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キュービクルの扉に貼ってある、線と記号がずらりと並んだ図面。それが単線結線図です。初めて見ると記号の多さに圧倒されますが、実は電柱から来た電気が、どの機器を通ってビルの明かりになるかを上から順に描いただけの「電気の地図」です。この連載では、単線結線図を1回に1つずつ読み解いていきます。第1回は、全体の流れをつかみます。

結論

単線結線図は電柱側(上)から下へたどります。記号は引込・受電・母線・変圧器・低圧配電のまとまりで区切り、1本の線は三相3本分、横の枝は測って守るための線と読みます。

  • 高圧6,600Vで受けて、使える電圧に変えて送り出す
  • 引込→PAS→VCT→DS→LA→遮断器→母線→変圧器→MCCB
  • まとまりで区切ると役割が見える
  • 斜線の数で線の本数を表す
この記事でわかること
気になるものを選べば、その項目へ飛べます。全部を読まなくても、必要なところだけで解決します。
電柱から来た6,600Vの電気がキュービクルを通ってビルの明かりになる場面から、単線結線図を引込・PAS・VCT・DS・LA・VCB・母線・変圧器・MCCBの順にたどり、引込部・受電部・母線・変圧器部・低圧配電部のまとまりで区切り、1本の線が三相3本分であることと計器・継電器の枝を示す動く図解
約50秒でくり返します。使っている場面から、読む順番、まとまり、線と枝の順に見ます。

単線結線図は「電気の地図」

ビルや工場は、電力会社から高圧6,600Vで電気を受けて、キュービクルの中で210Vや105Vに変えて使います。単線結線図は、その途中にある機器を電気が流れる順に並べた地図です。地下鉄の路線図が駅の順番だけを描くように、単線結線図も機器の順番とつながりだけを描きます。

図面 何がわかるか
単線結線図 電気がどの機器をどの順に通るか(つながり)
機器配置図 キュービクルの中のどこに機器があるか(場所)
展開接続図 継電器や遮断器がどう動くか(制御のしくみ)
まず単線結線図で全体のつながりをつかみ、ほかの図面は必要なときに見ます。
ここまでのポイント
  • 電気の通り道の地図
  • 高圧6,600Vで受けて変える
  • 順番とつながりだけを描く

読む順番は「電柱側から下へ」

図面のいちばん上が電力会社の電柱側です。そこから電気の流れる向きに、上から下へたどります。

順番 記号(文字記号) 役割
1 引込 電力会社の高圧線から受け取る
2 PAS/UGS 構内の事故を外へ広げないための開閉器
3 VCT 電力会社の取引用の計器(電力量計につながる)
4 DS 点検のときに回路を目に見える形で切り離す
5 LA 雷の高い電圧を大地へ逃がす
6 VCB(またはPF・S) 事故のときに電気を遮断する主遮断装置
7 母線 電気を各変圧器へ分ける
8 変圧器(T) 6,600Vを210Vや105Vに変える
9 MCCB 低圧の幹線ごとに送り出す
記号の形は図面によって少し違います。英字の文字記号とあわせて読みます。
読み方のコツ:記号の形・文字記号・器具番号の3種類については、高圧受変電設備の設計マニュアル③でくわしく扱っています。
ここまでのポイント
  • 電柱側(上)から読む
  • 流れる向きに1つずつ
  • 文字記号もあわせて見る

記号は「まとまり」で区切る

記号を1つずつ追うだけでなく、いくつかのまとまりで区切ると、全体が何をしているのかが見えてきます。

まとまり おもな機器 していること
引込部 引込・PAS/UGS 電力会社から受け取る
受電部 VCT・DS・LA・遮断器 測る・切り離す・守る
母線 高圧母線 各変圧器へ分ける
変圧器部 変圧器・一次側の開閉器 電圧を変える
力率改善部 コンデンサ(SC)・リアクトル(SR) 電気の使い方を整える
低圧配電部 MCCB など 建物の各幹線へ送り出す
6つのまとまりと役割は、設計マニュアル①とも対応しています。
ここまでのポイント
  • 引込・受電で受けて守る
  • 母線・変圧器で分けて変える
  • 力率改善・低圧配電で整えて送る


1本の線は3本分、横の枝は「測って守る」

三相の高圧は3本の電線で送られます。それをそのまま描くと線だらけになるので、単線結線図では1本にまとめて描きます。

描き方 読み方
太い1本の線 三相3線をまとめたもの
線に入れた斜線 斜線の数が電線の本数(3本なら三相3線)
横に出る細い線 計器や保護継電器のための線(CT・VTから)
継電器から遮断器への線 異常のときに遮断器を切る指令
CTやVT、保護継電器の読み方は、この連載の後の回でくわしく見ます。
読み方のコツ:太い線(電力の通り道)と細い線(測る・守るための線)を分けて見ると、図面がぐっと読みやすくなります。まずは太い線だけを上から下へたどり、次に細い線がどこから出てどこへ行くかを見ます。
ここまでのポイント
  • 1本の線は三相3本分
  • 斜線の数で本数
  • 細い枝は計器と継電器

この連載で読むもの

次の回からは、上から順に1つずつ読み方を見ていきます。

連載の予定

  1. 引込とPAS/UGS:責任分界点と構内の事故の切り離し
  2. VCTと電力量計:取引用の計器の読み方
  3. DS・LA:断路器と避雷器
  4. 主遮断装置:CB形とPF・S形
  5. VT・CT・ZCT・ZPD:計器用変成器
  6. 保護継電器:OCR・GR・DGRと器具番号
  7. 変圧器:一次側開閉器とバンク構成
  8. コンデンサ・リアクトル:SC・SR
  9. 低圧配電:MCCB・ELCB
  10. 接地:A種・B種・C種・D種
  11. 非常用発電機:切替と系統

機器ごとの目的の一覧は設計マニュアル・資料編、なぜ6,600Vなのかはこちらの記事で扱っています。

ここまでのポイント
  • 1回に1つずつ読む
  • 上から順に進む
  • 設計マニュアルとあわせて読む

よくある質問

単線結線図とは何ですか?

高圧受変電設備(キュービクル)の中で、電気がどの機器を通ってどこへ行くかを1本の線と記号で表した図面です。電気の通り道の地図のようなものです。

どこから読めばいいですか?

電力会社の電柱側、図面のいちばん上から読みます。引込、PAS、VCT、DS、LA、遮断器、母線、変圧器、低圧の配線用遮断器の順に、電気が流れる向きにたどります。

なぜ1本の線で描くのですか?

三相3線の3本をそのまま描くと図面が線だらけになるためです。1本にまとめて、必要なところは斜線の数で線の本数を表します。

横に出ている細い線は何ですか?

計器や保護継電器のための線です。CTやVTで電流・電圧を測り、OCRなどの継電器が異常を見つけると遮断器に「切れ」と指令します。

記号の形は決まっていますか?

JIS C 0617 などで決められていますが、図面によって少し違う描き方をすることがあります。英字の文字記号(DS、VCB など)と凡例をあわせて確かめます。

このシリーズでは何を扱いますか?

全体の流れのあと、引込とPAS、VCT、DS・LA、主遮断装置、計器用変成器、保護継電器、変圧器、コンデンサ、低圧配電、接地、非常用発電機の順に、1回に1つずつ読み方を見ていきます。

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ABOUT ME
HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。