新人の学習ルート 8. 接地の考え方を身につける
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技術図書館A種接地工事を5枚のスライドで読む対象機器と10Ω以下という基準、接地線14mm²以上と機械的強度をA〜D種の位置づけとあわせて確認できます。スライドを見る資料一覧を見る

A種接地工事と聞いて、まず出てくるのは「10Ω以下」でしょう。ところが図面を書く段になると、それだけでは足りません。どの機器に施すのか、接地極をどれだけ深く埋めるのか、接地線をどこまで管で覆うのか。どれも条文に数字で決まっていて、どれも現場で聞かれます。ここでは、10Ωのその先を順に埋めていきます。

結論

A種接地工事は高圧・特別高圧が出てくるおそれのある金属部に施す接地です。第17条が決めるのは「方法」だけで、「どこに施すか」は別の条文が指定します。

  • 接地抵抗値は10Ω以下。C種・D種のような遮断時間による緩和はない
  • 接地線は引張強さ1.04kN以上、または直径2.6mm以上の軟銅線(電技解釈 第17条第1項)
  • 接地極は地下75cm以上に埋設する
  • 金属体に近接するときは、底面から30cm以上深く埋めるか、1m以上離す
  • 接地線の地下75cmから地表上2mまでを合成樹脂管等で覆う
  • 対象を決めるのは第29条(機器の外箱)・第37条(避雷器)・第28条(特別高圧計器用変成器)・第168条(高圧屋内配線)など
  • 高圧屋内配線の金属体は、接触防護措置を施せばD種でよい(第168条)
  • 14mm²は法令の最低条件ではない。法令の最低は直径2.6mm(約5.5mm²)
この記事でわかること
気になるものを選べば、その項目へ飛べます。全部を読まなくても、必要なところだけで解決します。
現場で指摘されやすいのは④と⑤。数値は知っていても図面に書かれていない項目です。

決め方の順番 ― 10Ωは入口にすぎない

A種接地工事の説明は「10Ω以下」で終わってしまうことが多いのですが、設計で決めることはそのあとにあります。そもそもこの機器はA種の対象か、接地極をどう埋めるか、接地線をどこまで保護するか。いずれも条文に数字があります。

段 決めること どこを見るか
1段目 その機器はA種の対象か 第29条・第37条・第28条・第168条など
2段目 抵抗値と接地線の最低条件 第17条第1項
3段目 接地極の深さ・離隔・保護 第17条第1項 二号
4段目 接地線の太さ 内線規程・機器の仕様書
1段目と2段目を同じ条文で探すと見つかりません。役割が分かれています。
ペン太ペン太
A種の対象って、避雷針と高圧機器だけじゃないんですか?
ハリタハリタ
それだけではありません。ケーブルの金属被覆や、特別高圧の計器用変成器の2次側も対象です。
ここまでのポイント
  • A種は「10Ω以下」だけでは図面にならない
  • 対象を決める条文と、方法を決める条文が別
  • 接地極の埋設と保護にも数値の決まりがある
  • 太さは法令の最低条件と実務の値を分けて考える

A種は「危ないほうの接地」

A種・C種・D種はいずれも金属部にふれた人の感電を防ぐための接地です。違いはその金属部に出てくるかもしれない電圧にあります。出てくる電圧が高いほど、許される接地抵抗は小さくなります。

出てくる電圧が高いほど、接地抵抗の上限は小さくなります。
種類 出てくるかもしれない電圧 接地抵抗値 主な対象
A種 高圧・特別高圧 10 Ω 以下 高圧機器の外箱、避雷器
B種 高圧が低圧に混触したときの電位 150÷1線地絡電流 変圧器の低圧側
C種 300Vを超える低圧 10 Ω 以下 400V機器の外箱
D種 300V以下の低圧 100 Ω 以下 200V機器の外箱
B種だけは目的が違い、混触時の電位上昇を抑える接地です。

A種とC種はどちらも10Ω以下ですが、C種には「地絡を生じたときに0.5秒以内に自動遮断する装置を施設すれば500Ω以下」という緩和があります。A種にはこの緩和がありません。高圧が出てくる金属部は、切れるまでの時間に関係なく10Ω以下です。B種の考え方はB種接地工事について、C種・D種はC種接地工事についてとD種接地工事についてにまとめています。

A種は左の2本。同じ建物の中で、B種・C種・D種と並んで存在します。
ここまでのポイント
  • A種・C種・D種は感電を防ぐ接地。守るのは人
  • 違いは金属部に出てくるかもしれない電圧
  • A種は10Ω以下。C種・D種のような0.5秒の緩和はない
  • B種だけは目的が違い、混触時の電位上昇を抑える


どこに施すかは、第17条には書いていない

ここが条文の探し方でつまずくところです。第17条は「A種接地工事とはどういう工事か」を決めているだけで、「どこに施すか」は一切書いていません。対象は、機器や配線ごとに別の条文が指定しています。

「A種=避雷針と高圧機器」で止めると、ケーブルの金属被覆や計器用変成器が抜けます。
条文 対象 接地工事
第29条 高圧または特別高圧用の機械器具の金属製外箱等 A種
第37条第3項 高圧および特別高圧の電路に施設する避雷器 A種
第28条 特別高圧計器用変成器の2次側電路 A種
第28条 高圧計器用変成器の2次側電路 D種
第168条 高圧屋内配線の金属管・防護装置・ケーブルの金属被覆 A種(緩和あり)
第28条は高圧と特別高圧で種別が変わります。「計器用変成器=A種」と覚えると間違えます。

第29条は、機器の外箱に施す接地の種別を電圧で分けています。低圧300V以下はD種、300V超はC種、高圧または特別高圧はA種です。同じ条文の第2項に接地を施さないことができる場合も並んでいますが、大半は乾燥した場所の低圧機器、二重絶縁構造の機器、漏電遮断器を施設した場合など低圧向けです。高圧用の機器に使えるのは、周囲に適当な絶縁台を設ける場合(六号)と、木柱その他の絶縁性のものの上で人が触れるおそれがない高さに施設する場合(八号)などに限られ、キュービクルの中の機器で使える場面はほとんどありません。

避雷器については避雷器(LA)の設置基準と接地で、設置義務の条文や接地線の扱いを詳しく扱っています。

ここまでのポイント
  • 第17条は方法だけ。対象は各条が指定する
  • 第29条は機器の外箱を電圧で3つに分ける(D種・C種・A種)
  • 第28条は高圧がD種、特別高圧がA種
  • 第29条第2項の省略は大半が低圧向け。高圧で使えるのは絶縁台・木柱上などに限られる

第17条第1項が決めること ― 抵抗値と接地線

対象が決まったら、こんどは方法です。第17条第1項が決めているのは接地抵抗値・接地線・接地極の施設方法の3つです。

B種の接地線のほうが太いのは、混触時に高圧側の地絡電流が流れることを見込んでいるためです。

接地抵抗値は10Ω以下。対象が避雷器でも高圧機器の外箱でも同じです。接地線は引張強さ1.04kN以上の容易に腐食し難い金属線、または直径2.6mm以上の軟銅線。これは機械的な強さの下限で、「これより細いものを使ってはいけない」という意味です。実際の太さは、流れる電流と機器の仕様から別に決めます。

決まり 内容 意味
接地抵抗値 10 Ω 以下 緩和規定はない
接地線の材質 引張強さ1.04kN以上/直径2.6mm以上の軟銅線 細さの下限
電線の種類 絶縁電線(屋外用ビニル絶縁電線を除く)またはケーブル 裸線は使わない
接地極 地下75cm以上に埋設 次の章で扱う
「引張強さ1.04kN」と「直径2.6mm」はどちらかを満たせばよい、並びの条件です。
ここまでのポイント
  • A種の接地抵抗値は10Ω以下。緩和はない
  • 接地線は引張強さ1.04kN以上または直径2.6mm以上
  • これは細さの下限であって、太さの決定方法ではない
  • 電線は絶縁電線(OWを除く)またはケーブルを使う


見落としやすいのは接地極の施工

抵抗値は測れば確認できますが、埋設の深さは埋めたあとでは確認できません。だからこそ図面と施工要領に書いておく必要があります。第17条第1項には、4つの寸法が出てきます。

「30cm以上深く」と「1m以上離す」はどちらかを満たせば足ります。
抵抗値は測れば分かりますが、埋設深さは埋めたあとでは確認できません。
寸法 何の寸法か 条件
75 cm 以上 接地極を埋設する深さ 地下
30 cm 以上 金属体の底面より深く埋設する 接地極を鉄柱などの金属体に近接して施設する場合
1 m 以上 金属体から離す 上の代わりにこちらでもよい
2 m 接地線を保護する高さ 地下75cmから地表上2mまでを合成樹脂管等で覆う
保護に使う合成樹脂管は、厚さ2mm未満の合成樹脂製電線管とCD管を除きます。

「金属体に近接する場合」の2つの条件は、どちらかを満たせばよいという書き方です。鉄柱のすぐ横に打つなら底面より30cm以上深く、離せるなら1m以上離す。両方を求められているわけではありません。

ペン太ペン太
ほかの接地極からも1m以上離すんですよね?
ハリタハリタ
それは別の話です。条文が言っているのは鉄柱などの金属体との距離で、接地極どうしの間隔ではありません。
ここまでのポイント
  • 接地極は地下75cm以上に埋設する
  • 金属体に近接するなら、底面から30cm以上深くするか1m以上離す
  • 接地線は地下75cmから地表上2mまでを管で覆う
  • 「1m以上」は金属体との距離。接地極どうしの間隔ではない

14mm² は法令の数字ではない

A種接地線というと14mm²という数字がよく出てきます。これはこれで実務の値として使われていますが、電技解釈がA種の最低条件として定めているのは直径2.6mm(より線なら約5.5mm²)です。14mm²は法令の最低条件ではありません。

「14mm²が法律で決まっている」と説明すると、根拠を聞かれたときに答えられません。
14mm²で書くのは構いません。法令の最低条件と別だと分かっていれば大丈夫です。

では太さはどう決めるか。順番は次のとおりです。①機器の仕様書に指定があればそれに従う。②なければ内線規程の表(高圧自動遮断器の定格電流に応じた太さ)で引く。③そのうえで法令の最低条件を下回っていないか確かめる。容量ごとの一覧は接地線の太さ早見表(A〜D種)にまとめてあります。

見るもの 中身 位置づけ
電技解釈 第17条第1項 引張強さ1.04kN以上/直径2.6mm以上 最低条件
内線規程 高圧自動遮断器の定格電流に応じた太さ 太さの目安
機器の仕様書 メーカーが指定する太さ あればこれが優先
14mm² 避雷器などでよく使われる値 民間規格・慣行
図面の表記が14mm²でも問題ありません。根拠を聞かれたときに答えられるかが分かれ目です。
ここまでのポイント
  • 法令の最低条件は直径2.6mm(約5.5mm²)
  • 14mm²は民間規格・慣行の値で、法令の最低条件ではない
  • 太さは機器の仕様書 → 内線規程の表 → 最低条件の確認、の順で決める
  • 14mm²で書くこと自体は問題ない


高圧屋内配線は、接触防護措置でD種にできる

A種には遮断時間による緩和がありませんが、対象そのものがD種に落ちるケースがあります。ケーブル工事による高圧屋内配線です。

キュービクル内や電気室のように人が近づかない場所でも、防護措置の有無で判断します。

電技解釈 第168条第1項第三号ハは、ケーブルを収める防護装置の金属製部分、金属製の電線接続箱、ケーブルの被覆に使用する金属体にA種接地工事を施すことと定めています。そのうえで接触防護措置を施す場合はD種接地工事によることができるとしています。

高圧ケーブルの遮へい層の接地が「A種だったりD種だったり」して見えるのは、この条文が理由です。図面を書くときは、どちらを選んだのかと、その理由(接触防護措置の有無)を残しておくと、更新や増設のときに迷いません。

ペン太ペン太
キュービクルの中なら、誰も触らないからD種でいいですよね?
ハリタハリタ
「誰も触らない」ではなく「接触防護措置を施しているか」で判断します。そこを図面に書いておきます。
ここまでのポイント
  • 高圧屋内配線の金属体はA種が原則(第168条)
  • 接触防護措置を施せばD種にできる
  • 高圧ケーブルの遮へい層の接地が分かれるのはこのため
  • どちらを選んだかと理由を図面に残す

10Ωに入らないとき ― 打つ手は3つ

A種には抵抗値の緩和がないので、入らなければ抵抗値そのものを下げるしかありません。ただし掘り直す前に、確かめることがあります。

工事の前に、まず測り方と接続部を疑います。掘り直す前に確かめることがあります。

測定値がおかしいときにまず疑うのは測り方です。補助極の間隔が足りない、向きが直線になっていない、接続部が緩んでいる。またほかの接地極とつながったまま測ると、合成抵抗として低く出ます。単独の値を知りたいなら、切り離して測ります。

そのうえで下げる方法が3つ。接地極を増やして並列にする、深く打つ、接地抵抗低減剤を使うです。並列にするときは間隔をあけないと、互いの影響で本数どおりには下がりません。

方法 効き方 注意
接地極を増やす 並列にして合成抵抗を下げる 間隔が近いと本数どおりに下がらない
深く打つ 地下の湿った層まで届かせる 地表の乾燥の影響を受けにくくなる
接地抵抗低減剤 接地極のまわりの抵抗率を下げる 腐食性のないものを選ぶ
ほかの接地と共用 合成抵抗として下がる 共用したら全体を10Ω以下にする
共用した瞬間に、その系統全体がA種の値で縛られます。D種と共用したから100Ωでよい、にはなりません。
ここまでのポイント
  • まず測り方と接続部を確かめる
  • ほかの接地極とつながったまま測ると低く出る
  • 下げる方法は増設・深打ち・低減剤
  • A種と共用した接地は、全体を10Ω以下にする


選定例と、図面に残すこと

6.6kV受電のキュービクルを例に、どこにどの接地が付くかを並べます。同じ盤の中でA種・B種・D種が混在するのが普通です。

同じ盤の中でもA種・B種・D種が混在します。どの接地がどの機器のものかを図面で分けます。
残すもの 例 なぜ残すのか
接地の種別と対象 LA:A種/変圧器低圧側:B種 盤内で混在するため
抵抗値の上限 A種 10Ω以下 測定値の合否判定がこの値
接地極の位置と深さ 平面図に記入、地下0.75m以上 埋めたあとは確認できない
保護管の範囲 地下0.75m〜地表上2m 施工の抜けが起きやすい
接地線の太さと根拠 14mm²(メーカー指定) 法令の最低条件と別だと分かるように
共用の有無 LAと外箱を共用/単独 共用なら全体が10Ω以下
測定値と測定日 竣工時の実測値と季節 以後の点検はこれと比べる
この7行があれば、次に触る人が同じ判断を再現できます。

接地線を省略できる条件は接地線の免除方法、接地全体の考え方は接地は何のためにあるか、受変電設備の中での位置づけは設計マニュアル⑫ 接地で扱っています。

ここまでのポイント
  • 同じ盤の中でA種・B種・D種が混在する
  • 抵抗値だけでなく、接地極の深さと保護管の範囲も図面に書く
  • 接地線の太さは根拠とセットで残す
  • 竣工時の測定値と季節を記録して、以後の点検で比べる

よくある質問

A種接地工事の接地抵抗値はいくつですか?

10Ω以下です(電技解釈 第17条第1項)。C種・D種にある「0.5秒以内に自動遮断する装置を施設すれば500Ω以下」のような緩和はありません。

A種接地工事はどのような機器に必要ですか?

高圧または特別高圧用の機械器具の金属製外箱等(第29条)、高圧・特別高圧の電路に施設する避雷器(第37条第3項)、特別高圧計器用変成器の2次側電路(第28条)、高圧屋内配線の金属管・防護装置・ケーブルの金属被覆(第168条)などです。

第17条を読んでも対象が書いていません。

第17条は「A種接地工事とはどういう工事か」という方法だけを定めた条文です。どこに施すかは、機器や配線ごとに別の条文が「A種接地工事を施すこと」と指定しています。

接地極はどのくらいの深さに埋めますか?

地下75cm以上です。鉄柱などの金属体に近接して施設する場合は、金属体の底面から30cm以上の深さに埋めるか、金属体から1m以上離します。

「30cm以上深く」と「1m以上離す」は両方必要ですか?

どちらかを満たせば足ります。鉄柱のすぐ横に打つなら底面より30cm以上深く、離せる場所なら1m以上離す、という選択です。

「1m以上離す」はほかの接地極との距離ですか?

違います。条文が言っているのは鉄柱その他の金属体との距離です。接地極どうしの間隔は別の話で、この条文からは出てきません。

接地線はどこまで保護しますか?

地下75cmから地表上2mまでの部分を、合成樹脂管またはこれと同等以上の絶縁効力および強さのあるもので覆います。厚さ2mm未満の合成樹脂製電線管とCD管は除かれます。

接地線には裸線を使えますか?

使いません。絶縁電線(屋外用ビニル絶縁電線を除く)またはケーブル(通信用ケーブルを除く)を使用します。

A種接地線は14mm²でなければいけませんか?

法令の最低条件は直径2.6mm(より線なら約5.5mm²)です。14mm²は避雷器などでよく使われる民間規格・慣行の値で、法令が定めた最低条件ではありません。

接地線の太さはどう決めますか?

機器の仕様書に指定があればそれに従い、なければ内線規程の表(高圧自動遮断器の定格電流に応じた太さ)で引きます。そのうえで法令の最低条件を下回っていないか確かめます。

高圧ケーブルの遮へい層はA種ですか、D種ですか?

電技解釈 第168条第1項第三号ハで、原則はA種接地工事です。接触防護措置を施す場合はD種接地工事によることができます。

キュービクルの中なら人が触らないのでD種でよいですか?

「人が触らない」ではなく「接触防護措置を施しているか」で判断します。どちらを選んだかと理由を図面に残しておきます。

高圧計器用変成器の2次側はA種ですか?

D種です(第28条)。A種になるのは特別高圧計器用変成器の2次側電路です。高圧と特別高圧で種別が変わるので取り違えに注意します。

A種接地を省略できる場合はありますか?

第29条第2項の省略規定は大半が低圧用の機器向けです。高圧用の機器に使えるのは、金属製外箱等の周囲に適当な絶縁台を設ける場合(六号)や、木柱その他の絶縁性のものの上で人が触れるおそれがない高さに施設する場合(八号)などに限られ、キュービクル内の機器で使える場面はほとんどありません。

A種接地はほかの接地と共用できますか?

条件により共用できますが、共用した系統は全体をA種の値(10Ω以下)にする必要があります。D種と共用したから100Ωでよい、にはなりません。

避雷器の接地は単独にしなければいけませんか?

第37条第3項は「A種接地工事を施すこと」と定めているだけで、単独接地とすることは求めていません。共用する場合は、放電時の電位上昇が他の機器へ与える影響を検討したうえで判断します。

10Ωに入らないときはどうしますか?

まず測り方と接続部を確かめます。ほかの接地極とつながったまま測ると低く出ますし、補助極の配置が悪いと高く出ます。そのうえで、接地極の増設・深打ち・接地抵抗低減剤で下げます。

接地極を並列にすれば本数どおりに下がりますか?

下がりません。極どうしが近いと互いの影響を受けて、本数に比例しては下がりません。間隔をあけて打つ必要があります。

接地抵抗はいつ測りますか?

竣工時に測定して記録し、以後は定期的に測って竣工時の値と比べます。乾燥期は高く出るので、測定した季節もあわせて残しておくと判断しやすくなります。

図面には何を書けばよいですか?

接地の種別と対象、抵抗値の上限、接地極の位置と埋設深さ、保護管の範囲、接地線の太さとその根拠、共用の有無です。抵抗値だけでは、施工の抜けも共用の判断も伝わりません。

まとめ ― 取り違えやすいところ

取り違えやすいところ 正しくは
A種の対象は避雷針と高圧機器だけ ケーブルの金属被覆や特別高圧計器用変成器の2次側も対象
対象も第17条に書いてある 第17条は方法だけ。対象は第29条・第37条・第28条・第168条など
A種にも遮断時間の緩和がある 緩和があるのはC種・D種。A種は10Ω以下のみ
計器用変成器の2次側はA種 高圧はD種、特別高圧がA種
接地極の深さは決まっていない 地下75cm以上
金属体からは必ず1m離す 底面から30cm以上深く埋めるのでもよい
「1m以上」は接地極どうしの間隔 鉄柱などの金属体との距離
接地線の保護は地際だけ 地下75cmから地表上2mまで
接地線に裸線を使ってよい 絶縁電線(OWを除く)またはケーブル
14mm²は法令の最低条件 法令の最低は直径2.6mm(約5.5mm²)。14mm²は民間規格・慣行
高圧屋内配線の金属体は必ずA種 接触防護措置を施せばD種でよい
D種と共用したら100Ωでよい A種を含む共用系統は全体を10Ω以下に
図面は10Ω以下と書けば足りる 埋設深さ・保護管の範囲・太さの根拠まで残す
「10Ω以下」から先に、図面に書くべきことが6つも7つも残っています。
手順 やること 見るところ
1|対象を確かめる その金属部はA種の対象か 第29条・第37条・第28条・第168条
2|緩和を確かめる 高圧屋内配線なら接触防護措置の有無 第168条
3|抵抗値を決める 10Ω以下 第17条第1項
4|接地線を選ぶ 仕様書 → 内線規程の表 → 最低条件の確認 機器の仕様書・内線規程
5|埋設を決める 地下0.75m以上。金属体に近接なら30cmか1m 第17条第1項 二号
6|保護を決める 地下0.75m〜地表上2mを管で覆う 第17条第1項 二号
7|共用を決める 単独か共用か。共用なら全体を10Ω以下 系統図
8|図面に残す 種別・対象・上限・深さ・保護・太さ・根拠 図面・機器表
9|測って記録する 竣工時に測定し、季節とあわせて残す 接地抵抗計
この9手順で、図面・施工要領・竣工記録に書けるところまで決まります。

📘 あわせて確認したいこと

B種はB種接地工事について、C種・D種はC種とD種、接地線の太さは接地線の太さ早見表で扱っています。

ハリタ

この記事を書いた人:ハリタ

電気設備設計の実務者。引込・高圧受変電・幹線・接地を「設計者の視点」で解説しています。プロフィール詳細

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ABOUT ME
HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。