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「電線」と「ケーブル」、同じものだと思っていませんか? 現場では「VVF持ってきて」「IVは管に入れて」と、ちゃんと使い分けています。この記事では、ものとしての電線とケーブル、色と太さ、図面の描き方、用途の順に、使っている場面の動く図解でほどきます。コンセント、スイッチに続く、超基本の3本目です。

結論

電線は銅の導体を絶縁体で包んだもの、それをさらにシースで包んだのがケーブルです。図面では線の種類・斜線・傍記で描き、種類は通す場所で選びます。

  • IV(電線)は電線管に通す。VVF・CV(ケーブル)はそのまま這わせたりラックに載せたりできる
  • 黒は電圧側、白は接地側、赤は3本目、緑は接地線
  • 太さは単線が直径mm(1.6・2.0・2.6)、より線が断面積mm²。ブレーカーと組で決める
  • コードリールや束ねた電線は熱がこもる。コードリールは引き出して使う
この記事で押さえる5つのこと
項目を押すと、その章へ飛びます。図はすべて使っている場面の動く図解です(止まっていても読めます)。
くり返し動きます。もの、図面、用途の順に見ると、電線とケーブルの全体がつかめます。

動く図解で学ぶ電気設備屋内配線と保護の動く図解12本を、まとめて見られます見る →

用語集で調べる:VVFIVCV許容電流

電線とケーブルとは ― 電気を運ぶ「道」

電線は電気を運ぶ道です。中心の銅(導体)に電気が流れ、そのまわりを絶縁体(ビニルなど)で包んで、ほかの物に電気が漏れないようにしています。これが絶縁電線で、代表がIVです。絶縁電線をさらにシース(外装)で包んで丈夫にしたものがケーブルで、代表がVVFやCVです。

左はIVを電線管に引き入れる通線、右はVVFを天井裏の木に留めていくころがし配線です。

絶縁電線は外からの傷に弱いので、屋内では電線管などに入れて守ります。ケーブルはシースで守られているので、天井裏にそのまま這わせたり(ころがし)、ケーブルラックに載せたりできます。

名前 正式名・特徴 主な使いどころ
IV 600Vビニル絶縁電線 電線管の中、盤の中、接地線
VVF 600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル平形 住宅・店舗の照明とコンセント
CV 600V架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル 幹線・動力・屋外
CVT CVを3本より合わせたもの 太い幹線・地中
EM-EEF など エコケーブル。燃えても有害なガスが出にくい 公共建築など
FP・HP 耐火ケーブル・耐熱ケーブル 非常用照明・消防設備
VCT ビニルキャブタイヤケーブル。やわらかい 動かす機器・延長コード
記号の読み方は「そうだったのか小ネタ⑧」で解説しています。

動く図解で見る:ケーブル工事ころがし・支持・貫通のしかた(施工・現場のページへ)

たとえるなら
絶縁体は「服」、シースは「レインコート」
IV(電線)は服だけを着た人なので、雨や傷から守る屋根付きの通路(電線管)を歩きます。VVFやCV(ケーブル)はレインコートまで着ているので、天井裏やラックの上をそのまま歩けます。
ここまでのポイント
  • 電線は導体を絶縁体で包んだもの。代表はIV
  • さらにシースで包むとケーブル。代表はVVF・CV
  • IVは管に入れて守る。ケーブルはそのまま這わせられる


ものとしての電線 ― 3つの層と、色の役目

VVFの皮をむくと、外側からシース → 絶縁体 → 導体の3つの層が出てきます。電線をつなぐときは、専用の工具でこの順にむいていきます。

シースをむくと黒と白の絶縁体が出て、その先をむくと銅の導体が出てきます。下は断面の比較です。

導体には、1本の銅線でできた単線と、細い銅線をより合わせたより線があります。住宅で使う細い電線は単線、幹線のような太い電線は曲げやすいより線が一般的です(むき方は技能試験の基本作業で)。

動く図解で見る:電線の接続むいた電線をどうつなぐか(施工・現場のページへ)

色には役目がある

屋内の配線では、電線の色で役目を分けています。黒は電圧側(電気を送る道)、白は接地側(帰り道)。3本目の赤は3路スイッチの渡り線や200Vの回路などに使い、緑は接地線で、機器の金属部分を大地につなぎます。スイッチが黒を切る理由はスイッチとはで解説しています。

ふだんは黒から行って白で帰ります。洗濯機が漏電すると、緑の接地線を通って電気が大地へ逃げます。
ひっかけ注意
「白い線は電気が来ていないから触っても大丈夫」ではありません。
白は大地に近い側ですが、回路が動いているあいだは電流が流れていますし、配線の誤りで電圧がかかっていることもあります。電線に触る作業は、分電盤のブレーカーを切ってから行います。
ここまでのポイント
  • 外からシース、絶縁体、導体の3層
  • 導体は単線とより線
  • 黒は電圧側、白は接地側、赤は3本目、緑は接地線

太さと流せる電流 ― mm と mm²

太さの表し方は2通りあります。単線は直径(mm)で 1.6mm・2.0mm・2.6mm、より線は断面積(mm²)で 5.5・8・14・22・38…と書きます。太いほど電気抵抗が小さく、たくさんの電流を流せます。安全に流し続けられる電流の上限を許容電流といいます。

上は単線、下はより線。太いほど流せる電流が大きくなります。
分岐回路 電線の太さ(銅) 主な使いどころ
15A 1.6mm 以上 一般の照明・コンセント
20A(配線用遮断器) 1.6mm 以上 一般のコンセント・専用回路
30A 2.6mm(5.5mm²)以上 IHクッキングヒーターなど
40A 8mm² 以上 大きな専用機器
50A 14mm² 以上 大きな専用機器
出典:内線規程(分岐回路の電線の太さ)。配線が長いときは、電圧降下を確かめてもう一段太くします。

電線はブレーカーと組で決めます。ブレーカーは「電線が熱で傷む前に切る」ためのもので、電線より大きなブレーカーを付けると、電線を守れません。VVFの許容電流の目安は、1.6mmで約19A、2.0mmで約24A、2.6mmで約33Aです(3本以下の減少係数0.70をかけた値。周囲温度などで変わります。詳しくは絶縁電線の許容電流)。

動く図解で見る:許容電流によるケーブルサイズ電流からケーブルの太さを決める流れ(幹線設備のページへ)

熱がこもると危ない ― コードリールと束ねた電線

電線に電流を流すと、少しずつ熱が出ます。ふつうは空気に逃げていきますが、逃げ場がないと温度が上がり、被覆が傷んだり溶けたりします。身近な例がコードリールで、巻いたままだと熱がこもり、メーカー資料の一例では使える電流が約1/3まで下がります。建物の配線でも、何本も束ねたり管に詰めたりすると熱がこもるので、本数に応じて許容電流を下げて考えます(減少係数)。

左は巻いたまま暖房器具を使い、コードが赤く熱くなっていく様子。右は引き出して使い、熱が逃げていきます。
ひっかけ注意
「コードリールに15Aと書いてあるから、巻いたままでも15Aまで使える」ではありません。
15Aは全部引き出したときの値です。巻いたままの値は本体の表示で確かめ、暖房器具や電動工具など大きな電力の機器は、全部引き出して使います。
ここまでのポイント
  • 単線は直径mm、より線は断面積mm²
  • 15A・20A回路は1.6mm以上、30A回路は2.6mm以上
  • コードリールは引き出して使う。束ねると許容電流が下がる


図面ではこう描く ― 線の種類・斜線・傍記

平面図(プロット図)では、配線を線で描きます。線の種類で通る場所、線に入れる斜線の数で電線の本数、横の文字(傍記)で種類と太さを表します(JIS C 0303)。

線が引かれ、斜線と傍記が順に書き込まれます。線の種類ごとに通る場所が違います。
書き方 意味
実線 天井隠ぺい配線(天井の中を通る)
破線 床隠ぺい配線(床の中を通る)
点線 露出配線(見える所を通る)
斜線なし 電線は2本
斜線3本 電線は3本(3路の区間など)
VVF1.6-2C VVF・太さ1.6mm・2心
IV1.6×3(E19) IV1.6mmを3本、ねじなし電線管E19に入れる
CV14-3C CV・14mm²・3心
出典:JIS C 0303:2000 ほか。図面の凡例や特記で別の決め方をしている場合は、そちらが優先です。

線種の見分けは【プロット図の見方⑤】配線の線種、幹線の「CV 3C-38sq(E38)×2」のような書き方は図面の配線表記の読み方で解説しています。

動く図解で見る:配線表記の読み方種類・心数・サイズ・管を分解して読む(図面の読み方・描き方のページへ)

ひっかけ注意
「斜線がない=電線1本」ではありません。
斜線がなければ2本です。3本以上のときだけ、本数ぶんの斜線を入れます。
ここまでのポイント
  • 実線は天井、破線は床、点線は露出
  • 斜線の数が電線の本数。なければ2本
  • 傍記は種類・太さ・心数、カッコは電線管

用途で選ぶ ― 通す場所で種類が決まる

電線とケーブルの種類は、どこを通すかと何に使うかで決まります。ビルの断面で見てみましょう。

番号のピンが順に立ち上がります。地中から幹線、各階の部屋、非常用、動かす機器まで、場所ごとに種類が違います。
場所 選ぶもの 理由
部屋の照明・コンセント VVF 安くて扱いやすく、天井裏にころがせる
幹線・動力 CV・CVT 太いサイズがそろい、熱に強い
地中・屋外 CVT(管に入れる) 水や土から管で守る
非常用照明・消防設備 耐火・耐熱ケーブル 火災のときも電気を送り続ける
盤の中・電線管の中 IV・接地線 管や盤が守ってくれる
動かす機器・延長コード キャブタイヤケーブル やわらかく、曲げに強い
公共建築ではエコケーブル(EM)を使うことが多くなっています。

非常用照明の耐火配線は電源別置形と耐火配線、ケーブルの種類の一覧は電気設備の基本知識#001 ケーブルの種類で詳しく扱っています。

ここまでのポイント
  • 部屋はVVF、幹線はCV・CVT
  • 地中は管に入れ、非常用は耐火・耐熱
  • 動かす物はキャブタイヤ


読み違えやすいところ

よくある読み違い

  1. 電線とケーブルを同じものと思う:シースがあればケーブル、なければ絶縁電線。IVは管に入れます。
  2. 「1.6」を断面積と思う:1.6は直径mm。断面積にすると約2mm²です。5.5や8は断面積mm²です。
  3. 斜線なしを1本と読む:斜線がなければ2本です。
  4. コードリールを巻いたまま15Aまで使う:15Aは引き出したときの値です。
  5. 緑の電線をふつうの配線に使う:緑は接地線の目印です。

動く図解で学ぶ電気設備この記事の図のほかにも、配線や電線のしくみを動く図解で見られます。気になるジャンルを選んでください。

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よくある質問

電線とケーブルの違いは何ですか?

銅の導体を絶縁体で包んだものが絶縁電線(代表はIV)、その絶縁電線をさらにシース(外装)で包んで丈夫にしたものがケーブル(代表はVVFやCV)です。絶縁電線は傷に弱いので電線管などに入れて守り、ケーブルは天井裏にそのまま這わせたり、ケーブルラックに載せたりできます。

VVFとは何ですか?

600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル平形のことで、住宅や店舗の照明・コンセントの配線でいちばんよく使われるケーブルです。黒と白(3心なら赤や緑も)の絶縁電線を、平たいビニルのシースで包んでいます。「VVF1.6-2C」は、太さ1.6mm・2心のVVFという意味です。

電線の色にはどんな決まりがありますか?

屋内の配線では、黒を電圧側、白を接地側(帰り道)に使います。3本目の赤は3路スイッチの渡り線や200Vの回路などに、緑は機器の金属部分を大地につなぐ接地線に使います。緑は接地線の目印なので、ふつうの電線としては使いません。

1.6mmと2.0mmの電線はどう使い分けますか?

一般の照明やコンセントの回路(15A・20Aの配線用遮断器)は1.6mm以上で、住宅ではVVF1.6がよく使われます。エアコンなどの専用回路や、配線が長くて電圧降下が大きくなるときは2.0mmを選ぶことがあります。30Aの回路は2.6mm以上です。流せる電流の目安は、VVFで1.6mmが約19A、2.0mmが約24Aです(周囲温度などで変わります)。

図面の「VVF1.6-2C」や「IV1.6×3(E19)」はどう読みますか?

「VVF1.6-2C」は、VVFケーブルの太さ1.6mm・2心です。「IV1.6×3(E19)」は、IVの1.6mmを3本、ねじなし電線管のE19に入れるという意味です。線の種類は通る場所(実線が天井隠ぺい、破線が床隠ぺい、点線が露出)、線に入れた斜線の数は電線の本数を表し、斜線がなければ2本です。

コードリールを巻いたまま使ってはいけないのはなぜですか?

巻いたままだとコードの熱が逃げずにこもり、被覆が溶けたり発火したりするおそれがあるからです。表示の15Aは全部引き出したときの値で、巻いたままでは使える電流が大きく下がります(メーカー資料の一例では約1/3)。暖房器具や電動工具など大きな電力の機器は、全部引き出して使います。

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ABOUT ME
HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。