こんにちは、HARITAの設計室です。連載「コンセント設備の設計マニュアル」第3回は回路分割第1回で数えた負荷を、第2回で図面に配置しました。今回は、その一つひとつをどのブレーカーにぶら下げるかを決めます。連載の中でいちばん「電気設計らしい」回です。

回路分割を雑にやると、竣工後に起きるのは「電子レンジとポットを同時に使うとブレーカーが落ちる」「複合機が動くたびにPCの画面がちらつく」という、あのクレームたちです。逆にここが丁寧だと、建物は静かに、何事もなく動き続けます。

回路分割の進め方 ― 5ステップ

進め方はシンプルです。大物(専用回路)から先に確保して、残りを割る。この順番さえ守れば迷いません。

回路分割は この順番1専用回路を先に仕分け2残りをエリアでグルーピング31回路の個数をチェック4遮断器と電線をセットで決定5回路表に落とす(予備も忘れず)コツ:大物(専用)から先に。残りを割るのはそのあと!HARITAの設計室

ステップ① まず「専用回路」を仕分ける

第1回の4分類で「専用」「特殊」に入れた負荷は、他のコンセントと共用せず1機器1回路にします。判断の合言葉は「大きい・止めたくない・水と熱」です。

この負荷が来たら「専用回路」と叫ぶエアコン大容量+常時運転IH・電子レンジ瞬間的に大電流洗濯乾燥機長時間+大容量食洗機・給湯器水回りの固定機器複合機・大型OA起動電流で他を巻き込むサーバー・通信止めたら事故。独立必須厨房機器機器ごとに1回路自動販売機24時間稼働EV充電・床暖房200V系はそもそも別合言葉:「大きい・止めたくない・水と熱」は専用回路HARITAの設計室

エアコンがなぜ専用でなければならないかは エアコンに専用コンセントが必要な理由 に詳しく書きました。住宅の台所は専用回路だらけになりますが、それが正解です(キッチンのコンセント計画)。

ステップ② 一般・OA用は「1回路にいくつ」で割る

専用を除いた一般・OA用のコンセントを、部屋やエリアごとにまとめて回路にしていきます。ここで出てくるのが「1回路に何個までつなげるの?」という定番の疑問です。

一般コンセントは「1回路にいくつ」?20Aブレーカー150VA150VA150VA150VA150VA150VA150VA150VA150VA150VA1個150VAで見込む → 10個前後で約1,500VA個数は「上限」ではなく目安。実際に挿さる機器の合計VAで判断する(第1回の負荷想定!)住宅は「部屋単位」で回路を分けるのが基本。詳しい根拠は本文のリンク記事へHARITAの設計室

実は、内線規程に「1回路◯個まで」という一律の制限はありません。実務では一般コンセント1個あたり150VAで見込み、1回路の合計が1,500VA程度=10個前後を目安にします。この根拠と考え方は 1回路あたりのコンセント接続個数の選定方法 で、1つのコンセントにどこまで負荷をつなげるかは コンセント1つに接続可能な負荷 で詳しく解説しています。

ステップ③ 遮断器と電線の太さはセットで決める

回路が決まったら、その回路を守る遮断器と電線の太さを選びます。大事なのは、遮断器・電線・コンセント定格の3つは必ずセットで決まるということ。どれか1つだけ変えることはできません。

遮断器と電線は「セット」で決まる15A分岐電線の太さ1.6mm以上つなげるコンセント15A以下20A 配線用遮断器電線の太さ1.6mm以上つなげるコンセント20A以下20A ヒューズ電線の太さ2.0mm以上つなげるコンセント20A30A分岐電線の太さ2.6mm(5.5sq)以上つなげるコンセント20〜30A実務の主役は「20A配線用遮断器+1.6mm」。根拠と例外は本文のリンク記事へHARITAの設計室

実務でいちばん使うのは「20A配線用遮断器+1.6mm」の組み合わせです。この対応関係の根拠(内線規程の分岐回路のルール)は 分岐回路の設計【1.6mm・3m/8m】 に、ブレーカーそのものの選び方は 新人講座 第14回 ブレーカー選定のきほん にまとまっています。

ステップ④ 分電盤の回路表に落とし込む

最後に、決めた回路を分電盤の回路表(負荷表)にまとめます。ここまで来ると、コンセント計画は分電盤の設計とつながります。

最後は「回路表」に落とし込むL-1事務室 東側 一般コンセント20AL-2事務室 西側 一般コンセント20AL-3OAフロア(デスク島A・B)20AL-4給湯室(冷蔵庫・レンジは専用)20AL-5複合機 専用20AL-6サーバーラック 専用20AL-7予備20AL-8予備20A回路名は「場所+用途」で。10年後の改修工事の人が読んでも分かる名前に予備回路を2回路!レイアウト変更・増設は必ずやって来るHARITAの設計室

分電盤側の考え方は 分電盤の構成と計画指針電灯負荷の開閉器サイズ選定方法 へ。回路表から単線結線図を起こす作業は、セコサポの 分電盤単線結線図作成ツール を使うと時短できます。幹線が長くなる場合の電圧降下チェックには 電圧降下計算ツール をどうぞ。

まとめ

  • 回路分割は「専用回路を先に確保→残りをエリアで割る」の順番
  • 専用回路の合言葉は「大きい・止めたくない・水と熱」
  • 一般コンセントは1個150VA・1回路10個前後が実務の目安(一律の規定はない)
  • 遮断器・電線・コンセント定格はセット。主役は「20A配線用遮断器+1.6mm」
  • 回路表は「場所+用途」の名前で書き、予備回路を2回路残す

よくある質問

Q1. 10個を超えたらダメですか?
A. ダメではありません。10個はあくまで目安で、判断の本体は「実際に挿さる機器の合計VA」です。清掃用ばかりで同時使用が少ないなら個数が多くても問題ないし、逆にOA密集エリアは10個未満でも分けるべきです。

Q2. 専用回路のコンセントは形も変えるべき?
A. 抜け止め形にする、接地極付にする、200V用の形状になる、など専用回路はコンセント形状もセットで変わることが多いです。このあたりは次回(第4回)でまとめて扱います。

Q3. 回路数が増えると何が困るの?
A. 分電盤が大きくなり、コストと設置スペースが増えます。「安全側に全部専用」は設計としては思考停止です。目安と負荷想定で、必要十分な回路数を狙ってください。

次回予告

第4回は「接地と特殊コンセント」。接地極付と接地端子付の使い分け、200V回路、EV充電、そして消防法の非常コンセントまで。コンセントの「ちょっと特殊な世界」を一気に整理します。

→ 公開しました:第4回 接地と特殊コンセント ― 接地極・200V・EV・非常コンセント連載全体の地図は 設計・施工マニュアル からどうぞ。

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