動力とは?モーターの電源・始動電流・動力盤・図記号・用途を動く図解で超基本から
ビルの屋上で回る室外機、地下で水を押し上げるポンプ、上下するエレベーター。こうした機械を動かす電気が動力です。電灯設備が「人がスイッチで使う電気」なら、動力は「機械が自動で回し続ける電気」。この記事では、動力の中身であるモーター、kWから電流への換算、動き出す瞬間の始動電流、回路の守り方、図面の読み方、建物の中の居場所を、使っている場面の動く図解でほどきます。超基本の16本目です。
結論
動力はモーターで機械を回し続ける電気で、三相200Vが中心です。銘板のkWは電流に換算してから選び、動き出す瞬間の始動電流に注意します。回路は1台1回路で、ブレーカー・サーマル・手元開閉器の3つで守ります。
- 分けるのは電圧ではなく使われ方。結果として電圧も盤も別
- 始動電流は定格の数倍。始動方式で山の高さが変わる
- 図面では丸にMの横に「3φ200V 3.7kW」
- 屋上・機械室・シャフト・駐車場・厨房にいる
この図の読み方
くり返し動きます。左から、もの・記号・用途の順です。
- もの:機械を回す電気で、中身はモーター
- 記号:丸にMの横に3φ200V 3.7kW
- 用途:空調・ポンプ・エレベーター・ファン
動力とは ― 中身はモーター
空調の室外機、給水ポンプ、エレベーター、換気や排煙のファン。見た目はばらばらでも、中身はどれもモーターです。人がスイッチで点けたり消したりする電灯と違い、動力は機械が自動で動かし、運転中は回り続けます。この使われ方の違いから、動力は三相200Vが中心になり、変圧器・幹線・盤・契約も電灯とは別になります。
動力の中身
4つの機械の中で、モーターが回り続けています。
- 空調・ポンプ・エレベーター・ファン
- 中身はどれもモーター
- 機械が自動で回し続ける
電灯との違いは電灯設備とはと【動力設備の設計マニュアル①】動力とは何か、三相のしくみは三相回路とはで解説しています。
動く図解で見る:動力とは何か電灯と動力の分かれ方を動く図解で(動力設備のページへ)
- 動力の中身はモーター
- 機械が自動で回し続ける
- 分けるのは使われ方。結果として三相200V
kWから電流へ ― 換算してから選ぶ
機器の銘板や機器表に書いてあるのは、たいてい出力(kW)です。でもブレーカーもケーブルも電流で決まるので、kWのままでは選べません。そこで換算表でkWを電流(規約電流)に置き換えてから、ブレーカーとケーブルを選びます。
kWから電流へ
銘板のkWが、換算表を通って電流になり、ブレーカーとケーブルが決まります。
- 銘板の出力はkW
- 換算表で電流に置き換える
- 電流でブレーカーとケーブルを選ぶ
| 単位 | 何を表すか | 使う場面 |
|---|---|---|
| kW(出力) | 機械の力 | 機器表・銘板・契約 |
| A(電流) | 電線に流れる電流 | 分岐回路のブレーカー・ケーブル |
| kVA | 上流へ積み上げる容量 | 幹線・変圧器の集計 |
換算のしかたは【動力設備の設計マニュアル②】負荷容量の換算で解説しています。
- 銘板のkWは機械の力
- ブレーカーとケーブルは電流で選ぶ
- 換算の値は表で確かめる
始動電流 ― 動き出す瞬間だけ数倍
モーターは、動き出す瞬間だけ定格の数倍の電流が流れます。回転が上がるにつれて電流は下がり、定格の電流に落ち着きます。この大きな電流で電圧が一瞬下がり、同じ回路の照明が暗くなることもあります。ブレーカーは、この始動電流で落ちないように選びます。
始動電流
動き出した瞬間に電流が跳ね上がり、照明が一瞬暗くなります。
- 動き出す瞬間だけ定格の数倍
- そのあと定格の電流に落ち着く
- ブレーカーは始動電流で落ちないように
始動電流を抑えるために、始動方式を選びます。小さいモーターはそのまま電圧をかける直入れが標準で、大きなモーターではスターデルタやインバータで電流の山を抑えます。
始動方式
3つの始動方式で、電流のグラフが描かれます。
- 直入れは山が高い
- スターデルタは山を抑える
- インバータは山をつくらない
始動電流と始動方式は【動力設備の設計マニュアル③】始動電流という別の顔、モーターのしくみは電気設備の基本知識#010【誘導電動機】で解説しています。
動く図解で見る:始動電流という別の顔動き出す瞬間の電流を動く図解で(動力設備のページへ)
- 始動電流は定格の数倍
- 始動方式で山の高さが変わる
- 倍率はメーカー資料で確かめる
回路の守り方と図面 ― 1台1回路で3つで守る
動力の回路は、モーター1台に1回路が基本です。動力盤からモーターまでの間を、ブレーカー(短絡から電線を守る)、サーマル(過負荷からモーターを守る)、手元開閉器(点検の人を守る)の3つで守ります。
3つの守り
動力盤からモーターまでの3つの守りが、順に光ります。
- ブレーカーは短絡から電線を守る
- サーマルは過負荷からモーターを守る
- 手元開閉器は点検の人を守る
図面では、平面図の丸にMが電動機で、横に「3φ200V 3.7kW」のように電源と出力を書きます。動力盤の負荷表には、回路ごとの負荷名・出力・ブレーカーが並びます。
動力の図面
平面図のモーターと、動力盤の負荷表の行が順に光ります。
- 丸にMの横に電源と出力
- 負荷表は回路ごとに1台
- ブレーカーは換算と始動方式で決める
ブレーカーとケーブルの選び方は【動力設備の設計マニュアル④】ブレーカーとケーブルの選定、手元開閉器の要否は手元開閉器とは?設置基準と省略できる条件、盤図の記号は制御盤・動力盤の盤図の読み方で解説しています。
- モーターは1台1回路
- ブレーカー・サーマル・手元開閉器で守る
- 図面は丸にMと負荷表
用途で見る ― 建物の中の動力の居場所
動力は、屋上(空調の室外機・排煙ファン)、機械室(給水・排水・消火ポンプ)、シャフト(エレベーター)、駐車場や外部(電動シャッター・EV充電)、厨房や水まわり(排気ファン)にいます。どれも機械設備の機器で、電気設計は電源を持っていく係です。
動力の居場所
番号のピンが順に立ち、建物の中の動力の居場所が光ります。
- 屋上・機械室・シャフト
- 駐車場・外部・厨房
- 機器を決めるのは機械設備
| 場所 | 動力の機器 |
|---|---|
| 屋上 | 空調の室外機・冷却塔・排煙ファン |
| 機械室 | 給水ポンプ・排水ポンプ・消火ポンプ |
| シャフト | エレベーター・エスカレーター |
| 駐車場・外部 | 電動シャッター・ゲート・EV充電 |
| 厨房・水まわり | 排気ファン・厨房の動力機器 |
動力盤の組み立て方は【動力設備の設計マニュアル⑤】動力盤の構成、機器の記号は【プロット図の見方⑤】換気扇・機器・盤で解説しています。
動く図解で見る:動力盤の構成1台1回路の動力盤を動く図解で(動力設備のページへ)
- 動力は屋上・機械室・シャフトなどにいる
- 機器を決めるのは機械設備
- 電気は電源を持っていく係
読み違えやすいところ
よくある読み違い
- 200Vなら動力と思う:家庭の200Vは単相の電灯です。
- 銘板のkWでブレーカーを選ぶ:電流に換算してから選びます。
- 始動電流で落ちるブレーカーを選ぶ:始動方式と動作特性を突き合わせます。
- サーマルがあるからブレーカーはいらないと思う:守る相手が違います。
- 1つの回路に何台もつなぐ:モーターは原則1台1回路です。
動く図解で学ぶ電気設備この記事の図のほかにも、動力設備を動く図解で見られます。気になるジャンルを選んでください。
よくある質問
動力とは何ですか?
空調・ポンプ・エレベーター・ファンのように、モーターで機械を回し続けるための電気のことです。建物の電気は、人がスイッチで使う電灯と、機械が回し続ける動力に分かれます。動力は三相200Vが中心です。
動力と電灯は、電圧で分けているのですか?
電圧が理由ではなく、使われ方が違うから分けています。電灯は人がスイッチで点けたり消したりし、動力は機械が自動で回し続けます。性格が違うため、結果として電圧・変圧器・盤・契約も別になります。
銘板のkWでブレーカーを選べますか?
選べません。ブレーカーもケーブルも電流で決まるので、銘板の出力(kW)を換算表で電流に置き換えてから選びます。換算の値は内線規程などの表で確かめます。
始動電流とは何ですか?
モーターが動き出す瞬間だけ流れる、定格の数倍の大きな電流です。回転が上がると定格の電流に落ち着きます。倍率や続く時間は、モーターの種類や始動方式で変わるので、メーカーの資料で確かめます。
サーマルとブレーカーの違いは?
ブレーカー(配線用遮断器)は、短絡したときに電線が焼ける前に切り、電線を守ります。サーマル(熱動継電器)は、モーターに長く無理がかかる過負荷を見張り、モーターを守ります。守る相手が違います。
手元開閉器は何のためにありますか?
モーターの近くで電源を切れるようにして、点検や修理をする人を守るための開閉器です。設置の要否や省略できる条件は、内線規程で確かめます。
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