リアクトルは義務
直列リアクトルの設置基準と選定方法ってあるの?
リアクトルの設置は”義務”である
使用目的については下記の2つ
- 高調波電流による障害防止
- コンデンサ回路の開閉による突入電流抑制
- リアクトルの設置基準について知りたい方
- 仕様の選定方法について調べている方
- リアクトルの用途について知りたい方など
クイックトピックス
JIS C 4902:2010(高圧及び特別高圧進相コンデンサ並びに附属機器)
- コンデンサには直列リアクトルを取り付けて使用することを原則とする。
(高圧受電設備規程)
- 5.進相コンデンサには,……原則としてコンデンサリアクタンスの6%又は13%直列リアクトルを施設すること。
JEAC 8001-2016(内線規程)
- 3815-4JEAC 8011-2014 「高圧受電設備規程」1150-9(進相コンデンサ及び直列リアクトル)に準じること。
- 高調波電流による障害防止
- コンデンサ回路の開閉による突入電流抑制
リアクトルの設置基準
- 従来の規格ではリアクトルの設置は“勧告”であったためコストの観点から設置されていない受変電設備も見受けられました。
- コンデンサのみの場合高調波の影響により加熱や焼損の被害が多数ありました。近年のインバータ機器の普及に伴い高調波電流の影響が大きくなり高調波に対する対策が見直されています。
JIS C 4902:2010
(高圧及び特別高圧進相コンデンサ並びに附属機器) |
コンデンサには直列リアクトルを取り付けて使用することを原則とする。 |
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(高圧受電設備規程)
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5.進相コンデンサには,……原則としてコンデンサリアクタンスの6%又は13%直列リアクトルを施設すること。 |
JEAC 8001-2016 (内線規程) 3815-4 |
JEAC 8011-2014 「高圧受電設備規程」1150-9 (進相コンデンサ及び直列リアクトル)に準じること。 |
JIS C 4902:2010(高圧及び特別高圧進相コンデンサ並びに附属機器) | 原則として使用 |
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(高圧受電設備規程) | 施設すること。 |
JEAC 8001-2016(内線規程) 3815-4 |
JEAC 8011-2014 「高圧受電設備規程」1150-9 (進相コンデンサ及び直列リアクトル)に準じること。 |
- JIS規格、JEAC規格(内線規程、高圧受電設備規程)で直列リアクトルの設置が義務化されました。
- JIS規格において、高圧進相コンデンサ関連設備(コンデンサ・直列リアクトル・放電コイル)の規格が1998年に一本化され、直列リアクトルを取り付けて使用することが原則となっています。
- 「内線規程(JEAC8001-2016)」「高圧受電設備規程(JEAC8011-2014)」においては、コンデンサ回路には直列リアクトルを施設することが勧告から義務的事項に引き上げられました。
リアクトルの設置目的
回路を高調波に対し有効なものとするためにはインピーダンスを誘導性に保つ必要があり、コンデンサに対するリアクトルの仕様[L=〇%]の数値を変更し誘導性になるように調整しています。
このインピーダンスが誘導性であれば、負荷から発生した高調波はリアクトル側へ分流するのみで元も高調波量から拡大することはありません。
しかし逆に容量性インピーダンス(値が負となる)になると回路内で並列共振となり高調波が拡大する可能性があります。この現象を回避するために回路を誘導性に保つ必要があります。
https://harita2021.com/%e9%ab%98%e8%aa%bf%e6%b3%a2%e3%81%a3%e3%81%a6%e3%81%aa%e3%81%ab%ef%bc%9f/
リアクトル選定のポイント【L=○%】
https://harita2021.com/%e3%83%aa%e3%82%a2%e3%82%af%e3%83%88%e3%83%ab%e3%81%ae%e3%83%91%e3%83%bc%e3%82%bb%e3%83%b3%e3%83%88%e6%a0%b9%e6%8b%a0%e3%81%a8%e9%81%b8%e5%ae%9a%e3%81%ae%e3%83%9d%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%83%88%ef%bd%9c/
- 5ωL-1/5ωC>0
- ωL>1/25ωC
- ωL>0.04×1/ωC
- すなわちLはCの4%以上
- 余裕を見て6%とする
- 3ωL-1/3ωC>0
- ωL>1/9ωC
- ωL>0.11×1/ωC
- すなわちLはCの11%以上
- 余裕を見て13%とする
第5高調波が多く含まれる場合 | 6% |
第3高調波が多く含まれる場合 | 13% |
選定のポイント【最大許容電流種別】
リアクトル回路に高調波電流が流入した場合、リアクトルに異常が生じず使用可能な合成電流の実効値の限度(最大許容電流)を選定する必要があります。
リアクトルの許容電流値
(1)許容電流種別Ⅰの場合 | 定格電流の120%以下
(120%以上の場合、高調波電流の流入のおそれあり) |
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(2)許容電流種別Ⅱの場合 | 定格電流の130%以下
(130%以上の場合、高調波電流の流入のおそれあり) |
リアクトルの高調波耐量
コンデンサに直接接続されるものは、高調波耐量をアップしたが適用されています。また、各種の直列リアクトルの種類は下記の通りです。
特別高圧系統 | L=6% 許容電流種別Ⅰ(I5=35%許容品) |
---|---|
高圧配電系統 | L=6% 許容電流種別Ⅱ(I5=55%許容品) |
高調波ひずみが大きい時にコンデンサ設備を投入すると、リアクトルのリアクタンス低下により高調波引込現象が生じる可能性があるので注意を要します。高調波引込現象が生じると設備の異常過熱及び異常音が発生し、設備が破損する可能性があります。
出典:(知っておきたい 高圧進相コンデンサ設備の正しい取扱い│電力・産業システム│製品分野別情報│JEMA 一般社団法人 日本電機工業会 (jema-net.or.jp))
1.直列リアクトル「最大許容電流は、定格電流の120%とする。ただし、これはリアクトルの回路に第5次高調波を含む場合、その含有率が基本波電流に対し35%以下の合成電流の実効値である。」
2.コンデンサ「最大許容電流は、定格電流の130%とする。ただし、これは容量の実測値が容量の許容差の範囲内でプラス側のものは、その分だけさらに過電流の増加を認める。」高調波が第5次高調波のみの場合で考えると、コンデンサの基本波電流をI1、第5 次高調波電流をI5とすると、よってとなる。コンデンサは第5次高調波電流は83%(基本波電流に対して)まで許容できる。一方、リアクトルは上記規定のように、第5 次高調波電流は35%(基本波電流に対して)までしか許容できない。
JIS C 4801「高圧及び特別高圧進相コンデンサ用直列リアクトル」1990 年改定
直列リアクトル定格電圧の計算方法
={(回路電圧/√3)/(1-L/100)}×L/100
={(6600/√3)/(1-6/100)}×6/100≒243[V]
直列リアクトル定格設備容量の計算方法
={(コンデンサ定格設備容量/(1-L/100)}×L/100
={100/(1-6/100)}×6/100≒6.38[kvar]
進相コンデンサ投入時の突入電流の抑制
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まとめ
リアクトルの設置基準
- 設置は義務となる
リアクトル設置の目的
- 高調波電流による障害防止
- コンデンサ回路の開閉による突入電流抑制
選定のポイント
- 最大許容電流種別
特別高圧系統 | L=6% 許容電流種別Ⅰ(I5=35%許容品) |
高圧配電系統 | L=6% 許容電流種別Ⅱ(I5=55%許容品) |
- 定格設備容量
={(コンデンサ定格設備容量/(1-L/100)}×L/100
={100/(1-6/100)}×6/100≒6.38[kvar]