受変電設備の設計|コンデンサの取り付け不要!?電力会社の方針について詳しく解説
キュービクルの中の進相コンデンサは、長いあいだ「付けて当たり前」の機器でした。ところが九州電力送配電は2023年から、条件に合う新設の高圧のお客さまにはコンデンサを付けなくてよい運用を始めています。理由は、コンデンサを入れすぎたせいで、配電線の電圧が上がる問題が出てきたから。この記事では、力率のしくみをシーソーとビールジョッキのたとえでつかみ、どの配電線・どのコンデンサが対象か、手続きと料金の扱い、設計での注意点まで、動く図で順に確かめます。
コンデンサの役目 ― 力率を上げて「泡」を減らす
電動機などは電流が電圧より遅れる「遅れの無効電力」を出します。進相コンデンサは逆向きの「進みの無効電力」で打ち消し、力率を1に近づけます。力率が上がると、次のような得があります。
- 力率=有効電力÷皮相電力(ビール÷ジョッキ)
- 進相コンデンサは遅れの無効電力を打ち消して力率を上げる
- 損失・設備容量・電気料金を減らせる
なぜ不要化? ― コンデンサの「入れすぎ」で電圧が上がった
九州電力送配電の調査では、九州エリアの配電線の約半数が、常時「進み力率」になっていました。省エネが進んで電動機などの遅れの無効電力が減ったのに、お客さま側のコンデンサはそのまま。コンデンサ容量が電力消費に比べて過剰になっていたのです。
進みの無効電力が増えると、配電線の電圧が上がり、電圧を決められた範囲に保つのが難しくなります。そこで、これまで勧めていたお客さまコンデンサを、条件に合う場合は付けなくてよいことにした、というのがこの取組みです。
- 九州エリアの配電線の約半数が常時進み力率
- 省エネでコンデンサ容量が過剰になったのが一因
- 進みの無効電力が増えると配電線の電圧が上がる
対象 ― 配電線とコンデンサの「2段チェック」
不要化の対象になるのは、配電線とコンデンサの種類の両方が条件に合うときだけです。
| 確かめること | 対象になる条件 |
|---|---|
| ① 配電線 | 年間を通して常時進み力率の配電線(本土)、またはコンデンサ増加で電圧の運用が難しくなっている、電力会社が個別に管理する配電線 |
| ② コンデンサ | 直列リアクトル(設置)なしの、力率改善用のコンデンサ |
自分の建物の配電線が対象かどうかは、図面だけではわかりません。受電点の電柱番号などを控えて、管轄の配電事業所の相談窓口に確かめます。
- 配電線とコンデンサの両方が条件に合うときだけ対象
- 配電線:常時進み力率(本土)か、電圧運用が難しい回線
- コンデンサ:直列リアクトルなしの力率改善用
- 対象かどうかは配電事業所に確認
外せないコンデンサ ― リアクトル付・低圧・離島
直列リアクトルは、コンデンサに流れ込む高調波が大きくなるのを防いだり、投入のときの突入電流を抑えたりする役目をもちます。リアクトル付のコンデンサを外すと、その働きもなくなるので、高調波の検討をやり直す必要があります。リアクトルの役目はリアクトルの設置基準と選定方法で扱っています。
- 直列リアクトル付コンデンサは対象外
- 低圧コンデンサも対象外
- 離島の配電線は対象外
- リアクトル付を外すと高調波の働きもなくなる
手続きと料金 ― 「付ける前提」で申し込んでから協議する
手続きの順番がポイントです。最初から「コンデンサなし」で申し込むのではなく、設置を前提に申し込み、電力会社の供給検討で不要化できそうなら協議します。了解したら同意書を出します。新設の申込みは2023年5月1日から、既設コンデンサの取替も2024年4月1日から、新設と同じ条件で対象になっています。
- コンデンサ設置を前提に申し込み、供給検討のあと協議する
- 了解したら同意書を提出。小売電気事業者の承諾・協定力率の協議も要る
- 新設は2023年5月1日、既設の取替は2024年4月1日から対象
- 託送料金は協定力率で計算。電気料金は小売との契約で確認
設計での注意点
- 図面では、まず付ける前提で:申込みは設置が前提です。単線結線図や盤の構成は、協議の結果が出るまでコンデンサを載せておき、不要化が決まってから外します。
- 高調波の検討を確かめる:高調波の抑制でリアクトル付コンデンサの効果を見込んでいる場合、それは不要化の対象外です。
- 九州以外のエリア:この記事の内容は九州電力送配電の取組みです。ほかのエリアで新設する場合は、その地域の送配電会社に確かめます。
- 料金の説明:施主には、託送料金は協定力率で計算されること、電気料金の力率割引は小売電気事業者との契約しだいであることを伝えておきます。
進相コンデンサの容量や開閉器の選び方はコンデンサの開閉器仕様と容量の選定方法で扱っています。
よくある質問
コンデンサはもう付けなくてよいのですか?
いつでもではありません。九州電力送配電の取組みで、対象の配電線に、直列リアクトルなしの力率改善用コンデンサを設置する前提で申し込んだ場合に、協議のうえ不要化できます。
どんな配電線が対象ですか?
年間を通して常時進み力率の配電線(本土)と、コンデンサ増加で電圧の運用が難しくなっている、電力会社が個別に管理する配電線です。離島は対象外です。
直列リアクトル付のコンデンサも外せますか?
外せません。リアクトル付コンデンサや低圧コンデンサは不要化できない、と電力会社の資料に明記されています。
最初からコンデンサなしで申し込めばよいですか?
いいえ。コンデンサ設置を前提に申し込み、電力会社の供給検討のあとで不要化を協議します。了解したら同意書を提出します。
既設のコンデンサを取り替えるときも対象ですか?
対象です。2024年4月1日から、既設コンデンサの取替も新設と同じ条件で不要化の対象になっています。
コンデンサを外すと料金は上がりますか?
託送料金は協定力率で計算されるので、実際の力率が下がっても不利益にならないしくみです。電気料金の力率割引の扱いは、契約する小売電気事業者に確認します。
自分の建物の配電線が対象か、どう確かめますか?
受電点の電柱番号などを控えて、管轄の配電事業所の相談窓口に問い合わせます。
まとめ ― 取り違えやすいところ
| 取り違えやすいところ | 正しくは |
|---|---|
| どのコンデンサでも外してよい | 直列リアクトルなしの力率改善用だけ |
| どの配電線でも対象 | 常時進み力率(本土)などの配電線だけ |
| 最初からコンデンサなしで申し込む | 設置を前提に申し込み、協議して外す |
| 外すと料金で損をする | 託送料金は協定力率で計算される |
| 全国どこでも同じ | 九州電力送配電の取組み。他エリアは各社に確認 |
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