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洗濯機の裏には、緑色の線をつなぐアース端子があります。ふだんは何もしていないように見えますが、洗濯機の中で電気が漏れたとき、その電気を大地へ逃がして、触った人を守ります。建物でいえば電気の非常口です。キュービクルにも、この非常口が4種類あります。第11回は、単線結線図に「EA」「EB」と書かれる接地(A種〜D種)の読み方です。

結論

接地は何を接地するかでA種〜D種に分かれます。A・C・D種は機器の外箱ですが、B種だけは変圧器の低圧側の電路を接地し、高圧と低圧が混ざったときに低圧側を150V以下におさえる安全弁です。

  • A種は高圧機器と避雷器、10Ω以下
  • B種は150÷I Ω以下(Iは1線地絡電流)
  • C種は300V超、D種は300V以下の低圧機器
  • 図面ではEA・EB・EC・EDと書く
この記事でわかること
気になるものを選べば、その項目へ飛べます。全部を読まなくても、必要なところだけで解決します。
盤の中でモーターの絶縁が傷んで外箱に電気が漏れても、接地線が大地へ逃がして触った人を守る場面から、A種(高圧機器・避雷器10Ω)・B種(変圧器の低圧側150÷I)・C種(300V超10Ω)・D種(300V以下100Ω)の4種類、変圧器の中で高低圧が混触したとき低圧側を150V以下におさえるB種の役目、接地端子盤にEA・EB・EC・EDをまとめ種別ごとに接地極へつなぐ図面の読み方を示す動く図解
約50秒でくり返します。使っている場面から、A〜D種、B種、読み方の順に見ます。

接地は「電気の非常口」

機器の中で絶縁が傷むと、金属の外箱に電気が漏れることがあります。外箱が接地されていれば、漏れた電気は接地線を通って大地へ流れ、触った人に流れる電流はずっと小さくなります。同時に、漏電遮断器や地絡継電器が漏電を見つけて回路を切ります。

接地の役目 たとえば
外箱の電圧を下げる モーターの外箱に触っても感電しにくくする
遮断器を動かす 漏電の電流を流して、ELCBやGRに検出させる
雷の電流を逃がす 避雷器(LA)が受けた雷を大地へ流す
高圧の混入を防ぐ 変圧器の中の混触から低圧側を守る(B種)
どの役目の接地かによって、種別と抵抗値が変わります。
読み方のコツ:漏電を切るELCBのしくみは第10回、避雷器の接地は第4回で見ています。
ここまでのポイント
  • 漏れた電気を大地へ
  • 触った人を守る
  • 遮断器を動かす道にもなる

A種〜D種は「何を接地するか」で分かれる

種別 記号 何を接地するか 接地抵抗値 接地線の太さ
A種 EA 高圧機器の外箱・避雷器 10Ω以下 直径2.6mm以上
B種 EB 変圧器の低圧側の電路 150÷I Ω以下 直径2.6mm以上
C種 EC 使用電圧300Vをこえる低圧機器 10Ω以下 直径1.6mm以上
D種 ED 使用電圧300V以下の低圧機器 100Ω以下 直径1.6mm以上
C種・D種は、地絡のとき0.5秒以内に自動で切れる装置があれば500Ω以下でよいとされています。接地線は軟銅線の場合の値です。

高圧の計器用変成器(VT・CT)の二次側にもD種接地を施します。万一、変成器の中で高圧が二次側に混ざっても、計器側に高い電圧が出ないようにするためです(第6回)。

ここまでのポイント
  • A種は高圧側
  • C・D種は300Vで分かれる
  • VT・CTの二次側はD種

B種だけが特別 ― 混触の安全弁

A種・C種・D種は、機器の外箱を接地します。B種だけは、変圧器の低圧側の電路そのもの(中性点や1つの端子)を接地します。変圧器の中で高圧と低圧の巻線が触れる(混触する)と、低圧側に6,600Vの高圧が入り込むおそれがあります。B種接地は、このとき低圧側の対地電圧を150V以下におさえる安全弁です。

混触したときに自動で切れる時間 B種接地抵抗値
決まりなし 150÷I Ω以下
1秒をこえ2秒以内 300÷I Ω以下
1秒以内 600÷I Ω以下
Iは高圧電路の1線地絡電流で、電力会社に問い合わせて確かめます。例:I=5Aなら150÷5=30Ω以下です。
読み方のコツ:B種は変圧器ごとに付くので、単線結線図では変圧器バンクの二次側から接地の線が出ています。バンクの読み方は第8回で見ています。
ここまでのポイント
  • B種は電路の接地
  • 混触から低圧側を守る
  • 150÷Iで計算する


図面では「E+種別」、接地端子盤にまとめる

単線結線図では、接地記号の横にEA・EB・EC・EDと種別を書きます。キュービクルの中では接地端子盤に種別ごとの端子を並べ、それぞれの接地極(接地棒や銅板)へつなぎます。端子盤で線を外せば、種別ごとに接地抵抗を測れます。

図面の表記 読み方
接地記号とEA A種接地。高圧機器の外箱やLAから
接地記号とEB B種接地。変圧器の二次側から
EC・ED C種・D種接地。低圧機器の外箱から
接地端子盤 種別ごとの端子をまとめた盤。測定もここで行う
IV 14sq など 接地線の種類と太さ
種別ごとに接地極を分けて施工するのが基本です。

設計の考え方は設計マニュアル⑫ 接地で扱っています。

ここまでのポイント
  • EA・EB・EC・ED
  • 接地端子盤にまとめる
  • 種別ごとに測る

間違えやすいところ

よくある読み違い

  1. B種も機器の接地と思う:B種は変圧器の低圧側の電路の接地です。
  2. B種の値を10Ωや100Ωと覚える:B種は150÷Iの計算で決まります。
  3. 300Vの境目を取り違える:300Vをこえる機器はC種、300V以下はD種です。
  4. VT・CTの二次側の接地を見落とす:計器用変成器の二次側にはD種接地が要ります。
  5. 接地線の太さを気にしない:A種・B種は直径2.6mm以上、C種・D種は1.6mm以上が目安です。

次回は最終回、非常用発電機と切替の読み方です。全体の流れは第1回で見ています。

ここまでのポイント
  • B種は電路
  • B種は計算で決まる
  • 300Vで分かれる

よくある質問

接地(アース)は何のためにするのですか?

機器の外箱に電気が漏れたとき、その電気を大地へ逃がして、触った人に流れる電流を減らすためです。漏電を遮断器に検出させる道にもなります。雷の電流を逃がす避雷器の接地や、高圧と低圧が混ざったときの危険を防ぐB種接地もあります。

A種〜D種はどう使い分けますか?

何を接地するかで決まります。A種は高圧機器の外箱や避雷器、B種は変圧器の低圧側の電路、C種は使用電圧が300Vをこえる低圧機器の外箱、D種は300V以下の低圧機器の外箱です。

接地抵抗値はいくつ以下にしますか?

A種とC種は10Ω以下、D種は100Ω以下が基本です。C種とD種は、地絡のときに0.5秒以内に自動で切れる装置があれば500Ω以下でよいとされています。B種は計算で決まり、150÷I(Iは1線地絡電流)Ω以下です。

B種接地だけが特別なのはなぜですか?

A種・C種・D種は機器の外箱を接地するのに対し、B種は変圧器の低圧側の電路そのものを接地するからです。変圧器の中で高圧と低圧が混ざったとき、低圧側の対地電圧を150V以下におさえる安全弁の役目をします。

B種の「150÷I」のIはどこで調べますか?

Iは高圧電路の1線地絡電流で、電力会社に問い合わせて確かめます。混触したとき1秒をこえ2秒以内に自動で切れるなら300÷I、1秒以内に切れるなら600÷Iまで大きくできます。

図面のEA・EB・EC・EDは何ですか?

接地の種別を表す記号で、EはEarth(接地)、あとの文字が種別です。キュービクルでは接地端子盤に種別ごとの端子を並べ、それぞれの接地極につなぎます。

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ABOUT ME
HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。