技術図書館コンセントの配置|動作から決まる室用途別の目安、標準はFL+250、場所・接地・抜け対策の3つの質問、対角に散らすという配置の原則この資料をスライドで見る資料一覧を見る
この記事は連載「コンセント設備の設計マニュアル」(全5回)の1本です。
コンセント設備の設計マニュアル② 配置計画の全体像
コンセントの配置計画を解説。室用途別の個数の目安、取付高さ、3つの質問で決める器具の選び分け、配置のコツとNG例まで。

こんにちは、HARITAの設計室です。連載「コンセント設備の設計マニュアル」の第2回は配置計画第1回で「何が挿さるか」を数えたので、今回はそれをどこに・いくつ・どの高さで置くかを決めていきます。

配置計画のコツをひとことで言うと、「使う人の動作を実況中継すること」です。「朝、掃除機を持ってこの部屋に入って、まずどこに挿す?」「デスクに座ってPCとスマホの充電器はどこへ?」――この実況ができれば、位置も数も高さも自然に決まります。

この3つ、すぐ答えられますか

  • 位置と数と高さは、何から決まりますか。
  • 取付高さFL+250は、法規で決まった数値ですか。
  • ドアの陰にあるコンセントは、その後どうなりますか。
ペン太ペン太
配置って、壁面を等間隔で割っていけばいいんですよね。
はりたはりた
間隔だけで決めると、OA負荷も動線も拾えません。使う人の動作を実況中継してみてください。位置も数も高さも、そこから決まります。
この記事でわかること
第1回で「何が挿さるか」を数えました。今回はそれを、どこに・いくつ・どの高さで置くかを決めていきます。

どこに・いくつ? 室用途別の目安

トピック1:相場観を持ってから、数える

まず設置数です。第1回の4分類(一般用・OA用・専用・特殊)を思い出しながら、室の用途ごとの相場観を持っておきましょう。

どこに・いくつ? 室用途別の目安事務室デスク島ごとにOA用+壁面は2〜3m間隔で一般用会議室テーブル位置にフロア用+壁面は各面に1か所住宅の居室家具の配置を想像して目安は「2畳に1か所」廊下・共用部清掃機器の動線を考えて15〜20mごとに1か所給湯室・水回り機器ごとに数えて専用に+作業台の上にも忘れずに屋外・外構用途を決めてから防水形を必要最小限に迷ったら「使う人の動作」を実況中継してみるHARITAの設計室
図1:室用途別の設置数の目安 ― 迷ったら「使う人の動作」を実況中継してみる

住宅については キッチンのコンセント計画書斎(在宅勤務)の計画 に具体例があります。事務室は「壁面の間隔」だけで決めるとOA負荷を拾えないので、必ずデスクレイアウト図を入手してから確定させてください。

ここまでのポイント
  • 設置数は、第1回の4分類を思い出しながら室用途別の相場観からスタートする
  • 事務室は壁面の間隔だけで決めるとOA負荷を拾えない。デスクレイアウト図を入手してから確定する
  • 廊下・共用部は清掃機器の動線を考えて、15〜20mごとに1か所

どの高さ? 取付高さの目安

トピック2:機器の背と、人の動作で決まる

高さは「機器の背」と「人の動作」で決まります。標準は床から25cm。そこから機器や使い方に応じて上げていきます。

取付高さの目安(床面=FLから)FL(床面)身長170cmの目安FL+2,000 エアコン用FL+1,900 冷蔵庫用FL+1,250 スイッチ(参考)FL+1,050 洗濯機・カウンター上FL+400 車いす配慮FL+250 一般(標準)※数値は目安。特記仕様書・施主基準が最優先!HARITAの設計室
図2:コンセント取付高さの目安 ― 標準はFL+250、機器と動作に応じて上げる

注意したいのは、この数値はあくまで一般的な目安だということ。官公庁物件や医療・福祉施設では特記仕様書やバリアフリー基準で高さが指定されることが多く、そちらが最優先です。また、スイッチとコンセントが同じ壁に並ぶときは、縦のラインを揃えると図面も現場もきれいに納まります。

取付高さ(FLから)おもな用途
FL+250一般(標準)
FL+400車いす配慮
FL+1,050洗濯機・カウンター上
FL+1,900冷蔵庫用
FL+2,000エアコン用
ここまでのポイント
  • 高さは「機器の背」と「人の動作」で決まる。標準は床から25cm
  • 数値はあくまで一般的な目安。官公庁・医療・福祉では特記仕様書やバリアフリー基準が最優先
  • スイッチとコンセントが同じ壁に並ぶときは、縦のラインを揃えると図面も現場もきれいに納まる

どの器具? 選び分けは3つの質問で

トピック3:3つの質問で、器具は決まる

器具のバリエーションは多く見えますが、選定は「場所→接地→抜け対策」の3つの質問で片づきます。

器具はこの順番で選ぶ屋外・水がかかる場所?接地が必要な機器?抜けたら困る・床置きエリア?いいえいいえはいはいはい防雨形(WP)屋外・ガレージ・ベランダE水回り家電・OA機器・厨房抜け止め・フロア用医療・サーバー・会議室の床迷ったら選んでおくと後悔が少ないHARITAの設計室
図3:コンセント器具の選定フロー ― 場所 → 接地 → 抜け対策の3つの質問

屋外まわりの防水の考え方は ガレージ・屋外コンセントの設置基準 に詳しくまとめています。接地極付と接地端子付の違い・使い分けは少し奥が深いので、第4回で正面から扱います(先取りは 接地極・接地端子の使い分け へ)。

決めた器具は、図面上では傍記つきの図記号で描き分けます。

図面ではこう描き分ける一般壁付・2口が標準EWP防雨形屋外・水がかかる場所LK抜け止めひねって固定・落下防止250V200V用エアコン・大型機器正確な記号と傍記のルールは「コンセントの図記号一覧」の記事でチェック!
図4:コンセント図記号ミニ一覧 ― 一般・接地極付・WP・LK・250Vの描き分け

記号の正確な形と傍記のルールは コンセントの図記号一覧 を手元に置いて確認してください。コンセント自体の種類(形状と定格の読み方)は コンセントの種類と読み方 でおさらいできます。

ここまでのポイント
  • 器具は「屋外・水がかかる場所か → 接地が必要な機器か → 抜けたら困るか」の順で選ぶ
  • 防雨形(WP)は屋外・ガレージ・ベランダ、接地極付(E)は水回り家電・OA機器・厨房
  • 抜け止め(LK)・フロア用は医療・サーバー・会議室の床。迷ったら接地極付を選んでおくと後悔が少ない

配置のコツとNG例

トピック4:対角に散らし、裏に置かない

最後に、平面図に落とすときのコツです。原則はシンプルで、「対角に散らす」「家具とドアの裏に置かない」の2つだけ覚えれば大きな失敗はありません。

配置のコツは「対角」と「家具の外」ドアソファ・棚××対角に2か所が基本どこに家具を置いても延長コードなしで届く。掃除機の動線にも強い。×ドアの陰・家具の裏開けたドアや大型家具でふさがれて一生使われない…HARITAの設計室
図5:配置のコツとNG例 ― 対角に散らす、ドアの陰と大型家具の裏には置かない
  • 対角に2か所:模様替えしても延長コードが要らない。掃除機の動線にも強い
  • ドアの陰はNG:開けたドアでふさがれるコンセントは一生使われない
  • 大型家具の裏はNG:使えないだけでなく、ホコリ×トラッキングの火災リスクに
  • 機器の近くに専用を:エアコン・冷蔵庫は「機器の背に隠れる位置」が正解
作図イメージ:平面図でのコンセントの置き方と傍記。対角に散らし、ドアの陰と大型家具の裏を避け、高さと器具種別を傍記する
図6:作図イメージ ― 平面図での置き方と傍記(器具の種別+取付高さ)。下段は、動作を実況すると位置も数も高さも決まるという流れ
ここまでのポイント
  • 原則は「対角に散らす」「家具とドアの裏に置かない」の2つ
  • 対角に2か所あれば、模様替えしても延長コードが要らない
  • 大型家具の裏は使えないだけでなく、ホコリ×トラッキングの火災リスクになる
ペン太ペン太
目安より多めに付けておけば安心じゃないですか。
はりたはりた
コンセントが増えると回路数と工事費も増えます。「多め」は配置でカバーするのではなく、次回の回路分割とセットで考えるのが正解です。

まとめ

トピック5:動作から、すべてが決まる

配置計画のコツは、ひとことで言えば「使う人の動作を実況中継すること」です。「朝、掃除機を持ってこの部屋に入って、まずどこに挿す?」「デスクに座ってPCとスマホの充電器はどこへ?」 ― この実況ができれば、位置も数も高さも自然に決まります。

決めることと、決め方

決めること何から決まるか外したときに起きること
どこに・いくつ室用途別の目安 + デスクレイアウト図壁面の間隔だけで割り、OA負荷を拾えない
どの高さ機器の背と人の動作。標準はFL+250特記仕様書やバリアフリー基準の指定と食い違う
どの器具場所 → 接地 → 抜け対策の3つの質問屋外に防雨形でない器具、水回りに接地なしの器具が付く
どこに置かないかドアの陰・大型家具の裏を避ける一生使われないコンセント、ホコリ×トラッキングの火災リスク

位置と高さ

  • 配置計画は「使う人の動作の実況中継」。位置・数・高さは動作から決まる
  • 設置数は室用途別の目安からスタートし、OA用はレイアウト図で確定
  • 高さの標準はFL+250。機器と動作に応じて上げる。特記仕様が最優先

器具と、図面への落とし方

  • 器具は「場所→接地→抜け対策」の3つの質問で選び、図記号で描き分ける

最後に ― 数は、配置ではカバーしない

「目安より多めに」で数を増やすと、回路数も工事費も一緒に増えます。多めが必要かどうかは、次回の回路分割とセットで判断してください。この回で決めた位置・数・高さが、そのまま次の回路分割の入力になります。

よくある質問

トピック6:現場でよく出る、3つの疑問

Q1. 目安より多めに付けておけば安心では?
A. コンセントが増えると回路数と工事費も増えます。「多め」は配置でカバーするのではなく、次回扱う回路分割とセットで考えるのが正解です。

Q2. OAフロア(フリーアクセス)の場合は?
A. 床下配線でアップコン(床出し)やOAタップを使います。什器レイアウトが確定してから位置を決めるため、設計段階では系統と容量だけ押さえておくのがコツです。

Q3. 高さの数値に法的な決まりはあるの?
A. 一般的な高さそのものは慣習的な標準で、法規で一律に決まっているわけではありません。ただしバリアフリー関連の基準・条例や施主基準で指定される場合があり、その場合は指定が優先です。

次回予告

トピック7:次は、回路分割へ

第3回は「回路分割」。配置したコンセントを、どのブレーカーにどう載せるか。1回路あたりの個数の考え方、専用回路の仕分け、分岐回路の設計まで、コンセント計画のいちばん骨太なところに踏み込みます。

→ 公開しました:第3回 回路分割 ― 1回路の個数・専用回路・遮断器と電線の決め方連載全体の地図は 設計・施工マニュアル からどうぞ。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。