地域の波を乗りこなせ
リアクトルの6%・13%ってなに?
- 第5次高調波対策の場合 6%
- 第3次高調波対策の場合 13%
を採用します。

今回は、リアクトルの仕様について解説したいと思います。受変電設備を設置する場合、コンデンサ及びリアクトルを設置する場合がほとんどですがリアクトルの仕様にL=6%、L=13%と記載されていると思います。その[%]がなんの数値なのか気になる方はぜひ最後までご覧ください。それではよろしくお願いします。
- リアクトルの設置を検討している方
- L=〇%の選定方法を知りたい方
- リアクトル6%の意味を調べている方
- リアクトル13%の意味を調べている方
- %の根拠を知りたい方など
- 6%の選定方法
- 13%の選定方法
- 高調波対策について
- Lの意味について
クイックトピックス
第5次調波 | 主な地域 | 基本波の5倍の周波数 | L=6% |
第3次調波 | 特殊な地域 | 基本波の3倍の周波数 | L=13% |
主な地域ではL=6%を使用します
L=13%を使用する場合は第3次調波の対策を必要とする地域です。
リアクタンス6%では抑制できない第3次高調波の影響が大きい、また高調波電圧歪率が大きい地域(首都圏・関西圏)などではリアクタンス13%が採用される場合があります。
機器の価格はL=13%の方が高くなります
L=〇%の値は、リアクトルのリアクタンス値を差します。
パーセントの選定方法について

L=〇%とは?リアクトルのリアクタンス値の意味
🔧「L=〇%」とは、リアクトルのリアクタンス(交流の抵抗成分)を表した値です。
この数値は、進相コンデンサと直列に接続するリアクトル回路を“誘導性”に保つために設定されています。
たとえば「L=6%」や「L=13%」という表記は、それぞれリアクタンスがコンデンサ容量に対して6%または13%であることを意味します。
💡 なぜ“誘導性”に保つ必要があるの?

🔸 目的は「高調波対策」
リアクトルの設置目的の一つが、高調波電流の抑制です。
負荷機器(インバータなど)から発生する高調波に対し、リアクトルを通してバイパス(分流)させることで、上流側(電源系統)への影響を防ぎます。
🔸 インピーダンスが「誘導性」であることが条件
高調波を安全に分流させるには、回路のインピーダンスが“誘導性”であることが重要です。
このために、コンデンサに対するリアクタンスの比率(=L%)を調整して、回路全体を誘導性に保つよう設計します。
⚠ 容量性になると逆効果?
もし回路のインピーダンスが**容量性(インピーダンスがマイナス)**になると、以下のような問題が起きます。
-
回路内で並列共振が発生しやすくなり
-
発生した高調波が逆に増幅されてしまう危険性があります
✅ このような事態を避けるために、「L=〇%」というリアクトルの比率設計が非常に重要なのです。
✅ L=〇%の意味
項目 | 説明 |
---|---|
L=〇% | コンデンサ容量に対するリアクトルのリアクタンス比率 |
主な目的 | 回路を誘導性に保ち、高調波の増幅や共振を防止 |
よく使われる値 | L=6%(一般地域の第5次調波対策)、L=13%(第3次調波対策地域向け) |
🔹 高調波と直列リアクトルの使い分け

直列リアクトルには一般的に6%タイプと13%タイプがあり、どちらを選定するかは主に対象とする高調波の種類によって決まります。
調波 | 発生しやすい地域 | 周波数 | 推奨リアクタンス値 |
---|---|---|---|
第5次調波 | 一般地域 | 基本波の5倍 | L = 6% |
第3次調波 | 特殊地域(高歪率地域) | 基本波の3倍 | L = 13% |
🔧 選定の考え方

リアクトルは、高調波によって回路の特性が乱れるのを抑えるために設置されます。
6%と13%の使い分けは、**「どの調波に対して回路を誘導性に保つか」**という目的によるものです。
🏙 地域による採用の違い
-
一般的な高圧受電設備では、高調波電圧の総合歪率が5%以内に抑制されているため、通常はリアクタンス6%品が選定されます。
-
ただし、第3次高調波の影響が強い地域(例:首都圏・関西圏)や、高調波歪みの大きい環境では、より強力に対策できる13%品が採用されることがあります。
✅ ポイント
-
L=6%:第5次調波対応、一般地域向け(標準)
-
L=13%:第3次調波対応、高歪率地域向け(特別)
設計時には高調波環境と地域特性を踏まえて、リアクトルの仕様を選定することが重要です。
第3次高調波の特徴とL=13%リアクトルの採用ケース

🔍 第3次高調波の特徴
-
三相インバータ機器からは通常、第3次高調波は発生しません。
-
また、トランスがΔ(デルタ)結線を含む構成の場合、第3次高調波はΔ結線内を循環するため、一次側(高圧側)には影響を及ぼさないとされています。
そのため、一般的な受変電設備や三相機器中心の構成では、第3次高調波の対策が必要になるケースは多くありません。
⚠ 13%リアクトルが必要になるケースとは?

以下のような条件では、第3次高調波の影響が無視できなくなり、L=13%の直列リアクトルの採用が支持されることがあります。
✅ 13%品採用の代表的なケース:
-
単相インバータ機器の使用比率が高い設備構成
-
高調波歪率が大きくなりやすいエリア(例:首都圏・関西圏の一部地域)
-
特定の系統で第3次高調波が一次側へ流出する可能性がある場合
✍ 設計上の留意点
-
L=13%は通常よりも大きなリアクタンスを持ち、第3次高調波の抑制に有効ですが、機器の始動電圧降下やコスト増加に注意が必要です。
-
導入に際しては、高調波解析の実施や電力会社の指導を受けたうえで、採用可否を慎重に検討しましょう。

パーセントの求め方【L=〇%】

nωL-1/nωC>0
nωL | リアクトルのインピーダンス |
---|---|
1/nωC | コンデンサのインピーダンス |
つまりリアクトルのインピーダンスがコンデンサのインピーダンスを超えるような値を求める必要があります。
リアクタンス値の計算例|6%の場合
- 基本波(50Hz、60Hz)の場合
ωL-1/ωC>0
- 第n次調波(50nHz、60nHz)の場合
nωL-1/nωC>0
- このnに対策を優先する第〇次の〇の数字を入力します
第5次調波の場合
- 5ωL-1/5ωC>0
- ωL>1/25ωC
- ωL>0.04×1/ωC
となり、0.04を超える値・・・余裕をみて0.06
そのため、直列リアクトルのリアクタンス値は、L=6%と設定されています。





リアクタンス値の計算例|13%の場合
- 基本波(50Hz、60Hz)の場合
ωL-1/ωC>0
- 第n次調波(50nHz、60nHz)の場合
nωL-1/nωC>0
- このnに対策を優先する第〇次の〇の数字を入力します
第5次調波の場合
- 3ωL-1/3ωC>0
- ωL>1/9ωC
- ωL>0.11×1/ωC
となり、0.11を超える値・・・余裕をみて0.13
そのため、直列リアクトルのリアクタンス値は、L=13%と設定されています。





高調波対策の計算結果

第5次高調波対策 | 6% |
第3次高調波対策の場合 | 13% |
まとめ
- 直列リアクトルのL=〇%は直列リアクトルのリアクタンス値となる
- 進相コンデンサ+直列リアクトルの回路を誘導性にするために設定されている
- 値の基準は、必要な高調波対策によって異なる
各高調波対策のリアクタンス値は、
第5次高調波の場合
- 第5次調波の場合5ωL-1/5ωC>0
- ωL>1/25ωC
- ωL>0.04×1/ωC
- となり、0.04を超える値・・・余裕をみて0.06
第3次高調波の場合
- 第3次調波の場合3ωL-1/3ωc>0
- ωL>1/9ωC
- ωL>0.11×1/ωC
- となり、0.11を超える値・・・余裕をみて0.13
L=〇%の値は
- 第5次高調波対策の場合 6%
- 第3次高調波対策の場合 13%
高圧受電の場合一般的に高調波の総合電圧歪率が5%以内に抑制されているため、それに対応するリアクタンス6%品が採用されている
リアクタンス6%では抑制できない第3次高調波の影響が大きい、また高調波電圧歪率が大きい地域(首都圏・関西圏)などではリアクタンス13%が採用される場合がある