こんにちは、HARITAの設計室です。連載「コンセント設備の設計マニュアル」の第2回は配置計画第1回で「何が挿さるか」を数えたので、今回はそれをどこに・いくつ・どの高さで置くかを決めていきます。

配置計画のコツをひとことで言うと、「使う人の動作を実況中継すること」です。「朝、掃除機を持ってこの部屋に入って、まずどこに挿す?」「デスクに座ってPCとスマホの充電器はどこへ?」――この実況ができれば、位置も数も高さも自然に決まります。

どこに・いくつ? 室用途別の目安

まず設置数です。第1回の4分類(一般用・OA用・専用・特殊)を思い出しながら、室の用途ごとの相場観を持っておきましょう。

どこに・いくつ? 室用途別の目安事務室デスク島ごとにOA用+壁面は2〜3m間隔で一般用会議室テーブル位置にフロア用+壁面は各面に1か所住宅の居室家具の配置を想像して目安は「2畳に1か所」廊下・共用部清掃機器の動線を考えて15〜20mごとに1か所給湯室・水回り機器ごとに数えて専用に+作業台の上にも忘れずに屋外・外構用途を決めてから防水形を必要最小限に迷ったら「使う人の動作」を実況中継してみるHARITAの設計室

住宅については キッチンのコンセント計画書斎(在宅勤務)の計画 に具体例があります。事務室は「壁面の間隔」だけで決めるとOA負荷を拾えないので、必ずデスクレイアウト図を入手してから確定させてください。

どの高さ? 取付高さの目安

高さは「機器の背」と「人の動作」で決まります。標準は床から25cm。そこから機器や使い方に応じて上げていきます。

取付高さの目安(床面=FLから)FL(床面)身長170cmの目安FL+2,000 エアコン用FL+1,900 冷蔵庫用FL+1,250 スイッチ(参考)FL+1,050 洗濯機・カウンター上FL+400 車いす配慮FL+250 一般(標準)※数値は目安。特記仕様書・施主基準が最優先!HARITAの設計室

注意したいのは、この数値はあくまで一般的な目安だということ。官公庁物件や医療・福祉施設では特記仕様書やバリアフリー基準で高さが指定されることが多く、そちらが最優先です。また、スイッチとコンセントが同じ壁に並ぶときは、縦のラインを揃えると図面も現場もきれいに納まります。

どの器具? 選び分けは3つの質問で

器具のバリエーションは多く見えますが、選定は「場所→接地→抜け対策」の3つの質問で片づきます。

器具はこの順番で選ぶ屋外・水がかかる場所?接地が必要な機器?抜けたら困る・床置きエリア?いいえいいえはいはいはい防雨形(WP)屋外・ガレージ・ベランダ接地極付(E付)水回り家電・OA機器・厨房抜け止め・フロア用医療・サーバー・会議室の床迷ったら接地極付を選んでおくと後悔が少ないHARITAの設計室

屋外まわりの防水の考え方は ガレージ・屋外コンセントの設置基準 に詳しくまとめています。接地極付と接地端子付の違い・使い分けは少し奥が深いので、第4回で正面から扱います(先取りは 接地極・接地端子の使い分け へ)。

決めた器具は、図面上では傍記つきの図記号で描き分けます。

図面ではこう描き分ける一般壁付・2口が標準E接地極付アースの通り道つきWP防雨形屋外・水がかかる場所LK抜け止めひねって固定・落下防止250V200V用エアコン・大型機器正確な記号と傍記のルールは「コンセントの図記号一覧」の記事でチェック!

記号の正確な形と傍記のルールは コンセントの図記号一覧 を手元に置いて確認してください。コンセント自体の種類(形状と定格の読み方)は コンセントの種類と読み方 でおさらいできます。

配置のコツとNG例

最後に、平面図に落とすときのコツです。原則はシンプルで、「対角に散らす」「家具とドアの裏に置かない」の2つだけ覚えれば大きな失敗はありません。

配置のコツは「対角」と「家具の外」ドアソファ・棚××対角に2か所が基本どこに家具を置いても延長コードなしで届く。掃除機の動線にも強い。×ドアの陰・家具の裏開けたドアや大型家具でふさがれて一生使われない…HARITAの設計室
  • 対角に2か所:模様替えしても延長コードが要らない。掃除機の動線にも強い
  • ドアの陰はNG:開けたドアでふさがれるコンセントは一生使われない
  • 大型家具の裏はNG:使えないだけでなく、ホコリ×トラッキングの火災リスクに
  • 機器の近くに専用を:エアコン・冷蔵庫は「機器の背に隠れる位置」が正解

まとめ

  • 配置計画は「使う人の動作の実況中継」。位置・数・高さは動作から決まる
  • 設置数は室用途別の目安からスタートし、OA用はレイアウト図で確定
  • 高さの標準はFL+250。機器と動作に応じて上げる。特記仕様が最優先
  • 器具は「場所→接地→抜け対策」の3つの質問で選び、図記号で描き分ける

よくある質問

Q1. 目安より多めに付けておけば安心では?
A. コンセントが増えると回路数と工事費も増えます。「多め」は配置でカバーするのではなく、次回扱う回路分割とセットで考えるのが正解です。

Q2. OAフロア(フリーアクセス)の場合は?
A. 床下配線でアップコン(床出し)やOAタップを使います。什器レイアウトが確定してから位置を決めるため、設計段階では系統と容量だけ押さえておくのがコツです。

Q3. 高さの数値に法的な決まりはあるの?
A. 一般的な高さそのものは慣習的な標準で、法規で一律に決まっているわけではありません。ただしバリアフリー関連の基準・条例や施主基準で指定される場合があり、その場合は指定が優先です。

次回予告

第3回は「回路分割」。配置したコンセントを、どのブレーカーにどう載せるか。1回路あたりの個数の考え方、専用回路の仕分け、分岐回路の設計まで、コンセント計画のいちばん骨太なところに踏み込みます。

→ 公開しました:第3回 回路分割 ― 1回路の個数・専用回路・遮断器と電線の決め方連載全体の地図は 設計・施工マニュアル からどうぞ。

次に読むならこれ【コンセント設備の設計マニュアル⑥・最終回】図面化と拾い・積算 ― 「あとで拾える図面」で締めくくる設計マニュアル