高圧カットアウト(PC)とLBSの違いとは?欠相とストライカ、変圧器300kVAの境目、PF・S形とCB形の選び方
キュービクルの単線結線図で、変圧器の上に付いている「PC」と「LBS」。どちらもヒューズを使う開閉器ですが、何が違って、どちらを選ぶのか。この記事は、切り方の違い、1相が切れたときの違い、選び方の目安、受電のPF・S形とCB形の違いの4つにしぼって説明します。
ペン太
ハリタ結論
高圧カットアウト(PC)は相ごとに分かれたヒューズ付き開閉器で、1相ずつ開閉し、ヒューズが1相だけ切れると欠相になります。PF付LBSは3極が連動して負荷電流も切れる開閉器で、ヒューズが溶断するとストライカで3相とも開きます。変圧器の一次側にPCを使えるのは300kVA以下です。
この記事に出てくる言葉
読む前に、意味をざっと押さえておくと分かりやすくなります。
| 言葉 | 読み方 | やさしい説明 |
|---|---|---|
| PC | こうあつカットアウト | ヒューズを入れた高圧用の開閉器。相ごとに1台ずつ付ける。 |
| LBS | こうあつこうりゅうふかかいへいき | 負荷電流を3相同時に開閉できる開閉器。 |
| PF | げんりゅうヒューズ | 短絡電流を流れきる前に抑えて切る、高圧用のヒューズ。 |
| ストライカ | ― | ヒューズが溶断すると飛び出すピン。LBSを3極とも開かせる。 |
| 欠相 | けっそう | 三相のうち1相だけ電気が来ない状態。電動機が焼ける原因になる。 |
この3つを頭に入れておくと、残りがすっと読めます。
どちらも短絡はヒューズが切る
PCもLBSも、開閉器そのものは短絡電流を切れません。短絡はヒューズの役目です。
違いは「3相いっしょか」
PCは1相ずつ、LBSは3相が連動します。これが欠相の起きやすさの差になります。
境目は変圧器300kVA
PCを変圧器の一次側に使えるのは300kVA以下です。
切り方がどう違う? ― PCは1相ずつ、LBSは3相いっしょ
PCは、磁器の箱や筒の中にヒューズを入れた開閉器を相ごとに1台ずつ付けたものです。開け閉めはフック棒などで1台ずつ行うので、3相を同時に切ることはできません。そのため、操作は負荷を止めてから行うのが基本です。
LBSは、3相の刃が1本の軸でつながっていて、3極をいっしょに開閉します。負荷電流を開閉する能力があり、変圧器の一次側では限流ヒューズ(PF)と組み合わせたPF付LBSとして使います。
- PCは相ごとの3台を1相ずつ開閉する
- LBSは3極が連動し、負荷電流も開閉できる
- どちらも短絡電流はヒューズが切る
1相だけヒューズが切れたら? ― 欠相とストライカ
ヒューズは、短絡や過電流で流れた相だけ溶断します。PCでは、切れた相だけが開いて残りの2相はつながったままになり、変圧器の二次側は欠相の状態になります。三相の電動機は欠相のまま回り続けようとして、電流が増えて焼けるおそれがあります。
PF付LBSは、溶断した限流ヒューズからストライカ(ピン)が飛び出し、LBSの引外し機構を叩いて3極を同時に開きます。だから1相が切れても欠相になりません。三相の変圧器にPF付LBSが標準で使われるいちばんの理由がこれです。
ペン太
ハリタ- ヒューズは流れた相だけ溶断する
- PCは1相だけ開いて欠相になる
- PF付LBSはストライカで3極とも開き、欠相を防ぐ
どちらを選ぶ? ― 変圧器300kVAが境目
| くらべるところ | PC(高圧カットアウト) | PF付LBS |
|---|---|---|
| 開閉のしかた | 相ごとに1台ずつ | 3極が連動して同時 |
| 負荷電流の開閉 | 負荷を止めてから操作するのが基本 | 負荷電流を開閉できる |
| 短絡の保護 | ヒューズリンク | 限流ヒューズ(PF) |
| 1相が溶断したとき | その相だけ開く(欠相) | ストライカで3極とも開く |
| 変圧器の一次側に使える容量 | 300kVA以下 | 容量の制限なし |
| コンデンサの一次側 | 50kvar以下 | 容量に応じて選ぶ |
| 主な使いどころ | 単相・小容量の変圧器 | 三相変圧器の一次側の標準 |
PCを変圧器の一次側開閉器に使えるのは300kVA以下、コンデンサなら50kvar以下です。それを超えるものや、三相で欠相を避けたいものにはPF付LBSを使います。ヒューズの定格の決め方は変圧器一次側開閉器(PC・LBS)の選定方法とヒューズ容量早見表にまとめています。
- 変圧器の一次側にPCを使えるのは300kVA以下
- コンデンサはPCなら50kvar以下
- 三相変圧器の一次側はPF付LBSが標準
受電のPF・S形とCB形は? ― 主遮断装置の違い
同じ組み合わせは、キュービクルの受電点(主遮断装置)でも出てきます。PF・S形は、限流ヒューズ(PF)と高圧交流負荷開閉器(S)を主遮断装置にした形で、受電設備容量300kVA以下に使えます。CB形は、遮断器(VCB)と過電流継電器・地絡継電器を組み合わせた形で、受電設備容量4,000kVA以下です。
| くらべるところ | PF・S形 | CB形 |
|---|---|---|
| 主遮断装置 | 限流ヒューズ+高圧交流負荷開閉器 | 遮断器(VCB)+保護継電器 |
| 受電設備容量 | 300kVA以下 | 4,000kVA以下 |
| 短絡の保護 | ヒューズが溶断して切る | 過電流継電器の信号で遮断器が切る |
| 保護協調の調整 | ヒューズの特性で決まる | 継電器の整定で細かく調整できる |
| 事故のあと | ヒューズの交換が必要 | 原因を取り除けば再投入できる |
PF・S形は機器が少なく安くできる一方、短絡のたびにヒューズの交換が要り、電力会社の配電線との保護協調も取りにくくなります。受電容量が小さくても、CB形を選ぶことがあるのはこのためです。保護協調の考え方は保護協調の記事、受電点の区分開閉器はPASの選定方法で説明しています。
- PF・S形は受電300kVA以下、CB形は4,000kVA以下
- CB形は継電器の整定で保護協調を細かく調整できる
- 容量が小さくてもCB形を選ぶ場合がある
まとめ
結論
PCは相ごとのヒューズ付き開閉器で、1相ずつ開閉し、1相の溶断で欠相になります。PF付LBSは3極が連動し、ストライカで欠相を防ぎます。変圧器の一次側にPCを使えるのは300kVA以下です。
実務で迷わないための4つの確認
- 変圧器の一次側は、300kVA以下ならPCも可、超えたらPF付LBSかVCB
- 三相の変圧器は、欠相を避けるためPF付LBSを基本にする
- LBSは「PF付」かどうかを機器表で確かめる
- 受電はPF・S形(300kVA以下)かCB形(4,000kVA以下)かを容量と保護協調で決める
単線結線図での描かれ方は単線結線図の見方⑧ 変圧器バンク、低圧側の遮断器の種類は過電流遮断器と配線用遮断器の違いで説明しています。
よくある質問
高圧カットアウトとPCは同じものですか?
同じものです。PCは Primary Cutout の略で、ヒューズを入れた高圧用の開閉器です。図面ではPC、現場ではカットアウトと呼ばれます。
LBSだけで短絡電流を切れますか?
切れません。LBS(高圧交流負荷開閉器)が切れるのは負荷電流までで、短絡電流は組み合わせた限流ヒューズ(PF)が切ります。だから変圧器の一次側にはPF付LBSを使います。
300kVAを超える変圧器にPCは使えますか?
使えません。PCを変圧器の一次側開閉器に使えるのは300kVA以下(コンデンサは50kvar以下)です。それを超える変圧器には、PF付LBSや遮断器(VCB)を使います。
PF・S形とCB形はどう選びますか?
受電設備容量が300kVA以下ならPF・S形(限流ヒューズと高圧交流負荷開閉器を主遮断装置にする形)を選べます。それを超える場合や、保護継電器で細かく保護協調をとりたい場合はCB形(遮断器と継電器)にします。CB形は4,000kVA以下です。
ストライカとは何ですか?
限流ヒューズが溶断したときに飛び出すピンです。このピンがLBSの引外し機構を叩いて3極を同時に開くので、1相だけ切れて残りがつながる欠相を防げます。


