天井裏で、ケーブルラックと電線管が防火区画の壁を貫通する部分の処理です。開口とスリーブ、両側での支持、認定工法での充填、表示ラベルまで、検査で見られる順に追います。 下の3Dで、工程を進めながら部材を1つずつ確かめてください。耐火構造の壁(1時間耐火) ケーブルラック W300 ねじなし電線管 E31 × 2(1本は予備) 国土交通大臣認定工法(耐火ブロック・耐火パテ)

この場面で追う施工手順

工程 1 / 6開口とスリーブ
  1. 建築の区画図で、どの壁・床が防火区画か(1時間・2時間)を確かめる。区画でない壁と混同しない
  2. ラック用の開口は、ラック外形+両側 50〜100mm 程度。開口の大きさは、使う認定工法の適用範囲に収める
  3. 電線管用は、壁の施工時にスリーブ(鋼管)を入れてもらう。あと施工ならコア抜き
使う道具・材料:防火区画図(建築)/コアドリル(あと施工の場合)/スリーブ(鋼管)/スケール・マーカー
確かめること 開口寸法が、使う認定工法(耐火ブロック・パテ)の適用範囲に入っているか。
工程 2 / 6ラック・電線管の貫通
  1. ラックは壁の両側(貫通部から 1m 以内)で支持する。壁の中にラックの継ぎ目を置かない
  2. ラックは壁の開口に触れさせない。継ぎ目はボンド線で金属の連続を保つ
  3. 金属管は、貫通部とその両側 1m 以内を不燃材料(金属管)とする。ここに合成樹脂管(PF管)は使えない
使う道具・材料:ケーブルラック W300/吊りボルト・ラック支持金具/ねじなし電線管 E31/ボンド線
確かめること ラックが壁の開口の縁に触れていないか(ケーブルを傷めない)。
工程 3 / 6ケーブル敷設
  1. ケーブルは束ねすぎない。認定工法で決められた開口に対するケーブルの割合(占積率)を守る
  2. 貫通部の中でケーブルを交差させない。あとから足すケーブルの余地も残す
  3. 開口の縁には保護材を入れ、ケーブルの被覆が当たらないようにする
使う道具・材料:CVケーブル/ケーブル保護材(開口の縁)/結束バンド/認定工法の施工要領書
確かめること ケーブルの本数・太さが、認定工法の条件(本数・占積率)の範囲か。
工程 4 / 6充填(ラック貫通部)
  1. 認定工法の要領書どおりに、耐火ブロックを開口に詰める。ケーブルの間にも隙間なく
  2. 壁の両面から、決められた厚さで施工する(片面だけでは認定どおりにならない)
  3. ブロックの目地と壁との隙間は耐火パテで埋める
使う道具・材料:耐火ブロック(認定品)/耐火パテ/ヘラ/施工要領書
確かめること 裏側から光が漏れて見えないか(隙間があれば不合格)。
工程 5 / 6充填(電線管貫通部)
  1. スリーブと電線管の隙間に耐火パテを詰める(両面)
  2. 管の中も、ケーブルのまわりに耐火パテを詰める。管の中を火や煙が通り抜ける
  3. ケーブルの入っていない予備管は、管口をパテかキャップでふさぐ
使う道具・材料:耐火パテ/管口キャップ/ヘラ
確かめること 管の中の充填を忘れていないか(外側だけでは不十分)。
工程 6 / 6表示ラベル・記録
  1. 貫通部の両面に、認定番号・工法名・施工日・施工者を書いたラベルを貼る
  2. 施工前・施工中・施工後の写真を撮り、区画図に位置を記して提出する
  3. あとからケーブルを足すときは、同じ工法で復旧する。穴を開けたままにしない
使う道具・材料:表示ラベル(認定番号)/カメラ/区画貫通部の一覧表
確かめること 消防・建築の検査でラベルと写真を示せるか。

部材と寸法の目安

1
防火区画の壁(1時間耐火)
建築の区画図で確認 天井裏も区画
火や煙を一定時間くい止めるための壁です。天井ボードの上(天井裏)も壁は上の床まで通っていて、そこを電気の配線が貫通します。
現場で確かめること この壁が本当に区画かどうかを、区画図で確かめたか(思い込みで施工しない)。
2
ラック用の開口
ラック外形+両側 50〜100mm 認定工法の範囲内
開口は大きすぎても小さすぎてもいけません。使う認定工法ごとに、開口の最大寸法とケーブルの占積率が決まっています。
現場で確かめること 開口の寸法を施工要領書と照らしたか。
3
電線管用スリーブ(鋼管)
壁の施工時に入れる あと施工ならコア抜き
電線管を通すための穴です。躯体工事のときに鋼管を仕込んでおくと、あとからコアを抜くより確実で、区画の性能も保てます。
現場で確かめること スリーブと管の隙間が、パテで埋められる寸法か。
4
ケーブルラック W300
継ぎ目は壁の中に置かない
ラックはそのまま壁を貫通させます。壁の中に継ぎ目があると、充填材がうまく入らず、点検もできません。
現場で確かめること ラックが開口の縁に触れていないか。
5
両側の支持(貫通部から 1m 以内)
吊りボルト W3/8 ラック支持金具
壁の両側でラックを支持し、充填材に力がかからないようにします。壁に直接ラックを載せてはいけません。
現場で確かめること 支持点が壁の両側 1m 以内にあるか。
6
金属管(貫通部の両側 1m)
E31 両側 1m 以内は不燃材料(金属管)
配管で区画を貫通するときは、貫通部とその両側 1m 以内を不燃材料で造る決まりです。PF管などの合成樹脂管は、この範囲に使えません。
現場で確かめること PF管を区画の壁まで引いてきていないか。
7
ケーブル(CV)
束ねすぎない 占積率を守る
貫通部では、ケーブルの間にも充填材が入るように、すき間をあけて並べます。本数が増えると占積率を超えるので、ラックの幅に余裕を持たせます。
現場で確かめること あとから足すケーブルの余地があるか。
8
開口の縁の保護材
ケーブルの被覆を守る
コンクリートやALCの切り口は鋭く、ケーブルが揺れると被覆が傷みます。縁に保護材を入れます。
現場で確かめること 保護材が充填の邪魔になっていないか(認定工法で可否を確認)。
9
耐火ブロック(認定品)
両面から規定の厚さ 目地は耐火パテ
開口を埋める不燃の充填材です。火を受けると膨らんで隙間をふさぐものもあります。製品と壁の種類の組み合わせで認定が取られています。
現場で確かめること 認定の組み合わせ(壁の種類・厚さ・ケーブルの条件)と合っているか。
10
耐火パテ(目地・隙間)
ブロックと壁の隙間を埋める
ブロックどうしの目地や、壁との隙間に詰めます。小さな隙間でも煙は通り抜けるので、裏から光が見えないようにします。
現場で確かめること 両面とも施工したか(片面施工は不合格)。
11
電線管まわりの耐火パテ
スリーブと管の隙間 管の中も
管とスリーブの隙間だけでなく、管の中(ケーブルのまわり)にもパテを詰めます。予備の管は管口をふさぎます。
現場で確かめること 管の中の充填を忘れていないか。
12
表示ラベル
認定番号・工法名・施工日・施工者 両面に
あとで点検する人が、どの工法で施工したか分かるようにするためのラベルです。写真と一覧表もそろえて提出します。
現場で確かめること ラベルが見える位置(点検口から見える面)に貼ってあるか。

ほかの場面を見る

全体の流れ(部屋・天井裏・電気室・建物)
回路をたどる(1回路を端から端まで)
個別ケース(施工方法をくわしく)
寸法・数値・工法は学習用の目安です。実際の工事では、設計図書・公共建築工事標準仕様書・内線規程・メーカー資料・所轄の指導を確認してください。