技術図書館家の電気の打ち合わせはボードを貼る前まで変更できる期限、事前に決める3つ、コンセントの数と高さの使い分けこの資料をスライドで見る資料一覧を見る
新築の電気設備の決め方をQ&A形式で1枚にまとめた図
この記事のポイントを1枚にまとめました。

「電気の打ち合わせは1回2時間」で家の使い勝手は決まります。コンセントの数と高さ、専用回路、分電盤の予備回路、EV充電の先行配管、2026年の補助金まで、電気設備設計者が家づくりの流れに沿って解説します。

結論

電気の打ち合わせは着工の1〜2か月前に1〜2回だけ。しかも壁をふさいだ後は変更できません。家具と家電の配置を実寸で決めてから臨むこと、コンセントは数より位置と高さで考えること、分電盤に予備回路を2〜4回路残すこと。この3つを押さえるだけで、住んでからの後悔は大きく減ります。

  • 変更の限界は「壁のボードを貼る前」まで
  • 家具・家電のレイアウトを決めてからコンセントの位置を決める
  • 専用回路が必要な家電を把握し、予備回路を残す
  • EV充電は使わなくても空配管だけ先行しておく
  • 補助金は契約前に「登録事業者か」を確認する

家づくりで「間取り」や「外観」には何時間もかけたのに、電気の打ち合わせは1回・2時間で終わってしまった——。実はこれ、住んでから後悔する人がとても多いパターンです。コンセントの位置、スイッチの高さ、回路の分け方は、暮らしはじめてから毎日ふれる部分。しかも着工してしまうと、変えるのに壁を壊す必要が出てきます。

この記事では、電気設備設計を本業とする立場から、これから家を建てる方に向けて「住まいづくりで押さえておきたい電気まわりの考え方」を、家づくりのスケジュールに沿って整理しました。専門用語はできるだけ噛み砕いていますので、打ち合わせ前のチェックリストとして使ってください。

1. 家づくりのスケジュール|電気の打ち合わせは「後半にいきなり来る」

トピック①:家づくりのスケジュール

まず全体像です。注文住宅の場合、土地探しから引き渡しまではおおむね1年〜1年半。そのなかで電気設備の打ち合わせは、間取りがほぼ固まった着工の1〜2か月前に集中します。

1-1. 家づくり全体の流れと電気の関わり

段階 期間の目安 電気設備で関係すること
土地探し・資金計画 3〜6か月 引込方法(架空/地中)、電柱の位置、太陽光の載せやすさ(方位・屋根形状)
プラン作成・間取り決定 2〜4か月 分電盤の設置場所、給湯機・室外機の置き場、EV充電の想定位置
仕様決定(内装・設備) 1〜2か月 照明器具の選定、IH/ガス、食洗機、床暖房などの電気容量
電気配線打ち合わせ 1〜2回 コンセント・スイッチ・照明の位置と数を最終決定
着工〜上棟 1〜2か月 先行配管・スリーブ。ここまでが変更のほぼ限界
配線工事(木工事中) — 現場で位置確認できる最後のチャンス
内装仕上げ〜引き渡し 2〜3か月 器具付け。位置変更は壁の解体が必要=実質不可

1-2. 「変更が効くタイムリミット」を知っておく

電気工事は、大工工事で骨組みができた段階(上棟後)から壁をふさぐ前までの間に、一気に配線を通します。つまり壁の下地(石膏ボード)が貼られる前が最終ライン。ここを過ぎると、追加のコンセント1か所でも「壁を開ける・直す・クロスを貼り直す」という工事になり、費用も数万円単位に跳ね上がります。

覚えておきたいこと
配線打ち合わせのあとでも、ボードを貼る前なら現場で微調整できることが多いです。上棟後に一度は現場を見せてもらい、実際の空間でコンセントの高さや位置を確認させてもらいましょう。「この壁にテレビを置くので、この高さに」と現場で伝えられると精度が上がります。

家づくりの流れと電気の変更ができる期限を示した図
ここを過ぎると、壁を開ける工事になります。
ここまでのポイント
  • 電気の打ち合わせは、着工の1〜2か月前に集中する
  • 石膏ボードを貼る前が、変更できる最終ライン
  • 上棟後に一度は現場を見せてもらう


2. 打ち合わせ前に決めておくべき3つのこと

トピック②:打ち合わせ前に決めておくべき3つのこと

電気の打ち合わせが失敗する最大の原因は、「家具と家電が決まっていない状態で、コンセントの位置を決めてしまう」ことです。逆に言えば、次の3つを事前に整理しておくだけで、後悔はかなり減らせます。

2-1. 家具・家電のレイアウトを先に決める

間取り図に、ソファ・ダイニングテーブル・テレビボード・ベッド・食器棚・冷蔵庫を、実寸で書き込んでください。「たぶんこの辺」ではなく、幅と奥行きの数字を入れることが大切です。家具の裏に隠れるコンセントは、あってもないのと同じです。

2-2. 生活動線を「時間軸」で書き出す

朝起きてから寝るまでの動きを、時間順に書き出してみましょう。

  • 6:30 起床 → 寝室の照明をベッドから消したい(枕元スイッチ)
  • 7:00 キッチンでトースター・ケトル・コーヒーメーカーを同時使用(回路とコンセント数)
  • 7:30 洗面でドライヤー+ヘアアイロン(鏡横に2口以上)
  • 8:00 玄関でスマホ・電動自転車の充電(玄関土間の電源)
  • 20:00 リビングで在宅ワーク・掃除機(廊下・階段まわりのコンセント)

この「行動」と「使う家電」のセットが、そのままコンセント計画になります。

2-3. 10年後・20年後の変化を想定する

家は30年以上使います。今は必要なくても、配線ルートだけ通しておけば安く済むものがあります。

将来の変化 今やっておくと安いこと
EV(電気自動車)に乗り換える 駐車場まで空配管(CD管)を先行埋設、分電盤に予備回路を確保
子ども部屋を2つに分割する 将来の間仕切り位置の両側にコンセント・照明・スイッチを配置
在宅勤務が増える 各室にLAN配線、Wi-Fiアクセスポイント用の天井配線
親と同居・介護が必要になる 1階に水まわり動線、スイッチ高さを低め(FL+1,000mm前後)に統一
太陽光・蓄電池を後から導入 屋根の載せやすさ、パワコン設置スペース、配管ルートの確保
電気の打ち合わせ前に決めておく3つのことの図
この3つだけで、後悔はかなり減らせます。
ひっかけ注意
家具って、そこまで決まっていないんですが。
完璧でなくて大丈夫です。ソファとテレビボード、ベッド、食器棚の4つだけでも幅と奥行きを入れてみてください。 「それだけで変わりますか。」 変わります。家具の裏に隠れるコンセントは、あってもないのと同じですから。
ここまでのポイント
  • 家具・家電のレイアウトを実寸で図面に書き込む
  • 1日の動線を時間軸で書き出すと、電源の位置が決まる
  • EV・子ども部屋の分割は、配線ルートだけ先に通す


3. コンセント計画|「数」より「位置と高さ」で差がつく

トピック③:コンセント計画

3-1. 部屋別・数の目安

一般的な目安は「2畳あたり1か所(2口)」。ただしこれは最低ラインで、実際にはリビングとキッチンは多めが正解です。

場所 目安の口数 ポイント
LDK(16〜20畳) 10〜14口 テレビ裏、ソファ横、ダイニング下、掃除機用を分けて考える
キッチン 6〜10口 カウンター上に2口×2か所以上。冷蔵庫・電子レンジは専用回路
寝室(6〜8畳) 4〜6口 枕元の左右に必ず。スマホ充電+照明+加湿器
子ども部屋(6畳) 4〜6口 机の位置に2口+USB、ベッド側に1か所
洗面脱衣室 4〜6口 鏡横に2口以上、洗濯機用は専用回路+アース付き
廊下・階段 各1か所 掃除機・充電式家電・常夜灯用
玄関・土間 1〜2か所 電動自転車、季節家電、掃除ロボット
屋外 2か所以上 玄関側と庭側。防水型+できれば専用回路

3-2. 高さの使い分けが「使いやすさ」を決める

コンセントは、床から何ミリの高さに付けるかで使い勝手がまったく変わります。図面には「FL+○○」(Floor Line=床仕上げ面からの高さ)と書かれます。

高さ(FL+) 主な用途
250mm 一般的な標準高さ。家具の裏、掃除機用
400mm ソファ横・ベッド横。かがまずに抜き差ししやすい
900〜1,100mm 洗面の鏡横、デスク上、カウンター上
1,100〜1,250mm キッチンのカウンター上(調理家電用)
1,000〜1,200mm 壁掛けテレビの裏(テレビ本体で隠れる位置に)
1,800〜2,000mm エアコン用、天井付近の機器用

プロの視点
高齢になったとき、床から250mmのコンセントはかなり使いにくくなります。主要な部屋の1か所だけでもFL+400mmにしておくと、長く快適に使えます。

3-3. 「専用回路」が必要な家電を把握する

消費電力の大きい家電は、他の家電と一緒の回路にするとブレーカーが落ちます。次の機器は専用回路(その家電だけのための配線)にするのが原則です。

機器 電圧 備考
エアコン 100V/200V 部屋ごとに専用回路。将来設置予定の部屋も先行配線を
IHクッキングヒーター 200V 大容量。ガスからの変更予定があるなら配線だけでも
電子レンジ・オーブン 100V 単独使用でも1,400W級。他と分ける
炊飯器・電気ケトル 100V 朝の同時使用が多い。カウンター上は2回路に分けたい
食器洗い乾燥機 100V アース必須
洗濯乾燥機 100V/200V ヒートポンプ式は容量大。アース付きコンセント
冷蔵庫 100V 停電時の影響を避けるため単独が安心
エコキュート・電気温水器 200V 深夜電力用の回路構成に注意
床暖房 100V/200V 方式により大きく異なる
EV充電用コンセント 200V 屋外設置。専用回路+漏電遮断器

3-4. 屋外コンセントは「2か所以上」がおすすめ

屋外コンセントは1か所しか付けない家が多いのですが、実際には玄関側(掃除・イルミネーション・高圧洗浄機)と庭・ベランダ側(BBQ・電動工具・車の掃除)でまったく用途が違います。防水型で、床から500〜700mm程度の高さに、最低2か所は確保しておきましょう。

3-5. 棚と造作机は「板の位置」を先に聞く

コンセントの高さでもうひとつ見落とされやすいのが、棚板やカウンターの天板との関係です。壁に棚を付ける場合、コンセントが棚板の下に来てしまうと、差し込み口が板でふさがれて使えません。棚板の上に来る高さで位置を決めておくと、そのまま作業台として使えます。

最近増えているのが、子どもの学習用に低めの造作机(カウンター)をつくるケースです。天板の高さは600〜700mm前後になることが多く、ここは次の3か所に散らしておくと、あとの使い方の変化に対応できます。

  • 板の上(FL+750〜800mm前後):デスクライト、タブレット、充電。天板の上で完結する
  • 板の下(FL+250mm):ルーター、電源タップ、掃除機。配線を天板の裏に隠せる
  • 板の左右(両端):机の向きを変えたときや、きょうだいが並んで使うときに届く

造作は打ち合わせの終盤で決まることが多く、電気の図面に反映されないまま進んでしまいがちです。「この棚(机)の板は、床から何mmですか」——この一言を、配線打ち合わせのときに聞いておいてください。

棚や造作机まわりのコンセント配置の図
板の高さが決まっているなら、上下左右に振り分けておくと後々ラクです。
コンセントの取付高さの使い分けの図
図面には「FL+○○」と書かれます。
部屋別のコンセント口数の目安の図
数の目安です。実際は家具と家電の位置で決めます。
ひっかけ注意
コンセントは、多ければ多いほどいいですか。
数より位置と高さです。10か所あっても家具の裏に隠れていたら使えません。 「高さの目安はありますか。」 標準は床から250mmですが、ソファ横やベッド横は400mmにしておくと、かがまずに抜き差しできます。
ここまでのポイント
  • 目安は2畳あたり1か所(2口)。これは最低ライン
  • 数より「位置と高さ」。家具の裏は使えない
  • 標準はFL+250mm、ソファ横は400mmが使いやすい
  • 棚や造作机は、板の上下左右に散らしておくと後がラク
  • エアコン・IH・電子レンジなどは専用回路に


4. 照明とスイッチ|明るさより「使うシーン」で考える

トピック④:照明とスイッチ

4-1. 照明計画の基本

近年はダウンライト中心のすっきりした天井が主流ですが、数を増やしすぎると「明るいけれど落ち着かない部屋」になります。おすすめは、部屋の役割ごとに光を使い分ける考え方です。

  • 全体照明(シーリング/ダウンライト):作業や掃除のための明るさ
  • 部分照明(ペンダント/ブラケット/スタンド):食卓や読書など、手元を照らす
  • 間接照明(コーブ・コーニス):くつろぐ時間の雰囲気づくり

LDKなら、この3種類を独立してオン・オフできるようにしておくと、朝と夜で表情が変わる部屋になります。

4-2. 意外と見落とされる「ペンダントライトの位置」

ダイニングのペンダントライトは、ダイニングテーブルの中心の真上に来るのが理想です。ところがテーブルのサイズや置き方が後から変わると、光の中心がずれてしまいます。ダクトレール(配線ダクト)にしておけば、後から左右に動かせるので安心です。

4-3. スイッチは「入る側の手の位置」に

場所 推奨
高さ FL+1,200mm が標準。子どもや車いすも考えるなら+1,000〜1,100mm
階段 上下2か所で操作できる3路スイッチは必須
長い廊下 両端で操作できる3路(または4路)
寝室 入口+枕元の3路。これがないと毎晩ストレスになる
LDK リビング入口とキッチン側の両方から操作できると便利
玄関・トイレ・洗面 人感センサー付きが快適。荷物を持っていても点く
屋外灯 明るさセンサー+タイマーで自動点滅に

注意
調光(明るさ調整)をしたい場合は、照明器具と調光スイッチの組み合わせに対応が必要です。LED器具は「調光対応」と書かれたものでないとちらつきや故障の原因になります。後から調光にしたくなっても、配線が違うため簡単には変えられません。迷ったらLDKと寝室だけでも調光にしておくのが無難です。

スイッチの種類と入れる場所の図
「入る側の手の位置」が基本です。
ここまでのポイント
  • 全体・部分・間接の3つを、独立してオン・オフできるように
  • ペンダントはダクトレールにすると後から動かせる
  • 階段と寝室の3路、玄関の人感センサーは効果が大きい


5. 分電盤・回路数・契約容量|家の「電気の心臓部」

トピック⑤:分電盤・回路数・契約容量

5-1. 契約容量(アンペア)の考え方

一般的な戸建てでは単相3線式(100V/200Vが使える方式)で引き込みます。契約容量の目安は次のとおりです。

住まいの条件 契約容量の目安
ガス併用・3人程度 40〜50A
ガス併用・4人以上/エアコン多め 50〜60A
オール電化 60A以上(8〜10kVA)
オール電化+EV充電+蓄電池 10kVA以上を検討

5-2. 回路数は「予備」を必ず残す

分電盤の回路数は、一般的な4人家族の戸建てで16〜24回路程度。ここで大事なのは、空きの予備回路を2〜4回路残しておくことです。将来エアコンを増設する、EV充電を追加する、食洗機を後付けする——といったときに、分電盤ごと交換せずに済みます。数千円の差で、将来の数万円が変わります。

5-3. 分電盤の置き場所

分電盤は「見えないところ」に置きたくなりますが、次の条件を満たす場所を選びましょう。

  • ブレーカーが落ちたときにすぐ手が届く(脚立が必要な高所はNG)
  • 引込口から近い(配線距離が短いほど効率がよい)
  • 洗面所・パントリー・階段下収納など、目立たないが日常的に入る場所
  • 寝室の枕元の壁裏は避ける(わずかな作動音が気になることがある)
契約容量の目安と分電盤の予備回路の図
予備回路の有無で、将来の工事の規模が変わります。
ここまでのポイント
  • オール電化なら60A以上(8〜10kVA)が目安
  • 分電盤は16〜24回路。予備を2〜4回路あけておく
  • 分電盤は目立たないが日常的に入る場所、手の届く高さに

6. これからの住まいに関わる設備トレンド

トピック⑥:これからの住まいに関わる設備トレンド

6-1. 省エネ基準への適合が「義務」になっている

2025年4月以降に着工する新築住宅は、原則として省エネ基準への適合が義務となりました。断熱性能(UA値)と一次エネルギー消費量の基準を満たす必要があり、確認申請の審査対象になります。さらに国は2030年度を目標に、基準をZEH水準へ引き上げる方針を示しています。

つまり、これから建てる家は「そこそこの断熱」では建てられないということ。断熱・気密が上がると、エアコンの必要能力が下がり、電気設備の設計も変わってきます。「各部屋に大きなエアコン」ではなく「少ない台数で家全体を空調する」という考え方も現実的になっています。

6-2. 太陽光は「何kW載せるか」より「何%自分で使えるか」

太陽光発電の売電単価は年々下がり、今では電気を買う単価のほうが、売る単価より高いのが普通です。つまり「発電した電気を売って稼ぐ」時代は終わり、「発電した電気を自分の家で使い切る(自家消費)」ほうが得という構造になっています。

そのため、設計で意識すべきなのは次の点です。

  • 昼間に電気を使う暮らし方(食洗機・洗濯乾燥機・エコキュートの昼間運転)
  • 蓄電池で夜間に回す
  • 屋根の方位・形状(南面がまとまって取れるほど有利)
  • パワーコンディショナの設置場所(屋外なら音、屋内なら発熱に配慮)

6-3. 蓄電池・V2H

蓄電池は「停電対策」と「自家消費率アップ」の2つの価値があります。導入時のチェックポイントは「全負荷型か特定負荷型か」。全負荷型なら停電時も家中のコンセントが使えますが、価格は上がります。

EV(電気自動車)を持っているなら、V2H(車から家へ給電する機器)という選択肢もあります。車の大容量バッテリーをそのまま家庭用蓄電池として使えるため、災害時の備えとしては非常に強力です。設置には200Vの専用回路と、駐車場までの配線ルートが必要になります。

6-4. EV充電は「今は使わなくても配管だけ」

EVに乗る予定がまだなくても、新築時に駐車場まで空配管(CD管)を通しておくことを強くおすすめします。工事費は数万円程度ですが、後から外壁を貫通して配線を引き回すと十数万円かかることも珍しくありません。分電盤側にも予備回路を1つ空けておけば、あとは器具を付けるだけです。

6-5. HEMS・スマートホーム・通信配線

HEMS(家庭のエネルギー管理システム)を入れると、どの回路がどれだけ電気を使っているかが「見える化」されます。太陽光・蓄電池と組み合わせると、自動で最適に運転してくれるものもあります。

あわせて、意外と後悔が多いのが通信配線です。

  • 各居室に有線LAN(Cat6A以上)を1〜2口。テレワーク・オンライン授業に効く
  • ルーター置き場は家の中心付近に。玄関収納の隅だと2階の電波が弱くなる
  • ルーター置き場に、電源+光回線引込+各室へのLANを集約(情報分電盤)
  • 2階の廊下天井にアクセスポイント用のLAN+電源を1か所
これからの住まいの電気設備トレンド5つの図
制度は変わります。最新の要件は公式サイトでご確認ください。
ひっかけ注意
EVに乗る予定はまだないのですが。
それでも、駐車場までの空配管だけは通しておくことをおすすめします。 「使わなかったら無駄になりませんか。」 あとから外壁を貫通して配線を引き回すほうが、ずっと大がかりになります。分電盤の予備回路とセットで考えてください。
ここまでのポイント
  • 2025年4月から、新築は省エネ基準への適合が義務
  • 太陽光は「何kW載せるか」より「何%自分で使えるか」
  • EVは配管と予備回路だけでも先に確保しておく

7. よくある失敗・後悔ポイント12選

トピック⑦:よくある失敗・後悔ポイント12選
よくある後悔 対策
①家具の裏にコンセントが隠れた 家具レイアウトを実寸で図面に書き込んでから位置決め
②キッチンでタコ足配線に カウンター上に2口×2か所以上、回路も分ける
③掃除機を使うたびに抜き差し 廊下・階段の踊り場に1か所ずつ
④玄関に電源がなく電動自転車を充電できない 玄関土間または屋外(玄関側)に1か所
⑤屋外コンセントが1か所だけ 玄関側+庭側の2か所以上、高さ500〜700mm
⑥ペンダントライトがテーブル中心とずれた ダクトレールで後から移動可能に
⑦寝室の照明を消しに起き上がる 入口+枕元の3路スイッチ
⑧洗面でドライヤーとアイロンが同時に使えない 鏡横に2口以上+容量に余裕を
⑨壁掛けテレビの配線が丸見え テレビ裏にコンセント+空配管(HDMI通線用)
⑩ダウンライトが多すぎて落ち着かない 全体・部分・間接に分け、調光を入れる
⑪2階でWi-Fiが弱い ルーターを家の中心に。2階にアクセスポイント配線
⑫EV充電を後付けしたら高額に 新築時に空配管+予備回路を確保
ここまでのポイント
  • 後悔の多くは、家具の位置と高さの読み違いから起きる
  • 屋外コンセントは玄関側と庭側の2か所以上
  • ダウンライトの入れすぎと、Wi-Fiの弱さも定番

8. 打ち合わせ当日に使えるチェックリスト

トピック⑧:打ち合わせ当日に使えるチェックリスト

打ち合わせにはこの5点セットを持っていくと、話が驚くほどスムーズになります。

  1. 家具・家電を書き込んだ間取り図(実寸で)
  2. 今使っている家電のリスト(消費電力もわかれば)
  3. 1日の行動を時間順に書いたメモ
  4. 現在の住まいで不便に感じていることのリスト
  5. 10年後に増えそうなもの(EV・子ども部屋・在宅ワーク)

そして打ち合わせ中は、次の質問を担当者に投げてみてください。

  • 「この部屋のコンセントは、どの家具の位置を想定していますか?」
  • 「専用回路になっているのはどれですか?」
  • 「分電盤の予備回路はいくつ残りますか?」
  • 「後から追加したくなったとき、どこまでなら安く追加できますか?」
  • 「上棟後に現場で位置確認させてもらえますか?」
ここまでのポイント
  • 持ち物は5点セット。図面・家電リスト・動線メモ・不満リスト・将来リスト
  • 「どの家具を想定した位置ですか」と聞く
  • 専用回路と予備回路の数を、その場で確認する

9. 2026年に使える新築向け補助金の全体像

トピック⑨:2026年に使える新築向け補助金の全体像

省エネ性能の高い住宅には、国の補助制度が用意されています。2026年度は「住宅省エネ2026キャンペーン」として複数の事業が走っており、新築は「みらいエコ住宅2026事業」が中心です。

住宅区分 対象世帯 補助額(一般地域)
GX志向型住宅 全世帯 110万円(寒冷地125万円)
長期優良住宅 子育て世帯・若者夫婦世帯 75万円(寒冷地80万円)
ZEH水準住宅 子育て世帯・若者夫婦世帯 35万円(寒冷地40万円)

このほか、既存建物を取り壊して建てる場合の加算(長期優良住宅・ZEH水準住宅に20万円)もあります。

補助金でいちばん大事なこと
補助金は予算の上限に達し次第、期限前でも受付終了になります。また、申請するのは施主本人ではなく登録された事業者(工務店・ハウスメーカー)です。契約前の段階で「この補助金は使えますか?」と確認しておくことが何より重要です。着工後や契約後では間に合わないケースがあります。
※本記事の金額・期限は2026年8月時点の情報です。最新の要件は必ず公式サイトでご確認ください。

あわせて、太陽光・蓄電池・V2H・EV充電設備については、国のCEV補助金や自治体独自の上乗せ制度があります。とくに自治体の制度は金額差が大きいので、お住まいの市区町村名+「太陽光 補助金」で必ず検索してみてください。

2026年の新築向け補助金の区分と金額の図
2026年8月時点の情報です。
ここまでのポイント
  • 新築の中心は「みらいエコ住宅2026事業」
  • 予算上限に達すると、期限前でも受付終了になる
  • 申請するのは事業者。契約前に対象か確認する

よくある質問

コンセントは多ければ多いほどいいですか?

数だけ増やしても、位置が合っていなければ使われません。1か所あたりの追加費用はおおむね数千円程度なので「迷ったら付ける」でよいのですが、それ以上に「どの家具の、どちら側に付けるか」を詰めるほうが満足度は上がります。

引き渡し後にコンセントを増やせますか?

可能ですが、壁の中を通す必要があるため、位置によっては壁や天井を一部開ける工事になります。費用は1か所あたり2〜5万円程度が目安で、内装の補修が必要ならさらに加算されます。新築時なら数千円のものが、10倍近くになることもあります。

オール電化とガス併用、電気設備の設計で違いはありますか?

大きく違います。オール電化はIH・エコキュートで200V回路が増え、契約容量も大きくなるため、分電盤の主幹容量や回路数の設計が変わります。途中でガスからIHに変更すると、配線のやり直しが発生するので、仕様は電気配線打ち合わせ前に固めておきましょう。

スマートスイッチ(スマホで操作できるスイッチ)は後付けできますか?

製品によります。一般的な住宅のスイッチボックスには中性線(N線)が来ていないことがあり、その場合は中性線が不要なタイプを選ぶか、配線を追加する必要があります。導入予定があるなら、打ち合わせ時に「スマートスイッチを使いたい」と伝えておくのが確実です。

太陽光は新築時に載せるべきですか?後からでもいいですか?

屋根材との一体施工や、屋根の防水保証の関係で、新築時のほうが有利なことが多いです。後付けの場合は屋根に穴を開ける工事になり、保証の扱いを確認する必要があります。予算の都合で見送る場合も、屋根の形状・方位・パワコンの設置スペース・配管ルートだけは確保しておくと、将来の選択肢が残ります。

まとめ|電気設備は「暮らし方の設計図」

トピック⑩:電気設備は「暮らし方の設計図」

間取りが「家の骨格」だとすれば、電気設備は「そこでどう暮らすか」を形にしたものです。だからこそ、担当者に任せきりにするのではなく、自分たちの生活を言葉にして伝えることがいちばんの近道になります。

最後に、この記事の要点をまとめます。

  • 電気の打ち合わせは着工1〜2か月前に集中し、壁をふさぐ前が変更の限界
  • 家具・家電のレイアウトを実寸で決めてから、コンセントの位置を決める
  • コンセントは数より「位置と高さ」。専用回路が必要な家電を把握する
  • スイッチは3路と人感センサーを使い分ける。調光は後から変えにくい
  • 分電盤には予備回路を2〜4回路残しておく
  • EV充電は使わなくても空配管だけ先行しておくと安い
  • 補助金は契約前に事業者へ確認。予算上限で早期終了することがある

家づくりは決めることが多く、電気の打ち合わせのころには疲れ切っているものです。だからこそ、この記事をチェックリスト代わりに、打ち合わせの前日にもう一度ざっと目を通してみてください。10年後の「付けておいてよかった」に、きっとつながります。

続けて読む

電力会社の見直しは、あなたの家に効くのか
「乗り換えれば安くなる」は、条件によります。電気設備の設計側から見ると、先にやるべきことがある家と、比較が効く家ははっきり分かれます。当てはまるものを見てください。
A契約アンペアが大きすぎる家
一人暮らしや二人暮らしなのに50A・60A契約、という家は珍しくありません。基本料金は契約アンペアで決まるので、下げるだけで毎月効きます。工事は電力会社が無料で行うのが一般的です。乗り換えより先に、こちらを確認してください。
B使用量が多い家・オール電化・EVがある家
月400kWhを超える、オール電化、EVを自宅で充電している——このあたりから単価と時間帯プランの差が大きく出ます。基本料金より従量料金のほうが金額として大きいので、プランと会社を比べる価値があります。
C関西・中国・四国・沖縄エリアの家
これらのエリアは最低料金制で、そもそも契約アンペアという区分がありません。Aの手が使えないので、比べるならプランと会社そのものになります。
比べるときに見落としやすいところ
  • 燃料費調整額の上限。大手電力の規制料金には上限がありますが、新電力の多くは上限を設けていません。燃料価格が上がった局面では、単価が安いはずのプランが逆転することがあります
  • 解約金・契約期間の縛り。1年未満の解約で費用がかかるプランがあります
  • 停電したときの連絡先は変わりません。設備の保安は送配電会社の担当なので、乗り換えても対応する会社は同じです(責任分界点の記事)
ハリタ

この記事を書いた人:ハリタ

電気設備設計の実務者。内線規程・電気工事士資格・住宅の電気設備を「設計者の視点」で解説しています。プロフィール詳細

30秒アンケートこの記事は役に立ちましたか?

タップするだけで完了します。あなたの声でこのサイトは育ちます。

次に読むならこれ賃貸の電気でできること・できないこと|アンペア変更・コンセント増設・原状回復の線引き家庭の電気設備の設計
ABOUT ME
HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。