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壁の中や天井の上、コンクリートの床の中。電線はむき出しで通っているのではなく、多くは電線管という管の中を通っています。現場では「配管」と呼ぶこの管、「PFとCDは何が違う?」「図面の(E19)は?」と聞かれると、意外と答えに詰まります。この記事では、ものとしての電線管、太さの決め方、図面の描き方、用途を、使っている場面の動く図解でほどきます。電線とケーブル、分電盤とブレーカー、照明器具に続く、超基本の6本目です。

結論

電線管は電線を守り、あとから入れ替えられる通り道です。金属管・合成樹脂管・可とう電線管の3つの仲間を場所で選び、太さは中の電線で決めます。図面では線の横のカッコ(E19)で書きます。

  • 先に管を敷き、呼び線で電線をあとから引き込む
  • コンクリートの中はCD管、天井や壁の中はPF管、屋外の露出はVE管
  • 太さは早見表で引く。目安は電線の断面積が管の内側の32%以下
  • 直角の曲がりが3か所を超える、30mを超えるときはプルボックス
この記事で押さえる5つのこと
項目を押すと、その章へ飛びます。図はすべて使っている場面の動く図解で、押すと大きく見られます。

この図の読み方

くり返し動きます。左から、もの・記号・用途の順です。

  1. もの:電線を守り、あとで入れ替えられる通り道
  2. 記号:線の横のカッコで管の種類と太さ
  3. 用途:埋込み・隠ぺい・露出・屋外で選ぶ

動く図解で学ぶ電気設備施工・現場の動く図解23本を、まとめて見られます見る →

電線管とは ― 電線を守り、あとから入れ替える通り道

電線管は、電線を中に通して守るための管です。建物を建てるときに、先に壁や天井、コンクリートの中へ管を敷いておき、仕上げのあとで呼び線(細い鋼の線)を通して、電線を引き込みます。管の中の電線は、傷や熱から守られるうえ、あとから入れ替えることもできます。

通線の手順

呼び線を通してから、電線を結んで引き込みます。

  1. 管は先に敷く。電線はあとから通す
  2. 呼び線を押し込み、先に電線を結んで引く
  3. 同じ道を通るので、あとで入れ替えもできる
たとえるなら
電線管は、電線のための「トンネル」
先にトンネルを掘っておけば、あとから電車(電線)を通したり、入れ替えたりできます。壁を壊さずに済むのは、トンネルが残っているからです。

IVのような絶縁電線は、管などに入れて使うのが決まりです。VVFのようなケーブルは管なしでも配線できますが、傷みやすい場所では守るために管に入れます(電線とケーブルの違いは電線とケーブルとはで)。

動く図解で見る:電線管の種類と使い分け管の仲間を場所で選ぶ動く図解(施工・現場のページへ)

ここまでのポイント
  • 電線管は電線を守る通り道
  • 管を先に敷き、呼び線で電線を引き込む
  • 絶縁電線(IV)は管に入れて使う

ものとしての電線管 ― 3つの仲間と、つなぐ部品

電線管は、金属管、合成樹脂管、曲がる金属製可とう電線管の3つの仲間に分けると覚えやすくなります。金属管は丈夫で、合成樹脂管は軽くさびません。PF管とCD管は手で曲げられる可とう管で、CD管はオレンジ色のコンクリート埋込み専用です。

仲間の見分け方

7つの管が順に光ります。

  1. 金属管は G(厚鋼)・C(薄鋼)・E(ねじなし)
  2. 合成樹脂管は VE(硬い)・PF と CD(たわむ)
  3. プリカは金属のらせんで、機器のそばで曲げる
管 記号 太さの呼び(例)
厚鋼電線管 G 16・22・28・36・42(偶数)
薄鋼電線管 C 19・25・31・39・51(奇数)
ねじなし電線管 E 19・25・31・39・51(奇数)
硬質ビニル電線管 VE 14・16・22・28・36・42
PF管・CD管 PF・CD 14・16・22・28・36・42
2種金属製可とう電線管 F2 10・12・15・17・24・30
呼びは、厚鋼・合成樹脂管は内径、薄鋼・ねじなしは外径に近い数字です。

つなぐ部品 ― 電線をつなぐのはボックスの中

管は、コネクタでボックスに、カップリングで管どうしをつなぎ、サドルで壁や天井に留めます。電線をつなぐのはボックスの中だけで、管の途中ではつなぎません。

部品の役目

管がボックスに差さり、管どうしがつながり、サドルで留まります。

  1. コネクタで管とボックス
  2. カップリングで管と管
  3. サドルで壁に留める。電線の接続はボックスの中
ひっかけ注意
「CD管は PF管と同じように、どこでも使える」ではありません。
CD管は燃えにくくないので、コンクリートに埋め込む専用です。天井の中や露出にはPF管を使います。オレンジ色は「埋込み専用」の目印です。

工事のルールは金属管工事、合成樹脂管工事、金属可とう電線管工事で詳しく解説しています。

動く図解で見る:金属管の接続材料コネクタ・カップリング・サドルを動く図解で(施工・現場のページへ)

ここまでのポイント
  • 金属管・合成樹脂管・可とう電線管の3つの仲間
  • CD管はオレンジ色、コンクリート埋込み専用
  • 電線をつなぐのはボックスの中だけ


太さは、中の電線で決める

管の太さは、中に入れる電線の種類・太さ・本数で決めます。ふだんは電線管サイズの早見表で引きます。表で引けないとき(太さの違う電線をまとめて入れるときなど)は、電線の断面積(被覆を含む)の合計が、管の内側の断面積の32%以下になる太さを選ぶのが目安です。

太さの決め方

電線を1本ずつ入れていき、32%を超えたら1つ太い管に替えます。

  1. 電線を入れるほど、管の中が埋まっていく
  2. 32%を超えたら1つ太い管へ
  3. 余裕がないと、電線を引くときに傷つく
たとえるなら
管の太さは、通勤電車の混み具合
ぎゅうぎゅう詰めの電車は、乗り降り(電線の出し入れ)がたいへんで、服(被覆)も傷みます。電線管も、中に余裕を残しておくことで、電線を引き込みやすく、熱もこもりにくくなります。

電線の種類ごとの太さは電線管サイズ選定の早見表とIV配管サイズ早見表で引けます。

ここまでのポイント
  • 太さは中の電線の種類・太さ・本数で決める
  • ふだんは早見表で引く
  • 目安は電線の断面積の合計が32%以下

図面では、線とカッコで描く

図面(JIS C 0303)では、配線の線の種類で通る場所を、線を横切る斜線の数で電線の本数を、線の横のカッコで管の種類と太さを表します。(E19)なら「呼び19のねじなし電線管」です。

図面の読み方

線が引かれ、斜線とカッコが順に現れます。

  1. 実線は天井の中、破線は床の中、細かい破線は露出
  2. 斜線3本と1.6で、直径1.6mmの電線が3本
  3. (E19)は呼び19のねじなし電線管
カッコの記号 管の種類 例
E ねじなし電線管 (E19)
PF 合成樹脂製可とう電線管(PF管) (PF16)
CD 合成樹脂製可とう電線管(CD管) (CD22)
VE 硬質ビニル電線管 (VE16)
F2 2種金属製可とう電線管 (F217)
JIS C 0303 による管の記号の一部。図面ごとの凡例も確かめます。

線の種類と斜線の読み方は【プロット図の見方⑤】配線の線種で詳しく解説しています。

動く図解で見る:プロット図の見方⑤ 配線の線種線の種類・斜線・カッコを動く図解で(図面の読み方・描き方のページへ)

ここまでのポイント
  • 線の種類で通る場所
  • 斜線の数で電線の本数
  • カッコで管の種類と太さ(E19)


用途で選ぶ ― 場所ごとの管と、曲がりのルール

電線管は、どこを通すかで選びます。コンクリートの床や壁の中はCD管、天井や壁の中はPF管、機械室や駐車場の露出はねじなし電線管、屋外の露出はさびない硬質ビニル管、振動するモーターなどの機器へはプリカでつなぎます。

場所ごとの使い分け

番号のピンが順に立ち、場所ごとの管が光ります。

  1. コンクリートの中はCD管、天井の中はPF管
  2. 露出は、屋内ならE、屋外ならVE
  3. モーターへはプリカで振動を逃がす
場所 よく使う管
コンクリートの中 CD管・PF管
天井や壁の中(隠ぺい) PF管・VE管
屋内の露出(機械室・駐車場) ねじなし電線管(E)・VE管
屋外の露出 VE管・厚鋼電線管(G)
地中 波付硬質合成樹脂管(FEP)
モーター・機器のそば 2種金属製可とう電線管(プリカ)
建物の用途や仕様書で決まっていることもあります。

管のルートにも決まりがあります。管の曲がりが多いと電線が通らなくなるので、直角の曲がりは1区間で3か所(合計270°)までとし、それを超えるときや、管の長さが30mを超えるときは、途中にプルボックスを入れて区切ります。

曲がりのルール

3か所曲がったら、次の曲がりの位置にプルボックスを入れて数え直します。

  1. 直角の曲がりは1区間3か所(270°)まで
  2. 超えるならプルボックスで区切って数え直す
  3. 30mを超えるときもプルボックス

プルボックスの大きさの決め方はプルボックスのサイズ選定・計算方法で解説しています。

ここまでのポイント
  • 埋込みはCD、隠ぺいはPF、露出はEやVE
  • 機器のそばはプリカ、地中はFEP
  • 曲がり3か所・30mを超えたらプルボックス

読み違えやすいところ

よくある読み違い

  1. CD管を露出や天井の中に使う:CD管はコンクリート埋込み専用。露出や隠ぺいはPF管です。
  2. 管の途中で電線をつなぐ:電線の接続はボックスの中だけです。
  3. 厚鋼と薄鋼の呼びを取り違える:厚鋼は偶数、薄鋼とねじなしは奇数です。
  4. (E19)を電線の太さと読む:カッコの中は管の種類と太さ。電線の太さは線の下の数字です。
  5. 曲がりをいくつでも入れる:直角の曲がりは3か所まで。超えたらプルボックスです。

動く図解で学ぶ電気設備この記事の図のほかにも、配管やボックスの施工を動く図解で見られます。気になるジャンルを選んでください。

動く図解のジャンル一覧を見る →


よくある質問

電線管とは何ですか?

電線を中に通して守るための管です。先に壁や天井、コンクリートの中に管を敷いておき、あとから呼び線を使って電線を引き込みます。電線を傷や火から守るだけでなく、管の中の電線はあとから入れ替えることもできます。

PF管とCD管の違いは何ですか?

どちらも曲げられる合成樹脂製可とう電線管ですが、PF管は燃えにくい(自己消火性がある)ので露出・隠ぺい・コンクリート埋込みのどこでも使えます。CD管は燃えにくくないので、コンクリートに埋め込む専用です。見分けやすいように、CD管はオレンジ色です。

厚鋼電線管と薄鋼電線管の違いは何ですか?

厚鋼電線管は肉厚が厚く頑丈で、屋外や工場など丈夫さが必要な場所に使います。太さの呼びは偶数(16・22・28…)です。薄鋼電線管は肉厚が薄めで主に屋内に使い、呼びは奇数(19・25・31…)です。ねじを切らずに専用の部品でつなぐねじなし電線管(E)も、呼びは奇数です。

電線管の太さはどう決めますか?

中に入れる電線の種類・太さ・本数から、電線管サイズの早見表で引きます。表で引けないとき(太さの違う電線をまとめて入れるときなど)は、電線の断面積(被覆を含む)の合計が、管の内側の断面積の32%以下になる太さを選ぶのが目安です。

図面の(E19)は何を意味しますか?

配線の線の横にあるカッコは、電線を通す管の種類と太さです。Eはねじなし電線管、19は太さの呼びで、(E19)は「呼び19のねじなし電線管」です。同じように(PF16)はPF管の16、(VE22)は硬質ビニル電線管の22を表します。

管の中で電線をつないでもいいですか?

いいえ。電線の接続は、ボックスの中で行います。管の途中に接続点を作ると、点検できず、発熱や故障の原因になるからです。管と管はカップリング、管とボックスはコネクタでつなぎ、電線はボックスの中でつなぎます。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。