単相回路の電線太さ選定|2次側の計算手順と早見表
分電盤からコンセントや照明へ行く単相回路の電線は、3つの条件で太さを決めます。分岐回路の種類で決まる最小太さ、周囲温度と本数で補正した許容電流、こう長で効く電圧降下です。3つの答えのうちいちばん太いものを採ります。ここでは内線規程の表と式を使い、計算例と早見表まで図で順に確かめます。
- 電線の太さは何で決まる?どの順で確かめる?
- 15A・20A・30A回路の電線の最小太さは?
- 許容電流はカタログの値で比べていい?
- 電圧降下の式と、許される値は?
- 100V・20A・15mなら何mm²?
- 何mまでなら何mm²で足りる?(早見表)
3つの条件と確かめる順番
電線の太さは、次の3つを全部満たす中で、いちばん細いものにします。どれか1つでも外れたら1サイズ上げます。
| 条件 | 確かめること | 根拠 |
|---|---|---|
| ① 最小太さ | ブレーカーの種類・定格で決まる太さ以上か | 内線規程 3605-6表 |
| ② 許容電流 | 補正後の許容電流 ≧ 負荷電流か | 内線規程 1340節 |
| ③ 電圧降下 | こう長で計算した電圧降下が許容値以内か | 内線規程 1310節 |
手順は次のとおりです。
- 負荷電流を出す:100Vで力率1なら、電流 = 電力 ÷ 電圧。1,500Wなら15Aです。
- 分岐回路の種類から最小太さを引く(3605-6表)。
- 補正後の許容電流が負荷電流以上になるサイズを選ぶ。
- こう長で電圧降下を計算し、許容値を超えたら1サイズずつ上げる。
- ①〜③でいちばん太いサイズに決める。
こう長が短い回路は②で決まり、長い回路は③で決まることがほとんどです。①は下限なので、①だけで決まるのは短くて軽い回路です。
- 最小太さ・許容電流・電圧降下の3つを全部満たす
- 3つの答えのうち、いちばん太いサイズを採る
- 短い回路は許容電流、長い回路は電圧降下で決まりやすい
最小太さ ― 分岐回路の種類で決まる(3605-6表)
分岐回路の電線は、ブレーカーの種類と定格で決まる最小太さ以上にします(内線規程3605-5)。つなげるコンセントの定格も、分岐回路の種類で決まっています。
| 分岐回路 | 電線の最小太さ | コンセントの定格 |
|---|---|---|
| 15A | 1.6mm | 15A以下 |
| 20A(配線用遮断器) | 1.6mm | 15A・20A |
| 20A(ヒューズ) | 2.0mm | 20A |
| 30A | 2.6mm(5.5mm²) | 20A・30A |
| 40A | 8mm² | 30A・40A |
| 50A | 14mm² | 40A・50A |
同じ20Aでも、配線用遮断器なら1.6mm、ヒューズなら2.0mmと太さが違います。30A分岐回路には、20Aのコンセントもつなげます。
分岐点から1つのコンセントまでの長さが3m以下の部分は、そこを通る負荷電流以上の許容電流があれば、表の値より細くできます(3605-5)。ただし、これは例外です。まずは表の値で揃えるのが基本です。分岐回路の種類や、1回路につなぐコンセントの数は分岐回路の設計で扱っています。
- 20A配線用遮断器の分岐回路は1.6mm以上
- 20Aでもヒューズなら2.0mm以上
- 30Aは2.6mm(5.5mm²)、40Aは8mm²、50Aは14mm²以上
- 3m以下の部分の緩和は例外。基本は表の値
許容電流 ― カタログの値ではなく「補正後」で比べる
カタログや表の許容電流は、周囲温度30℃・単独で配線したときの値です。実際の使い方に合わせて、2つの補正をかけます。
- 周囲温度:盤の中や天井内など、暑い場所では許容電流が下がります。
- 電流減少係数:同じ管に何本も入れると熱が逃げにくくなるので、本数に応じて下げます。3本以下で0.70、4本で0.63、5〜6本で0.56です。
たとえば、600Vビニル絶縁電線の1.6mmは許容電流27A(内線規程1340-1表)。管に3本以下で入れると 27×0.70=約19Aです。負荷電流が19Aを超えるなら、1.6mmでは足りません。1回路の管に何本も入れる設計では、この補正で1サイズ太くなることがよくあります。係数の詳しい表は電流減少係数とは、許容電流の考え方は許容電流で確かめられます。
- カタログの許容電流は30℃・単独の値
- 周囲温度と、管に入れる本数(電流減少係数)で補正する
- 「補正後の許容電流 ≧ 負荷電流」が条件
電圧降下 ― 式と許される値
電線には抵抗があるので、長く引くほど電圧が下がります。内線規程では、次の簡単な式で計算します。
| 配電方式 | 電圧降下 e[V] |
|---|---|
| 単相2線式 | 35.6 × L × I ÷(1000 × A) |
| 単相3線式(中性線と電圧線の間) | 17.8 × L × I ÷(1000 × A) |
| 三相3線式 | 30.8 × L × I ÷(1000 × A) |
単相2線式の35.6は、行きと帰りの2本で電圧が下がるためで、単相3線式のちょうど2倍です。単相3線式は、負荷が両側で釣り合っていれば中性線に電流が流れないので、片道ぶんだけで済みます。同じ負荷なら電圧降下は約半分です。
電圧降下が許される値は、内線規程1310節でこう長ごとに決まっています。
こう長60m以下なら、幹線2%以下、分岐回路2%以下が基本です(構内の変圧器から供給する場合は幹線3%以下)。100Vの分岐回路なら2V、200Vなら4Vが目安です。60mを超えるときは、幹線と分岐回路の合計で上の値になります。許容値とこう長の関係は電圧降下(1310節)の許容値で詳しく扱っています。
- 単相2線式は e=35.6×L×I÷(1000×A)
- 単相3線式は17.8、三相3線式は30.8
- こう長60m以下は分岐回路で2%以下(100Vなら2V)
- 60mを超えると、幹線と分岐回路の合計で緩和
計算例 ― 100V・20A・こう長15m
20Aの配線用遮断器で、100Vの単相2線式、負荷20A、こう長15mの回路を考えます。
- 最小太さ:20A配線用遮断器の分岐回路なので1.6mm(約2.0mm²)以上。
- 電圧降下(2.0mm²):35.6×15×20÷(1000×2.0)= 5.3V。5.3%で、2%を超えます。
- 3.5mm²:35.6×15×20÷(1000×3.5)= 3.1V。まだ超えます。
- 5.5mm²:35.6×15×20÷(1000×5.5)= 1.9V。2%以内です。
この回路は5.5mm²(2.6mm)に決まります。最小太さだけで選ぶと、コンセントの先で電圧が5%以上も下がるところでした。同じ条件を単相3線式にすると、17.8×15×20÷(1000×5.5)= 約1.0V です。長い回路では、単相3線式にすると細い電線で済むことがあります。最後に、5.5mm²の補正後の許容電流が20A以上あることも確かめます。
- 最小太さでは2.0mm²(1.6mm)でよい
- 電圧降下で2.0mm²は5.3%、3.5mm²は3.1%で不可
- 5.5mm²で1.9%。この回路は5.5mm²に決まる
- 単相3線式なら同じ条件で約1.0%
早見表 ― 2%(2V)に収まるこう長
100Vの単相2線式で、電圧降下を2V(2%)に収められるこう長の上限です。式を L = 2 × 1000 × A ÷(35.6 × I)に置き換えて計算しました。
| 電線 | 15Aのとき | 20Aのとき |
|---|---|---|
| 2.0mm² | 7.5m | 5.6m |
| 3.5mm² | 13.1m | 9.8m |
| 5.5mm² | 20.6m | 15.4m |
| 8mm² | 30.0m | 22.5m |
| 14mm² | 52.4m | 39.3m |
ほかの条件にも、この表を読み替えて使えます。
- 電流が変わるとき:こう長は電流に反比例します。10Aなら20Aの欄の2倍、30Aなら20Aの欄の2/3です。
- 200Vの負荷:2%は4Vなので、表の2倍の長さまで引けます。
- 単相3線式(両側の負荷が釣り合っているとき):係数が半分なので、表の約2倍です。
早見表は目安です。こう長が表の値に近いときや、幹線側の電圧降下が大きいときは、式で確かめます。
- 100V・20A・2%なら、2.0mm²は約5.6mまで
- 5.5mm²で約15m、14mm²で約39m
- 電流が半分なら2倍の長さ。200Vや単相3線式も約2倍
よくある質問
単相回路の電線の太さはどう決めますか?
分岐回路の種類で決まる最小太さ、補正後の許容電流、電圧降下の3つを全部満たす中で、いちばん細いサイズにします。3つの答えのうち、いちばん太いものを採ります。
20Aのコンセント回路は1.6mmでいいですか?
20Aの配線用遮断器の分岐回路なら、最小太さは1.6mmです。ただし、こう長が長いと電圧降下で太くなります。100V・20Aで2%に収めるなら、2.0mm²は約5.6mまでです。
20Aでもヒューズの回路は違いますか?
違います。20Aのヒューズの分岐回路は2.0mm以上です。配線用遮断器の1.6mmと取り違えないようにします。
電圧降下はどのくらいまで許されますか?
内線規程1310節では、こう長60m以下なら幹線・分岐回路それぞれ2%以下が基本です。構内の変圧器から供給する場合は幹線3%以下にできます。60mを超えると、幹線と分岐回路の合計で緩和されます。
単相2線式と単相3線式で式は違いますか?
違います。単相2線式は係数35.6、単相3線式(中性線と電圧線の間)は17.8です。単相3線式は同じ条件で電圧降下が約半分になります。
許容電流はカタログの値で比べていいですか?
そのままでは使えません。周囲温度と、同じ管に入れる本数(電流減少係数)で補正した値が、負荷電流以上か確かめます。
200Vの回路でも早見表は使えますか?
使えます。200Vで2%は4Vなので、100Vの表の2倍の長さまで引けます。
まとめ ― 取り違えやすいところ
| 取り違えやすいところ | 正しくは |
|---|---|
| 最小太さを満たせば終わり | 許容電流と電圧降下も確かめる |
| 20Aなら全部1.6mm | ヒューズの20Aは2.0mm |
| カタログの許容電流で比べる | 周囲温度と本数で補正した値で比べる |
| 単相2線と単相3線の電圧降下は同じ | 単相3線は約半分(係数17.8) |
| 電圧降下は60mを超えても2% | 60m超は幹線+分岐の合計で緩和 |
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