【コンセント設備の設計マニュアル③】回路分割 ― 1回路の個数・専用回路・遮断器と電線の決め方
こんにちは、HARITAの設計室です。連載「コンセント設備の設計マニュアル」第3回は回路分割。第1回で数えた負荷を、第2回で図面に配置しました。今回は、その一つひとつをどのブレーカーにぶら下げるかを決めます。連載の中でいちばん「電気設計らしい」回です。
回路分割を雑にやると、竣工後に起きるのは「電子レンジとポットを同時に使うとブレーカーが落ちる」「複合機が動くたびにPCの画面がちらつく」という、あのクレームたちです。逆にここが丁寧だと、建物は静かに、何事もなく動き続けます。
回路分割の進め方 ― 5ステップ
進め方はシンプルです。大物(専用回路)から先に確保して、残りを割る。この順番さえ守れば迷いません。
ステップ① まず「専用回路」を仕分ける
第1回の4分類で「専用」「特殊」に入れた負荷は、他のコンセントと共用せず1機器1回路にします。判断の合言葉は「大きい・止めたくない・水と熱」です。
エアコンがなぜ専用でなければならないかは エアコンに専用コンセントが必要な理由 に詳しく書きました。住宅の台所は専用回路だらけになりますが、それが正解です(キッチンのコンセント計画)。
ステップ② 一般・OA用は「1回路にいくつ」で割る
専用を除いた一般・OA用のコンセントを、部屋やエリアごとにまとめて回路にしていきます。ここで出てくるのが「1回路に何個までつなげるの?」という定番の疑問です。
実は、内線規程に「1回路◯個まで」という一律の制限はありません。実務では一般コンセント1個あたり150VAで見込み、1回路の合計が1,500VA程度=10個前後を目安にします。この根拠と考え方は 1回路あたりのコンセント接続個数の選定方法 で、1つのコンセントにどこまで負荷をつなげるかは コンセント1つに接続可能な負荷 で詳しく解説しています。
ステップ③ 遮断器と電線の太さはセットで決める
回路が決まったら、その回路を守る遮断器と電線の太さを選びます。大事なのは、遮断器・電線・コンセント定格の3つは必ずセットで決まるということ。どれか1つだけ変えることはできません。
実務でいちばん使うのは「20A配線用遮断器+1.6mm」の組み合わせです。この対応関係の根拠(内線規程の分岐回路のルール)は 分岐回路の設計【1.6mm・3m/8m】 に、ブレーカーそのものの選び方は 新人講座 第14回 ブレーカー選定のきほん にまとまっています。
ステップ④ 分電盤の回路表に落とし込む
最後に、決めた回路を分電盤の回路表(負荷表)にまとめます。ここまで来ると、コンセント計画は分電盤の設計とつながります。
分電盤側の考え方は 分電盤の構成と計画指針 と 電灯負荷の開閉器サイズ選定方法 へ。回路表から単線結線図を起こす作業は、セコサポの 分電盤単線結線図作成ツール を使うと時短できます。幹線が長くなる場合の電圧降下チェックには 電圧降下計算ツール をどうぞ。
まとめ
- 回路分割は「専用回路を先に確保→残りをエリアで割る」の順番
- 専用回路の合言葉は「大きい・止めたくない・水と熱」
- 一般コンセントは1個150VA・1回路10個前後が実務の目安(一律の規定はない)
- 遮断器・電線・コンセント定格はセット。主役は「20A配線用遮断器+1.6mm」
- 回路表は「場所+用途」の名前で書き、予備回路を2回路残す
よくある質問
Q1. 10個を超えたらダメですか?
A. ダメではありません。10個はあくまで目安で、判断の本体は「実際に挿さる機器の合計VA」です。清掃用ばかりで同時使用が少ないなら個数が多くても問題ないし、逆にOA密集エリアは10個未満でも分けるべきです。
Q2. 専用回路のコンセントは形も変えるべき?
A. 抜け止め形にする、接地極付にする、200V用の形状になる、など専用回路はコンセント形状もセットで変わることが多いです。このあたりは次回(第4回)でまとめて扱います。
Q3. 回路数が増えると何が困るの?
A. 分電盤が大きくなり、コストと設置スペースが増えます。「安全側に全部専用」は設計としては思考停止です。目安と負荷想定で、必要十分な回路数を狙ってください。
次回予告
第4回は「接地と特殊コンセント」。接地極付と接地端子付の使い分け、200V回路、EV充電、そして消防法の非常コンセントまで。コンセントの「ちょっと特殊な世界」を一気に整理します。
→ 公開しました:第4回 接地と特殊コンセント ― 接地極・200V・EV・非常コンセント連載全体の地図は 設計・施工マニュアル からどうぞ。





