軽量鉄骨の壁に埋込形の分電盤を取り付け、天井裏から来た幹線をつなぎ、分岐回路を収めて受電するまで。盤の高さと補強、幹線の端末処理と相の色、受電前の測定を追います。 下の3Dで、工程を進めながら部材を1つずつ確かめてください。埋込形 分電盤 W700 × H1,000 × D150 単相3線式 主幹 ELB 3P 125A 幹線 CV 38sq-3C 分岐 12回路

この場面で追う施工手順

工程 1 / 6墨出し・下地補強
  1. 盤の中心高さ(FL+1,500 程度。扉を開けて操作でき、上段のブレーカーに手が届く)と左右の位置を出す
  2. 扉を開けたときの操作スペース(前面 1.0m 程度)と、隣の建具・設備との離れを確かめる
  3. 埋込ボックスの外形で開口位置を出し、両脇にスタッドを足して補強する。盤の奥行き(D150)が壁厚に収まらなければ、ふかし壁にする
使う道具・材料:レーザー墨出し器/スケール/補強材(スタッド・ランナー)/盤の外形図
確かめること 盤の前に物が置かれない場所か(倉庫や更衣室の奥は避ける)。
工程 2 / 6埋込ボックスの固定
  1. ボックスの前面がボード面とそろうように出寸法を合わせ、水平・垂直を見て補強材にビス止めする
  2. 上下左右をしっかり固定する。内器と扉が付くと重くなる
  3. ノックアウトは使う位置だけ抜く。上を幹線・分岐、下を接地線などと決めておく
使う道具・材料:埋込ボックス(盤のキャビネット)/水平器/ビス/ノックアウトパンチ
確かめること 水平器で水平が出ているか。扉がひとりでに開閉しないか(傾いている印)。
工程 3 / 6幹線の引込み
  1. EPS から天井裏を通した幹線を、ボックス上部のノックアウトから引き込む
  2. ケーブルの出入口にはブッシング(またはケーブルグランド)を付け、被覆を守る
  3. 端末処理の分(50cm 程度)の余長を残す。曲げ半径はケーブル外径の 6倍以上(多心ケーブル)
使う道具・材料:CV 38sq-3C/ケーブル支持金具/ブッシング・ケーブルグランド/通線ロープ
確かめること 幹線の許容電流が主幹の定格以上か(CV 38sq-3C なら 125A の主幹に対応)。
工程 4 / 6ボード張り・内器の取付
  1. ボードを張って開口を仕上げてから、内器を取り付ける(それまでボックスは養生しておく)
  2. 主幹の漏電遮断器を上、分岐ブレーカーを左右2列に。盤の図面どおりの順番で並べる
  3. 中性線(N)端子台と接地端子台の位置を確かめる
使う道具・材料:石膏ボード/内器(主幹 ELB・母線・分岐ブレーカー)/中性線端子台・接地端子台/盤の結線図
確かめること 内器の配列が結線図・回路表と合っているか。
工程 5 / 6幹線の端末処理・接続
  1. 外装を剥き、心線(赤・白・黒)を主幹の端子までの長さに切りそろえる
  2. 圧着端子(R形)を圧着する。端子のサイズは心線と端子ねじ(M8 など)に合わせる
  3. 赤を L1、白を N(中性線)、黒を L2 へ。トルクレンチで規定のトルクで締める
  4. 接地線(緑)は接地端子台へ
使う道具・材料:ケーブルストリッパー/圧着端子 R形(38sq 用)/圧着工具(端子用)/トルクレンチ
確かめること 白(中性線)が N 端子に入っているか。締付けトルクを記録したか。
工程 6 / 6分岐回路の接続・測定・受電
  1. 各回路の VVF を上から入れ、100V回路は黒を分岐ブレーカー、白を N 端子台へ。200V回路は黒・赤を 2P2E のブレーカーへ
  2. 回路ごとに結束し、ブレーカーに回路番号札、扉の裏に回路表を付ける
  3. 主幹を切ったまま、幹線と各回路の絶縁抵抗を測る(単相3線式は対地電圧 100V なので 0.1MΩ以上)
  4. 主幹を入れ、L1-N・L2-N が 100V、L1-L2 が 200V であることを確かめてから、分岐を順に入れる
使う道具・材料:絶縁抵抗計/テスター(電圧)/回路名札・回路表/結束バンド
確かめること N の電圧がほぼ 0V か(中性線の接続不良があると 100V機器に 200V がかかる)。

部材と寸法の目安

1
盤の位置と開口の墨
中心 FL+1,500 程度 前面 1.0m の操作スペース
扉を開けて操作でき、いちばん上のブレーカーに手が届く高さにします。前に物が置かれない場所を選びます。
現場で確かめること 盤の前面が通路や建具と重ならないか。
2
下地補強(スタッド・ランナー)
両脇にスタッドを足す D150 が収まらなければふかし壁
埋込形の盤は内器と扉で重く、壁の中に大きな開口を作ります。両脇と上下に補強材を入れて荷重を受けます。
現場で確かめること 補強材が建築工事の範囲か電気工事の範囲か、取り決めがあるか。
3
埋込ボックス(キャビネット)
前面をボード面にそろえる 水平・垂直
盤の箱の部分です。ボードを張る前に壁の中へ固定し、前面がボードの面とそろうように出寸法を決めます。
現場で確かめること ボードを張ったあとに、ボックスの縁が引っ込んだり出っ張ったりしていないか。
4
幹線 CV 38sq-3C
EPS から天井裏を通して 曲げ半径 外径の 6倍以上
電気室や EPS の幹線用ブレーカーから、この盤の主幹までをつなぐケーブルです。太くて硬いので、曲げ半径と支持を守って引きます。
現場で確かめること 幹線の太さが主幹の定格と電圧降下に合っているか。
5
ブッシング・ケーブルグランド
ケーブルの出入口に必ず
ノックアウトの切り口は鋭く、ケーブルの被覆を傷めます。出入口には必ずブッシングを付けます。
現場で確かめること ブッシングの径がケーブルの外径に合っているか。
6
石膏ボードと開口
開口はボックスの外形に合わせる
ボードを張ってから盤の開口を仕上げます。盤の化粧枠(扉枠)で開口の縁を隠します。
現場で確かめること 開口の隙間が化粧枠で隠れる範囲か。
7
主幹 漏電遮断器 3P 125A
中性線欠相保護付 幹線をここへ
盤全体の電源を入り切りし、漏電で切れる遮断器です。単相3線式では中性線が切れると危険なので、欠相保護付きのものを使います。
現場で確かめること 定格感度電流(30mA など)が設計どおりか。
8
母線(単相3線)
L1・N・L2 分岐ブレーカーへ分ける
主幹から分岐ブレーカーへ電気を分ける銅のバーです。100V回路は L1-N または L2-N、200V回路は L1-L2 から取ります。
現場で確かめること 100V回路が L1 側と L2 側にバランスよく振り分けられているか。
9
分岐ブレーカー(2P1E・2P2E)
100V → 2P1E 20A 200V → 2P2E 20A
回路ごとの遮断器です。100V回路は2極1素子、200V回路は2極2素子を使います。
現場で確かめること ブレーカーの定格が、その回路の電線の太さに合っているか。
10
中性線端子台と接地端子台
白線 → N 緑線 → 接地端子台
各回路の白線(中性線)と緑線(接地線)を集める端子台です。中性線と接地線は別の端子台で、つないではいけません。
現場で確かめること 白線と緑線を取り違えて端子台に入れていないか。
11
幹線の心線(赤・白・黒)
赤 → L1 白 → N 黒 → L2
単相3線式の幹線は、赤と黒が電圧側、白が中性線です。色の約束どおりにつなぐと、あとで見る人が間違えません。
現場で確かめること 白が N(中性線)端子に入っているか。
12
圧着端子(R形)
38sq × M8 など 専用工具で圧着
太い心線はそのまま端子ねじに巻けないので、圧着端子を付けてボルトで締めます。端子は心線の太さとねじ径の両方に合わせます。
現場で確かめること 圧着のダイス刻印が付いているか。トルクレンチで締めたか。
13
接地線(緑)
幹線の接地線 → 接地端子台
幹線といっしょに来た接地線を接地端子台へつなぎます。各回路の緑線もここに集まり、1本で接地極へつながります。
現場で確かめること 接地線の太さが設計どおりか(主幹の定格で決まる)。
14
分岐回路の VVF
上のノックアウトから 回路ごとに結束
各部屋のコンセント・照明へ向かう VVF です。回路番号の順に並べ、結束して整理すると、あとの点検や増設が楽になります。
現場で確かめること 回路表の番号とブレーカーの位置が合っているか。
15
回路名札・回路表
ブレーカーごとに 扉の裏に回路表
どのブレーカーがどの部屋のどの回路かを示します。停電作業のときに間違ったブレーカーを切らないための大事な表示です。
現場で確かめること 名札の表記が回路表・図面と一致しているか。
16
扉と化粧枠
内器の取付・結線が終わってから
扉を付けると開口の縁が隠れ、盤の完成です。扉の裏に回路表と結線図を入れておきます。
現場で確かめること 扉が全開できるか(隣の壁や設備に当たらないか)。
17
絶縁抵抗の測定と受電
主幹を切って測定 → 電圧確認 → 分岐を順に投入
受電の前に絶縁抵抗を測り、記録します。主幹を入れたら L1-N・L2-N が 100V、L1-L2 が 200V であることを確かめてから、分岐ブレーカーを1つずつ入れます。
現場で確かめること 測定値を試験成績書に残したか。

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全体の流れ(部屋・天井裏・電気室・建物)
回路をたどる(1回路を端から端まで)
個別ケース(施工方法をくわしく)
寸法・数値・工法は学習用の目安です。実際の工事では、設計図書・公共建築工事標準仕様書・内線規程・メーカー資料・所轄の指導を確認してください。