間 | B種接地抵抗値 |
|---|---|
| 決まりなし | 150÷I Ω以下 |
| 1秒をこえ2秒以内 | 300÷I Ω以下 |
| 1秒以内 | 600÷I Ω以下 |
- B種は電路の接地
- 混触から低圧側を守る
- 150÷Iで計算する
図面では「E+種別」、接地端子盤にまとめる
単線結線図では、接地記号の横にEA・EB・EC・EDと種別を書きます。キュービクルの中では接地端子盤に種別ごとの端子を並べ、それぞれの接地極(接地棒や銅板)へつなぎます。端子盤で線を外せば、種別ごとに接地抵抗を測れます。
| 図面の表記 | 読み方 |
|---|---|
| 接地記号とEA | A種接地。高圧機器の外箱やLAから |
| 接地記号とEB | B種接地。変圧器の二次側から |
| EC・ED | C種・D種接地。低圧機器の外箱から |
| 接地端子盤 | 種別ごとの端子をまとめた盤。測定もここで行う |
| IV 14sq など | 接地線の種類と太さ |
設計の考え方は設計マニュアル⑫ 接地で扱っています。
- EA・EB・EC・ED
- 接地端子盤にまとめる
- 種別ごとに測る
間違えやすいところ
よくある読み違い
- B種も機器の接地と思う:B種は変圧器の低圧側の電路の接地です。
- B種の値を10Ωや100Ωと覚える:B種は150÷Iの計算で決まります。
- 300Vの境目を取り違える:300Vをこえる機器はC種、300V以下はD種です。
- VT・CTの二次側の接地を見落とす:計器用変成器の二次側にはD種接地が要ります。
- 接地線の太さを気にしない:A種・B種は直径2.6mm以上、C種・D種は1.6mm以上が目安です。
次回は最終回、非常用発電機と切替の読み方です。全体の流れは第1回で見ています。
- B種は電路
- B種は計算で決まる
- 300Vで分かれる
よくある質問
接地(アース)は何のためにするのですか?
機器の外箱に電気が漏れたとき、その電気を大地へ逃がして、触った人に流れる電流を減らすためです。漏電を遮断器に検出させる道にもなります。雷の電流を逃がす避雷器の接地や、高圧と低圧が混ざったときの危険を防ぐB種接地もあります。
A種〜D種はどう使い分けますか?
何を接地するかで決まります。A種は高圧機器の外箱や避雷器、B種は変圧器の低圧側の電路、C種は使用電圧が300Vをこえる低圧機器の外箱、D種は300V以下の低圧機器の外箱です。
接地抵抗値はいくつ以下にしますか?
A種とC種は10Ω以下、D種は100Ω以下が基本です。C種とD種は、地絡のときに0.5秒以内に自動で切れる装置があれば500Ω以下でよいとされています。B種は計算で決まり、150÷I(Iは1線地絡電流)Ω以下です。
B種接地だけが特別なのはなぜですか?
A種・C種・D種は機器の外箱を接地するのに対し、B種は変圧器の低圧側の電路そのものを接地するからです。変圧器の中で高圧と低圧が混ざったとき、低圧側の対地電圧を150V以下におさえる安全弁の役目をします。
B種の「150÷I」のIはどこで調べますか?
Iは高圧電路の1線地絡電流で、電力会社に問い合わせて確かめます。混触したとき1秒をこえ2秒以内に自動で切れるなら300÷I、1秒以内に切れるなら600÷Iまで大きくできます。
図面のEA・EB・EC・EDは何ですか?
接地の種別を表す記号で、EはEarth(接地)、あとの文字が種別です。キュービクルでは接地端子盤に種別ごとの端子を並べ、それぞれの接地極につなぎます。
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