事務所の1フロア分の自火報です。受信機から感知器を数珠つなぎに送り配線して最後に終端抵抗を付ける理由、発信機・表示灯・地区音響の耐熱配線、受信機での試験まで追います。 下の3Dで、工程を進めながら部材を1つずつ確かめてください。P型1級受信機 感知器回路 AE 1.2mm-2C(送り配線) 煙感知器(光電式)・熱感知器(差動式) 終端抵抗(受信機指定) 発信機・表示灯・地区音響は耐熱電線 HP

この場面で追う施工手順

工程 1 / 6感知器の位置と種別
  1. 消防設備図で、部屋ごとの感知器の種別(煙・差動式熱・定温式熱)と個数を確かめる。事務室は煙感知器、湯沸室は定温式が多い
  2. 煙感知器は壁・はりから 0.6m 以上、空調の吹出口から 1.5m 以上離す
  3. 取付面の高さ(4m 未満・以上)で1個あたりの感知面積が変わる。はりが 0.6m 以上出ていればその区画ごとに付ける
使う道具・材料:消防設備図(天井伏図)/レーザー墨出し器/スケール/感知器リスト
確かめること 吹出口・照明・ダクト・スプリンクラーヘッドと当たっていないか。
工程 2 / 6感知器ベースの取付・送り配線
  1. 天井のアウトレットボックス(またはボード)に感知器ベースをビス止めし、ケーブルを引き込む
  2. 送り配線:受信機→感知器→感知器… と1本のケーブルでつなぐ。ベースの「入」端子と「出」端子に分けて接続し、途中で分岐させない
  3. ベースの端子ねじを確実に締める。渡り線を使わず、送りの線をそのまま次へ
使う道具・材料:感知器ベース/AE 1.2mm-2C(警報用ケーブル)/ストリッパー/ドライバー
確かめること 感知器の線が途中で T分岐になっていないか(分岐先の断線を検出できない)。
工程 3 / 6終端抵抗と断線監視
  1. 回路の最後の感知器(または終端器)に終端抵抗を付ける。値は受信機の指定(10kΩ など)
  2. 受信機は回路に常に小さな電流を流して監視している。どこかで断線すると電流が止まり「断線」を表示できる。だから送り配線にする
  3. 終端の位置を図面に記しておく(点検で探せるように)
使う道具・材料:終端抵抗(受信機指定の値)/テスター/配線図
確かめること 終端抵抗の値が受信機の指定と合っているか。
工程 4 / 6発信機・表示灯・地区音響
  1. 発信機は床から 0.8〜1.5m、各階の歩行距離 50m 以内に1か所。上に赤い表示灯を付ける(10m 離れて見える明るさ)
  2. 地区音響は各階の水平距離 25m 以内に1台。音圧 90dB 以上
  3. 発信機・表示灯・地区音響の配線は耐熱電線(HP)で。感知器回路は一般のケーブルでよい
使う道具・材料:発信機(P型1級)/表示灯(赤)/地区音響装置(ベル)/HP 1.2mm(耐熱電線)
確かめること 音響・発信機の配線が HP(耐熱)になっているか。
工程 5 / 6受信機への接続
  1. 受信機の端子台に、警戒区域(回路)ごとに感知器回路(L・C)、発信機、表示灯、地区音響の線を接続する
  2. 警戒区域の番号と区域名(1階 事務室 など)を受信機の窓表示と警戒区域図で一致させる
  3. 受信機の電源は専用回路(蓄電池を内蔵)。接地も確実に
使う道具・材料:P型1級受信機/端子ドライバー/警戒区域図/回路名札
確かめること 警戒区域図と受信機の窓表示が一致しているか。
工程 6 / 6試験・消防検査
  1. 受信機で導通試験を行い、各回路の断線表示が出ないこと、回路抵抗が規定内であることを確かめる
  2. 加煙試験器・加熱試験器で感知器を1個ずつ作動させ、受信機の表示・地区音響・連動(防排煙など)を確かめる
  3. 消防設備士が設置届と試験結果報告書を出し、消防の完成検査を受ける
使う道具・材料:加煙試験器/加熱試験器/導通試験(受信機)/設置届・試験結果報告書
確かめること 全部の感知器を実際に作動させたか(抜き取りにしない)。

部材と寸法の目安

1
煙感知器(光電式スポット型)
壁・はりから 0.6m 以上 吹出口から 1.5m 以上
煙が入ると光が散乱して作動します。空調の風で煙が流される吹出口の近くや、はりの陰になる位置は避けます。
現場で確かめること 感知面積(4m 未満で 150㎡ など)に対して個数が足りているか。
2
感知器ベース(送り配線の端子)
入と出の端子を分ける 分岐させない
感知器本体をねじ込む台座で、配線はここに接続します。受信機からの線を「入」、次の感知器への線を「出」につなぎ、1本の輪にします。
現場で確かめること ベースの端子で線が2本重ね締めになっていないか(入・出を分ける)。
3
感知器回路 AE 1.2mm-2C(送り配線)
受信機 → 感知器 → 感知器 → 終端
1本のケーブルで感知器を順につなぎます。途中で分岐すると、分岐先が断線しても受信機が気づけません。
現場で確かめること ジョイントボックスでの T分岐がないか。
4
終端抵抗(断線監視用)
回路の最後に 値は受信機の指定
受信機はこの抵抗を通して常に小さな電流を流し、回路がつながっていることを監視します。断線すると電流が止まり、受信機が「断線」を出します。
現場で確かめること 終端の位置を図面に書いたか。
5
はり(0.6m 以上なら区画が分かれる)
はりの両側に感知器
天井からはりが 0.6m 以上下がっていると、煙がはりで止まるので、はりで区切られた区画ごとに感知器を付けます。
現場で確かめること はり下がりの寸法を建築図で確かめたか。
6
空調の吹出口(1.5m 以上離す)
煙が流されて感知が遅れる
吹出口の風で煙が感知器に届かなくなるので、1.5m 以上離します。設計図の位置でも、現場で空調の位置が変わっていれば直します。
現場で確かめること 空調工事の最終位置で離隔を確かめたか。
7
発信機(P型1級)
FL+0.8〜1.5m 歩行距離 50m 以内
人が火災に気づいたとき押すボタンです。押すと受信機に信号が行き、地区音響が鳴ります。電話ジャックで受信機と通話できます。
現場で確かめること 歩行距離 50m 以内に1か所あるか。
8
表示灯(赤)
発信機の上 10m 離れて見える
発信機の位置を知らせる赤いランプです。常時点灯し、離れた所から発信機の場所が分かるようにします。
現場で確かめること 表示灯が物や看板で隠れていないか。
9
地区音響装置(ベル)
各階 水平距離 25m 以内 90dB 以上
火災を知らせるベルです。受信機からの信号で鳴ります。配線は耐熱電線(HP)で、火災中も鳴り続けられるようにします。
現場で確かめること 音が各室で聞こえるか(扉を閉めた室内も)。
10
耐熱電線 HP(発信機・表示灯・音響)
感知器回路は一般ケーブルでよい
火災のときに動き続ける必要がある回路は、耐熱電線で配線します。感知器回路は火災を検知した時点で役目を果たすので、一般のケーブルで構いません。
現場で確かめること HP と AE を取り違えていないか(被覆の表示を見る)。
11
P型1級受信機
警戒区域ごとに窓表示 専用電源・蓄電池内蔵
感知器・発信機の信号を受けて表示し、音響を鳴らす装置です。警戒区域ごとに窓があり、どこで火災かが分かります。
現場で確かめること 警戒区域図が受信機のそばに掲示してあるか。
12
加煙試験器・加熱試験器
感知器を1個ずつ作動させる
実際に煙や熱を与えて感知器を作動させ、受信機の表示と音響を確かめます。全数行い、結果を試験結果報告書に残します。
現場で確かめること 作動した感知器の復旧(受信機の復旧操作)を忘れていないか。

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全体の流れ(部屋・天井裏・電気室・建物)
回路をたどる(1回路を端から端まで)
個別ケース(施工方法をくわしく)
寸法・数値・工法は学習用の目安です。実際の工事では、設計図書・公共建築工事標準仕様書・内線規程・メーカー資料・所轄の指導を確認してください。