技術図書館工作物の避雷は金属そのものを使う20mを超える工作物、金属を受雷部に使う考え方、鉄塔のケーブルと煙突の頂部この資料をスライドで見る資料一覧を見る

避雷設備が必要なのは建物だけではありません。建築基準法では、高さ20mを超える煙突・鉄塔・広告塔・高架水槽などの工作物にも避雷設備が求められます。工作物は細く高いものが多く、しかも金属でできていることが多いので、建物とは少し違う考え方をします。この記事では、対象になる工作物、金属の工作物をそのまま受雷部・引下げ導線に使う考え方、煙突と鉄塔のポイントを整理します。

結論

高さ20mを超える煙突・鉄塔・広告塔・高架水槽などは、建築基準法第88条で避雷設備が必要です。金属製ならそれ自体を受雷部・引下げ導線に使い、脚ごとの接地とケーブルのボンディングを確実にします。

  • 根拠は建築基準法第88条(第33条の準用)。20mを超える部分を保護
  • 金属の工作物は、継ぎ目がつながっていれば、そのまま受雷部・導線になる
  • 煙突は頂部の環状導体と突針、2本以上の引下げ導線、頂部の腐食対策
  • 鉄塔はケーブルのシールドのボンディングとSPD
この記事でわかること
気になるものを選べば、その項目へ飛べます。全部を読まなくても、必要なところだけで解決します。
煙突・鉄塔と鉄柱・広告塔・高架水槽・遊戯施設などの工作物を並べ、高さ20mのラインを示して、20mを超えるものに避雷設備が必要なことを示した図
高さ20mを超える工作物には、建築基準法第88条で避雷設備が必要になります。
この記事で読めるようになる用語:受雷部 引下げ導線 等電位ボンディング SPD

対象の工作物 ― 第88条で第33条を準用

建築基準法第33条(避雷設備)は、第88条で一定の工作物にも準用されます。対象は、建築基準法施行令第138条で指定された工作物のうち、高さ20mを超えるものです。

工作物 確認申請が必要になる高さ(令第138条) 避雷設備
煙突 6mを超えるもの 20mを超えるものに必要
鉄筋コンクリート造の柱・鉄柱など 15mを超えるもの 20mを超えるものに必要
広告塔・広告板など 4mを超えるもの 20mを超えるものに必要
高架水槽など 8mを超えるもの 20mを超えるものに必要
遊戯施設など 令第138条第2項で指定 20mを超えるものに必要
建築基準法第88条・施行令第138条をもとに作成

保護するのは、建物と同じく高さ20mを超える部分です(避雷設備の技術的な規定も、施行令で工作物に準用されています)。設置義務の全体像は「避雷設備の設置義務|対象になる建物・工作物・危険物施設と「高さ20m」の測り方」で整理しています。

ここまでのポイント
  • 第88条で第33条を準用。高さ20mを超える工作物が対象
  • 煙突・鉄柱・広告塔・高架水槽・遊戯施設など
  • 保護するのは20mを超える部分

金属の工作物 ― それ自体が受雷部と導線

金属製の鉄塔を例に、鉄塔そのものが受雷部と引下げ導線になり、頂部の突針、脚ごとの接地、ケーブルのボンディング、SPDを示した図
金属の工作物は、それ自体が受雷部と引下げ導線になります。確認するのは、つながりと接地とケーブルです。

鉄塔・鉄柱・金属の広告塔など、金属でできた工作物は、それ自体が受雷部と引下げ導線として働きます。JIS Z 9290-3 でいう「自然構成部材」の考え方です。そのうえで、次の点を確認します。

ここまでのポイント
  • 金属の工作物は、それ自体が受雷部・引下げ導線
  • つながり(継ぎ目・塗装)と厚さを確認
  • 頂部の機器は突針で保護。脚ごとに接地


鉄塔・鉄柱・広告塔 ― ケーブルが雷の通り道になる

鉄塔や広告塔には、アンテナのケーブルや照明の電源線が沿っています。雷を受けると、鉄塔を流れる雷電流の一部がケーブルを伝って建物の中へ入ってきます。

たとえるなら、避雷針が受けた雷の「おこぼれ」が、ケーブルという裏道を通って家に入ってくるイメージです。入口のSPDが、その裏道の門番です。

鉄塔に落ちた雷電流が脚を通って大地へ流れ、一部がケーブルを伝って建物に入り、入口のSPDで大地へ逃がされる様子の動く図解
動く図解:鉄塔が受けた雷の一部は、ケーブルを伝って建物に向かいます。
ここまでのポイント
  • 雷電流はケーブルを伝って建物に入る
  • シールドを上部・脚元・建物の入口でボンディング
  • 建物に入る線にはSPD。建物の接地ともつなぐ

煙突 ― 頂部の導体と腐食対策

煙突の頂部に環状の導体と突針を設け、2本の引下げ導線を対称に下ろし、頂部の排ガスによる腐食と金属のはしごのボンディングを示した図
煙突は、頂部に環状の導体と突針、引下げ導線は2本以上。頂部の腐食に気をつけます。
  • 頂部:煙突の縁を一周する環状の導体と、突針を設けます
  • 引下げ導線:2本以上を対称の位置に下ろし、接地極につなぎます
  • 頂部の材料:排ガス・熱・結露で腐食しやすいので、耐食性のある材料を選び、点検で確認します
  • 金属部分:金属のはしご・鉄筋・金属の内筒などは、引下げ導線にボンディングします
ここまでのポイント
  • 頂部に環状の導体と突針
  • 引下げ導線は2本以上、対称に
  • 頂部は腐食しやすい。材料選びと点検


建物の屋上の工作物 ― 建物の保護範囲に入れる

建物の屋上に設置された広告塔・高架水槽・アンテナ塔などは、建物の避雷設備の保護範囲に入れるのが基本です。金属製なら受雷部としてボンディングし、突き出る部分は突針で守ります。考え方は「屋上の機器と避雷設備|室外機・太陽光・アンテナ・キュービクルを守る保護範囲・離隔距離・ボンディング」と同じです。

建物と工作物を一体で高さを判断するかどうかで、避雷設備の義務が変わることがあります。屋上の工作物を後から設置する場合は、確認検査機関に扱いを確認し、避雷設備の保護範囲と離隔の見直しもセットで行います。

ペン太ペン太
鉄塔って、もともと鉄なんだから避雷針はいらないですよね?
ハリタハリタ
鉄塔そのものは受雷部になります。でも、上に付けたアンテナや照明は守られていないことが多いし、ケーブルを伝って建物に雷が入ってくる。鉄塔は「受ける」のは得意ですが、「中に入れない」工夫が要るんです。
ここまでのポイント
  • 屋上の工作物は建物の保護範囲に入れる
  • 金属製はボンディング、突き出る部分は突針
  • 後から設置するときは、扱いの確認と保護範囲の見直しをセットで

よくある質問

避雷設備が必要な工作物はどれですか?

建築基準法第88条で第33条(避雷設備)が準用される工作物のうち、高さ20mを超えるものです。煙突、鉄筋コンクリート造の柱・鉄柱、広告塔、高架水槽などと、遊戯施設などが該当します。20mを超える部分を雷から保護します。

鉄塔や鉄柱には、別に避雷針が必要ですか?

金属製で電気的に連続していれば、鉄塔や鉄柱そのものを受雷部・引下げ導線として使えます。頂部にアンテナや照明などの機器が出る場合は、それらを保護範囲に入れるための突針を設けます。脚ごとに接地極につなぐことが大切です。

煙突の避雷設備で気をつけることは何ですか?

頂部に煙突の縁を一周する環状の導体と突針を設け、引下げ導線を2本以上、対称の位置に下ろします。頂部は排ガスや熱で腐食しやすいので、耐食性のある材料を選びます。金属のはしごや内筒は引下げ導線にボンディングします。

建物の屋上にある広告塔や高架水槽はどう考えますか?

建物の屋上にあるものは、建物の避雷設備の保護範囲に入れるのが基本です。金属製なら受雷部としてボンディングし、照明や電源の配線にはSPDを検討します。建物と一体で高さを判断する場合もあるので、扱いは確認検査機関に確認します。

鉄塔のアンテナケーブルはどうボンディングしますか?

同軸ケーブルのシールドを、鉄塔の上部・脚元、そして建物に入るところでボンディングし、心線にはSPDを付けます。雷電流がケーブルを伝って建物の中に入るのを防ぐためです。

ハリタ

この記事を書いた人:ハリタ

電気設備設計の実務者。内線規程電気工事士資格・住宅の電気設備を「設計者の視点」で解説しています。プロフィール詳細

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。