【プロット図の見方④】弱電 ― 丸の中身で電話・LAN・テレビを見分け、傍記と火報の記号まで読む
事務室のプロット図に、黒丸の入った丸、縦棒の入った丸、二重丸。天井には、お椀のような形と、Sの入った四角。弱電の記号は種類が多く、どれも似て見えます。でも見るところは決まっています。第4回は弱電。丸の中身で設備を見分け、横の傍記で種類と数を読み、火災報知の記号を読み分けるところまで進みます。
結論
弱電の記号は丸の中身で設備、横の傍記で種類と数を読みます。壁付は壁側を塗る・床付は下に▲、という約束はコンセントと同じです。
- 黒丸=電話、縦長の黒=LAN、二重丸=テレビ、丸に三角=スピーカ
- 横の「8」はピン数、「R」は終端抵抗、端子盤の「30P/40P」は対数
- お椀形と四角のSは火災報知の感知器。消防の設備として分けて読む
丸の中身で、設備を見分ける
弱電の記号は、多くが同じ大きさの丸から始まります。違うのは中身です。中に黒丸があれば電話、縦長の黒い四角ならLAN(情報用アウトレット)、丸がもう1つ入った二重丸ならテレビ端子、三角ならスピーカ。家の鍵束で、形は同じでも刻みで使う扉が変わるのと同じで、外側ではなく中身を見るのがこつです。
付く場所の約束は、第2回のコンセントと同じです。壁付は壁側を塗る、床付は下に▲、二重床(OAフロア)用は四角で囲む。電話・LAN・テレビ・スピーカのどれにも同じ約束が使われます。
| 記号 | 設備 | 付く場所の読み方 |
|---|---|---|
| 丸に黒丸 | 電話用アウトレット(通信用アウトレット) | 壁付は壁側を塗る・床付は▲・二重床用は四角で囲む |
| 丸に縦長の黒 | 情報用アウトレット(LAN) | 同上。事務室の島にはOAフロアの二重床用が多い |
| 二重丸 | テレビ端子 | 壁付が中心。数珠つなぎの直列ユニットもある |
| 丸にひし形 | 複合アウトレット | 電話・LAN・テレビを1枚のプレートにまとめたもの |
| 丸に三角 | スピーカ | 天井付がふつう。壁付は壁側を塗る |
| 四角に黒丸 | 押しボタン | ナースコール用は N を傍記。電話と取り違えやすい |
インターホンは、親機と子機で記号が分かれ、電話機形・スピーカ形でも形が変わります。住宅なら玄関の子機と居間の親機がセットです。決め方は玄関まわりの弱電計画で扱っています。
- 弱電の記号は丸の中身で見分ける
- 黒丸=電話、縦長の黒=LAN、二重丸=テレビ、三角=スピーカ
- 壁付は壁側を塗る・床付は▲、はコンセントと同じ約束
横の傍記で、種類と数を読む
記号が決まったら、横の小さな文字を読みます。弱電の傍記は、強電の「2E」「20A250V」のような定格ではなく、コネクタの種類や、端子の数(対数)を書くのが中心です。
| 傍記の例 | 付く記号 | 意味 |
|---|---|---|
| 8・6 | 電話・LAN | コネクタのピン数(8ピン・6ピン)。口数ではない |
| R | テレビ端子(直列ユニット) | 終端抵抗付き。数珠つなぎの列の最後 |
| WP | スピーカ | 防滴形。屋外や軒下 |
| 30P/40P | 端子盤 | 実装30対/容量40対。いま使う分と、将来の伸びしろ |
| 12 | HUB | ポート数 |
| N | 押しボタン | ナースコール用 |
とくに大事なのが端子盤の対数です。「30P/40P」は、いま線をつないでいる対が30、箱に入る最大が40という意味。分電盤の「回路数と主幹容量」にあたる数字で、分母と分子の差が増設の余裕です。詳しくは弱電設備の設計マニュアル⑥ 図面化と拾いで、GB-60/80-2 のような表記まで分解しています。
- 弱電の傍記はコネクタの種類と数が中心
- R=終端抵抗付き、WP=防滴形
- 端子盤の 30P/40P は実装/容量の対数
天井のお椀形と「S」は、火災報知の感知器
天井にお椀のような形や、Sの入った四角が並んでいたら、それは自動火災報知設備の感知器です。熱で反応するのがお椀形、煙で反応するのが四角のSです。お椀形は、中に横線があれば差動式(温度が急に上がると反応)、横線がなければ定温式(決まった温度で反応)と読み分けます。
| 記号 | 名称 | 基本の種別と傍記 |
|---|---|---|
| お椀形に横線 | 差動式スポット型感知器 | 2種が基本。1種なら傍記 |
| お椀形 | 定温式スポット型感知器 | 1種が基本。特種なら小さな○を添える。防水形は縦線 |
| 四角にS | 煙感知器 | 2種が基本。1種なら傍記 |
| 丸にP | P型発信機 | 押して知らせるボタン。級別は傍記 |
| 丸にB | 警報ベル | 鳴って知らせる。発信機・表示灯と1つの箱にまとめることが多い |
感知器は、台所やボイラ室のように普段から熱や湯気が出る場所には定温式、階段や廊下には煙感知器、というように部屋の用途で種類が変わります。1つの感知器が受け持てる面積も、天井の高さで決まります。基準は自動火災報知設備の感知器|警戒区域・感知区域・感知面積にまとめています。
もうひとつ大事なのは、火災報知は消防の設備だということです。同じ天井に付いていても、電話やLANとは工事の業種も、検査も別になります。プロット図でも、凡例の中で「防災」「自火報」のように分けて書かれることが多いので、拾いも分けます。
- お椀形は熱、四角のSは煙の感知器
- 横線ありが差動式、なしが定温式
- 火災報知は消防の設備。工事も検査も分けて読む
線が描いていないのは、つながりが別の図にあるから
弱電のプロット図には、配線の線がほとんど描かれません。プロット図の仕事はどこに置くかを決めることで、どこからどうつなぐかは系統図や配線図の仕事だからです。住所録と路線図の関係に似ていて、住所録には家の場所が、路線図には駅のつながりが載っています。
| 知りたいこと | 見る図面 | 読むところ |
|---|---|---|
| どこに何が付くか | プロット図(この回) | 記号・塗り・▲・傍記 |
| どこからつなぐか | 系統図・配線図 | 端子盤・IDF・分配器からの流れ |
| 何本・何対か | 系統図・端子盤の表記 | 対数(実装/容量) |
| 誰が施工するか | 凡例・特記・工事区分表 | 「配管のみ」「別途」などの注記 |
とくに注意したいのが、記号の横や凡例にある「配管のみ」「機器別途」のような注記です。記号は描いてあっても、電気工事で付けるのは空の配管とボックスだけ、ということがあります。弱電は「誰が引くか」で仕事が分かれる設備なので、担当は弱電設備の設計マニュアル① 工事区分、空配管の考え方は② 配管・配線ルートで確認できます。
- プロット図は場所、つながりは系統図・配線図
- 対数は系統図と端子盤の表記で読む
- 「配管のみ」「機器別途」の注記は拾いを分ける
読み違えやすいところ
⚠️ よくある読み違い
- 「8」を口数と思う:電話・LANの横の数字はコネクタのピン数。口数は凡例で確かめます。
- 電話と押しボタンを混同する:電話は丸に黒丸、押しボタンは四角に黒丸。外枠が違います。
- 差動式と定温式を取り違える:お椀形の中に横線があれば差動式、なければ定温式です。
- 塗りの意味を取り違える:弱電の半分塗りは壁付のしるし。照明の全部塗り(非常用照明)とは別の約束です。
- 「配管のみ」まで機器として拾う:注記のある記号は、配管とボックスだけの場合があります。
- 数字はまず「何の数か」を凡例で確かめる
- 外枠(丸か四角か)と中身の両方を見る
- 注記まで読んでから拾う
よくある質問
電話やLANの記号の横にある「8」「6」は何ですか?
コネクタのピン数です。JIS C 0303 では、通信用(電話用)アウトレットと情報用アウトレットの横に、8ピン・6ピンなどコネクタの種類を傍記します。口数ではないので、「8」を8口と読まないように注意します。口数の書き方は図面ごとに違うので、凡例で確認します。
電話の記号とLANの記号は、どこが違いますか?
丸の中身です。電話用アウトレットは丸の中に黒丸、情報用アウトレット(LAN)は丸の中に縦長の黒い四角を描きます。どちらも壁付は壁側を塗り、床付は下に▲を添えます。電話もLANで送る建物が増えていますが、記号は別なので凡例と系統図で用途を確かめます。
テレビ端子の横の「R」は何ですか?
終端抵抗付きという意味です。テレビの配線は直列ユニットを数珠つなぎにすることがあり、列の最後の端子に終端抵抗を付けます。「R」の付いた端子が、その列の終点です。
感知器の記号の種類はどう見分けますか?
形で分けます。お椀形に横線が入るのが差動式スポット型、横線のないお椀形が定温式スポット型、四角にSが煙感知器です。差動式と煙感知器は2種、定温式は1種が基本の形で、それ以外の種別は横に傍記します。どの部屋にどの感知器を付けるかは、部屋の用途と天井の高さで決まります。
弱電の記号には線がないことが多いのはなぜですか?
プロット図は機器を置く場所を決める図だからです。どの端子盤からどうつなぐかは、系統図や配線図に描きます。弱電は設備ごとに系統が分かれ、工事の担当も分かれることがあるので、プロット図で場所、系統図でつながり、凡例と特記で担当を読む、と分けて読みます。
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