技術図書館消防用設備の早見表の使い方|用途区分から引いて非常電源まで別表第一の用途区分を入口に、延べ面積・階数・収容人員・構造で設備の要否が決まる流れと、非常電源の1,000㎡の境目を全7枚のスライドで整理この資料をスライドで見る資料一覧を見る

倉庫は、消防法施行令別表第一の(14)項に当たる非特定防火対象物です。どの消防用設備が要るかは延べ面積・階数・収容人員などで決まり、それぞれの設備には停電しても動く非常電源が要ります。この記事では、倉庫の消防用設備と非常電源の考え方を3つの質問と動く図で整理し、設備ごとの早見表を掲載します。

①延べ面積・階・収容人員の物差しで、設備ごとに要否が決まる。②非特定防火対象物なので、非常電源専用受電設備も面積によらず使えます。誘導灯は蓄電池設備です。③非常電源は、屋内消火栓とスプリンクラーは30分、自動火災報知設備は10分、誘導灯は20分以上動かせる容量にします。
この記事でわかること
すぐ確かめたいときは、下の早見表へ進んでください。

先に言葉をそろえる

言葉 ひとことで言うと
防火対象物 消防法で火災予防の対象になる建物。用途で(1)〜(20)項に分かれる
特定防火対象物 不特定多数の人や避難が難しい人が使う建物。基準が厳しい
非常電源 停電しても消防用設備を動かすための電源
非常電源専用受電設備 電力会社からの電気を、消防用設備専用に受ける設備
消防法施行令・施行規則の用語です。

質問① どの設備が要る?

倉庫((14)項)の消防用設備は、延べ面積を基本に、地階・無窓階・11階以上といった階の条件、収容人員、構造や内装制限の4つの物差しで要否が決まります。設備ごとの具体的な値は下の早見表で確かめます。
たとえるなら
消防設備の要否は、「4本の物差しで測る建物の健康診断」です。
延べ面積だけでなく、窓のない階か、何人が集まるか、燃えにくい造りか。物差しを1本ずつ当てて、要る設備を見つけていきます。
ここまでのポイント
  • 延べ面積が基本の物差し
  • 地階・無窓階・11階以上は厳しい
  • 収容人員で警報・避難器具

質問② 非常電源は何が使える?

非特定防火対象物では、面積によらず非常電源専用受電設備も使えます。
設備 使える非常電源
屋内消火栓・スプリンクラー 自家発電・蓄電池・受電設備
自動火災報知設備・非常警報設備 蓄電池・受電設備
誘導灯 蓄電池設備
消防法施行規則の考え方です。
ひっかけ注意
「自動火災報知設備の非常電源は蓄電池だけ」ではありません。
非特定防火対象物では非常電源専用受電設備も使えます。
ここまでのポイント
  • 非特定は受電設備も使える
  • 誘導灯は蓄電池
  • 設備ごとに使える種類が違う

質問③ 何分もてばよい?

非常電源は、屋内消火栓設備とスプリンクラー設備は30分以上、自動火災報知設備と非常警報設備は10分以上、誘導灯は20分以上(大規模・高層などは60分)動かせる容量にします。
ここまでのポイント
  • 消火栓・スプリンクラーは30分
  • 自火報・非常警報は10分
  • 誘導灯は20分(大規模は60分)
ひとことで言うと:「倉庫((14)項)は非特定防火対象物。設備は延べ面積・階数・収容人員で決まり、非常電源は受電設備も使える。容量は消火栓30分・自火報10分・誘導灯20分」。


倉庫の早見表

◀ 防火対象物別 非常電源まとめ

消防法施行令別表第一 (14)項(倉庫)に必要な消防用設備等について、非常電源として使用できる種類を早見表で解説します。まず下の早見表で「どの消防用設備に、どの非常電源が使えるか」をご確認ください。

倉庫に必要な非常電源の早見表

消防用設備等 自家発電設備 蓄電池設備 非常電源専用受電設備
屋内消火栓設備 ● ● ●
スプリンクラー設備 ● ● ●
水噴霧消火設備 ● ● ●
泡消火設備 ● ● ●
屋外消火栓設備 ● ● ●
排煙設備 ● ● ●
連結送水管 ● ● ●
非常コンセント設備 ● ● ●
不活性ガス消火設備 — ● —
ハロゲン化物消火設備 — ● —
粉末消火設備 — ● —
自動火災報知設備 — ● ●
非常警報設備 — ● ●
ガス漏れ火災警報設備 — ● —
誘導灯設備 — ● —
火災通報装置 — ● —
非常電話 — ● —
無線通信補助設備 — ● —

●=適用できる / △=延べ面積1,000㎡未満に限り適用できる(1,000㎡以上は不可) / —=該当しない

※ 動力を要する消火設備・排煙設備などは自家発電設備・蓄電池設備を非常電源とし、延べ面積1,000㎡未満に限り非常電源専用受電設備も使用できます。自動火災報知設備・誘導灯・非常警報設備などは機器内蔵の蓄電池(内部予備電源)を非常電源とします。詳細は建築消防advice等でご確認ください。


よくある質問

この記事の対象は何ですか?

消防法施行令別表第一の(14)項に当たる「倉庫」で、非特定防火対象物に分類されます。

倉庫の設備はどこで確かめますか?

この記事の早見表で設備ごとの条件を確かめ、最後に所轄の消防署で確かめます。

非常電源専用受電設備はいつ使えませんか?

非特定防火対象物では面積によらず使えます。ただし誘導灯は蓄電池設備です。

設計で最後に確かめることは?

既存遡及の有無や火災予防条例で基準が変わることがあるため、所轄の消防署に確かめます。

まとめ ― 取り違えやすいところ

取り違えやすいところ 正しくは
非常電源はどれでもよい 誘導灯は蓄電池
自火報は蓄電池だけ 受電設備も使える場合がある
誘導灯も30分 誘導灯は20分(大規模は60分)
面積だけで決まる 階・収容人員・構造でも変わる
「用途区分 → 設備の要否 → 非常電源の種類 → 容量」の順で確かめます。

参照:消防法施行令・施行規則、消防設備等の早見帳(2022年版)。既存遡及や火災予防条例で基準が変わるため、所轄消防署で確かめてください。

ハリタ

この記事を書いた人:ハリタ

電気設備設計の実務者。引込・高圧受変電・幹線・接地を「設計者の視点」で解説しています。プロフィール詳細

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。