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家のコンセントは100V、エアコンやIHは200V。同じ家の中で2つの電圧が使えるのは、家に来ている電気が単相3線式という形だからです。この記事では、家の電気の土台になっている単相回路を、三相との違い、2線式と3線式、真ん中の中性線、図面の書き方、分電盤での振り分けまで、使っている場面の動く図解でほどきます。分電盤やエアコン・IHの電源の土台になる、超基本の11本目です。

結論

単相は交流の波が1つの回路です。住宅のほとんどは赤・白・黒の単相3線式で、100Vと200Vの両方が使えます。真ん中の中性線には上下の電流の差が流れ、切れると小さい機器に高い電圧がかかります。図面では1φ3Wと書きます。

  • 単相は電灯(照明・コンセント)、三相は動力(モーター)
  • 赤と白・黒と白で100V、赤と黒で200V
  • 100Vの回路は赤側と黒側に交互に振り分ける
  • 主幹は3極をいっしょに切り、中性線だけを切らない
この記事で押さえる5つのこと
項目を押すと、その章へ飛びます。図はすべて使っている場面の動く図解で、押すと大きく見られます。

この図の読み方

くり返し動きます。左から、もの・記号・用途の順です。

  1. もの:向きが入れ替わる交流の波が1つ
  2. 記号:1φ3Wのφは相、Wは電線の数
  3. 用途:家の照明・コンセント・200Vの機器

動く図解で学ぶ電気設備電気のきほんの動く図解11本を、まとめて見られます見る →

単相とは ― 波が1つの交流

家に来ている電気は交流で、電気の向きが1秒に50回(東日本)か60回(西日本)入れ替わります。この波が1つだけの回路が単相、少しずつずれた3つの波を使うのが三相です。照明やコンセントは単相、モーターを力強く回す工場やビルの機械は三相を使います。

単相と三相

左は1つの波で電球を光らせる単相、右は3つの波でモーターを回す三相です。

  1. 単相は波が1つで、照明・コンセントに
  2. 三相は波が3つで、モーター(動力)に
  3. 単相は電線2本か3本、三相は3本
たとえるなら
単相は「1人でこぐブランコ」、三相は「3人でこぐ自転車」
1人でこぐブランコ(単相)は、行ったり来たりをくり返します。照明を光らせるならこれで十分です。3人が少しずつタイミングをずらしてペダルをこぐ自転車(三相)は、力が途切れずに回り続けるので、大きなモーターを回すのに向いています。
くらべる点 単相 三相
波の数 1つ 3つ(少しずつずれる)
電線 2本か3本 3本(4本の方式もある)
呼び方 電灯 動力
おもな用途 照明・コンセント・エアコン モーター・ポンプ・大型の空調
住宅はふつう単相だけ。店舗やビルは単相と三相の両方を引き込むことが多い。

動く図解で見る:電灯と動力 ― 単相と三相の2つの家系分電盤と動力盤の分かれ方を動く図解で(電気のきほんのページへ)

ここまでのポイント
  • 単相は波が1つ、三相は波が3つ
  • 単相は電灯、三相は動力
  • 交流は1秒に50回か60回向きが入れ替わる

単相2線式と単相3線式 ― 線を1本増やすと200Vも

単相には、電線が2本の単相2線式と、3本の単相3線式があります。2線式は黒と白の2本で100Vだけ。3線式は赤・白・黒の3本で、赤と白、黒と白の間が100V、赤と黒の間が200Vになります。真ん中の白い線は大地につながっていて、中性線と呼びます。

2線式と3線式

上が2線式、下が3線式。3線式からは100Vを2つと200Vを1つ取り出せます。

  1. 2線式は100Vだけ(古い家に多い)
  2. 3線式は100Vと200Vの両方
  3. 白は大地につながる中性線

単相3線式の中性線には、赤側の負荷と黒側の負荷の差の電流が流れます。両側が10Aずつなら0A、15Aと10Aに片寄れば5Aです。

中性線の電流

前半は上下がそろって0A、後半は片寄って5Aが中性線に流れます。

  1. 上下の負荷がそろえば中性線は0A
  2. 片寄ると、差の電流が中性線に流れる
  3. 中性線を支点にしたシーソーと同じ
ひっかけ注意
「中性線には上下の電流の合計が流れる」ではありません。
中性線に流れるのは上下の電流の差です。赤側15A・黒側10Aなら、中性線は25Aではなく5Aです。

家が単相3線式かどうかの確かめ方は200Vコンセントへの切替工事、電線の赤・白・黒の意味は電線とケーブルとはで解説しています。

ここまでのポイント
  • 単相2線式は100Vだけ、単相3線式は100Vと200V
  • 中性線は大地につながる白い線
  • 中性線には上下の電流の差が流れる


中性線が切れると ― 小さい機器に高い電圧

単相3線式でいちばん気をつけたいのが、中性線の断線です。中性線が切れると、赤側と黒側の負荷が直列になり、200Vを抵抗の比で分け合います。すると容量の小さい機器ほど高い電圧がかかります。1kWと500Wの機器なら、500W側に約133V、1kW側に約67Vです。

中性線の断線

前半はどちらも100V。中性線が切れると、500Wの機器に約133Vがかかります。

  1. 中性線が切れると上下の負荷が直列になる
  2. 小さい機器ほど高い電圧がかかる
  3. 100V用の機器が焼損するおそれ
ひっかけ注意
「中性線にもヒューズを入れて守る」は逆効果です。
中性線だけが切れると、上の図のように小さい機器に高い電圧がかかります。そのため中性線にはヒューズを入れず、開閉器は3極をいっしょに切るものを使います。住宅の主幹には、中性線が切れたときに電気を止める中性線欠相保護付きのブレーカーがよく使われます。

中性線の電流と断線の計算は第2種電気工事士|配電理論で、例題つきで解説しています。

動く図解で見る:第2種電工の計算 ― 配電理論中性線の電流と断線を動く図解で(幹線設備のページへ)

ここまでのポイント
  • 中性線が切れると上下の負荷が直列になる
  • 小さい機器に高い電圧がかかる
  • 主幹は3極をいっしょに切る

図面では、1φ3Wと書く

図面では、配電の方式をφ(相)とW(電線の数)で書きます。単相3線式なら1φ3W、単相2線式なら1φ2W、三相3線式なら3φ3Wです。分電盤の図面では「1φ3W 100/200V」のように電圧もあわせて書き、分岐のブレーカーは100Vが2P1E、200Vが2P2Eになります。

図面の読み方

方式の書き方と、分電盤の単線結線図が順に光ります。

  1. 1φ3Wは単相3線式、3φ3Wは三相3線式
  2. 主幹は3P2Eの中性線欠相保護付
  3. 100Vの分岐は2P1E、200Vは2P2E
書き方 読み方
1φ2W 100V 単相2線式・100V
1φ3W 100/200V 単相3線式・100Vと200V
3φ3W 200V 三相3線式・200V(動力)
3P2E 3極2素子(単相3線式の主幹に多い)
2P1E・2P2E 100Vの分岐・200Vの分岐
ブレーカーの極数と素子数の読み方は、図面の見方・読み方①で詳しく扱っています。

2P1E・3P2Eのような表記の読み方は盤図のブレーカー表記の読み方、分電盤とブレーカーそのものは分電盤とブレーカーとはで解説しています。

ここまでのポイント
  • φは相、Wは電線の数
  • 単相3線式は1φ3W 100/200V
  • 100Vの分岐は2P1E、200Vは2P2E


用途で見る ― 分電盤での振り分けと建物ごとの使い分け

単相3線式では、分電盤で100Vの回路を赤側と黒側に交互に割り当て、両側の負荷をなるべくそろえます。片寄りが大きいと、中性線に電流が流れ、重い側の電圧が下がります。内線規程では、この片寄り(設備不平衡率)を40%以下にするよう決めています。

回路の振り分け

回路が1つずつ赤側と黒側に入り、シーソーがつり合っていきます。

  1. 100Vの回路は赤側と黒側に交互に
  2. 両側の合計をなるべくそろえる
  3. 片寄りは40%以下
ひっかけ注意
「200Vの回路も、どちらかの側に数える」ではありません。
赤と黒の間につなぐ200Vの回路は、両側に同じだけかかるので片寄りを生みません。設備不平衡率の計算では、分子の差には入れず、分母の総容量にだけ入れます。

建物ごとに見ると、住宅はほぼ単相3線式だけ。店舗や事務所は照明・コンセント用の単相(電灯)と、空調やポンプ用の三相(動力)の両方を引き込みます。工場は三相の動力が主役です。

建物ごとの使い分け

住宅・店舗や事務所・工場の順に、使う電気が光ります。

  1. 住宅は1φ3W 100/200V
  2. 店舗・事務所は電灯と動力の両方
  3. 工場は3φ3Wの動力が主役

設備不平衡率の計算は内線規程の解釈と解説【002】不平衡負荷の制限、回路ごとの容量の積み上げは単相3線式 盤図作成用容量積み上げツール、電線の太さの決め方は単相回路の電線太さ選定で解説しています。

動く図解で見る:直流・交流と三相電池の電気から三相のモーターまでを動く図解で(電気のきほんのページへ)

ここまでのポイント
  • 100Vの回路は赤側と黒側に交互に
  • 片寄り(設備不平衡率)は40%以下
  • 単相は電灯、三相は動力

読み違えやすいところ

よくある読み違い

  1. 単相3線式を三相と取り違える:線が3本でも、波が1つなら単相です。
  2. 中性線の電流を上下の合計と思う:流れるのは上下の差です。
  3. 中性線だけを切る開閉器を使う:小さい機器に高い電圧がかかります。
  4. 1φ3Wの3を3相と読む:3は電線の本数。相の数はφの前の1です。
  5. 100Vの回路を片側にまとめる:赤側と黒側に交互に振り分けます。

動く図解で学ぶ電気設備この記事の図のほかにも、電気のきほんを動く図解で見られます。気になるジャンルを選んでください。

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よくある質問

単相回路とは何ですか?

向きが入れ替わる交流の波が1つだけの回路です。住宅や事務所の照明・コンセントは単相で、電線2本の単相2線式と、3本の単相3線式があります。波が3つある三相は、おもに工場やビルのモーター(動力)に使います。

単相2線式と単相3線式の違いは?

単相2線式は黒と白の2本で、100Vだけを取り出せます。単相3線式は赤・白(中性線)・黒の3本で、赤と白、黒と白の間が100V、赤と黒の間が200Vになり、100Vと200Vの両方を使えます。いまの住宅のほとんどは単相3線式です。

中性線とは何ですか?

単相3線式の真ん中の白い線で、大地につながっています。赤側と黒側の負荷の差の電流が流れ、上下の負荷がそろっていれば電流は0Aになります。

中性線が切れるとどうなりますか?

赤側と黒側の負荷が直列になって200Vを分け合い、容量の小さい機器ほど高い電圧がかかります。たとえば1kWと500Wの機器なら、500W側に約133Vがかかり、焼損のおそれがあります。だから主幹には中性線欠相保護付きのブレーカーを使い、中性線だけが切れる状態をつくりません。

図面の1φ3Wは何を表しますか?

φは相、Wは電線(Wire)の数を表し、1φ3Wは単相3線式です。1φ2Wは単相2線式、3φ3Wは三相3線式です。分電盤の図面では「1φ3W 100/200V」のように電圧もあわせて書きます。

分電盤の回路はどう振り分けますか?

100Vの回路を赤側と黒側に交互に割り当て、両側の負荷がなるべく同じになるようにします。内線規程では、片寄り(設備不平衡率)を40%以下にするよう決めています。200Vの回路は両側に同じだけかかるので、片寄りを生みません。

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ABOUT ME
HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。