技術図書館消防用設備の早見表の使い方|用途区分から引いて非常電源まで別表第一の用途区分を入口に、延べ面積・階数・収容人員・構造で設備の要否が決まる流れと、非常電源の1,000㎡の境目を全7枚のスライドで整理この資料をスライドで見る資料一覧を見る

飛行機格納庫は、消防法施行令別表第一の(13)項ロに当たる非特定防火対象物です。どの消防用設備が要るかは延べ面積・階数・収容人員などで決まり、それぞれの設備には停電しても動く非常電源が要ります。この記事では、飛行機格納庫の消防用設備と非常電源の考え方を3つの質問と動く図で整理し、設備ごとの早見表を掲載します。

①延べ面積・階・収容人員の物差しで、設備ごとに要否が決まる。②非特定防火対象物なので、非常電源専用受電設備も面積によらず使えます。誘導灯は蓄電池設備です。③非常電源は、屋内消火栓とスプリンクラーは30分、自動火災報知設備は10分、誘導灯は20分以上動かせる容量にします。
この記事でわかること
すぐ確かめたいときは、下の早見表へ進んでください。

先に言葉をそろえる

言葉 ひとことで言うと
防火対象物 消防法で火災予防の対象になる建物。用途で(1)〜(20)項に分かれる
特定防火対象物 不特定多数の人や避難が難しい人が使う建物。基準が厳しい
非常電源 停電しても消防用設備を動かすための電源
非常電源専用受電設備 電力会社からの電気を、消防用設備専用に受ける設備
消防法施行令・施行規則の用語です。

質問① どの設備が要る?

飛行機格納庫((13)項ロ)の消防用設備は、延べ面積を基本に、地階・無窓階・11階以上といった階の条件、収容人員、構造や内装制限の4つの物差しで要否が決まります。設備ごとの具体的な値は下の早見表で確かめます。
たとえるなら
消防設備の要否は、「4本の物差しで測る建物の健康診断」です。
延べ面積だけでなく、窓のない階か、何人が集まるか、燃えにくい造りか。物差しを1本ずつ当てて、要る設備を見つけていきます。
ここまでのポイント
  • 延べ面積が基本の物差し
  • 地階・無窓階・11階以上は厳しい
  • 収容人員で警報・避難器具

質問② 非常電源は何が使える?

非特定防火対象物では、面積によらず非常電源専用受電設備も使えます。
設備 使える非常電源
屋内消火栓・スプリンクラー 自家発電・蓄電池・受電設備
自動火災報知設備・非常警報設備 蓄電池・受電設備
誘導灯 蓄電池設備
消防法施行規則の考え方です。
ひっかけ注意
「自動火災報知設備の非常電源は蓄電池だけ」ではありません。
非特定防火対象物では非常電源専用受電設備も使えます。
ここまでのポイント
  • 非特定は受電設備も使える
  • 誘導灯は蓄電池
  • 設備ごとに使える種類が違う

質問③ 何分もてばよい?

非常電源は、屋内消火栓設備とスプリンクラー設備は30分以上、自動火災報知設備と非常警報設備は10分以上、誘導灯は20分以上(大規模・高層などは60分)動かせる容量にします。
ここまでのポイント
  • 消火栓・スプリンクラーは30分
  • 自火報・非常警報は10分
  • 誘導灯は20分(大規模は60分)
ひとことで言うと:「飛行機格納庫((13)項ロ)は非特定防火対象物。設備は延べ面積・階数・収容人員で決まり、非常電源は受電設備も使える。容量は消火栓30分・自火報10分・誘導灯20分」。


飛行機格納庫の早見表

◀ 防火対象物別 非常電源まとめ

消防法施行令別表第一 (13)項ロ(飛行機・回転翼航空機格納庫)に必要な消防用設備等について、非常電源として使用できる種類を早見表で解説します。まず下の早見表で「どの消防用設備に、どの非常電源が使えるか」をご確認ください。

飛行機・回転翼航空機格納庫に必要な非常電源の早見表

消防用設備等 自家発電設備 蓄電池設備 非常電源専用受電設備
屋内消火栓設備 ● ● ●
スプリンクラー設備 ● ● ●
水噴霧消火設備 ● ● ●
泡消火設備 ● ● ●
屋外消火栓設備 ● ● ●
排煙設備 ● ● ●
連結送水管 ● ● ●
非常コンセント設備 ● ● ●
不活性ガス消火設備 — ● —
ハロゲン化物消火設備 — ● —
粉末消火設備 — ● —
自動火災報知設備 — ● ●
非常警報設備 — ● ●
ガス漏れ火災警報設備 — ● —
誘導灯設備 — ● —
火災通報装置 — ● —
非常電話 — ● —
無線通信補助設備 — ● —

●=適用できる / △=延べ面積1,000㎡未満に限り適用できる(1,000㎡以上は不可) / —=該当しない

※ 動力を要する消火設備・排煙設備などは自家発電設備・蓄電池設備を非常電源とし、延べ面積1,000㎡未満に限り非常電源専用受電設備も使用できます。自動火災報知設備・誘導灯・非常警報設備などは機器内蔵の蓄電池(内部予備電源)を非常電源とします。詳細は建築消防advice等でご確認ください。


飛行機格納庫に必要な消防用設備等の設置基準

消防法施行令別表第一(13)項ロ(飛行機又は回転翼航空機の格納庫)に義務付けられる消防用設備等を「消火設備等」「警報設備等」「避難設備・誘導灯」の3グループに分けて早見表でまとめます。航空機格納庫は原則として格納庫の用途に供する部分の全部に水噴霧消火設備等(泡消火設備・粉末消火設備等の特殊消火設備)の設置が義務付けられる点が、面積基準で判定する自動車車庫・駐車場(イ)と大きく異なる特徴です。延べ面積や階数などの具体的な数値は建物ごとに異なるため、実際の設計・改修時は必ず所轄消防署にご確認ください。

格納庫内(航空機収容部)
🧯✈️
水噴霧消火設備等(泡・粉末)全部設置
燃料取扱所・整備区画
🧯⚠️
泡消火設備・不活性ガス消火設備等
管理事務所・出入口
🚪🔔
避難口誘導灯・非常警報設備
🔋 非常電源(自家発電設備・蓄電池設備)は機械室等に設置し、上記すべての設備を支えます

飛行機格納庫の設備配置イメージ(概念図/実際の配置・機種は建物ごとに異なります)

① 建物用途区分の確認 → 消防法施行令 別表第一 (13)項ロに該当(飛行機又は回転翼航空機の格納庫)
↓
格納庫の用途に供する部分(原則全部)
→ 水噴霧消火設備等(泡・粉末等)の設置義務が発生
指定可燃物1,000倍以上の貯蔵・取扱いがある部分
→ スプリンクラー設備の設置義務が発生
↓
② 建築物の1・2階の床面積合計と主要構造部(耐火/準耐火/その他)を確認 → 屋外消火栓設備の基準面積が変動
↓
③ 収容人員・階数を確認 → 警報設備・避難設備の要否ラインに影響
↓
④ 下記の設備別セクションの早見表で個別にご確認ください
🧯消火設備等
→
🚨警報設備等
→
🚪避難設備・誘導灯
🧯

消火設備等

火を消す・抑える設備。格納庫は面積基準ではなく、用途に供する部分の全部に水噴霧消火設備等(特殊消火設備)を設置するのが原則です。

POINT格納庫の用途に供する部分は全部が水噴霧消火設備等(泡・粉末等)の設置対象。
🏛️用途区分(13)項ロ
→
📐格納庫全体を対象に判定
→
🧯特殊消火設備の要否が決定
消火器具 延べ面積150㎡以上、地階・無窓階・3階以上の階で床50㎡以上等の場合に全部設置。
屋内消火栓設備 本項ロには床面積による設置基準の定めがなく、格納庫は原則、下記の水噴霧消火設備等で消火能力をカバーします(指定可燃物の貯蔵等がある場合は別途ご確認ください)。
スプリンクラー設備 11階以上の階、または指定可燃物1,000倍以上(可燃性液体類を除く)を貯蔵・取扱う部分に設置。水噴霧消火設備等を基準通り設置した有効範囲内は省略可。
水噴霧消火設備等
(水噴霧・泡・不活性ガス・ハロゲン化物・粉末のいずれか)
格納庫の用途に供する部分は原則全部に設置。燃料取扱いのある区画等では主に泡消火設備・粉末消火設備が用いられます(部分の用途・規模により定められた種別による)。
屋外消火栓設備 建築物の1・2階の床面積合計が耐火建築物9,000㎡以上/準耐火建築物6,000㎡以上/その他3,000㎡以上の場合に設置。
動力消防ポンプ設備 屋内消火栓設備の代替設置、または建築物が同一敷地内に2以上あり合計3,000㎡以上の場合に設置。
🚨

警報設備等

火災の発生をいち早く知らせる設備。延べ面積・階数・指定可燃物の有無が基準になります。

POINT延べ面積500㎡以上、地階/無窓階/3階以上の階で床300㎡以上が主な分岐ライン。
🏛️用途区分(13)項ロ
→
📐延べ面積・階数等で判定
→
🚨警報設備の要否が決定
自動火災報知設備 延べ面積500㎡以上、地階・無窓階・3階以上の階で床300㎡以上、11階以上の階、指定可燃物500倍以上取扱う部分等に設置。
消防機関へ通報する火災報知設備 延べ面積1,000㎡以上で設置。消防機関からの距離や常時通報できる電話設備の有無により設置を省略できる場合がある。
非常警報器具・非常警報設備 収容人員50人以上、地階・無窓階で収容人員20人以上で非常ベル等を設置。地階を除く階数11以上等は非常放送設備が必要。
POINT直通階段が1ヶ所のみで3階以上・収容人員10人以上の階に避難器具が必要。
🏛️用途区分(13)項ロ
→
👥直通階段の数・収容人員で判定
→
🚪避難設備・誘導灯の要否/区分が決定
避難器具 直通階段が1ヶ所しかなく、3階以上の階で収容人員10人以上(避難階・11階以上の階を除く)に設置。
避難口・通路誘導灯 地階、無窓階及び地上11階以上の階に設置。誘導灯の種別(A級・B級・C級)は階ごとに判断。
誘導標識 原則として全部設置(避難口誘導灯・通路誘導灯の有効範囲内の部分は省略可)。

出典:消防設備等の早見帳21年版(2022年8月版)3章 設置基準((十三)項ロ 飛行機又は回転翼航空機の格納庫)。数値は代表的な基準を抜粋したもので、既存遡及の有無や自治体の火災予防条例等により異なる場合があります。詳細は必ず所轄消防署にご確認ください。


よくある質問

この記事の対象は何ですか?

消防法施行令別表第一の(13)項ロに当たる「飛行機格納庫」で、非特定防火対象物に分類されます。

飛行機格納庫の設備はどこで確かめますか?

この記事の早見表で設備ごとの条件を確かめ、最後に所轄の消防署で確かめます。

非常電源専用受電設備はいつ使えませんか?

非特定防火対象物では面積によらず使えます。ただし誘導灯は蓄電池設備です。

設計で最後に確かめることは?

既存遡及の有無や火災予防条例で基準が変わることがあるため、所轄の消防署に確かめます。

まとめ ― 取り違えやすいところ

取り違えやすいところ 正しくは
非常電源はどれでもよい 誘導灯は蓄電池
自火報は蓄電池だけ 受電設備も使える場合がある
誘導灯も30分 誘導灯は20分(大規模は60分)
面積だけで決まる 階・収容人員・構造でも変わる
「用途区分 → 設備の要否 → 非常電源の種類 → 容量」の順で確かめます。

参照:消防法施行令・施行規則、消防設備等の早見帳(2022年版)。既存遡及や火災予防条例で基準が変わるため、所轄消防署で確かめてください。

ハリタ

この記事を書いた人:ハリタ

電気設備設計の実務者。引込・高圧受変電・幹線・接地を「設計者の視点」で解説しています。プロフィール詳細

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。