技術図書館避雷設備の積算は雷の通り道の順に拾う数量を拾う順番、40m×25mの計算例、構造体利用と工事区分の注意この資料をスライドで見る資料一覧を見る

避雷設備は、材料の種類は少ないのに、積算ではよく拾い漏れが出ます。屋上・外壁・地中にまたがり、建築や躯体の工事と入り組んでいるからです。この記事では、避雷設備の数量の拾い方の順番計算例工事区分の決め方、見積もりで見落としやすい項目を整理します。

結論

避雷設備の数量は受雷部 → 支持金物 → 引下げ導線 → 試験用接続部 → 接地極 → ボンディング・SPD → 試験の順に拾います。そのうえで工事区分を見積もり前に書面で決めることが大切です。

  • 屋上伏図・立面図・接地極配置図・特記仕様から順に拾う
  • 引下げ導線は「本数×(高さ+余長)」、環状接地極は「壁から1m外の周長」
  • 構造体利用は材料が減る代わりに、接続箇所と試験が増える
  • 笠木の橋絡・鉄筋の溶接・防水補修・足場は区分を先に決める
この記事でわかること
気になるものを選べば、その項目へ飛べます。全部を読まなくても、必要なところだけで解決します。
避雷設備の数量を拾う順番として、受雷部・支持金物・引下げ導線・試験用接続部・接地極・掘削埋戻し・ボンディングとSPD・試験の8項目と、拾い方と拾う図面を並べた表
数量は、この順番で図面から拾います。右の列は、主に使う図面です。
この記事で読めるようになる用語:受雷部 引下げ導線 SPD

拾う順番 ― 上から下へ、図面ごとに

避雷設備の数量は、雷の通り道の順(上から下)に拾うと漏れが出にくくなります。

項目 単位 拾い方
受雷部 本・m 突針の本数、棟上導体・メッシュ導体の長さ(屋上伏図)
支持金物 導体の長さ ÷ 支持間隔。支持間隔は仕様書・規格の附属書で確認
引下げ導線 m 本数 ×(建物の高さ+余長)。構造体利用なら接続箇所数
試験用接続部 引下げ導線の本数(構造体接地極との組み合わせは不要)
接地極 m・本 環状接地極の長さ、接地棒の本数、構造体接地極の接地端子
掘削・埋戻し m 接地極の経路の長さ(外構・根切りとの取り合い)
ボンディング・SPD か所・台 屋上機器・引込口・金属管のボンディング、SPDの台数
試験・その他 接地抵抗測定、導通試験、防水補修、足場・高所作業
一般的な拾い方の例

たとえるなら、水道の配管を蛇口から元栓までたどるのと同じです。雷の通り道を上から順にたどれば、拾い漏れがなくなります。

建物の立面で、屋上の導体・支持金物・引下げ導線・試験用接続部・環状接地極を上から順に色付けし、右の一覧に数量が入っていく動く図解
動く図解:雷の通り道を上からたどりながら、数量を拾っていきます。
ここまでのポイント
  • 上から下へ、雷の通り道の順に拾う
  • 支持金物は長さ÷支持間隔で個数を出す
  • 試験・防水補修・足場も忘れずに

計算例 ― 40m×25m・高さ30m・クラスⅣ

40m×25mの屋上にメッシュ法で導体を配置し、引下げ導線8本と環状接地極を描いた平面図と、受雷部の導体・引下げ導線・試験用接続部・環状接地極の数量の計算例
計算例。余長・支持金物・接続材は別に加えます。

40m×25m、高さ30mの建物を、クラスⅣ・メッシュ法(20m×20m以下)で設計した例です。

  • 屋上の外周の導体:(40+25)×2 = 130m
  • メッシュの内側の導体:40m方向の中央に1本(25m)、25m方向の中央に1本(40m)で 65m
  • 受雷部の導体 合計:195m
  • 引下げ導線:外周130m÷20m=6.5 → かど4本+辺の中間4本で8本
  • 専用導線の場合:8本×(30m+余長2m)= 256m
  • 試験用接続部:8個
  • 環状接地極:壁から1m外に回すと (42+27)×2 = 138m

メッシュの網目は、40m方向は中央の1本で20m、25m方向は中央の1本で12.5mになり、どちらも20m以下を満たします。引下げ導線の間隔も、長辺20m・短辺12.5mで20m以内です。

ここまでのポイント
  • 受雷部の導体は、外周+メッシュの内側
  • 引下げ導線は、外周÷間隔で本数を出し、かど優先で配置
  • 環状接地極は、壁から1m外の周長


構造体利用だと ― 材料が減り、接続と試験が増える

項目 専用導線 構造体利用
引下げ導線の材料 本数×高さ分の導体と支持金物 ほぼ不要
接続 受雷部・接地極との接続 柱頭・柱脚の接続(溶接・クランプ)、途中階の接続
試験用接続部 引下げ導線の本数分 構造体接地極との組み合わせなら不要
試験 接地抵抗 導通試験(最上階〜地上)+接地抵抗
立会い・記録 少なめ 打設前の確認と写真が必要
一般的な比較

構造体利用にすると、材料費と外壁の取付け手間は減りますが、接続の箇所数・打設前の確認・導通試験が増えます。接続を電気工事で行うのか、躯体工事で行うのかによって、どちらの見積もりに入るかも変わります(「引下げ導線と構造体利用|本数と間隔の決め方、鉄骨・鉄筋を使う条件と0.2Ωの確認」参照)。

ここまでのポイント
  • 構造体利用は材料と外壁の手間が減る
  • 代わりに接続箇所・打設前確認・導通試験が増える
  • 接続をどの工事で行うかで見積もりの行き先が変わる

工事区分 ― 見積もり前に書面で決める

電気工事・建築工事・構造躯体工事のそれぞれに含まれる避雷設備関連の項目と、区分があいまいな項目を見積もり前に書面で決めることを示した図
避雷設備は、電気・建築・躯体の3つの工事にまたがります。

避雷設備は、電気工事だけで完結しません。とくに次の項目は、どの工事に含めるかで揉めやすいので、見積もりの前に書面で決めておきます

  • 金属笠木・金属屋根の継目の橋絡:笠木は建築、橋絡は電気、が多いが案件しだい
  • 鉄筋・鉄骨への溶接・クランプ:躯体工事で行うか、電気工事が行うか
  • 防水の貫通部の補修:防水業者の保証との関係も確認
  • 足場・高所作業車:共通仮設か、電気工事の専用か
ここまでのポイント
  • 避雷設備は電気・建築・躯体にまたがる
  • 笠木の橋絡・鉄筋の溶接・防水補修・足場は区分を明確に
  • 見積もり前に書面で決める

見落としやすい項目 ― 小物と試験と仮設

見落としやすい項目 ポイント
支持金物・接続材 導体の長さから個数を出す。材料をそろえる(異種金属に注意)
屋上機器のボンディング 室外機・太陽光・アンテナなどの台数分
SPD 引込口のクラスⅠ試験SPD、分電盤のSPD
試験と記録 接地抵抗の単独・総合測定、導通試験、写真と報告書
防水の貫通部 補修の材料と手間、防水業者の立会い
高所作業 外壁の引下げ導線、高い突針の取付けに足場・高所作業車
よくある拾い漏れ
ペン太ペン太
避雷針の見積もりって、突針と導線の長さだけじゃダメなんですか?
ハリタハリタ
それだと支持金物と接続材、試験、防水の補修が丸ごと抜けます。とくに支持金物は数が多いので、導体の長さから個数を出しておきましょう。試験と記録も、特記仕様に書いてあれば費用がかかります。
ここまでのポイント
  • 支持金物・接続材は導体の長さから個数を出す
  • 屋上機器のボンディングとSPDを忘れない
  • 試験・記録・防水補修・高所作業も費用に入れる


よくある質問

避雷設備の数量はどうやって拾いますか?

受雷部(突針の本数、棟上導体・メッシュの長さ)、支持金物(導体の長さ÷支持間隔)、引下げ導線(本数×(高さ+余長))、試験用接続部(引下げ導線の本数)、接地極(環状の長さ・接地棒の本数)、掘削・埋戻し、ボンディング・SPD、試験の順に、屋上伏図・立面図・接地極配置図・特記仕様から拾います。

構造体利用だと、避雷設備の費用は下がりますか?

専用の引下げ導線の材料と取付けが減る分、下がることが多いです。ただし、鉄骨・鉄筋との接続(溶接・クランプ)の箇所数、打設前の確認、導通試験の費用が加わります。接続を誰が行うか(電気か躯体か)も、見積もりの前に決めておきます。

避雷設備の工事区分で揉めやすいのはどこですか?

金属笠木や金属屋根を受雷部に使うときの継目の橋絡、鉄筋・鉄骨への溶接、防水の貫通部の補修、足場の費用負担です。見積もりの前に、電気・建築・躯体のどの工事に含めるかを書面で決めておきます。

引下げ導線の長さの余長はどれくらい見ますか?

接続部、屋上での取り回し、試験用接続部から接地極までの長さなどを見込みます。一律の決まりはないので、図面の経路で拾ったうえで、会社や案件の積算基準に合わせて余長を加えます。

見積もりで見落としやすい項目は何ですか?

支持金物と接続材、防水の貫通部の補修、屋上機器のボンディング、SPD、接地抵抗の測定と記録、構造体利用時の導通試験、高所作業の足場や高所作業車です。特記仕様の試験と記録の項目も、費用に入れておきます。

ハリタ

この記事を書いた人:ハリタ

電気設備設計の実務者。内線規程・電気工事士資格・住宅の電気設備を「設計者の視点」で解説しています。プロフィール詳細

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。