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ドライヤーと電子レンジを同時に使ったら、パチンと電気が消えた。これがブレーカーの仕事です。分電盤のふたを開けると並んでいる、あの小さなスイッチ。この記事では、ブレーカーの中身に絞って、何を守っているのか、中でどう動いて切れるのか、何Aで切れるのか、定格の選び方、遮断容量、漏電遮断器のしくみを、使っている場面の動く図解でほどきます。分電盤の全体は分電盤とブレーカーとはで解説しています。超基本の18本目です。

結論

ブレーカーは電線を守る自動スイッチです。中には、使いすぎを熱で、ショートを電磁石で見張るしくみがあります。定格は負荷の電流以上、電線が流せる電流以下で選び、遮断容量は取り付ける場所の短絡電流より大きくします。

  • 20Aのブレーカーは20Aちょうどでは切れない
  • よく落ちるからと大きくすると、電線が守れない
  • 定格電流と遮断容量は別の数字
  • 漏電遮断器は行きと帰りの差を見て切る
この記事で押さえる5つのこと
項目を押すと、その章へ飛びます。図はすべて使っている場面の動く図解で、押すと大きく見られます。

この図の読み方

くり返し動きます。左から、もの・しくみ・選び方の順です。

  1. もの:電線を守る自動スイッチ
  2. しくみ:熱と電磁石の2つで見張る
  3. 選び方:負荷≦定格≦電線

動く図解で学ぶ電気設備屋内配線と保護の動く図解12本を、まとめて見られます見る →

ブレーカーとは ― 中には2つの見張り番

ブレーカー(配線用遮断器)は、電流が流れすぎたときに自動で回路を切るスイッチです。流れすぎ方には2種類あります。ひとつは、家電をたくさん使って少し多めの電流が流れ続ける使いすぎ(過負荷)。もうひとつは、電線どうしが触れて一気に大電流が流れるショート(短絡)です。

ブレーカーの中には、それぞれに合わせた見張りがあります。使いすぎは、2種類の金属を貼り合わせたバイメタルが電流の熱で少しずつ曲がり、接点を開きます。ショートは、大電流で強くなった電磁石が一瞬で引き、すぐに接点を開きます。

2つのしくみ

使いすぎはじわじわ、ショートは一瞬で接点が開き、照明が消えます。

  1. 使いすぎはバイメタルが熱で曲がる
  2. ショートは電磁石が一瞬で引く
  3. どちらも接点を開いて切る
たとえるなら
ブレーカーの中には「体温計」と「非常ベル」
体温計は、熱が少しずつ上がるのをじっくり見て、危ない温度になったら知らせます。非常ベルは、異常があった瞬間に鳴ります。使いすぎは体温計(バイメタル)、ショートは非常ベル(電磁石)が見張っています。
ひっかけ注意
ブレーカーは「家電を守る」ものではありません。
いちばんの役目は、壁や天井の中の電線を守ることです。電線が熱くなって被覆が傷み、火事になるのを防ぎます。家電の故障は、家電の中のヒューズなどで守ります。

動く図解で見る:ブレーカー ― 過負荷と短絡、2つの落ち方2つの落ち方を動く図解で(屋内配線と保護のページへ)

ここまでのポイント
  • 流れすぎたら自動で切るスイッチ
  • 使いすぎは熱、ショートは電磁石
  • 守っているのは電線

動作特性 ― 何Aで何秒で切れるか

ブレーカーは、定格の電流を少し超えたくらいでは、すぐには切れません。流れる電流が大きいほど、早く切れます。この「電流と切れるまでの時間」の関係を動作特性といいます。電技解釈第33条では、定格電流30A以下の配線用遮断器について、定格の1倍では動作しないこと、1.25倍で60分以内、2倍で2分以内に動作することが決められています。

動作特性

電流が大きくなるほど、切れるまでの時間が短くなります。

  1. 20Aではずっと流しても切れない
  2. 25Aで60分以内、40Aで2分以内
  3. ショートでは一瞬
流れる電流 定格20Aの例 切れるまで
定格の1倍 20A 切れない
定格の1.25倍 25A 60分以内
定格の2倍 40A 2分以内
短絡 数百A以上 一瞬
数値は電技解釈第33条の定格電流30A以下の場合。一瞬で切れる電流の大きさは製品の特性で確かめます。
ひっかけ注意
「20Aのブレーカーは20Aで切れる」ではありません。
20Aちょうどなら、ずっと流しても切れないのが決まりです。少し超えただけならしばらく待ち、大きく超えるほど早く切れます。ドライヤーを使った数分後に落ちるのは、このためです。
ここまでのポイント
  • 電流が大きいほど早く切れる
  • 定格の1倍では切れない
  • 1.25倍で60分以内、2倍で2分以内


定格の選び方 ― 負荷と電線のあいだ

ブレーカーの定格は、負荷の電流以上で、電線が流せる電流(許容電流)以下で選びます。負荷より小さいとふだんから落ち、電線より大きいと、ブレーカーが切れる前に電線が熱くなります。住宅の分岐回路では、ブレーカーの定格に合わせて、使える電線の太さが決まっています。

定格の選び方

正しい組み合わせと、やってはいけない組み合わせを比べます。

  1. 負荷≦ブレーカー≦電線
  2. ブレーカーを大きくすると電線が先に熱くなる
  3. 電線に合わせて定格を選ぶ
ブレーカーの定格 電線の太さ(銅線)
20A 1.6mm以上
30A 2.6mm(5.5mm²)以上
40A 8mm²以上
50A 14mm²以上
配線用遮断器で守る分岐回路の目安(電技解釈第149条)。条件で変わるので条文で確かめます。
たとえるなら
ブレーカーは「わざと作った、いちばん弱い輪」
鎖を強く引っぱると、いちばん弱い輪から切れます。電気の通り道でも、どこかが先に切れるなら、安全な場所で切れてほしい。だから電線より少し弱いブレーカーを入れて、電線より先に切れるようにしています。
ひっかけ注意
「よく落ちるから、大きいブレーカーに替える」は危険です。
ブレーカーを大きくしても、電線の太さは変わりません。電線が熱くなっても切れなくなり、火事の原因になります。よく落ちるときは、回路を分ける、同時に使う家電を見直すなどで対応します。

電線の太さと許容電流は電線とケーブルとは、同時に使う家電で落ちるかどうかはブレーカー落ちるかな?判定で確かめられます。

動く図解で見る:電線を保護する過電流遮断器電線とブレーカーの組み合わせを動く図解で(屋内配線と保護のページへ)

ここまでのポイント
  • 負荷の電流以上で選ぶ
  • 電線が流せる電流以下で選ぶ
  • 落ちるからと大きくしない

遮断容量と保護協調 ― 切れる力と、切れる順番

ブレーカーには、定格電流とは別に遮断容量という数字があります。ショートが起きたときに、切ることができる電流の上限です。ショートの電流は、変圧器に近いほど大きくなります。遮断容量が足りないと、ブレーカーが切りきれずに壊れるおそれがあるので、取り付ける場所の短絡電流より大きい遮断容量のものを選びます。

ひっかけ注意
「定格電流」と「遮断容量」は、同じものではありません。
20Aはふだん流してよい電流、2.5kAはショートのときに切れる電流の上限です。単位もAとkAで違います。表示を読むときは、どちらの数字かを見分けます。

ブレーカーは、分電盤の中で主幹と分岐の上下2段になっています。ある回路で事故が起きたとき、主幹まで切れると家じゅうが真っ暗になります。そこで、事故の回路の分岐ブレーカーだけが先に切れるように、上下の組み合わせを選びます。これを保護協調といいます。

保護協調

3番目の回路でショートが起き、その回路の分岐ブレーカーだけが切れます。

  1. 事故の回路だけが切れる
  2. 主幹は入のまま
  3. 上下の組み合わせで決める

主幹と分岐の並び方は分電盤とブレーカーとはで解説しています。

ここまでのポイント
  • 遮断容量は切れる短絡電流の上限
  • 場所の短絡電流より大きく選ぶ
  • 事故の回路だけが切れるように組む


漏電遮断器と種類 ― 役目で名前が変わる

漏電遮断器は、電気が本来の通り道からはずれて大地へ漏れるのを見つけて切るブレーカーです。行きと帰りの電線をまとめて零相変流器(ZCT)という輪に通し、電流の差を見ています。ふだんは行きと帰りが同じで差は0ですが、どこかで漏れると差が出ます。住宅でよく使う高速形は、30mAの漏れを0.1秒以内に切ります。

漏電遮断器のしくみ

ふだんは差が0、漏電すると行きと帰りに差が出て切れます。

  1. 行きと帰りを輪(ZCT)に通す
  2. 差が0ならそのまま
  3. 差が出たら切る
たとえるなら
漏電遮断器は「行きと帰りの人数を数える改札」
遠足で、行きのバスに30人乗って、帰りに29人しかいなければ、どこかで1人はぐれています。漏電遮断器も、行きと帰りの電流を数えていて、帰りが少なければ「どこかで漏れている」と判断して切ります。
ひっかけ注意
漏電遮断器なら、何でも切れるとは限りません。
漏電遮断器には、使いすぎやショートも切れる過電流保護付きと、漏電だけを見る漏電専用があります。漏電専用のときは、過電流を切る配線用遮断器と組み合わせます。

ブレーカーの種類

4つの種類が順に光ります。

  1. 配線用遮断器は電線を守る
  2. 漏電遮断器は漏電を切る
  3. モーター用と契約用もある
種類 主な居場所 役目
配線用遮断器 分電盤の分岐回路 使いすぎとショートから電線を守る
漏電遮断器 主幹・水まわり・屋外の回路 漏電を見つけて切る
モーターブレーカー 動力盤 始動電流で落ちにくく、モーターも守る
アンペアブレーカー 分電盤のいちばん上流 契約の大きさを超えたら切る
漏電の逃げ道をつくる接地(アース)と組み合わせて使います。

漏電の逃げ道は接地(アース)とは、モーターの回路は動力とは、エアコンやIHの専用回路はエアコン・IHの電源とはで解説しています。

動く図解で見る:漏電遮断器 ― 漏電を見つけて切るしくみZCTで差を見るしくみを動く図解で(屋内配線と保護のページへ)

ここまでのポイント
  • 漏電遮断器は行きと帰りの差を見る
  • 高速形は30mAを0.1秒以内に切る
  • 役目で名前が変わる


読み違えやすいところ

よくある読み違い

  1. ブレーカーは家電を守ると思う:いちばんの役目は電線を守ることです。
  2. 20Aなら20Aで切れると思う:定格の1倍では切れません。
  3. よく落ちるから大きくする:電線が守れなくなります。
  4. 定格電流と遮断容量を取り違える:ふだんの電流と、切れる短絡電流の上限は別です。
  5. 漏電遮断器なら過電流も切れると思う:漏電専用のものもあります。

動く図解で学ぶ電気設備この記事の図のほかにも、屋内配線と保護を動く図解で見られます。気になるジャンルを選んでください。

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よくある質問

ブレーカーとは何ですか?

電線に電流が流れすぎたときに、自動で回路を切るスイッチです。使いすぎやショートで電線が熱くなり、火事になるのを防ぎます。建物の中では、分電盤の中に並んでいます。

ブレーカーは何を守っていますか?

いちばんの役目は電線を守ることです。電線には流せる電流の上限(許容電流)があり、それを超えると熱くなります。ブレーカーは、電線が危なくなる前に回路を切ります。

20Aのブレーカーは20Aで切れますか?

20Aちょうどでは切れません。電技解釈第33条では、定格電流30A以下の配線用遮断器は、定格の1倍では動作せず、1.25倍で60分以内、2倍で2分以内に動作することになっています。ショートのような大きな電流では一瞬で切れます。

よく落ちるので大きいブレーカーに替えてよいですか?

替えてはいけません。ブレーカーの定格は、つながっている電線の太さで上限が決まっています。大きくすると、ブレーカーが切れる前に電線が熱くなります。回路を分ける、使い方を見直すなどで対応します。

遮断容量とは何ですか?

ブレーカーが切ることのできる短絡電流の上限で、kAで表します。取り付ける場所で起こりうる短絡電流より大きい遮断容量のブレーカーを選びます。ふだん流せる電流(定格電流)とは別の数字です。

漏電遮断器はどうやって漏電を見つけますか?

行きと帰りの電線をまとめて零相変流器(ZCT)という輪に通し、電流の差を見ています。ふだんは差が0ですが、どこかで大地へ漏れると差が出るので、それを感じて切ります。住宅でよく使う高速形は、30mAの漏れを0.1秒以内に切ります。

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ABOUT ME
HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。