こんにちは、HARITAの設計室です。連載「照明設備の設計マニュアル」第4回は点滅回路とスイッチ計画第3回で器具が決まりました。でも、器具を選んだだけでは設備は完成しません。消せなければ、設計は終わっていないのです。

今回の合言葉は「点けるより、消すほうが難しい」。点けるのは入ってきた人が自然にやります。問題は、最後に出る人が迷わず全部消せるか。使われ方を想像する回です。

今回の全体像 ― 誰が・どこで・どう消すか

誰が・どこで・どう消すか1スイッチの種類片切・3路・4路どこから消せるようにするか2点滅グループどこまでを1つで消すか窓側・間引き・室単位3自動制御センサ・タイマ・調光人の手を借りずに消す4スイッチ位置動線の上に置く入ってすぐ・出るときに点けるより、消すほうが難しいHARITAの設計室

4つのうち、設計者が最初に決めるのは②点滅グループです。どこまでを1つのスイッチで消すかが決まれば、必要なスイッチの数と種類は自動的に決まります。順番を逆にすると、「とりあえず3路にしておく」ような設計になります。

① スイッチの種類 ― 何か所から消したいか

片切・3路・4路。名前だけ見ると難しそうですが、意味はひとつだけです。「何か所から入切できるか」。それだけです。

何か所から消したいか片切スイッチ1か所から点滅居室・個室・倉庫3路スイッチ2か所から点滅階段・長い廊下4路スイッチ3か所以上から点滅大空間・複数出入口先に決めるのは「出入口の数」。スイッチの種類はその結果HARITAの設計室

長い廊下や階段で片切を使うと、片方の端で点けた人が、反対側の端まで戻って消すことになります。誰もそんなことはしないので、結局そこは点けっぱなしになります。出入口が2か所あるなら3路、3か所以上なら4路を挟む ― これが基本です。

用語そのものの整理は 新人講座 用語編④ スイッチの種類と読み方 に、実際の結線は 配線結線方式の手順① 片切スイッチで照明1灯を点滅させる基本回路同② 連用スイッチ(2連・3連)と2灯の点滅 にまとめてあります。単線図から複線図に落とす練習は、ここで一度やっておくと図面が読めるようになります。

② 点滅グループ ― 「消したい単位」で割る

ここが今回の中心です。事務室に器具が9台あるとして、9台を1つのスイッチでまとめるのか、3つに分けるのか。分けるとしたら、どう分けるのか。

点滅グループは「消したい単位」で切るABC出入口スイッチABCA:窓側は昼間に消せる昼光が入る列を独立させると省エネが効くB:間引き点灯の受け皿残業時間帯に半分だけ点ける、が作れるC:廊下側・出入口まわり最後に出る人が消す列。ここは残しがちグループは「均等に割る」のではなく「消したい単位」で割るHARITAの設計室

やってしまいがちなのが「3台ずつ均等に割る」です。数としてはきれいですが、使う側にはなんの意味もありません。割るなら窓に平行な列で割ります。晴れた日の昼間、窓側の一列だけ消せる ― これだけで年間の消費電力がはっきり変わります。第1回で触れた省エネの制約は、こういう形で効いてきます。

もうひとつの視点が間引き点灯です。残業時間帯や清掃時に「半分だけ点ける」ができると、無駄が減ります。そして忘れてはいけないのが室単位で閉じること。隣の部屋のスイッチで自室の照明が消えるような回り方は、必ずトラブルになります。

③ 自動制御 ― 人の手を借りずに消す

「消し忘れる場所」は、だいたい決まっています。トイレ、倉庫、階段、外灯。人に頼るのをやめて、機械に消させる場所です。

人の手を借りずに消す4つの道具人感センサ人がいる時だけ点けるトイレ・倉庫・階段自動点滅器明るさで自動に切り替え外灯・玄関・軒下タイマ時刻で入切する看板・共用部・広告調光明るさを可変にする会議室・ホール・店舗自動は便利。ただし「消えてはいけない場所」には入れないHARITAの設計室

外灯や玄関の自動点滅器は定番ですが、施設方法には決まりがあります。屋外の照明配線は 内線規程【104】低圧屋外照明の施設、電柱に付ける外灯は 内線規程【055】電柱外灯 を確認してください。

注意点をひとつ。自動制御は「消えてはいけない場所」に入れてはいけません。機械室や電気室で、点検作業中にセンサが人を見失って真っ暗になる ― これは事故につながります。自動にするなら、必ず手動で保持できる仕掛け(連続点灯モードや手元スイッチ)をセットにしてください。

④ スイッチの位置 ― 動線の上に置く

最後は位置です。図面上ではどこに描いても同じ1個ですが、使い勝手の差は決定的です。

スイッチは動線の上に置く○ 良い例出入口動線入ってすぐ、扉の開く側に手が届く✕ 悪い例出入口遠回り奥の壁。暗いなかを歩くことになる取付高さは FL+1,200mm 前後が目安。扉の陰に隠れない側に付けるHARITAの設計室

基本は「扉を開けて、そのまま手が届く側」。扉の吊元側に付けると、開いた扉の陰に隠れてしまいます。建築図の扉の開き勝手(吊元と戸先)を必ず確認してから位置を決めてください。取付高さはFL+1,200mm前後が目安ですが、これも特記仕様書と施主基準が優先です。

そして、複数のスイッチを並べるときは並び順と器具の並びを一致させること。左のスイッチが窓側、右が廊下側。この対応が取れていれば、誰も迷いません。プレートに表示を入れるのも有効です。

まとめ

  • 先に決めるのは点滅グループ。スイッチの数と種類はその結果として決まる
  • 片切・3路・4路は「何か所から入切できるか」の違い。出入口の数で選ぶ
  • グループは均等割りではなく、窓側の列・間引き・室単位で割る
  • 消し忘れる場所は自動制御へ。ただし消えてはいけない場所には入れない
  • スイッチは扉の開く側、動線の上に。並び順は器具の並びと一致させる

よくある質問

Q1. スイッチは多いほど親切ですか?
A. 増やしすぎると、どれがどれだか分からなくなって「全部押す」か「全部触らない」のどちらかになります。目安として、1か所に並べるのは4〜5個くらいまで。それ以上必要なら、グループの切り方そのものを見直すか、制御盤側でまとめる方向を考えてください。

Q2. 人感センサを廊下に入れたら苦情が来ました。なぜでしょう?
A. よくあるのは、検知範囲と保持時間の設定です。歩く速度に対して検知が遅れると「暗いなかを数歩歩く」ことになりますし、保持時間が短いと立ち話の途中で消えます。センサは「入れるかどうか」より「どう設定するか」で評価が決まります

Q3. 点滅グループは、図面のどこに書けばいいですか?
A. 平面図の器具に記号(a・b・c など)を添え、スイッチにも同じ記号を書きます。第6回で図面化の話をしますが、コンセント編の回路番号とまったく同じ考え方です ― 2つの要素を共通のキーで結ぶ。これができていない図面は、現場で必ず質問が来ます。

次回予告

第5回は「回路分割と分電盤」。1回路に何台まで載せるか、電圧降下はどこで効くか、開閉器のサイズはどう決めるか。決めた器具とグループを、盤の中に落とし込みます。連載全体の地図は 設計・施工マニュアル からどうぞ。

→ 公開しました:第5回 回路分割と分電盤 ― 1回路の容量・電圧降下・開閉器

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