連結送水管と連結散水設備は、どちらも建物が自分で消火するための設備ではありません。消防隊が来て、消防ポンプ自動車から送水してはじめて働く配管設備です。消防法施行令第7条第6項が定める「消火活動上必要な施設」に、排煙設備・非常コンセント設備・無線通信補助設備とならんで列挙されています。

電気設備の設計者から見ると、この2つは扱いがまったく違います。連結散水設備には、条文上、電源・非常電源・起動装置の規定がありません。いっぽう連結送水管は、階数11以上の建築物になると非常電源を附置した加圧送水装置が必要になり、起動装置の遠隔操作、電動機、非常電源2時間という電気設計の仕事が発生します。

この記事では、この2設備の設置基準を条文の文言そのままで整理し、電気設計者が押さえるべき点を図で示します。あわせて、市販の解説書や技術資料でよく見かける誤り(散水ヘッドの「開放型/閉鎖型」の取り違え、非常電源を30分と書くもの、改正前の用語のままのもの)を一次資料で訂正します。

連​結送水管と連​結散水設備の守備範囲連​結送水管地上の高い階へ 消防隊が水を送る配管対象:階数7以上/階数5以上かつ6,000㎡以上   地​下街1,000㎡以上/アーケード   道路の用に供される部分(令第29条第1項)放​水口:3階以上の各階水平距離50m以下(アーケード・道路部分は25m)電気設計が要るのはここ階数11以上 → 加​圧送水装置(令第29条第2項第4号ロ)非​常電源は 2時間 以上(規則第31条第7号)起​動装置は送​水口の直近/中​央管理室から遠隔操作連​結散水設備地階へ 外から散水するための配管対象:地階の床面積の合計が700㎡以上   (地​下街は延べ面積700㎡以上)   (令第28条の2第1項)散​水ヘッド:水平距離3.7m以下1の送水区域に10個以下(開放型・閉鎖型散​水ヘッド)電源の規定は「ない」規則第30条の3に 電源・非​常電源・起​動装置の号がない排​煙設備の細目(規則第30条)にはある。対比で覚えるただし総​合操作盤の準用だけはある(同条第5号)どちらも消防ポンプ自動車が送水してはじめて働く。建物側に水源も加圧装置も原則もたない令第7条第6項が定める「消​火活動上必要な施設」=排​煙設備・連​結散水設備・連​結送水管・非​常コンセント設備・無​線通信補助設備HARITA
図1:連結送水管は地上の高い階、連結散水設備は地階。電源の規定があるのは連結送水管だけ

連結送水管と連結散水設備は何が違うのか

どちらも消防隊のための配管設備ですが、守る場所が正反対です。

連結送水管は、はしご付消防自動車では届かない高い階へ、建物内の配管を通じて水を送るための設備です。地上の高層部分が対象になります。

連結散水設備は、火災の煙と熱がこもって消防隊が進入できない地階へ、外の送水口から水を送り、天井の散水ヘッドから散水するための設備です。地階が対象です。

両者に共通しているのは、建物側に水源も加圧装置も原則としてもたないという点です。屋内消火栓設備やスプリンクラー設備のような「消火設備」ではなく、消防隊の活動を支援する「消火活動上必要な施設」に分類されるのはこのためです。

令第7条第6項の条文

「法第十七条第一項の政令で定める消火活動上必要な施設は、排煙設備、連結散水設備、連結送水管、非常コンセント設備及び無線通信補助設備とする。」

消火設備を列挙した同条第2項(消火器・屋内消火栓設備・スプリンクラー設備・水噴霧・泡・不活性ガス・ハロゲン化物・粉末・屋外消火栓・動力消防ポンプの10種)には、連結散水設備は入っていません。名前に「散水」とあるので消火設備と誤解されがちですが、区分は別です。

連結送水管を設置する防火対象物(令第29条第1項)

令第29条第1項は、次の5つを列挙しています。条文の文言のままです。

対象要件
第1号別表第一に掲げる建築物地階を除く階数が7以上のもの(面積要件なし)
第2号別表第一に掲げる建築物地階を除く階数が5以上で、延べ面積が6,000㎡以上のもの
第3号(十六の二)項=地下街延べ面積が1,000㎡以上のもの
第4号(十八)項要件なし(=該当すればすべて)
第5号別表第一に掲げる防火対象物道路の用に供される部分を有するもの

注意したいのが第4号です。「延長50m以上のアーケード」という説明をよく見かけますが、令第29条の条文に「50メートル」という数字は書かれていません。条文は「別表第一(十八)項に掲げる防火対象物」とだけ書いており、50mという数字は令別表第一の(十八)項の欄にあります。引用するときは別表を併記しないと根拠が飛びます。

また、第1号と第2号はいずれも「地階を除く階数」で数えます。地階が何層あっても、この判定には入りません。地階側は連結散水設備の守備範囲だからです。

連結送水管の技術基準は3段階で積み上がる

連結送水管の技術基準は、①すべての連結送水管に共通する要件、②地階を除く階数が11以上の建築物で追加される要件、③高さが70mを超える建築物でさらに追加される要件、という3段構えになっています。

連​結送水管は3段階で要件が積み上がる① 共通すべての連​結送水管送​水口は双口形/主管の内径100mm以上(令第29条第2項第2号・第3号)放​水口は3階以上の各階、水平距離50m以下、床面上0.5〜1m送​水口は地盤面上0.5〜1m、ホース接続口は立管の数以上/標識を設ける② +11階以上地階を除く階数が11以上の建築物11階以上の部分の放​水口は双口形(令第29条第2項第4号イ)放水用器具格納箱:長さ20mのホース4本以上+筒先2本以上 位置は一の直通階段について階数3以内ごと、放​水口から歩行距離5m以内非​常電源を附置した加​圧送水装置(同号ロ/規則第31条第7号=2時間以上)③ +70m超高さが70メートルを「超える」建築物連​結送水管を湿式とする(規則第31条第6号イ)ポンプ吐出量:隣接2階の放​水口数の合計の最大値(上限3)×800L/min 立管ごとに加​圧送水装置を設けるときは1,600L/min以上全揚程 H=h1+h2+h3+60m/起​動装置は直接操作+送​水口直近又は中​央管理室令は「総務省令で定めるところにより加​圧送水装置を設けること」と書き、規則はその中身を70m超についてしか定めていないこのため実務では、階数11以上でも高さ70m以下なら加​圧送水装置は求められない、と扱われるHARITA
図2:共通要件に、階数11以上・高さ70m超で要件が積み上がる。電気設計が発生するのは②以降

① すべての連結送水管に共通する要件

項目基準根拠
放水口の設置階3階以上の各階(第1号・第2号の建築物の場合)令第29条第2項第1号イ
放水口までの水平距離50m以下。地下街の地階も50m以下、(十八)項と道路の用に供される部分は25m以下令第29条第2項第1号イ〜ニ
放水口の位置階段室、非常用エレベーターの乗降ロビーその他これらに類する場所令第29条第2項第1号
放水口の高さホース接続口は床面からの高さ0.5m以上1m以下規則第31条第2号
送水口双口形とし、消防ポンプ自動車が容易に接近できる位置令第29条第2項第3号
送水口の高さ・数ホース接続口は地盤面からの高さ0.5m以上1m以下。数は立管の数以上規則第31条第1号
主管の内径100mm以上(ただし書あり)令第29条第2項第2号
標識送水口・放水口の見やすい箇所に設ける規則第31条第4号

主管100mmのただし書は何か

令第29条第2項第2号のただし書を受けるのが規則第30条の4第1項です。消防長又は消防署長が「フォグガンその他の霧状に放水することができる放水用器具のうち定格放水量が200L/min以下のもののみを使用するもの」として指定した防火対象物で、主管の内径が水力計算により算出された管径以上である場合に限られます。設計者が任意に細くできる規定ではありません。

② 地階を除く階数が11以上の建築物で追加されるもの

令第29条第2項第4号は、地階を除く階数が11以上の建築物について、イ・ロ・ハの3つを追加します。

内容細目
11階以上の部分に設ける放水口は双口形とすること
総務省令で定めるところにより、非常電源を附置した加圧送水装置を設けること規則第31条第6号イ・第7号
総務省令で定めるところにより、放水用器具を格納した箱を放水口に附置すること規則第31条第6号ロ・ハ・ニ

放水用器具の中身は規則第31条第6号ロが「長さ20メートルのホース4本以上及び筒先2本以上」と具体的に指定しています。格納箱の位置は同号ハで「一の直通階段について階数3以内ごとに、一の放水口から歩行距離5メートル以内」です。この「階数3以内ごと」「歩行距離5m以内」は自治体の指導基準ではなく、省令そのものの文言です。

格納箱を省略できる場合

令第29条第2項第4号ハにはただし書があり、その受け皿が規則第30条の4第2項です。「非常用エレベーターが設置されており、消火活動上必要な放水用器具を容易に搬送することができるものとして消防長又は消防署長が認める建築物」であれば、格納箱を省略できます。非常用エレベーターの有無が効いてくるので、建築計画との調整事項になります。

③ 高さが70mを「超える」建築物で追加されるもの

規則第31条第6号イは、高さ70メートルを超える建築物について、連結送水管を湿式とし、加圧送水装置の具体的基準を定めています。「70m以上」ではなく「70mを超える」です。

項目基準(規則第31条第6号イ)
方式連結送水管を湿式とすること
ポンプの吐出量隣接する2の階に設けられる放水口の設置個数を合計した個数のうち最大となる個数(3を超えるときは3)に800L/minを乗じて得た量以上。立管ごとに加圧送水装置を設ける場合は1,600L/min以上
ポンプの全揚程H=h1(ホースの摩擦損失水頭)+h2(配管の摩擦損失水頭)+h3(落差)+h4=60m(ノズル先端の放水時の水頭)
起動装置直接操作できるものであり、かつ送水口の直近又は中央管理室に設けられた操作部から遠隔操作できること
設置場所火災等の災害による被害を受けるおそれが少ない箇所に、送水上支障のないように設ける

「階数11以上」と「高さ70m超」の関係

ここは条文の構造を理解しないと混乱するところです。

加圧送水装置を義務づけているのは令第29条第2項第4号ロで、対象は「地階を除く階数が11以上の建築物」です。ところが同号は「総務省令で定めるところにより」と書いていて、その総務省令=規則第31条第6号イは高さ70mを超える建築物についてしか中身を定めていません

このため実務では、階数11以上でも高さが70m以下であれば加圧送水装置は求められないと扱われます。「11階以上なら必ずブースターポンプ」と覚えると過剰設計になります。逆に、階数11以上という条件も同時に必要なので、階数10以下で高さ70m超(倉庫・工場など天井の高い建物)にも義務は及びません。

加圧送水装置の電気設計|非常電源は「2時間」

連結送水管で電気設備設計者の仕事になるのは、加圧送水装置(ブースターポンプ)まわりです。ここは誤りが多いので、条文を一つずつ確認します。

加​圧送水装置まわりの電気設計中​央管理室に設けた操作部から遠隔操作送​水口の直近に設けた操作部から遠隔操作規則第31条第6号イ(ハ)加​圧送水装置原動機は電動機とすること(規則第12条第1項第7号ハ(チ)の例)停止は直接操作のみ遠隔で止められる構造にしない(同号トの例)非​常電源は 2時間 以上(規則第31条第7号)種類は規則第12条第1項第4号の例=非​常電源専​用受​電設備・自​家発電設備・蓄​電池設備・燃​料電池設備延べ面積1,000㎡以上の特​定防​火対象物では専​用受​電設備は使えない屋​内消火栓設備の非​常電源は30分。連​結送水管は「規則第12条第1項第4号の例による」が、容量だけは規則第31条第7号で2時間と別に定められている条文が準用しているのは種類と設置方法であって、容量ではないHARITA
図3:起動は送水口直近と中央管理室から遠隔、停止は直接操作のみ。非常電源は2時間

非常電源の容量は屋内消火栓と違う

規則第31条第7号の文言はこうです。

非常電源は、その容量を連結送水管の加圧送水装置を有効に二時間以上作動できる容量とするほか、第十二条第一項第四号の規定の例により設けること。

ここを「屋内消火栓と同じ30分」と書いている資料がありますが、誤りです。規則第12条第1項第4号ロが定める30分は屋内消火栓設備の値であって、連結送水管には規則第31条第7号が2時間と別に定めています。「第12条第1項第4号の規定の例による」のは非常電源の種類と設置方法であって、容量ではありません。

種類については規則第12条第1項第4号の柱書が効きます。原則は非常電源専用受電設備・自家発電設備・蓄電池設備・燃料電池設備のいずれかですが、延べ面積1,000㎡以上の特定防火対象物(小規模特定用途複合防火対象物を除く)では、非常電源専用受電設備は使えません。自家発電設備・蓄電池設備・燃料電池設備のいずれかになります。

非常電源の4種類そのものの違いは消防用設備の非常電源|4種類の違いで整理しています。

起動装置は2か所から遠隔操作

規則第31条第6号イ(ハ)は「起動装置は、直接操作できるものであり、かつ、送水口の直近又は中央管理室に設けられた操作部から遠隔操作できるものであること」と定めています。

条文が使っているのは「中央管理室」で、「防災センター」ではありません。中央管理室は建築基準法施行令第20条の2に由来する用語で、消防法令の「防災センター」とは根拠も定義も違います。両者の関係は防災センターと中央管理室で整理しました。

停止側は、規則第12条第1項第7号トの例により「直接操作によつてのみ停止されるもの」です。遠隔で止められる回路にしてはいけません。消防隊が放水しているときに、離れた場所の操作で止まってしまうことを防ぐためです。原動機は同号ハ(チ)の例により電動機とします。

表示灯の規定は連結送水管にはない

屋内消火栓設備には規則第12条第1項第3号で起動装置と表示灯の規定がありますが、この号は規則第31条に準用されていません。「送水口には表示灯を付けること」という指導を受けることがありますが、それは自治体の審査基準・指導基準によるものです。政省令の義務と、自治体の運用基準は分けて把握しておくと、協議のときに話が早くなります。

なお規則第31条第9号は、規則第12条第1項第8号(総合操作盤)を連結送水管について準用しています。総合操作盤が必要になる規模の建物では、連結送水管も監視対象に入ります。総合操作盤の要否は総合操作盤はいつ義務になるかを参照してください。

連結散水設備を設置する防火対象物(令第28条の2第1項)

条文は次のとおりです。

連結散水設備は、別表第一(一)項から(十五)項まで、(十六の二)項及び(十七)項に掲げる防火対象物で、地階の床面積の合計(同表(十六の二)項に掲げる防火対象物にあつては、延べ面積)が七百平方メートル以上のものに設置するものとする。

連​結散水設備|700㎡の数え方とヘッド不要部分700㎡の数え方地階の床面積の合計 ≧ 700㎡地​下街(十六の二)項だけは「延べ面積」で判定算入するもの店舗・事務所・倉庫はもちろん、駐車場・機械室・電気室も地階なら全部入れる条文に用途による控除の定めは一つもない対象用途(令第28条の2第1項)(一)項〜(十五)項、(十六の二)項、(十七)項(十六)項 複合用途防​火対象物 と(十六の三)項 準地​下街 は列挙されていない散​水ヘッドを設けない5類型規則第30条の2(この5つ「以外」に設ける、と書いてある)特​定主​要構造部を耐​火構造とし、耐​火構造の壁・床又は自動閉鎖の防​火戸で区画された床面積50㎡以下の部分浴室、便所その他これらに類する場所特​定主​要構造部を耐​火構造とし、特​定防火設備の防​火戸で区画されたEV機械室・機械換気の機械室・通信機器室等発​電機、変​圧器その他これらに類する電​気設備の設置場所EVの昇降路、リネンシュート、パイプダクト等この5類型は「散​水ヘッドを設けない部分」であって、700㎡の面積算定から除く部分ではない条文の用語は現行では「特​定主​要構造部」。「主​要構造部を耐​火構造とした」と書いた資料は改正前の表記HARITA
図4:700㎡は地階の床面積の合計。ヘッド不要の5類型は面積算定の除外ではない

読むときの注意点が3つあります。

1つめ。(十六)項=複合用途防火対象物は列挙されていません。(十六の三)項=準地下街も入っていません。列挙は(一)項〜(十五)項、(十六の二)項、(十七)項です。複合用途については、令第9条の設置単位の考え方(各用途部分をそれぞれ一の防火対象物とみなす)を経由して判断することになります。

2つめ。判定は「地階の床面積の合計」です。地下街だけが「延べ面積」で、それ以外は地階だけを足します。

3つめ。床面積の算定から用途によって控除する規定は、条文に一つもありません。地階にある駐車場も、機械室も、電気室も、床面積として全部算入します。あとで説明する「散水ヘッドを設けない部分」(規則第30条の2)に機械室や電気設備の場所が挙がっているため、これを面積算定の除外と誤解した記述をよく見かけますが、別の話です

散水ヘッドを設ける部分・設けない部分

令第28条の2第2項第1号は「地階の部分のうち総務省令で定める部分の天井又は天井裏に」散水ヘッドを設けると書き、その総務省令が規則第30条の2です。規則は「次の各号に掲げる部分以外の部分とする」という裏返しの書き方をしています。除外されるのは図4の5類型です。

電気設備設計者にとって直接関係するのが第4号です。「発電機、変圧器その他これらに類する電気設備が設置されている場所」は、区画の条件なしで除外されます。第1号・第3号は「特定主要構造部を耐火構造とした防火対象物のうち、耐火構造の壁若しくは床又は自動閉鎖の防火戸で区画された」という条件が付きますが、第4号にはそれがありません。

「主要構造部」ではなく「特定主要構造部」

2024年以前に書かれた資料は、規則第30条の2第1号・第3号を「主要構造部を耐火構造とした防火対象物のうち」と引用しています。現行条文の用語は「特定主要構造部」です。建築基準法の改正で主要構造部の考え方が整理されたことに伴う用語改正で、消防法施行規則の関係条文も一斉に置き換わりました。条文をそのまま引用する場面(設計図書の凡例、消防協議の資料)では、現行の表記に直しておくべきところです。

散水ヘッドの種類と数|「開放型20個」は誤り

ここが最も誤りの多い部分です。規則第30条の3第1号ロ・ハは、ヘッドを3種類に分けています。

ヘッドの種類水平距離1の送水区域に接続する数
開放型散水ヘッド3.7m以下10以下
閉鎖型散水ヘッド3.7m以下10以下
閉鎖型スプリンクラーヘッド令第12条第2項第2号(標準型ヘッドのうち高感度型以外)の例による20以下

つまり20以下なのは「閉鎖型スプリンクラーヘッド」であって、「開放型スプリンクラーヘッド」でも「閉鎖型散水ヘッド」でもありません。市販の解説書に「開放型スプリンクラーヘッドの場合は耐火構造で2.3m、地下街で2.1m、1つの送水区域のヘッド数は20個以下」と書かれているものがありますが、条文にあたると閉鎖型スプリンクラーヘッドの規定です。2.3m/2.1mという数字も、令第12条第2項第2号を経由して出てくる値で、規則第30条の3に直接書かれているわけではありません。

また、1の送水区域に接続する散水ヘッドは「いずれか一の種類のもの」でなければなりません(規則第30条の3第1号ホ)。同じ区域に開放型と閉鎖型を混在させることはできません。

送水口と管径

送水口のホース接続口は双口形が原則ですが、規則第30条の3第4号イにただし書があり、1の送水区域に取り付ける散水ヘッドの数が4以下であれば単口形でかまいません。連結送水管の送水口(令第29条第2項第3号)には、この種の緩和はありません。

高さは「地盤面からの高さが0.5m以上1m以下の箇所又は地盤面からの深さが0.3m以内の箇所」です(同号ロ)。連結送水管の送水口が0.5〜1mだけなのに対し、連結散水設備はピット内設置も条文上認められています。

送水口には、連結散水設備の送水口である旨の標識に加えて、送水区域・選択弁・送水口を明示した系統図を設けなければなりません(同号ニ)。選択弁を設ける場合は送水口の付近です(同条第2号)。

管口径は開放型・閉鎖型散水ヘッドを用いる場合、1の送水区域のヘッド取付個数で決まります。

散水ヘッドの取付け個数1234又は56以上10以下
管の呼び(以上)32mm40mm50mm65mm80mm

連結散水設備の設置が免除される場合

令第28条の2は第3項と第4項で、2通りの免除を定めています。

第3項|他の消火設備を設置した場合

送水口を附置したスプリンクラー設備、水噴霧消火設備、泡消火設備、不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備又は粉末消火設備を、令第12条〜第18条の技術上の基準に従い又はその例により設置したときは、当該設備の有効範囲内の部分について連結散水設備を設置しないことができます。

条件が2つあることに注意してください。1つは「送水口を附置した」ものであること。消防隊が外から送水できなければ、連結散水設備の代わりにはなりません。もう1つは「有効範囲内の部分について」の部分免除であること。建物全体が免除されるわけではありません。

第4項|連結送水管と排煙設備を設置した場合

連結送水管を令第29条の技術上の基準に従い又はその例により設置したときは、「消火活動上支障がないものとして総務省令で定める防火対象物の部分」について免除されます。その総務省令が規則第30条の2の2で、次の2つです。

部分
第1号排煙設備を令第28条に定める技術上の基準に従い、又はその例により設置した部分
第2号規則第29条(排煙設備の設置を要しない防火対象物の部分)の規定に適合する部分

つまり連結送水管があるだけでは免除されません。連結送水管に加えて、排煙設備が設置されているか、排煙設備を要しない部分に該当することが必要です。地階に煙がこもらない状態が確保できてはじめて、消防隊が進入して連結送水管で消火できる、という考え方です。排煙設備の設置基準は排煙設備は消防法と建築基準法で別物で整理しています。

連結散水設備に電源の規定はない

電気設備設計者が最初に確認すべき点です。連結散水設備には、条文上、電源・非常電源・起動装置の規定がありません。

根拠は「書かれていないこと」なので、条文の構造で確認します。令第28条の2第2項の技術上の基準は第1号(散水ヘッド)と第2号(送水口)の2号だけです。規則第30条の3の細目も、第1号(散水ヘッド)・第2号(選択弁)・第3号(配管)・第4号(送水口)・第5号(総合操作盤の準用)の5号で、電源に関する号がありません。

比較すると分かりやすいのが排煙設備です。同じ「消火活動上必要な施設」でも、規則第30条は第4号に起動装置、第7号に電源、第8号に非常電源、第9号に操作回路の配線を明示的に置いています。連結散水設備の細目には、これに対応する号が存在しません。

ただし総合操作盤の準用だけはある

「電気的要素がまったくない」と言い切ると不正確です。規則第30条の3第5号が規則第12条第1項第8号(総合操作盤)を準用しているため、高層・大規模建築物などで総合操作盤が必要になる場合には、連結散水設備も防災センター等での監視対象に入ります。設備自体を動かす電源は不要でも、監視系には出てくる、という理解が正確です。

点検の周期は2設備で違う

平成16年消防庁告示第9号が定める点検の期間は、この2設備で異なります。

設備機器点検総合点検
連結送水管6か月1年
排煙設備6か月1年
連結散水設備6か月なし
非常コンセント設備6か月なし
無線通信補助設備6か月なし

連結散水設備・非常コンセント設備・無線通信補助設備が総合点検の対象外なのは、作動させて性能を確認する電気的な系統をもたないことと整合しています。点検と報告の全体像は消防用設備等の点検と報告にまとめました。

連結送水管の耐圧性能点検

連結送水管には、他の設備にはない耐圧性能点検があります。根拠は消防法第17条の3の3、規則第31条の6、そして昭和50年消防庁告示第14号 別表第20です。

対象実施の条件
放水用器具格納箱内のホース製造年の末日から10年を経過した日以降。ただし耐圧性能点検を行ってから3年を経過していない場合を除く
配管設置した日から10年を経過した日以降。ただし耐圧性能点検を行ってから3年を経過していない場合、および屋内消火栓設備と配管を共用している部分を除く

この10年・3年は規則第31条に書かれているのではなく、点検の告示に書かれています。規則第31条第5号チが定める「設計送水圧力の1.5倍以上の水圧に耐えること」は設置時の性能要件で、維持管理としての耐圧性能点検とは別の話です。

よくある誤りを条文で確認する

よく見かける記述条文で確認すると
散水ヘッドは「開放型はヘッド20個以下」20以下なのは閉鎖型スプリンクラーヘッド。開放型散水ヘッドも閉鎖型散水ヘッドも10以下(規則第30条の3第1号ハ)
散水ヘッド不要部分は「主要構造部を耐火構造とした」現行条文は「特定主要構造部を耐火構造とした」(規則第30条の2第1号・第3号)
連結送水管の非常電源は30分2時間以上(規則第31条第7号)。30分は屋内消火栓設備の値
加圧送水装置は「高さ70m以上」「高さ七十メートルを超える建築物」(規則第31条第6号イ)。かつ地階を除く階数11以上であることも必要
令第29条は「延長50m以上のアーケード」令第29条第1項第4号は「別表第一(十八)項」とだけ書く。50mは別表第一にある
連結散水設備の700㎡は機械室・駐車場を除く条文に用途による控除の定めはない。地階の床面積の合計をそのまま足す(令第28条の2第1項)
連結送水管があれば連結散水設備は免除連結送水管に加えて排煙設備の設置または排煙設備を要しない部分に該当することが必要(規則第30条の2の2)
格納箱の「階数3以内ごと・歩行距離5m以内」は自治体の指導規則第31条第6号ハの条文そのもの
「消防隊専用栓」という設備がある令第29条・規則第31条・規則第30条の4のいずれにもこの語はない。実務上の通称
送水口には表示灯を設ける規則第31条に表示灯の規定はない(規則第12条第1項第3号は準用されていない)。自治体の審査基準による

確認できなかったこととして正直に書いておきます。連結送水管の耐圧性能点検の運用を示した通知(平成14年6月11日 消防予第173号)については、題名・番号・耐圧試験に言及していることまでは一次資料で確認できましたが、試験圧力の具体値や経過措置の逐語部分は本文を取得できませんでした。実務で圧力値を扱う場合は、点検要領の原本を確認してください。

設計・施工でつまずきやすい実務ポイント

送水口の位置は建築計画と早めに詰める

連結送水管も連結散水設備も、送水口は「消防ポンプ自動車が容易に接近することができる位置」に設けます。建物が完成してから消防車の部署位置を確認すると、植栽・駐輪場・段差でアプローチできないことがあります。外構図と一緒に確認するのが確実です。

加圧送水装置の非常電源は自家発の負荷計算に入れる

2時間の容量が必要なので、自家発電設備の燃料槽の容量計算に効いてきます。屋内消火栓(30分)と同じ扱いで拾うと不足します。延べ面積1,000㎡以上の特定防火対象物では非常電源専用受電設備が使えない点とあわせて、受変電・発電機の計画段階で押さえておく項目です。

遠隔操作部の位置は「送水口の直近」と「中央管理室」

起動装置の遠隔操作部は、条文上は「送水口の直近又は中央管理室」です。「又は」なのでどちらか一方でよいと読めますが、消防隊が送水しながら起動できることを重視して、実務では送水口直近に設けたうえで中央管理室にも設けるのが一般的です。ここは所轄消防との協議事項になります。

連結散水設備は「電気工事がない設備」として抜けやすい

電源も起動装置もないため、電気図面には原則として何も出てきません。ただし総合操作盤の準用があるため、総合操作盤を設ける建物では監視対象として整理が必要です。設備一覧表を作るときに落とさないよう注意してください。

まとめ

連結送水管は地上の高層部分、連結散水設備は地階。どちらも消防ポンプ自動車の送水があってはじめて働く「消火活動上必要な施設」で、建物側に水源をもちません。

電気設備設計者の仕事が発生するのは連結送水管です。地階を除く階数が11以上で加圧送水装置が必要になり、高さ70mを超えると規則が具体的な基準を定めます。非常電源は2時間以上、起動装置は直接操作+送水口直近又は中央管理室からの遠隔操作、停止は直接操作のみ、原動機は電動機。この4点が核心です。

連結散水設備には電源・非常電源・起動装置の規定がありません。ただし総合操作盤の準用はあるので、監視系では出てきます。設置判定は「地階の床面積の合計700㎡以上」で、用途による控除はありません。

そして数値を引用するときは、それが政令なのか、省令なのか、告示なのか、自治体の審査基準なのかを分けて把握しておくこと。協議で根拠を聞かれたときに、答えが変わってきます。

参考条文・告示

  • 消防法 第17条第1項、第17条の3の3
  • 消防法施行令 第7条第6項(消火活動上必要な施設の種類)
  • 消防法施行令 第28条の2(連結散水設備に関する基準)第1項〜第4項
  • 消防法施行令 第29条(連結送水管に関する基準)第1項・第2項
  • 消防法施行規則 第30条の2(連結散水設備の散水ヘツドを設ける部分)
  • 消防法施行規則 第30条の2の2(連結散水設備の設置を要しない防火対象物の部分)
  • 消防法施行規則 第30条の3(連結散水設備に関する基準の細目)
  • 消防法施行規則 第30条の4(連結送水管の主管の内径の特例等)
  • 消防法施行規則 第31条(連結送水管に関する基準の細目)
  • 消防法施行規則 第31条の6(点検の期間)、第12条第1項第4号・第7号・第8号
  • 昭和50年消防庁告示第14号 別表第20(連結送水管の点検の基準)
  • 平成16年消防庁告示第9号(点検の期間・方法・報告書の様式)
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