受変電設備の設計|高圧交流遮断器『CB』の使用用途と選定方法について詳しく解説
キュービクルのいちばん入口にいる高圧交流遮断器(CB)。ふだんはスイッチのように見えますが、本当の出番は事故のときです。短絡が起きると、ふだんの何十倍もの電流が一気に流れ込みます。それを継電器が見つけ、CBが一瞬で断ち切る。だから選ぶときは「その大電流を本当に切れるか」がいちばん大事になります。この記事では、CBの役目をダムの水門のたとえでつかみ、決める4つの定格(電圧・電流・遮断電流・短時間耐電流)を、動く図と計算例で順に確かめます。
CBの役目 ― 主役は「開け閉め」ではなく「遮断」
CBの用途は、次の2つです。
- 過負荷電流や短絡電流を遮断する(主な役目)
- 負荷電流を開閉する(ふだんの入り切り。できるが、こちらはおまけ)
CB自体は、事故を見つけるセンサーを持っていません。変流器(CT)で電流を取り出し、過電流継電器(OCR)や地絡継電器(GR)が異常を判断して、CBに「切れ」と指令を出します。継電器が目、CBが手、という分担です。
主遮断装置にCBを使う受電設備をCB形といいます。キュービクル(JIS C 4620)では、PF・S形は受電設備容量300kVA以下、CB形は4,000kVA以下までと決められていて、300kVAを超えるとCB形になります。いまのCBは、ほとんどが真空の中で電流を切る真空遮断器(VCB)です。
- CBの主な役目は、過負荷電流・短絡電流の遮断
- 負荷電流の開閉もできるが、おまけの役目
- 事故を見つけるのは継電器(OCR・GR)。CBは指令で切る
- 300kVAを超えるキュービクルはCB形
選定で決める「4つの定格」
旧来の説明では「選定の3条件」とまとめることが多いのですが、実際には電圧を合わせたうえで、次の3つを満たします。
- 定格電流が、ふだん流れる最大の負荷電流以上
- 定格遮断電流が、受電点の短絡電流以上
- 定格短時間耐電流が、短絡電流が流れる間それに耐えられる
| 定格 | 意味 | 標準値 |
|---|---|---|
| 定格電圧 | 使ってよい電圧の上限 | 7.2kV |
| 定格電流 | ふだん流し続けてよい電流 | 400A・600A |
| 定格遮断電流 | 切ることができる短絡電流の上限 | 8kA・12.5kA |
| 定格短時間耐電流 | 1秒間流れても壊れない電流 | 遮断電流と同じ |
- 決めるのは、定格電圧・定格電流・定格遮断電流・定格短時間耐電流の4つ
- 電圧を合わせ、電流・遮断電流・短時間耐電流の3条件を全部満たす
- 標準値は 7.2kV/400A・600A/8kA・12.5kA
定格電圧 ― 6.6kV受電なら7.2kV
6.6kVで受電する建物のCBは、定格電圧7.2kVを選びます。7.2kVは、公称電圧6.6kVに1.2/1.1を掛けた値です。
6.6kV × 1.2 / 1.1 = 7.2kV
- 6.6kV受電のCBは定格電圧7.2kV(6.6×1.2/1.1)
- 系統の最大使用電圧6.9kVを上回る枠になっている
- 3.3kV受電なら3.6kV
定格電流 ― 負荷電流を求めて、400Aか600Aから選ぶ
ふだんCBに流れる最大の電流(負荷電流)を求め、それ以上の定格電流を選びます。求め方は2通りです。
契約電力がわかっているとき
I = 契約電力〔kW〕 ÷(√3 × 6.6kV × 力率0.9)× 1.5
1.5は、負荷の変動などを見込んだ設計上の余裕(安全係数)です。契約電力500kWなら、
500 ÷(√3 × 6.6 × 0.9)= 48.6A → 48.6 × 1.5 = 72.9A
契約電力がまだ決まっていないとき
変圧器の容量から一次側の電流を出し、全部を足します。全部の変圧器がフルに動いた場合の値になるので、大きめに出ます。
- 三相変圧器:一次電流 = 容量〔kVA〕÷(√3 × 6.6kV)
- 単相変圧器:一次電流 = 容量〔kVA〕÷ 6.6kV
たとえば三相300kVAと単相100kVAなら、300÷(√3×6.6)=26.2A、100÷6.6=15.2Aで、合わせて約41.4Aです。
負荷電流は、CTの変流比や継電器の整定を決めるときにも使います。変圧器の容量の決め方は変圧器容量の選定・計算方法で扱っています。
- 契約電力から:I=kW÷(√3×6.6×0.9)×1.5(500kW→72.9A)
- 変圧器から:三相 kVA÷(√3×6.6)、単相 kVA÷6.6 を全部足す
- 定格電流の標準値は400A・600A。高圧受電なら400Aで足りることがほとんど
定格遮断電流 ― 受電点の短絡電流以上を選ぶ
CB選びの本番です。受電点で短絡が起きたときに流れる短絡電流を求め、それ以上の定格遮断電流を選びます。短絡電流は、電力会社から聞いた短絡容量から計算します。
短絡電流〔kA〕= 短絡容量〔MVA〕÷(√3 × 6.6kV)
- 短絡容量80MVA → 80÷(√3×6.6)=7.0kA → 定格遮断電流 8kA
- 短絡容量100MVA → 100÷(√3×6.6)=8.7kA → 8kAでは足りず 12.5kA
定格短時間耐電流は、定格遮断電流と同じ値です。短絡電流が1秒流れても壊れないことが求められます(JIS C 4603)。定格遮断電流を短絡電流以上で選べば、こちらも満たせます。
いまは、受電用のCBに12.5kA(約160MVA)を使うのが一般的になっています。短絡容量の回答が8kAぎりぎりのときや、将来の系統の変化が心配なときは、12.5kAを選んでおくと安心です。
- 短絡電流=短絡容量÷(√3×6.6kV)
- 定格遮断電流は短絡電流以上の段(8kA・12.5kA)
- MVAどうしで比べない。kAどうしで比べる(100MVA→8.7kA→12.5kA)
- 定格短時間耐電流は遮断電流と同じ値で1秒
受電点の短絡容量の調べ方
短絡容量は、図面や計算だけでは決められません。引込点のいちばん近い電柱の電柱番号を控えて、管轄の送配電会社に問い合わせます。電柱番号札の見方は、各社のホームページに載っています。
回答がMVAで返ってきたら、何kV基準の値かも確かめてからkAに直します。はじめから短絡電流(kA)で聞くと、取り違えがありません。変電所や発電所が近い計画地は大きくなりがちなので、早めに確認します。
受電点より先(変圧器の二次側の盤など)の短絡電流は、セコサポの短絡電流・遮断容量 計算ツールで、ケーブルと変圧器のインピーダンスを入れて求められます。
- 電柱番号を控えて、管轄の送配電会社に問い合わせる
- MVAで聞いたら何kV基準かも確認。kAで聞くのが確実
- 変電所・発電所が近いと大きくなりやすい
選定例 ― 契約電力500kW・短絡容量80MVA
| 定格 | 求め方 | 選定 |
|---|---|---|
| 定格電圧 | 6.6kV×1.2/1.1 | 7.2kV |
| 定格電流 | 500÷(√3×6.6×0.9)×1.5=72.9A | 400A |
| 定格遮断電流 | 80÷(√3×6.6)=7.0kA | 8kA |
| 短時間耐電流 | 定格遮断電流と同じ | 8kA 1秒 |
よくある質問
高圧交流遮断器(CB)の主な用途は?
過負荷電流や短絡電流の遮断です。負荷電流の開閉もできますが、遮断装置としての使い方が中心です。
CBは自分で事故を見つけますか?
見つけません。変流器(CT)で取り出した電流を過電流継電器(OCR)や地絡継電器(GR)が判断し、CBに遮断の指令を出します。
6.6kV受電のとき、定格電圧はいくつですか?
7.2kVです。6.6kV×1.2/1.1=7.2kVで、系統の最大使用電圧6.9kVを上回る値です。
定格電流はどう選びますか?
契約電力か変圧器の容量から負荷電流を求め、それ以上の標準値(400Aか600A)を選びます。高圧受電ならたいてい400Aで足ります。
定格遮断電流はどう選びますか?
受電点の短絡容量を電力会社に確認し、短絡電流=短絡容量÷(√3×6.6kV)を求めて、それ以上の定格遮断電流(8kA・12.5kA)を選びます。
短絡容量100MVAなら、遮断容量100MVAのCBでよいですか?
いいえ。100MVAは6.6kVで8.7kAになり、8kA品(遮断容量は7.2kV基準で約100MVA)では足りません。12.5kAを選びます。
受電点の短絡容量はどう確認しますか?
引込点の最寄りの電柱番号を控えて、管轄の送配電会社に問い合わせます。短絡電流(kA)で聞くのが確実です。
まとめ ― 取り違えやすいところ
| 取り違えやすいところ | 正しくは |
|---|---|
| CBは負荷電流の開閉が主な用途 | 短絡電流などの遮断が主な役目 |
| CBが事故を見つけて切る | 継電器が見つけ、CBが指令で切る |
| 定格電圧は6.6kV | 6.6×1.2/1.1=7.2kV |
| 契約電力が決まらないと選べない | 変圧器の容量から負荷電流を出せる |
| 短絡容量とMVAどうしで比べる | 短絡電流(kA)どうしで比べる |
| 短絡容量はどこでも同じくらい | 変電所・発電所が近いと大きい |
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