新人の学習ルート 9. 規程・法令の引き方を覚える
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出典:内線規程(JEAC8001-2022)1310節(電圧降下) 幹線サイズを決めるときに必ず確認する「電圧降下」。幹線は2%以下?変圧器から供給だと3%?こう長が長いと緩和される?——条件によって許容値が変わるため、表を見ないと不安になる項目です。まずは図で全体像をつかみましょう。
60m以下 幹線2%・分岐回路2%。
構内変圧器 幹線だけ3%まで。
60m超 幹線+分岐の合計で見る。
合計の上限 低圧4〜6%、構内5〜7%。
ペン太ペン太
電圧降下って、そもそも何が困るんですか?
ハリタハリタ
機器に届く電圧が下がりすぎると、照明が暗くなったりモーターの力が落ちたりするんだ。だから“ここまでなら許す”という上限が決められているんだよ。
ペン太ペン太
だから%で管理するんですね。抑えるにはどうすれば?
ハリタハリタ
基本は2つ。電線を太くして抵抗を下げるか、ルートを短くしてこう長を縮めるか。幹線検討ではこの2択を天秤にかけているんだ。

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ペン太ペン太
電圧降下の許容値って、どんな場合でも一律2%なんですよね?
ハリタハリタ
60m以下は、幹線・分岐回路それぞれ2%が基本です。60mを超えると、幹線と分岐回路の合計で4%、5%と段階的に広がります。

この記事で押さえる3つのこと

  • 60m以下は、幹線2%・分岐回路2%を別々に守る(構内の変圧器からの幹線は3%)。
  • 60m超は、幹線と分岐回路の合計で、低圧で受電なら4〜6%、構内の変圧器からなら5〜7%。
  • 当てはめる順番は、供給元 → こう長(いちばん遠い負荷まで)→ 許容値。

電圧降下の3つの記事の使い分け

この記事でわかること
数値だけ確認したい方は、2つ目の項目から読んでください。

① 電圧降下とは何か/抑える方法

電圧降下 送った電圧と届く電圧の差。
大きくなる 長い・細い・電流が大きい。
抑える 短く・太く・電流を減らす。
困ること 照明が暗い・モーターが弱る。
  • 導体には電気抵抗があり、電流が流れると送り出した電圧(V1)より負荷に届く電圧(V2)が低くなる。この差が電圧降下
  • 大きさは導体の抵抗・電流・こう長・断面積・温度で変わる。長く流すほど、電線が細いほど大きくなる
  • 抑える基本は2つ:①電線・ケーブルを太くする(断面積を大きく)②電線ルートを短くする(こう長を短く)
たとえるなら
電圧降下は、ホースの先で弱まる水の勢い
長いホースで庭に水をまくと、先のほうでは勢いが弱くなりますよね。ホースが細く長いほど、勢いは落ちます。電気も同じで、電線が細く長いほど、負荷に届く電圧が下がります。どこまで下がってよいかを、%で決めたのが許容値です。
ペン太ペン太
構内に変圧器がある場合も、許容値は同じ2%ですか?
ハリタハリタ
60m以下なら、構内の変圧器から送る幹線だけ3%まで認められます。分岐回路は2%のままです。
押さえる点内容
電圧降下とは送り出した電圧より、負荷に届く電圧が低くなる、その差
大きさが変わる要因導体の抵抗・電流・こう長・断面積・温度
大きくなる条件長く流すほど、電線が細いほど
抑える方法①電線・ケーブルを太くする(断面積を大きくする)
抑える方法②電線ルートを短くする(こう長を短くする)
ここまでのポイント
  • 電圧降下とは、送り出した電圧より負荷に届く電圧が低くなる、その差のこと
  • 大きさは導体の抵抗・電流・こう長・断面積・温度で変わる
  • 長く流すほど、電線が細いほど大きくなる

② こう長別・電圧降下の許容値(早見表)

  • 60m以下:幹線と分岐回路を別々に見る。幹線2%以下(構内変圧器から供給なら3%以下)、分岐回路2%以下
  • 60m超:幹線と分岐回路の合計で見る。構内変圧器から/低圧供給で、120m以下 5%/4%、200m以下 6%/5%、200m超 7%/6%
  • 供給元で1列ぶん変わる。同じこう長でも、構内変圧器から供給するほうが1%ぶん緩い

60m以下は、幹線と分岐回路を別々に

こう長60m以下なら、幹線で2%、分岐回路で2%を、それぞれの区間で守ります。構内の変圧器から供給する場合は、幹線だけ3%まで認められます。

幹線 2%の持ち分(構内変圧器3%)。
分岐回路 2%の持ち分。
別々に それぞれで守る。
回せない 余りは移せない。
たとえるなら
60m以下は、リレーの区間ごとの持ちタイム
リレーで「1走は○秒以内、2走も○秒以内」と区間ごとに目標を決めると、1走が速くても、2走の目標はゆるくなりませんよね。60m以下の電圧降下も同じで、幹線で2%、分岐回路で2%を、それぞれの区間で守ります。
ここに注意!
「構内の変圧器からなら、分岐回路も3%」ではありません。
60m以下で3%まで認められるのは、構内の変圧器から供給する幹線だけです。分岐回路は2%のままです。

60m超は、幹線と分岐回路の合計で

こう長が60mを超えると、幹線と分岐回路の合計で見ます。合計が上限に収まれば、配分は自由です。実務では、分岐回路に2%を残し、残りを幹線に回すのが出発点です。

60m超 合計で見る。
配分 自由。合計が上限以内。
出発点 分岐2%を残し残りを幹線。
上限 低圧4〜6%・構内5〜7%。
たとえるなら
60m超は、長距離バスの到着時刻
長距離バスは、途中の停留所ごとではなく、終点に着く時刻で遅れを見ますよね。途中で少し遅れても、あとで取り戻せば問題ありません。60mを超える配線も同じで、幹線と分岐回路の合計が上限に収まっていればよく、配分は自由です。
ここに注意!
「60mを超えたら、幹線4%・分岐回路4%」ではありません。
60m超の値(低圧で受電なら4〜6%、構内の変圧器からなら5〜7%)は、幹線と分岐回路の合計の上限です。1区間ずつの値と取り違えると、電線の太さを読み違えます。
取り違えやすいところ正しくは
許容値はどこでも2%こう長60m以下の基本が幹線・分岐回路それぞれ2%。60mを超えると合計で4〜7%
供給元が変わっても同じ構内変圧器からの供給は1%ぶん緩い(60m以下は幹線だけ3%)
こう長が長いほど厳しくなる逆。長くなるほど緩和される
太くしても効果はない断面積を大きくすると電圧降下は小さくなる

3つのケースで当てはめる

許容値は、供給元 → こう長 → 許容値の順に決めます。こう長の起点と供給元は、次の図で見分けます。

低圧で受電 起点は引込線取付点。
高圧で受電 起点は変圧器の二次側。
こう長 最も遠い負荷まで。
見る列 供給元で決まる。
ここに注意!
「こう長は、幹線の長さ」ではありません。
こう長は、供給変圧器の二次側(低圧で受電なら引込線の取付点)から、いちばん遠い負荷までの電線の長さです。分岐回路の長さも含みます。
ここに注意!
「高圧で受電していても、低圧の列を見る」ではありません。
キュービクルなど、敷地内の変圧器から低圧を送るなら「構内の変圧器から供給」の列です。電力会社から低圧で受電している建物だけが「低圧で受電」の列です。
住宅 40m 幹線2%・分岐2%。
工場 90m 構内変圧器合計5%。
倉庫 250m 低圧で受電合計6%。
順番 供給元→こう長→許容値。
ケース(例)供給元こう長許容値
住宅低圧で受電40m(60m以下)幹線2%・分岐回路2%(100V基準で各2V)
工場構内の変圧器から90m(120m以下)合計5%(三相200Vで10V)
倉庫低圧で受電250m(200m超)合計6%(三相200Vで12V)

数値は例です。単相3線式・三相4線式は、対中性線の電圧(単相3線式なら100V)を基準に考えます。電線の太さの決め方は、電圧降下の許容範囲と計算方法で扱っています。

ここに注意!
「電圧降下が許容値に入れば、その電線でよい」ではありません。
電線の太さは、電圧降下のほかに、許容電流と過電流遮断器との組合せも満たして決めます。いちばん太くなる条件で選びます。
ここまでのポイント
  • こう長60m以下は、幹線・分岐回路それぞれ2%以下
  • 構内変圧器からの供給なら、60m以下で幹線だけ3%以下まで
  • こう長が60mを超えると、幹線と分岐回路の合計で4〜7%に広がる
  • 当てはめる順番は、供給元 → こう長 → 許容値

よくある質問(FAQ)

Q. 幹線の電圧降下は何%以下にすればいい?
A. こう長60m以下なら、幹線2%以下・分岐回路2%以下を別々に守るのが基本です。構内の変圧器から供給される幹線は3%以下まで認められます。こう長が60mを超える場合は、幹線と分岐回路の合計で見ます。
Q. こう長が長いと許容値はどうなる?
A. 幹線と分岐回路の合計で見て、長くなるほど広がります。電気事業者から低圧で受電する場合、120m以下で4%、200m以下で5%、200m超で6%以下です(構内の変圧器からはそれぞれ1%ぶん緩くなります)。
Q. 電圧降下を抑えるにはどうすればいい?
A. 基本は、電線・ケーブルを太くして抵抗を下げる方法と、電線ルートを短くしてこう長を縮める方法です。負荷を分けたり電圧を上げたりして、電流を減らす方法もあります。
Q. 「構内の変圧器から供給」とは、どんな建物?
A. 高圧で受電し、キュービクルなど敷地内の変圧器で低圧にして送っている建物です。こう長の起点は変圧器の二次側です。電力会社から低圧で受電している住宅や小さな店舗は「低圧で受電」の列を見て、起点は引込線の取付点です。
Q. 60mを超えたら、幹線と分岐回路にどう配分する?
A. 合計が上限に収まれば配分は自由です。実務では、分岐回路に2%を残し、残りを幹線に回すのが出発点です。たとえば構内の変圧器から90mなら合計5%なので、幹線3%・分岐回路2%から考えます。

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まとめ|こう長と供給元の2軸で決まる

結論です。電圧降下の許容値は、こう長と供給元の2つで決まります。60m以下は幹線・分岐回路それぞれ2%以下(構内変圧器からの幹線は3%以下)。60mを超えると幹線と分岐回路の合計で見て、構内変圧器からの供給なら1%ぶん緩くなります。長くなるほど厳しくなるのではなく、緩和される点に注意してください。

こう長構内変圧器から供給電気事業者から低圧供給
60m以下幹線3%以下・分岐回路2%以下幹線2%以下・分岐回路2%以下
120m以下合計5%以下合計4%以下
200m以下合計6%以下合計5%以下
200m超合計7%以下合計6%以下

電圧降下を抑える2つの方法

  • 電線・ケーブルを太くする(断面積を大きくして抵抗を下げる)
  • 電線ルートを短くする(こう長を縮める)
  • 電流を減らす(負荷を分ける・電圧を上げる)

確認する順番

  • その幹線が、構内変圧器からの供給か電気事業者からの低圧供給かを確かめる
  • こう長がどの区分に入るかを確かめる
  • 60m以下なら幹線と分岐回路を別々に、60m超なら合計で、実際の電圧降下率と比べる

電圧降下は、図面の上では見えない性能です。こう長が伸びる計画ほど効いてくるため、ルートが決まった段階で一度確かめておくと、あとからのサイズ変更を避けられます。供給元によって1%ぶん違う点も、見落としやすいので先に確認してください。

ペン太ペン太
計算で許容値を超えてしまったら、どうすればいいですか?
ハリタハリタ
対策は2択です。電線を太くするか、ルートを短くするかで再計算してみましょう。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。