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プロット図の見方 第4回連載の一覧 ›

図面の柱の近くに、小さな丸と斜めの矢印。これは配線が別の階へ続いているしるしです。現場では「立ち上げ」「引き下げ」とも呼びます。平面図は1枚で1つの階しか描けないので、上下の階へのつながりはこの記号で読みます。第4回は立上り・引下げ・素通し。矢印の向き、上下の階での対応、途中の階、横の文字の順に読みます。

結論

丸から出る矢印が右上なら立上り(上の階へ)、左下なら引下げ(下の階へ)、両方なら素通し(通り抜け)です。同じ配線は上下の階の同じ位置で対になるので、図面を重ねて読みます。

  • 1階の「立上り」は、2階の図面では同じ位置の「引下げ」
  • 途中の階を通り抜けるだけなら「素通し」。EPS(電気シャフト)で多い
  • 横の文字はケーブルの種類・太さと行先。二重丸は防火区画の貫通部
この記事でわかること
気になるものを選べば、その項目へ飛べます。全部を読まなくても、必要なところだけで解決します。
プロット図・配線図の立上り・引下げ・素通しを、矢印の向き、上下の階での対応、途中の階の素通し、傍記と防火区画の順に示す動く図解
約50秒でくり返します。矢印の向きで上へ・下へを読み、上下の階の同じ位置で対になることを確かめます。

記号は「小さな丸」と「矢印の向き」で読む

立上り・引下げ・素通しの記号は、どれも小さな丸と斜めの矢印でできています。丸はその階での配線の位置、矢印は配線が向かう方向です。エレベーターのボタンのように、上向きなら上の階、下向きなら下の階と覚えると迷いません。

記号 名前 意味
立上りの図記号 立上り 丸から右上へ矢印。その階から上の階へ配線が続く
引下げの図記号 引下げ 丸から左下へ矢印。その階から下の階へ配線が続く
素通しの図記号 素通し 丸の両側に矢印。その階を通り抜ける(その階では分岐しない)
JIS C 0303(構内電気設備の配線用図記号)の記号。現場では「立ち上げ」「立ち下げ」「引き下げ」とも言います。
ここまでのポイント
  • 記号は小さな丸と斜めの矢印
  • 右上=立上り(上の階へ)、左下=引下げ(下の階へ)
  • 両側に矢印=素通し(通り抜け)

上下の階の図面は「同じ位置」で対になる

同じ1本の配線でも、見ている階によって名前が変わります。1階の盤から2階の盤へ行く配線は、1階の図面では上へ行くので「立上り」、2階の図面では下から来るので「引下げ」として描かれます。2つの記号は、通り芯で見て同じ位置にあります。

読み方は第1回のスイッチ編の3路スイッチと似ています。3路の相方を探すように、立上りを見つけたら上の階の図面で同じ位置の引下げを探します。

見ている図面 同じ配線の描かれ方 確認すること
1階の図面 立上り(右上へ矢印) 2階の同じ位置に引下げがあるか
2階の図面 引下げ(左下へ矢印) 1階の同じ位置に立上りがあるか
相方が見つからない ― 描き忘れ・位置ずれ。幹線系統図で行先を確認
階をまたぐ打合せでは、どの階から見た言い方かをはっきりさせると混乱しません。
読み方のコツ:上下の階の図面を重ね、通り芯(X2・Y3 など)で位置を合わせます。立上りと引下げの位置がずれていたら、スリーブや配管ルートが合っていない可能性があります。
ここまでのポイント
  • 同じ配線でも、下の階では立上り、上の階では引下げ
  • 2つの記号は通り芯で同じ位置にある
  • 相方がなければ描き忘れか位置ずれ


途中の階は「素通し」― EPSで多い

3階建て以上になると、配線が途中の階を通り抜けるだけのことがあります。たとえば1階の盤から3階の盤へ行く幹線は、1階で立上り、3階で引下げ、そして間の2階では「素通し」です。2階では盤につながず、電気シャフト(EPS)の中を通過します。

階 記号 その階での配線
3階 引下げの図記号 引下げ。3階の盤につながる
2階 素通しの図記号 素通し。通り抜けるだけで分岐しない
1階 立上りの図記号 立上り。1階の盤から上へ
EPS の平面図では、素通しの記号がいくつも並びます。本数と行先を傍記で読み分けます。

幹線の太さや本数の決め方は屋内幹線の設計、EPS やスリーブの取り合いは取り合い図の読み方で扱っています。

ここまでのポイント
  • 途中の階を通り抜けるだけなら素通し
  • EPS(電気シャフト)で多く出てくる
  • 素通しの階では盤につながない

横の文字で「何が・どこへ」、二重丸は防火区画

記号の横には、必要に応じてケーブル・電線の種類と太さ、配管の種類と太さ、行先を書きます。「CV 14sq-3C(E39)→ 3階 電灯盤 L-3」とあれば、どのケーブルがどの管を通って、どの階のどの盤へ行くのかが分かります。書いていなければ、幹線系統図や配線図で確認します。

丸が二重丸になっていたら、その立上り・引下げ・素通しは防火区画を貫通しています。貫通部には防火区画の処理(耐火措置)が必要になるので、施工でも拾い(数量の積み上げ)でも見落とせない場所です。

書き方 読み取れること 例
ケーブル・電線の種類と太さ 何が通るか CV 14sq-3C、IV 5.5×3
配管の種類と太さ どの管を通るか (E39)、(PF28)
行先 何階のどの盤へ行くか → 3階 電灯盤 L-3
二重丸 防火区画を貫通する 耐火措置が必要
傍記の書き方は事務所で少しずつ違います。凡例と特記で確認します。
ここまでのポイント
  • 横の文字は種類・太さ・行先
  • 書いていなければ幹線系統図・配線図で確認
  • 二重丸は防火区画の貫通部


読み違えやすいところ

⚠️ よくある読み違い

  1. 矢印の向きを逆に読む:右上=上の階へ(立上り)、左下=下の階へ(引下げ)。丸の位置ではなく矢印の向きで読みます。
  2. 立上りと引下げを別の配線と思う:上下の階の同じ位置にあれば、同じ1本の配線です。
  3. 素通しの階で分岐すると思う:素通しはその階では盤や器具につながりません。
  4. 二重丸を見落とす:防火区画の貫通部は、耐火措置の数量と施工に直結します。
  5. どの階から見た言い方か混ざる:打合せでは「1階から立上り」「2階へ引下げ」のように、どの階から見たかを添えます。
ここまでのポイント
  • 向きは矢印で読む
  • 上下の同じ位置は同じ配線
  • 二重丸=防火区画の貫通部

よくある質問

立上り・引下げ・素通しの記号はどう見分けますか?

小さな丸から出る矢印の向きで見分けます。右上へ出ていれば立上り(その階から上の階へ)、左下へ出ていれば引下げ(その階から下の階へ)、両方へ出ていれば素通し(その階を通り抜ける)です。JIS C 0303 の図記号です。

1階の図面で立上りになっている配線は、2階の図面ではどう描かれますか?

同じ位置に引下げとして描かれます。同じ配線でも、下の階から見れば上へ行くので立上り、上の階から見れば下へ行くので引下げです。通り芯などで位置を合わせて、上下の図面を突き合わせて読みます。

素通しはどんなところに出てきますか?

3階以上の建物で、配線が途中の階を通り抜けるところです。電気シャフト(EPS)の中を幹線が通り、途中の階の盤にはつながないときに、その階の図面に素通しが描かれます。

記号が二重丸になっているのは何ですか?

防火区画を貫通する部分です。立上り・引下げ・素通しのいずれも、丸を二重丸にして表します。貫通部には防火区画の処理(耐火措置)が必要になるので、施工や拾いで見落とさないようにします。

立上りの記号の横に何も書いていないときは?

ケーブルの種類や行先の傍記は、必要に応じて書くものです。書いていなければ、幹線系統図や配線図で、どの盤からどの盤へ行く配線かを確認します。

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ABOUT ME
HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。