壁掛けエアコン1台分の電気工事です。分電盤からの専用回路と200Vコンセント、外壁の貫通スリーブ、室外機への内外連絡線と接地まで。電気工事とエアコン(空調)工事の受け渡しになる部分を追います。 下の3Dで、工程を進めながら部材を1つずつ確かめてください。壁掛け形エアコン 200V 専用回路 VVF 2.0mm-3C 2P2E 20A 200V コンセント(IL形 20A 250V 接地極付) 貫通スリーブ φ75 内外連絡線 VVF 2.0mm-3C 室外機 D種接地

この場面で追う施工手順

工程 1 / 6位置出し・専用回路の計画
  1. 室内機の位置を決める。天井から 50mm 以上、横の壁から 50mm 以上、配管が外へ下り勾配で出せる位置
  2. 専用回路:分電盤の 2P2E 20A から VVF 2.0mm-3C で引く。ほかのコンセントと共用しない
  3. コンセントは室内機のすぐ横(FL+1,800〜2,000)。貫通穴は室内機の背面か横の、外から見えにくい所
使う道具・材料:据付説明書(取付図)/レーザー墨出し器/スケール/分電盤の回路表
確かめること ブレーカーが 2P2E(200V 用)か。2P1E では 200V は取れない。
工程 2 / 6専用回路の配線
  1. 分電盤の空き回路から VVF 2.0mm-3C を天井裏へ出し、エアコンの壁まで配線して壁の中へ下ろす
  2. 壁の中は PF管(木造なら直接)。横引きはスタッドの穴にブッシング
  3. ブレーカー側は黒・赤を 2P2E の2つの端子へ、緑を接地端子台へ。回路名札は「エアコン 200V」
使う道具・材料:VVF 2.0mm-3C/PF管 PF16/通線ワイヤー/分岐ブレーカー 2P2E 20A
確かめること 中性線(白)をつないでいないか。200V 回路は電圧側 2本+接地線。
工程 3 / 6200V コンセントの取付
  1. 200V 用のコンセントを FL+1,800 程度に付ける。差込口の形が 100V とは違う(IL形)
  2. 黒・赤を電圧側の端子(どちらも対地 100V)へ、緑を接地端子へ。白は使わない
  3. プレートに「200V」の表示をする
使う道具・材料:200V コンセント(IL形 20A 250V 接地極付)/プレート/ストリッパー/検電器
確かめること 差込口の形が室内機のプラグと合っているか(機種で IL形・エルバー形が違う)。
工程 4 / 6貫通スリーブ・背面板
  1. 外壁に φ65〜75 の穴をコアドリルで開ける。外に向かって下り勾配にする(ドレンが流れ、雨水が入らない)
  2. 貫通スリーブを入れ、室内側・室外側に化粧キャップ。防火区画や外壁の防水は建築と取り合う
  3. 室内機の背面板を柱・間柱(または下地補強)にビス止めし、水平を見る
使う道具・材料:コアドリル φ75/貫通スリーブ(管)・化粧キャップ/水平器/背面板(据付板)・ビス
確かめること 穴の向きが外下がりになっているか。
工程 5 / 6内外連絡線・配管
  1. 室内機から室外機へ、冷媒配管・ドレン・内外連絡線をまとめて貫通穴から通し、外壁を化粧ダクトで下ろす
  2. 連絡線は室内機・室外機の端子台で番号どおり(1・2・3)に接続する。色と番号を両端でそろえる
  3. 室外機の接地端子に D種接地線(緑)をつなぐ。接地はコンセントの接地極経由でもよいが、室外機側にも端子がある
使う道具・材料:VVF 2.0mm-3C(内外連絡線)/冷媒配管・ドレン(空調工事)/化粧ダクト/接地線 IV 2.0 緑
確かめること 端子番号 1・2・3 が両端で同じ色になっているか(違うと基板が壊れる)。
工程 6 / 6試運転・確認
  1. 絶縁抵抗を測り、コンセントで電圧(200V)と接地の導通を確かめる
  2. 室内機のプラグを差して試運転(冷房・暖房)。室外機のファンと圧縮機が動くか
  3. ブレーカーのテストボタンで漏電遮断が働くか、室外機の接地抵抗を確かめる
使う道具・材料:絶縁抵抗計/テスター/試運転チェックシート
確かめること 試運転で室外機が回ったか。ドレンから水が出るか。

部材と寸法の目安

1
分電盤(専用回路の元)
2P2E 20A を1回路 ほかと共用しない
エアコンは起動時の電流が大きく、ほかの機器と同じ回路にすると影響が出ます。1台ごとに専用回路にします。
現場で確かめること 回路表に「エアコン 200V」と書いてあるか。
2
分岐ブレーカー 2P2E 20A
200V 用 黒・赤の2本を接続
200V 回路は両方の線に電圧がかかるので、2極2素子(2P2E)を使います。100V 用の 2P1E では片側しか保護できません。
現場で確かめること 2P1E を間違って使っていないか。
3
専用回路 VVF 2.0mm-3C
黒・赤=電圧側 緑=接地 白は使わない
200V 回路は電圧側の線が2本と接地線です。3心 VVF の白を電圧側に使う場合は、両端に赤のテープを巻いて印を付けます。
現場で確かめること 白線を電圧側に使ったとき、両端に赤の印を付けたか。
4
200V コンセント(IL形 20A 250V)
FL+1,800〜2,000 室内機の横
差込口が 100V と違う形で、100V の機器は差せません。室内機の電源コードが届く位置に付けます。
現場で確かめること 機種の電源プラグの形(IL形・エルバー形)に合っているか。
5
貫通スリーブ φ75
外に向かって下り勾配 化粧キャップ
冷媒配管・ドレン・連絡線をまとめて通す穴です。室内から外へ下がる向きに開け、雨水が入らずドレンが流れるようにします。
現場で確かめること 外壁の防水(シーリング)を建築と取り合ったか。
6
背面板(据付板)
柱・間柱にビス止め 水平
室内機を引っ掛ける金属の板です。ボードだけでは持たないので、下地のある位置にビスを効かせます。
現場で確かめること 水平器で水平が出ているか(傾くとドレンが流れない)。
7
室内機
天井から 50mm 以上 横の壁から 50mm 以上
背面板に引っ掛けて固定します。電源は横のコンセントから、室外機へは連絡線でつなぎます。
現場で確かめること フィルター掃除や点検のための空きがあるか。
8
室外機
架台・防振ゴム 接地端子あり
外に置く熱交換器です。電源は室内機から連絡線で来る機種と、室外機に直接電源を入れる機種(大型)があります。
現場で確かめること 吹出口の前に障害物がないか。架台が水平か。
9
内外連絡線 VVF 2.0mm-3C
端子番号 1・2・3 を両端でそろえる
室内機と室外機の間で電源と信号をやり取りする線です。端子番号と線の色を両端でそろえないと、基板が壊れることがあります。
現場で確かめること 1・2・3 の色が両端で同じか。
10
冷媒配管・ドレン(空調工事)
化粧ダクトにまとめる
電気工事の範囲ではありませんが、連絡線はこの配管と一緒に通します。配管の勾配や断熱と干渉しないようにします。
現場で確かめること 連絡線が配管の断熱材の外側で傷んでいないか。
11
室外機の D種接地
接地端子 → 接地棒(または接地極付コンセント経由)
室外機は屋外で雨に当たるので、確実に接地します。コンセントの接地極から取れる場合もありますが、室外機の端子からも接地できます。
現場で確かめること 接地抵抗を測ったか(D種 100Ω以下、ELB付きなら 500Ω以下)。
12
試運転
冷房・暖房で室外機が動くか
電源を入れて試運転し、室外機のファンと圧縮機が動くこと、ドレンから水が出ることを確かめます。
現場で確かめること 漏電ブレーカーのテストボタンを押したか。

ほかの場面を見る

全体の流れ(部屋・天井裏・電気室・建物)
回路をたどる(1回路を端から端まで)
個別ケース(施工方法をくわしく)
寸法・数値・工法は学習用の目安です。実際の工事では、設計図書・公共建築工事標準仕様書・内線規程・メーカー資料・所轄の指導を確認してください。