技術図書館EV充電設備|同時に何台使うか同じ10台・同じ6kWでも受電容量は5倍変わる。方式は滞在時間で決め、同時使用率の根拠を残すこの資料をスライドで見る資料一覧を見る
この記事は連載「EV充電・再エネ設備の設計マニュアル」(全5回)の1本です。
設計・施工マニュアル EV充電・再エネ設備 第2回 EV充電設備

「この駐車場に、充電器は何台置けますか」。EV充電設備の相談は、たいていこの形で来ます。

台数だけでは答えられません。1台6kWの充電器を10台置いても、同時に2台しか使わないなら必要な容量は12kWです。逆に、来客用で全台が同時に使われる前提なら60kWを確保しなければならない。同じ10台でも、必要な受電容量は5倍違います。

同じ10台の充電器でも同時使用台数で必要な受電容量が変わることを示した図
同じ10台・同じ6kW。効くのは「同時に何台使うか」だけです。

合言葉は「台数ではなく、同時に何台使うか」。今回は、その同時性をどう見積もり、どう設計に落とすかを扱います。

先に決めるのは、充電方式

トピック①:先に決めるのは、充電方式
充電方式の決め方でよくある問題と、その原因・対策を示した図
つまずきやすいところを、先に押さえておきます。

容量の話の前に、充電方式を決めます。ここで必要な電力がほぼ決まるからです。

  • EV用コンセント(200V・20A程度):約3kW。器具は安価で、車載のケーブルを使う。集合住宅や従業員用に向く
  • 普通充電器(ケーブル付):3kW〜6kW。ケーブルが備え付けで使いやすい。事業所の社用車、来客用に多い
  • 急速充電器:20kW〜90kW以上。直流で一気に充電する。商業施設や道の駅など、短時間で帰る客を想定する場所
充電方式ごとの出力と、想定する滞在時間を並べた図
出力の大きさではなく、滞在時間から方式を決めます。

決め手は電力ではなく滞在時間です。翌朝まで停めているなら3kWでも足ります。30分で帰る客を相手にするなら、急速充電でなければ意味がありません。

「とりあえず6kW」が高くつくことがある
普通充電器は1台あたりの機器費に加えて、専用回路の配線費が台数ぶんかかります。従業員用の駐車場で全員が夜間に停めるなら、3kWのEV用コンセントを多く配ったほうが、総額も受電容量も抑えられることがあります。出力を上げるより、台数を配るほうが合理的な場面は珍しくありません。
充電方式は、滞在時間で決まる 電池40kWhを満充電にするのに必要な時間の目安 方式 出力の目安 充電時間の目安 向いている場所 EV用コンセント 200V・20A程度 約3kW 約13時間 集合住宅・従業員用 普通充電器 ケーブル付 3〜6kW 約7〜13時間 事業所・来客用 急速充電器 直流で供給 20〜90kW超 30分〜2時間 商業施設・短時間の来客 決め手は電力ではなく、その車が何時間そこに停まっているか 翌朝まで停めるなら3kWで足りる。30分で帰る客には急速充電しかない
ここまでのポイント
  • 充電方式を決めた時点で、必要な電力はほぼ決まる
  • EV用コンセント約3kW/普通充電器3〜6kW/急速充電器20kW〜
  • 決め手は電力ではなく滞在時間
  • 出力を上げるより、台数を配るほうが合理的な場面がある

同時使用率を、どう置くか

トピック②:同時使用率を、どう置くか
同時使用率の置き方でよくある問題と、その原因・対策を示した図
つまずきやすいところを、先に押さえておきます。

容量計算そのものは単純です。台数 × 1台あたりの出力 × 同時使用率。悩ましいのは最後の係数です。

照明やコンセントの需要率のように、広く共有された数値が確立しているわけではありません。だからこそ、置いた根拠を残すことが設計の仕事になります。判断材料は使われ方です。

  • 社用車:台数と車両数が一致し、夜間に一斉に充電される。同時使用率は高く見る
  • 従業員用:出社時刻が重なるが、全員がEVではない。EV比率の想定が効く
  • 来客用:滞在時間が短く回転する。台数は少ないが、使われるときは同時に埋まりやすい
  • 集合住宅:各戸の車が夜間に停まる。将来のEV普及率をどこまで見込むかが最大の変数
容量計算の式と、用途ごとの同時使用率の見方を示した図
効くのは最後の係数。用途によって見方が変わります。

集合住宅は特に難しい判断です。いま需要が2台でも、10年後に半数がEVになる可能性がある。いま何台つけるかと、将来何台まで伸ばせるようにしておくかは、別々に決めます。前者は機器費、後者は配管と幹線の話です。

数字を置いたら、根拠も一緒に図面へ
「同時使用率0.4」とだけ書かれた計算書は、数年後に増設を検討するとき役に立ちません。0.4の根拠が「社用車8台のうち夜間充電は3台まで」という運用の聞き取りなら、それを併記しておく。運用が変われば係数も変わる、という前提が読み取れる形にしておいてください。
同じ10台でも、必要な容量は変わる 係数を決めるのは機器ではなく、使われ方 社用車 台数と車両が一致 夜間に一斉充電 同時使用率 高く見る 運用が固定なので 読みやすい 容量で持つ側 従業員用 出社時刻が重なる 全員がEVではない 効いてくるのは EV比率の想定 比率は年々上がる 前提として 制御が向く 来客用 滞在が短く回転する 台数は少なめ 使われるときは 同時に埋まる 待たせられないので 絞りにくい 容量で持つ側 集合住宅 各戸の車が夜間に停まる 需要は年々増える 最大の変数は 将来の普及率 いま何台つけるかと 将来何台まで伸ばすかを 別々に決める 係数に決まった正解はない。だから根拠を書き残すことが設計になる 運用の聞き取り結果を、計算書と図面の両方に残す
ペン太ペン太
先輩、同時使用率って、結局いくつにすればいいんですか。
はりたはりた
一律に使える数値はないんだ。使われ方から積み上げるしかない。
ペン太ペン太
社用車8台なら、8台ぶん見ておけば安全ですよね。
はりたはりた
安全だけど高い。運用を聞いて「夜間に充電するのは3台まで」とわかれば、その根拠ごと計算書に書いておく。数年後に増設するとき、その一行が効いてくる。
ここまでのポイント
  • 容量は 台数 × 1台あたりの出力 × 同時使用率。効くのは最後の係数
  • 照明やコンセントのように、広く共有された数値は確立していない
  • 社用車・従業員用・来客用・集合住宅で見方が変わる
  • いま何台つけるかと、将来何台まで伸ばすかは別々に決める

負荷率制御 ― 容量の代わりに、時間を使う

トピック③:容量の代わりに、時間を使う
負荷率制御でよくある問題と、その原因・対策を示した図
つまずきやすいところを、先に押さえておきます。

第1回で触れた負荷率制御(ダイナミックコントロール)を、もう少し具体的に見ます。

仕組みは単純です。受電点や幹線に電流センサを付けて建物全体の使用電力を測り、契約電力までの残りを充電に配分します。他の負荷が増えれば充電を絞り、減れば戻す。

  • 全体上限方式:充電設備全体の合計をある値以下に保つ。いちばん単純
  • 均等配分方式:接続中の台数で余裕を割る。3台なら1台あたり1/3
  • 優先順位方式:来客用を優先し、社用車は余ったぶんで充電するなど、用途で重みを付ける
負荷率制御で契約電力までの残りを充電に配分する仕組みを示した図
契約電力までの残りを、充電に配分する考え方です。

導入すると、受電設備を増強せずに台数を増やせます。ただし制約もあります。充電完了時刻が保証されません。建物の使用電力が高い日は、充電が遅くなる。これを許容できる用途かどうかが判断の分かれ目です。

もうひとつ、設計上の注意点があります。制御が止まったときにどうなるかです。通信断や制御装置の故障で指令が届かなくなったとき、充電器がフル出力で動き続ける設計だと、契約電力を超えます。フェイルセーフ側(停止または最小出力)に倒れる製品を選び、その動作を試験で確認してください。

制御が止まったときにフル出力で継続する場合とフェイルセーフ側に倒れる場合を比較した図
通信断のときにどちらへ倒れるかは、製品選定で決まります。
負荷率制御の動き 契約電力までの残りを、充電に配分する 契約電力 建物の負荷 EV充電に回せる分 = 契約電力 − 建物の負荷 昼のピーク時は 充電を絞る 0時9時15時24時 制御が止まったときにどう倒れるかを、必ず確認する 通信断や故障でフル出力のまま動き続ける設計だと、契約電力を超える
ここまでのポイント
  • 受電点や幹線で使用電力を測り、契約電力までの残りを充電に配分する
  • 全体上限方式/均等配分方式/優先順位方式
  • 受電設備を増強せずに台数を増やせる
  • ただし充電完了時刻は保証されない
  • 制御が止まったとき、フェイルセーフ側へ倒れる製品を選ぶ

駐車場は、屋内の分電盤とは条件が違う

トピック④:駐車場という現場の条件
駐車場の条件でよくある問題と、その原因・対策を示した図
つまずきやすいところを、先に押さえておきます。

容量が決まったら、次は駐車場という現場の条件です。ここで見落とすと、竣工間際に手戻りします。

  • 距離が出る:分電盤から駐車場の奥まで100mを超えることがある。電圧降下の検討は必須で、電線サイズが太くなりやすい。ケーブルラックや管路のスペースも先に確保する
  • 屋外環境:雨がかり、雪、直射日光。機器の防水等級と、ケーブル引込口の処理。地際は特に劣化しやすい
  • 車が当たる:充電器の前に車止め、必要ならガードポール。ケーブルを引きずって踏まれない収納方法も含めて考える
  • 接地と保護:EV充電回路は専用の分岐回路とし、漏電遮断器を施設する。EV充電では直流成分を含む地絡電流が生じうるため、その検出に対応した構成になっているかを製品仕様で確認する
  • 機械式駐車場:パレットが動くため、充電設備を置ける段が限られる。可動部への配線は基本的に成立しないので、設備側の対応品かどうかを先に確認する
駐車場までの距離と、屋外環境・衝突・保護など駐車場特有の条件を示した図
距離・屋外環境・衝突・保護が、まとめて効いてきます。

とくに電圧降下は、企画段階の概算に入っていないことが多い項目です。「充電器の値段」ではなく「そこまで電気を持っていく費用」が支配的になる現場は珍しくありません。

駐車場までの条件を先に見る 機器費より、そこまで電気を運ぶ費用が効く 分電盤 建物の中 こう長100m超もある → 電圧降下の検討が必須 電線サイズが太くなり、管路とラックのスペースも要る 充電器 駐車場の奥 屋外環境への対応 ・防水等級とケーブル引込口の処理 ・地際の劣化、積雪、直射日光 ・車止め、ガードポール、ケーブル収納 回路と保護 ・EV充電回路は専用の分岐回路 ・漏電遮断器を施設する ・直流成分を含む地絡への対応を仕様で確認 機械式駐車場は、置ける段が限られる パレットが動くため、可動部への配線は基本的に成立しない 設備側が充電対応品かどうかを、計画のいちばん最初に確認する
ペン太ペン太
充電器の見積もりを取ったら、思ったより安かったです。
はりたはりた
高いのは器具じゃなくて、そこまで電気を持っていく費用のほうだよ。
ペン太ペン太
盤から駐車場の奥まで、100m以上ありますね……。
はりたはりた
電圧降下で電線が太くなるし、管路と掘削もかかる。企画段階の概算に入っていないことが多いから、先に出しておくと後で揉めない。
ここまでのポイント
  • 分電盤から100mを超えることがあり、電圧降下の検討は必須
  • 屋外環境と、車が当たる前提の納まりを先に決める
  • 専用の分岐回路と漏電遮断器。直流成分を含む地絡への対応を製品仕様で確認
  • 機械式駐車場は、可動部への配線が基本的に成立しない

1台目のときに、10台目を考える

トピック⑤:1台目のときに、10台目を
将来の増設でよくある問題と、その原因・対策を示した図
つまずきやすいところを、先に押さえておきます。

EV充電設備でいちばん差がつくのが、この点です。

最初は1台か2台で始まります。予算も限られている。そこで最短距離の配線で1台だけ付けると、3年後に「あと5台増やしたい」と言われたときに、また掘り返して、また盤を開けることになります。

先に仕込んでおくと安いものと、後からでも間に合うものがあります。

  • 先に仕込む:管路・ハンドホール(掘削がいちばん高い)/ケーブルラックのスペース/盤の内部スペースと予備ブレーカー/幹線の余裕/制御用の配線ルート
  • 後でよい:充電器本体/課金や認証の仕組み/制御装置(通信で後付けできる製品なら)
先に仕込むものと後からでよいものを分けて示した図
掘削と管路は先に。機器は後からでも間に合います。

とくに掘削と管路は、あとから追加すると舗装の復旧まで含めて費用が跳ね上がります。空配管を1本余分に入れておく判断は、ほとんどの現場で回収できます。

将来計画は、図面に書いておかないと伝わらない
「将来6台まで対応可能」と設計者が考えていても、図面に書いていなければ、次の担当者は最初から検討をやり直します。予備の管路がどこに埋まっているか、盤のどこが空いているか、幹線にどれだけ余裕を見てあるか。この3つは接地系統図と同じで、書き残してはじめて価値になります。
先に仕込むものと、後でよいもの 1台目の工事のときに、10台目の姿を決めておく 先に仕込む あとから足すと高くつくもの 管路・ハンドホール(掘削がいちばん高い) ケーブルラックのスペース 盤の内部スペースと予備ブレーカー 幹線の余裕 制御用の配線ルート 空配管を1本余分に。ほとんどの現場で回収できる 後でよい 追加しても費用が跳ねないもの 充電器本体 課金・認証の仕組み 制御装置(通信で後付けできる製品なら) 機器は数年で世代が変わる 先に買い込むより、載せる場所を 用意しておくほうが効く 予備管路の位置・盤の空き・幹線の余裕は、図面に書いてはじめて伝わる 書いていなければ、次の担当者は最初から検討をやり直す
ここまでのポイント
  • 先に仕込む:管路・ハンドホール/ラック/盤スペースと予備ブレーカー/幹線の余裕
  • 後でよい:充電器本体/課金・認証の仕組み/制御装置
  • 掘削と管路は、あとから追加すると舗装の復旧まで含めて跳ね上がる
  • 将来計画は、図面に書いてはじめて次の人に伝わる

ケース別|こんなとき、どうするか

ここまでの内容を、現場で出てくる形に並べ直します。上から順に読む必要はありません。当てはまるものだけ拾ってください。

トピック⑥:ケース別|こんなとき、どうするか
ケース別|こんなとき、どうするか
CASE 1「この駐車場に、充電器は何台置けますか」と聞かれた
台数ではなく、用途と滞在時間を先に聞き返す。
社用車か来客用かで同時使用率が変わり、必要な容量が数倍変わります。用途・滞在時間・将来台数の3点を確認してから、容量の話に入ります。
CASE 2受電容量に余裕がなく、増強費用は出せないと言われた
負荷率制御で、容量の代わりに時間を使えないか検討する。
充電完了時刻が保証されないので、翌朝までに充電できていればよい用途かを先に確認します。回転の速い来客用には向きません。
CASE 3予算がないので、まず1台だけと言われた
機器は1台でよい。掘削と管路だけは将来ぶんを入れる。
舗装の復旧まで含めると、あとからの掘削は跳ね上がります。空配管を1本余分に入れておく判断は、ほとんどの現場で回収できます。
CASE 4急速充電器を1台入れたいと言われた
受電方式から確認する。低圧のままでは成立しないことが多い。
50kW級を1台入れるだけで、小規模な建物の契約電力に匹敵します。高圧受電への変更や受変電設備の増強のほか、設置スペース・換気・騒音・接地も別に検討します。
CASE 5集合住宅で、各戸のメーターから引けないかと聞かれた
課金方式は、電気の話に入る前に管理組合で決めてもらう。
各戸契約は課金の仕組みが不要な代わりに駐車区画と住戸の対応が固定されます。共用部方式は柔軟ですが、契約電力が増え、課金・認証が要ります。

打ち合わせと、図面への記載

打ち合わせで確認すること
施主・管理者と
用途(社用車/従業員用/来客用/居住者用)と、想定する滞在時間
いま何台つけるかと、将来何台まで伸ばしたいか
課金・認証の要否(集合住宅は管理組合の合意事項)
電力会社・主任技術者と
現在の契約電力と、受電容量にどれだけ余裕があるか
急速充電器を入れる場合の受電方式
建築・意匠と
駐車区画の位置と、充電器を置けるスペース
車止め・ガードポール、ケーブルの収納方法
機械式駐車場は、対応できる段がどこか
土木・外構と
管路とハンドホールのルート、舗装の復旧範囲
メーカーと
制御が止まったときの挙動(フェイルセーフ)
直流成分を含む地絡への対応
図面・書類への書き方
単線結線図
EV充電用の分岐回路と漏電遮断器。専用回路であること
容量計算書
台数 × 1台あたり出力 × 同時使用率と、その根拠となる運用の聞き取り
電圧降下計算
盤から最遠の充電器までのこう長と、選定した電線サイズ
平面図
充電器の位置、管路とハンドホール、車止めの位置
将来計画
予備の管路と盤スペース、幹線の余裕、増設可能な台数
竣工時の記録
制御装置の試験結果(フェイルセーフ動作の確認)

「同時使用率0.4」とだけ書かれた計算書は、数年後に増設を検討する人が最初からやり直すことになります。根拠を一行添えるだけで、次の担当者の手戻りが消えます。

ペン太ペン太
予算がなくて、まず1台だけと言われました。
はりたはりた
機器は1台でいい。ただし掘削と管路だけは将来ぶんを入れておこう。
ペン太ペン太
空配管を1本余分に、ということですか。
はりたはりた
そう。舗装を復旧してから掘り返すと、その1本より高くつく。あと、どこに埋めたかを図面に書いておくこと。書いていなければ、次の人には無いのと同じだ。

まとめ

トピック⑦:まとめ
  • 必要な容量は台数では決まらない。台数 × 出力 × 同時使用率で、効くのは最後の係数
  • 充電方式は出力ではなく滞在時間で決める。翌朝までなら3kWで足りる
  • 同時使用率に定まった正解はない。運用の聞き取りと、その根拠を書き残すことが設計になる
  • 負荷率制御を使えば受電設備を増強せずに台数を増やせる。ただし充電完了時刻は保証されない
  • 制御が止まったときにフェイルセーフ側へ倒れるか、必ず確認する
  • 駐車場は距離が出る。電圧降下と管路が費用を支配することが多い
  • EV充電回路は専用の分岐回路と漏電遮断器。直流成分を含む地絡への対応を製品仕様で確認する
  • 掘削と管路は先に仕込む。将来計画は図面に書いてはじめて次の人に伝わる

よくある質問

Q1. 同時使用率は、いくつを使えばよいですか?

一律に使える数値はありません。社用車のように運用が固定されているなら実台数から積み上げ、従業員用や集合住宅なら想定EV比率から組み立てます。大事なのは値そのものより、どの前提から出したかを残すことです。前提が変われば見直せる形にしておいてください。

Q2. 200Vのコンセントを付けるだけなら、簡単ですよね?

器具は簡単ですが、回路は簡単ではありません。EV用コンセントは連続して3kW前後を使い続ける負荷で、一般のコンセント回路とは性格が違います。専用の分岐回路とし、漏電遮断器を施設し、こう長に応じた電線サイズを選ぶ必要があります。「コンセント1個」の感覚で見積もると足が出ます。

Q3. 集合住宅で、各戸のメーターから引くことはできますか?

各戸契約から引く方式と、共用部から引いて課金する方式があります。前者は電気料金が各戸の契約に乗るので課金の仕組みが不要ですが、駐車区画と住戸の対応が固定される必要があります。後者は柔軟ですが、共用部の契約電力が増え、課金や認証の仕組みが要ります。管理組合の合意事項なので、電気の話に入る前に決めておくことです。

Q4. 急速充電器を1台入れたいのですが、何に注意しますか?

50kW級を1台入れるだけで、小規模な建物の契約電力に匹敵します。低圧受電では成立せず、高圧受電への変更や受変電設備の増強が必要になることが多い。まず受電方式から確認してください。あわせて、直流機器なので設置スペース・換気・騒音、そして接地の扱いも普通充電とは別に検討が要ります。

急速充電器1台が建物の契約電力に匹敵することと確認事項を示した図
50kW級を1台入れるだけで、受電方式の話になります。

次回予告

トピック⑧:次回予告

第3回は「太陽光の系統連系」です。パワーコンディショナの選び方、連系点をどこに置くか、逆潮流の有無で変わる保護継電器の構成、単独運転防止という考え方、そして電力会社との協議で何を聞かれるか。ここから相手が電力会社になります。

合言葉は「つなぐ相手は電力会社」。→ 第3回 太陽光の系統連系 を公開しました。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。