技術図書館D種接地工事を5枚のスライドで読む300V以下・100Ω以下という基準と、省略できるのはD種のみという点まで確認できます。スライドを見る資料一覧を見る

D種接地工事は「300V以下、100Ω以下」で覚えられていることが多い接地です。けれども図面を書く段になると、それだけでは足りません。100Ωが取れない土地でどうするか、そもそも接地を省略できるのはどんなときか、機器の外箱と金属管はどちらの条文で判断するのか。いずれも条文に答えがあります。ここでは100Ωのその先を順に埋めていきます。

結論

D種接地工事は使用電圧300V以下の低圧側に施す接地です。第17条第4項が決めるのは「方法」だけで、「どこに施すか」は別の条文が指定します。

  • 接地抵抗値100Ω以下(電技解釈 第17条第4項)
  • 0.5秒以内に自動的に遮断する装置を施設するときは500Ω以下でよい
  • 緩和の条件は遮断までの時間であって、感度電流の値ではない
  • 接地線引張強さ0.39kN以上、または直径1.6mm以上の軟銅線
  • 対象を決めるのは第29条(機器の外箱)・第159条(金属管)・第164条(ケーブル)・第28条(高圧計器用変成器の2次側)など
  • 第29条第2項に、接地を省略できる8つの場合が並ぶ(D種だけのものではない)
  • 金属管は4m以下(乾燥)または対地電圧150V以下で8m以下なら省略できる
  • 接地線の太さの表は内線規程1350-3表であって、法令の数字ではない
対象→省略→抵抗値→太さ→記録の順に決めると、戻り作業が出ません。

決め方の順番 ― 100Ωは入口にすぎない

D種接地工事の説明は「300V以下・100Ω以下」で終わってしまうことが多いのですが、設計で決めることはそのあとにあります。そもそもこの金属部はD種の対象か省略できる場合に当たらないか100Ωにするのか500Ωにするのか。いずれも条文に答えがあります。

決めること どこを見るか
1段目 その金属部はD種の対象か 第29条・第159条・第164条・第28条など
2段目 省略できる場合に当たらないか 第29条第2項/第159条
3段目 抵抗値の上限を100Ωか500Ωか決める 第17条第4項
4段目 接地線の太さを決める 内線規程1350-3表・機器の仕様書
1段目と3段目を同じ条文で探すと見つかりません。役割が分かれています。
ペン太ペン太
D種は300V以下の機器につける接地、で合っていますよね?
ハリタハリタ
機器の外箱はそのとおりです。ただ、金属管やケーブルの金属被覆も対象で、そちらは別の条文です。
ここまでのポイント
  • D種は「100Ω以下」だけでは図面にならない
  • 対象を決める条文と、方法を決める条文が別
  • 省略できる場合が条文に並んでいる
  • 太さは法令の最低条件と実務の表を分けて考える

D種は「低圧側の接地」

A種・C種・D種はいずれも金属部にふれた人の感電を防ぐための接地です。違いはその金属部に出てくるかもしれない電圧にあります。出てくる電圧が高いほど、許される接地抵抗は小さくなります。D種はいちばん電圧が低い区分なので、上限もいちばんゆるい100Ωです。

100Ωが取れない土地でも、自動遮断があれば500Ωまで認められます。
種類 対象の使用電圧 接地抵抗値 主な対象
A種 高圧・特別高圧 10 Ω 以下 高圧機器の外箱、避雷器
B種 高圧と低圧を結合する変圧器 150÷1線地絡電流 ほか 変圧器の低圧側中性点
C種 300Vを超える低圧 10 Ω 以下 400V機器の外箱
D種 300V以下の低圧 100 Ω 以下 200V・100V機器の外箱、金属管
C種とD種は機器の種類ではなく、使用電圧300Vを境に分かれます。

ここで気をつけたいのがC種とD種の分かれ目は「使用電圧」であって、機器の種類ではないという点です。同じ形のポンプでも、200V仕様ならD種、400V仕様ならC種になります。C種についてはC種接地工事についてで扱っています。

D種は右の3本。外箱だけでなく、金属管やケーブルの金属被覆にも付きます。
ここまでのポイント
  • D種は使用電圧300V以下の低圧側に施す接地
  • 接地抵抗値は100Ω以下。A種・C種の10Ωよりゆるい
  • C種との分かれ目は使用電圧300V。機器の種類ではない
  • B種だけは目的が違い、混触時の電位上昇を抑える


どこに施すかは、第17条には書いていない

ここが条文の探し方でつまずくところです。第17条第4項は「D種接地工事とはどういう工事か」を決めているだけで、「どこに施すか」は一切書いていません。対象は、機器や配線ごとに別の条文が指定しています。

方法は第17条第4項、対象は第29条・第159条・第164条などに分かれています。
条文 対象 接地工事
第29条 使用電圧300V以下の低圧用機械器具の金属製外箱等 D種
第29条 300Vを超える低圧用機械器具の金属製外箱等 C種
第28条 高圧計器用変成器の2次側電路 D種
第159条 使用電圧300V以下の金属管工事の管 D種
第164条 ケーブル工事の金属被覆・防護装置の金属製部分 D種
第168条 高圧屋内配線で接触防護措置を施したもの D種
第28条は高圧がD種、特別高圧がA種です。「計器用変成器=A種」と覚えると間違えます。

第29条は、機器の外箱に施す接地の種別を使用電圧で3つに分けています。300V以下はD種、300V超はC種、高圧または特別高圧はA種です。この3行が29-1表と呼ばれるもので、「D種=300V以下」という言い方はここから来ています。

ペン太ペン太
金属管にも接地が要るんですね。盤の外箱だけだと思っていました。
ハリタハリタ
管も対象です。ただし金属管には長さによる省略があるので、そこは後の章で扱います。
ここまでのポイント
  • 第17条第4項は方法だけ。対象は各条が指定する
  • 第29条(29-1表)は機器の外箱を電圧で3つに分ける
  • 金属管は第159条、ケーブルの金属被覆は第164条
  • 第28条は高圧がD種、特別高圧がA種

100Ωと500Ω ― 緩和の条件は「0.5秒」

D種で最初に覚えるのは100Ωですが、条文にはその次の一文があります。「低圧電路において、地絡を生じた場合に0.5秒以内に当該電路を自動的に遮断する装置を施設するときは、500Ω」。現場で100Ωが取れないときに効いてくるのがこの規定です。

C種・D種には500Ωの緩和があり、A種にはありません。
項目 内容 意味
原則 100 Ω 以下 緩和の条件に当たらないとき
緩和 500 Ω 以下 0.5秒以内に自動的に遮断する装置があるとき
条件の中身 低圧電路の地絡を0.5秒以内に遮断 感度電流の指定は条文にない
接地線 引張強さ0.39kN以上/直径1.6mm以上の軟銅線 C種と同じ
「30mA以下の漏電遮断器なら500Ω」と説明されることがありますが、条文にその文言はありません。

実務では、定格感度電流30mAクラスの漏電遮断器は動作時間が0.1秒以内のものが一般的なので、結果として0.5秒以内の条件を満たすことが多くなります。ただし満たしているのは「0.5秒以内に遮断する」という条件であって、「30mAだから」ではありません。動作時間を遅らせた時延形を選んだ場合は、その動作時間が0.5秒以内に収まっているかを確かめる必要があります。

500Ωを使うかどうかの判断

  • 土質がよく100Ωが無理なく取れるなら、100Ωで設計しておくほうが後が楽です
  • 岩盤・アスファルト・都市部の狭い敷地などで100Ωが厳しいときに500Ωを検討します
  • 500Ωを採るなら、0.5秒以内に遮断する装置が電路に入っていることが前提です
  • その装置を後から外されると条件が崩れるので、図面に根拠を書き残します
ここまでのポイント
  • 原則は100Ω以下(第17条第4項)
  • 0.5秒以内に自動的に遮断する装置があれば500Ω以下
  • 条文の決め手は遮断までの時間。感度電流の指定はない
  • 500Ωを採ったら、その根拠を図面に残す


接地を省略できる8つの場合

第29条第1項は「接地工事を施すこと」と定めていますが、その第2項に接地を施さないことができる場合が8つ並んでいます。一号〜五号は低圧用の機器に限った条件なので、使えるのはC種・D種の場面です。一方、六号〜八号は高圧用の機器にも使える書き方になっています(八号は木柱の上の人が触れない高さ、など)。「省略できるのはD種だけ」という覚え方は正確ではありません。

一〜五号は低圧用の機器、六〜八号は高圧用の機器にも使える書き方です。
省略できる場合 実務での例
一号 交流の対地電圧150V以下または直流300V以下の機械器具を乾燥した場所に施設 事務室の単相100V機器
二号 低圧用の機械器具を乾燥した木製の床その他これに類する絶縁性のものの上で取り扱う 木製の作業台の上の機器
三号 電気用品安全法の適用を受ける二重絶縁の構造の機械器具 二重絶縁マークの電動工具
四号 電源側に絶縁変圧器(2次側線間電圧300V以下・容量3kVA以下)を施設し、負荷側を接地しない 医用室・実験室の絶縁系統
五号 水気のある場所以外で、定格感度電流15mA以下・動作時間0.1秒以下の電流動作型漏電遮断器を施設 高感度ELBを付けた回路
六号 金属製外箱等の周囲に適当な絶縁台を設ける 絶縁台の上の機器
七号 外箱のない計器用変成器がゴム・合成樹脂その他の絶縁物で被覆したもの モールド形の変流器
八号 低圧用または高圧用の機械器具を、木柱その他これに類する絶縁性のものの上の人が触れるおそれがない高さに施設 木柱上の機器
よく使われるのは一号・三号・五号です。四号は「負荷側を接地しない」がセットの条件です。
数字が似ていても、根拠の条文も効き方も違います。

まぎらわしいのが五号の「15mA・0.1秒」と、500Ωの緩和の「0.5秒」です。どちらも漏電遮断器の話ですが、意味がまったく違います。五号は接地そのものを省略できる条件、0.5秒は接地はしたうえで抵抗値の上限が変わる条件です。数字も条文も別なので、混ぜると判断を誤ります。

ここまでのポイント
  • 第29条第2項に、接地を省略できる8つの場合がある
  • 一〜五号は低圧用に限る。六〜八号は高圧用の機器にも使える
  • 五号の「15mA・0.1秒」は省略の条件
  • 500Ωの緩和の「0.5秒」とは別の話


「絶縁性のもの」をどこまで読むか

省略規定でいちばん判断を誤りやすいのが二号です。条文は「乾燥した木製の床その他これに類する絶縁性のもの」と書いています。この「その他これに類する」をどこまで広げてよいのか、という話です。

床の材料と「乾燥しているか」の両方で判断します。
床の種類 二号に当たるか 理由
乾燥した木製の床 当たる 条文が例として挙げているもの
コンクリート床 当たらない 湿気を含み、大地と電気的につながっている
土間・モルタル 当たらない 同上
濡れた木製の床 当たらない 「乾燥した」という条件を外れる
絶縁マット(敷いただけ) 慎重に判断 床そのものの構造ではない。六号の絶縁台とも別
コンクリートは絶縁物に見えますが、電気的には大地の一部として扱います。

また、一号の「乾燥した場所」も同じ考え方です。洗い場・厨房・屋外・地下ピットなど、水気や湿気のある場所は当たりません。五号にも「水気のある場所以外の場所」という条件が明記されています。省略の条文は、どれも乾いていることが前提になっています。

ペン太ペン太
コンクリートの床って絶縁されてそうに見えますけど、違うんですね。
ハリタハリタ
電気的には大地そのものと考えます。だから省略の理由にはできません。
ここまでのポイント
  • 二号の例は「乾燥した木製の床」
  • コンクリート・土間・モルタルは当たらない
  • 一号の「乾燥した場所」も水気のある場所は外れる
  • 省略の条文はどれも乾いていることが前提

金属管・ケーブルの金属体は別に判断する

機器の外箱の接地を省略できたとしても、その機器につながる金属管の接地は、別の条文で判断します。金属管工事は第159条、金属可とう電線管は第160条、ケーブル工事は第164条です。それぞれに、長さによる省略の条件があります。金属可とう電線管は管の長さ4m以下なら省略できる(乾燥の条件はつかない)、ケーブル工事の防護装置は金属管と同じ4m・8mの条件です。

「4m」「8m」は管そのものの長さです。配線の長さではありません。
条件 内容 結果
原則 使用電圧300V以下の金属管にはD種接地工事 接地する
4 m 以下 管の長さが4m以下のものを乾燥した場所に施設する 省略できる
8 m 以下 対地電圧150V以下で管の長さが8m以下。簡易接触防護措置を施すか、乾燥した場所に施設する 省略できる
300V超 使用電圧が300Vを超える金属管 C種(接触防護措置を施せばD種)
「4m」と「8m」は管の長さです。配線の長さでも、機器までの距離でもありません。

ここで押さえておきたいのが使用電圧と対地電圧が違う数字だという点です。8mの条件は「対地電圧150V以下」なので、単相100V(対地電圧100V)なら当てはまりますが、三相200V(対地電圧200V)では当てはまりません。三相200Vの金属管で省略を考えるなら、4mの条件のほうを見ることになります。

ここまでのポイント
  • 機器の外箱と金属管は別の条文で判断する
  • 金属管は第159条、金属可とう電線管は第160条、ケーブルは第164条
  • 4m以下(乾燥)または対地電圧150V以下で8m以下なら省略できる
  • 三相200Vは対地電圧200Vなので、8mの条件には当てはまらない


接地線の太さ ― 法令の最低と、実務で使う表

D種の接地線でよく見るのが、過電流遮断器の定格電流から引く早見表です。この表は便利ですが、法令が定めた数字ではありません。出典は内線規程1350-3表で、法令の最低条件とは別の話です。

表は内線規程の値。法令が決めているのは直径1.6mm以上という下限だけです。
何の数字か 内容 出典
細さの下限 引張強さ0.39kN以上、または直径1.6mm以上の軟銅線 電技解釈 第17条第4項
実務の太さ 過電流遮断器の定格電流に応じた太さ 内線規程 1350-3表
表の根拠 A = 0.052 × In(In:過電流遮断器の定格電流) 内線規程
機器の指定 メーカーが接地端子の適合サイズを指定している場合 機器の仕様書
法令は「これより細くしない」だけを決めています。太さを決めるのは内線規程と機器の仕様書です。

係数0.052は、地絡電流が流れたときの接地線の温度上昇から導かれた値です。周囲温度30℃、遮断時間0.1秒、許容最高温度150℃といった条件のもとで、電線が溶けない太さを求めたものが表になっています。表に載っていない定格の遮断器を使うときは、この式で確かめれば足ります。

なお、接地線を1本にまとめる母線は、そこにつながる各接地線のうちもっとも太いものに合わせます。接地極線も同じ考え方ですが、他の接地と共用しない単独の接地極では14mm²程度で頭打ちにするのが一般的です。A種〜D種をまとめた表は接地線の太さ早見表で扱っています。

ここまでのポイント
  • 法令の最低は直径1.6mm以上、または引張強さ0.39kN以上
  • 定格電流から引く表は内線規程1350-3表。法令の数字ではない
  • 表の根拠は A=0.052×In。表にない定格は式で確かめる
  • 母線は、つながる接地線のうちもっとも太いものに合わせる

選定例と、図面に残すこと

200V三相の動力分電盤から三相誘導電動機までを例に、どこにD種が付くかを並べます。同じ系統でも、外箱・金属管・ケーブルの金属被覆がそれぞれ別の条文で判断されるのが実際のところです。

外箱と金属管は、同じ系統でも別の条文で判断します。
抵抗値の上限と、その根拠になる遮断装置をセットで書きます。
残すもの なぜ残すのか
接地の種別と対象 電動機外箱:D種/金属管:D種 対象ごとに条文が違うため
抵抗値の上限 100Ω以下、または500Ω以下 測定値の合否判定がこの値
500Ωの根拠 ELB 30mA・0.1秒で自動遮断 緩和の条件が満たされている証拠
省略した箇所と根拠 管長3m・乾燥した場所(第159条) 省略は判断の跡が残らないため
接地線の太さと根拠 5.5mm²(内線規程1350-3表・MCCB 100A) 法令の最低条件と別だと分かるように
共用の有無 単独/集中接地端子に接続 共用なら全体がいちばん厳しい値に
測定値と測定日 竣工時の実測値と季節 以後の点検はこれと比べる
とくに抜けやすいのが「省略した箇所」です。施工しなかったことは、図面に書かないと残りません。

接地をA種B種と共用する場合は、その系統全体をいちばん厳しい値で管理することになります。A種と共用した接地を「D種だから100Ωでよい」とはできません。省略の考え方は接地線の免除方法、接地全体の考え方は接地は何のためにあるかで扱っています。

ここまでのポイント
  • 外箱・金属管・ケーブルの金属被覆は別々に判断する
  • 500Ωを採ったら、遮断装置の根拠もあわせて書く
  • 省略した箇所は、施工しなかったことを図面に残す
  • 他の種別と共用したら、全体をいちばん厳しい値で管理する

よくある質問

D種接地工事の接地抵抗値はいくつですか?

100Ω以下です(電技解釈 第17条第4項)。ただし、低圧電路において地絡を生じた場合に0.5秒以内に当該電路を自動的に遮断する装置を施設するときは、500Ω以下とすることができます。

500Ωにできる条件は「30mAの漏電遮断器」ですか?

違います。条文の条件は「地絡を生じた場合に0.5秒以内に当該電路を自動的に遮断する装置を施設するとき」で、感度電流の値は書かれていません。一般的な高感度形の漏電遮断器は動作時間が0.1秒以内なので結果として条件を満たしますが、根拠は遮断時間のほうです。

時延形の漏電遮断器でも500Ωにできますか?

その装置の動作時間が0.5秒以内に収まっていれば条件を満たします。0.5秒を超える設定で使う場合は、500Ωの根拠にはできません。

D種接地工事はどのような機器に必要ですか?

使用電圧300V以下の低圧用機械器具の金属製外箱等です(第29条)。ほかに、高圧計器用変成器の2次側電路(第28条)、300V以下の金属管工事の管(第159条)、ケーブル工事の金属被覆(第164条)などがあります。

C種とD種はどこで分かれますか?

機器の種類ではなく、使用電圧で分かれます。300Vを超える低圧がC種(10Ω以下)、300V以下がD種(100Ω以下)です。同じ機器でも200V仕様ならD種、400V仕様ならC種になります。

接地線の太さはどう決めますか?

過電流遮断器の定格電流に応じて、内線規程1350-3表で引きます。30A以下で直径1.6mm以上、100A以下で5.5mm²以上、200A以下で14mm²以上といった値です。そのうえで、法令の最低条件(直径1.6mm以上または引張強さ0.39kN以上)を下回っていないか確かめます。

表にない定格電流のときはどうしますか?

A = 0.052 × In(In:過電流遮断器の定格電流)で確かめます。たとえば60Aなら3.12mm²となるので、3.5mm²が入ります。

0.052という係数はどこから来ていますか?

地絡電流が流れたときの接地線の温度上昇から導かれた値です。周囲温度30℃、遮断時間0.1秒、許容最高温度150℃といった条件のもとで、電線が溶けない太さを求めたものです。

接地線の機械的強度の規定は?

引張強さ0.39kN以上の容易に腐食し難い金属線、または直径1.6mm以上の軟銅線とされています(第17条第4項)。これは細さの下限で、太さの決め方ではありません。

D種接地を省略できるのはどんなときですか?

第29条第2項に8つ並んでいます。交流の対地電圧150V以下を乾燥した場所に施設する場合、乾燥した木製の床の上で取り扱う場合、二重絶縁構造の機器、絶縁変圧器(300V以下・3kVA以下)で負荷側を接地しない場合、水気のある場所以外で15mA・0.1秒以下の漏電遮断器を施設する場合などです。

省略できるのはD種だけですか?

いいえ。第29条第2項の一号〜五号は低圧用の機器が対象なのでC種にも使えますし、六号〜八号は高圧用の機器にも使える書き方になっています(八号は木柱その他の絶縁性のものの上で、人が触れるおそれがない高さに施設する場合など)。B種は変圧器の接地で、第29条の話ではありません。

コンクリートの床の上なら省略できますか?

できません。二号が挙げているのは「乾燥した木製の床その他これに類する絶縁性のもの」で、コンクリート・土間・モルタルは含まれません。電気的には大地の一部として扱います。

五号の「15mA・0.1秒」と、500Ωの「0.5秒」は同じ話ですか?

別の話です。五号は接地そのものを省略できる条件、0.5秒は接地はしたうえで抵抗値の上限が500Ωに変わる条件です。数字も条文も違います。

金属管にもD種接地が必要ですか?

使用電圧300V以下の金属管工事では、管にD種接地工事を施すのが原則です(第159条)。ただし、管の長さが4m以下で乾燥した場所に施設する場合や、対地電圧150V以下で管の長さが8m以下のものに簡易接触防護措置を施すか乾燥した場所に施設する場合は省略できます。

三相200Vの金属管は8mまで省略できますか?

できません。8mの条件は「対地電圧150V以下」です。三相200Vは対地電圧も200Vなので当てはまりません。この場合は4mの条件のほうで判断します。

機器の外箱の接地を省略したら、金属管も省略できますか?

別に判断します。外箱は第29条第2項、金属管は第159条と、根拠になる条文が違います。片方で省略できても、もう片方は条件を満たしているか確かめる必要があります。

高圧計器用変成器の2次側はA種ですか?

D種です(第28条)。A種になるのは特別高圧計器用変成器の2次側電路です。高圧と特別高圧で種別が変わるので取り違えに注意します。

高圧屋内配線の金属体をD種にできますか?

電技解釈 第168条第1項第三号ハで、原則はA種接地工事ですが、接触防護措置を施す場合はD種接地工事によることができます。

D種接地をほかの接地と共用できますか?

条件により共用できますが、共用した系統は全体をいちばん厳しい値で管理することになります。A種と共用した接地を「D種だから100Ωでよい」とはできません。

100Ωが取れないときはどうしますか?

まず測り方と接続部を確かめます。補助極の配置が悪いと高く出ます。そのうえで、接地極の増設・深打ち・接地抵抗低減剤で下げるか、0.5秒以内に自動的に遮断する装置があることを確認して500Ωの規定を使います。

図面には何を書けばよいですか?

接地の種別と対象、抵抗値の上限(100Ωか500Ωか)、500Ωを採った場合はその根拠となる遮断装置、省略した箇所とその根拠、接地線の太さと出典、共用の有無です。とくに省略した箇所は、書かないと判断の跡が残りません。

まとめ ― 取り違えやすいところ

取り違えやすいところ 正しくは
D種の接地抵抗値は100Ωだけ 0.5秒以内に自動遮断する装置があれば500Ω以下
500Ωの条件は「30mAの漏電遮断器」 条文の条件は遮断までの時間が0.5秒以内であること
対象も第17条に書いてある 第17条第4項は方法だけ。対象は第29条・第159条・第164条など
D種は機器の外箱だけ 金属管・ケーブルの金属被覆・高圧計器用変成器の2次側も対象
C種とD種は機器の種類で分かれる 使用電圧300Vで分かれる
省略できるのはD種だけ 一〜五号はC種にも使える。六〜八号は高圧用の機器にも使える
コンクリートの床なら省略できる 二号の例は乾燥した木製の床。コンクリートは当たらない
五号の0.1秒と500Ωの0.5秒は同じ話 五号は接地の省略、0.5秒は抵抗値の緩和
三相200Vの金属管は8mまで省略できる 8mの条件は対地電圧150V以下。三相200Vは当たらない
接地線サイズは電源容量で決まる 過電流遮断器の定格電流で決まる(内線規程1350-3表)
早見表の数字は法令で決まっている 法令の最低は直径1.6mm。表は内線規程の値
太さの規定だけ満たせばよい 機械的強度(引張強さ0.39kN以上)の規定もある
図面は100Ω以下と書けば足りる 500Ωの根拠・省略した箇所・太さの出典まで残す
「300V以下・100Ω以下」から先に、図面に書くべきことがいくつも残っています。
手順 やること 見るところ
1|対象を確かめる その金属部はD種の対象か 第29条・第159条・第164条・第28条
2|省略を確かめる 外箱は第29条第2項、管は第159条 第29条第2項/第159条
3|抵抗値を決める 100Ωか500Ωか 第17条第4項
4|遮断装置を確かめる 500Ωを採るなら0.5秒以内の遮断装置 機器表・単線結線図
5|接地線を選ぶ 内線規程1350-3表 → 最低条件の確認 内線規程・機器の仕様書
6|共用を決める 単独か共用か。共用なら厳しいほうの値 系統図
7|図面に残す 種別・対象・上限・根拠・省略箇所・太さ 図面・機器表
8|測って記録する 竣工時に測定し、季節とあわせて残す 接地抵抗計
この8手順で、図面・施工要領・竣工記録に書けるところまで決まります。

📘 あわせて確認したいこと

A種はA種接地工事について、B種はB種接地工事について、C種はC種接地工事について、接地線の太さは接地線の太さ早見表で扱っています。

ハリタ

この記事を書いた人:ハリタ

電気設備設計の実務者。引込・高圧受変電・幹線・接地を「設計者の視点」で解説しています。プロフィール詳細

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次に読むならこれ【そうだったのか小ネタ②】第三種はなぜD種になったのか ― 記号に変わった瞬間、並べる物差しが入れ替わった電気設計の解説
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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。