【コンセント設備の設計マニュアル②】配置計画 ― どこに・いくつ・どの高さ。器具の選び方まで
こんにちは、HARITAの設計室です。連載「コンセント設備の設計マニュアル」の第2回は配置計画。第1回で「何が挿さるか」を数えたので、今回はそれをどこに・いくつ・どの高さで置くかを決めていきます。
配置計画のコツをひとことで言うと、「使う人の動作を実況中継すること」です。「朝、掃除機を持ってこの部屋に入って、まずどこに挿す?」「デスクに座ってPCとスマホの充電器はどこへ?」――この実況ができれば、位置も数も高さも自然に決まります。
どこに・いくつ? 室用途別の目安
まず設置数です。第1回の4分類(一般用・OA用・専用・特殊)を思い出しながら、室の用途ごとの相場観を持っておきましょう。
住宅については キッチンのコンセント計画 と 書斎(在宅勤務)の計画 に具体例があります。事務室は「壁面の間隔」だけで決めるとOA負荷を拾えないので、必ずデスクレイアウト図を入手してから確定させてください。
どの高さ? 取付高さの目安
高さは「機器の背」と「人の動作」で決まります。標準は床から25cm。そこから機器や使い方に応じて上げていきます。
注意したいのは、この数値はあくまで一般的な目安だということ。官公庁物件や医療・福祉施設では特記仕様書やバリアフリー基準で高さが指定されることが多く、そちらが最優先です。また、スイッチとコンセントが同じ壁に並ぶときは、縦のラインを揃えると図面も現場もきれいに納まります。
どの器具? 選び分けは3つの質問で
器具のバリエーションは多く見えますが、選定は「場所→接地→抜け対策」の3つの質問で片づきます。
屋外まわりの防水の考え方は ガレージ・屋外コンセントの設置基準 に詳しくまとめています。接地極付と接地端子付の違い・使い分けは少し奥が深いので、第4回で正面から扱います(先取りは 接地極・接地端子の使い分け へ)。
決めた器具は、図面上では傍記つきの図記号で描き分けます。
記号の正確な形と傍記のルールは コンセントの図記号一覧 を手元に置いて確認してください。コンセント自体の種類(形状と定格の読み方)は コンセントの種類と読み方 でおさらいできます。
配置のコツとNG例
最後に、平面図に落とすときのコツです。原則はシンプルで、「対角に散らす」「家具とドアの裏に置かない」の2つだけ覚えれば大きな失敗はありません。
- 対角に2か所:模様替えしても延長コードが要らない。掃除機の動線にも強い
- ドアの陰はNG:開けたドアでふさがれるコンセントは一生使われない
- 大型家具の裏はNG:使えないだけでなく、ホコリ×トラッキングの火災リスクに
- 機器の近くに専用を:エアコン・冷蔵庫は「機器の背に隠れる位置」が正解
まとめ
- 配置計画は「使う人の動作の実況中継」。位置・数・高さは動作から決まる
- 設置数は室用途別の目安からスタートし、OA用はレイアウト図で確定
- 高さの標準はFL+250。機器と動作に応じて上げる。特記仕様が最優先
- 器具は「場所→接地→抜け対策」の3つの質問で選び、図記号で描き分ける
よくある質問
Q1. 目安より多めに付けておけば安心では?
A. コンセントが増えると回路数と工事費も増えます。「多め」は配置でカバーするのではなく、次回扱う回路分割とセットで考えるのが正解です。
Q2. OAフロア(フリーアクセス)の場合は?
A. 床下配線でアップコン(床出し)やOAタップを使います。什器レイアウトが確定してから位置を決めるため、設計段階では系統と容量だけ押さえておくのがコツです。
Q3. 高さの数値に法的な決まりはあるの?
A. 一般的な高さそのものは慣習的な標準で、法規で一律に決まっているわけではありません。ただしバリアフリー関連の基準・条例や施主基準で指定される場合があり、その場合は指定が優先です。
次回予告
第3回は「回路分割」。配置したコンセントを、どのブレーカーにどう載せるか。1回路あたりの個数の考え方、専用回路の仕分け、分岐回路の設計まで、コンセント計画のいちばん骨太なところに踏み込みます。
→ 公開しました:第3回 回路分割 ― 1回路の個数・専用回路・遮断器と電線の決め方連載全体の地図は 設計・施工マニュアル からどうぞ。





