内線規程の解説 PR

内線規程の解釈と解説【084】|エックス線発生装置の施設

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出典(内線規程(JEAC8001-2022))より

記事のテーマ

エックス線発生装置の施設基準と安全対策について解説する。

エックス線発生装置とは?

エックス線発生装置とは、医療や工業分野などでエックス線を発生させる装置です。

エックス線発生装置の施設制限

原則施設禁止場所

湿気の多い場所及び水気のある場所並びに興行場には、施設してはいけません。

移動制限

操作上必要な部分及び携帯し、または移動して使用するものを除き、移動して使用してはいけません。

エックス線発生装置の施設基準

エックス線発生装置は、以下の各号により施設する必要があります。

1. 変圧器および特別高圧機器の防護措置

基本的な考え方:

変圧器や特別高圧の電気を帯びた機器は、人が容易に触れないように、柵を設けたり、箱に収めるなどの防護措置が必要です。

例外:

取扱者以外の人が立ち入れない場所に設置する場合は、防護措置は不要です。

2. エックス線管およびエックス線管導線の防護措置

基本的な考え方:

エックス線管やエックス線管導線は、人が触れることによる危険を防ぐため、適切な防護措置が必要です。

例外:

取扱者以外の人が立ち入れない場所に設置する場合は、防護措置は不要です。

3. エックス線管導線の施設方法

基本的な考え方:

エックス線管導線には、安全性を確保するため、金属被覆ケーブルを使用し、エックス線管およびエックス線回路との接続を完全にする必要があります。

例外(特定の条件を満たす場合):

エックス線管を人体に20cm以内に近づけて使用する場合を除き、以下の条件を満たす場合は、柔軟性のある軟銅より線を使用できます。

エックス線管の移動などで電線に緩みが生じないよう、巻取り車などの適切な装置を設けること。

軟銅より線を使用するエックス線管導線の露出した充電部に1m以内に近づく金属体には、D種接地工事を施すこと。

エックス線管導線の露出した充電部分と造営材などの離隔距離

1. エックス線管の露出した充電部分と周囲の金属部分との離隔距離の確保

エックス線管の導線の露出した充電部分、エックス線管を支える金属部分、寝台の金属部分などは、エックス線管の最大使用電圧に応じて、適切な距離を保つ必要があります。

これは、高電圧による感電事故を防ぐための重要な安全対策です。

2. 離隔距離の基準

100,000V以下の場合:

15cm以上の距離を確保する必要があります。

100,000Vを超える場合:

最大使用電圧と100,000Vの差を10,000Vで割った値(小数点以下切り上げ)に2cmを掛け、その値を15cmに加えた距離以上の離隔が必要です。

計算式:15cm + ((最大使用電圧 – 100,000V) / 10,000V (小数点以下切り上げ)) × 2cm

 

エックス線管を人体に20cm以内に接近して使用する場合

エックス線管に絶縁性被覆を施し、金属体で包む必要があります。

 

エックス線発生装置の特別高圧配線

1. 電線の床からの高さ

エックス線管の最大使用電圧が100,000V以下の場合:2.5m以上

エックス線管の最大使用電圧が100,000Vを超える場合:2.5m + (超過電圧10,000Vごとに2cm)以上

ただし、関係者以外が立ち入れない場所では、この限りではありません。

2. 電線と建造物との隔離距離

エックス線管の最大使用電圧が100,000V以下の場合:30cm以上

エックス線管の最大使用電圧が100,000Vを超える場合:30cm + (超過電圧10,000Vごとに2cm)以上

3. 電線相互間の隔離距離

エックス線管の最大使用電圧が100,000V以下の場合:45cm以上

エックス線管の最大使用電圧が100,000Vを超える場合:45cm + (超過電圧10,000Vごとに3cm)以上

4. 他の配線や管との隔離距離

低圧・高圧配線、管灯回路の配線、弱電流電線、光ファイバケーブル、金属製水管、ガス管などとの隔離距離は、電線相互間の隔離距離に準じます。

5. 例外措置

技術的にやむを得ない場合は、絶縁性の隔壁を設けるか、電線をがい管に収めることで、上記の制限を緩和できます。

6. 特別高圧電線の種類

トロリー線、直径2.6mm以上の銅線、または同等の太さと強度を持つケーブルを使用する必要があります。

開閉器

エックス線管用変圧器及び陰極加熱用変圧器の一次側回路には、容易に電路を開閉できるよう適切な箇所に開閉器を施設する必要があります。

1台の特別高圧電気発生装置によって2台以上のエックス線管を使用する場合は、分岐点に近い箇所において、各エックス線回路に開閉器を各極に装置する必要があります。

 

コンデンサ

特別高圧電線路に装置するコンデンサには、残留電荷を放電する装置を施設する必要があります。

 

接地工事

エックス線発生装置の次の部分には、D種接地工事を施す必要があります。

  • a. 変圧器及びコンデンサの金属製外箱(大地より十分絶縁して使用するものを除く)
  • b. エックス線管導線に使用するケーブルの金属被覆
  • c. エックス線管を含む金属体
  • d. 配線及びエックス線管を支持する金属体

特別高圧電線のがいしを木造天井に取り付ける金物の接地箇所は、1.6mm(または2mm²)以上である必要があります。(コンクリート建築の天井では接地不要)

携帯形のエックス線発生装置に臨時施設する接地線は、2mm²以上のコードである必要があります。

 

耐電圧試験

エックス線発生装置の特別高圧電路は、使用状態に接続し、エックス線管の端子間にその最大使用電圧の1.05倍の電圧を発生させたとき、1分間以上これに耐えるものである必要があります。

 

エックス線発生装置の電源側配線及び過電流遮断器

エックス線発生装置の電源側配線及び過電流遮断器については、以下の各号により施設する必要があります。

1. 基本原則:メーカーの技術資料に基づく選定

電源側の配線と過電流遮断器の定格電流は、必ず製造業者の技術資料を参照し、装置に適合する適切なものを選定してください。これにより、装置の性能を最大限に引き出し、安全性を確保できます。

2. 医療用エックス線発生装置特有の考慮事項

JIS Z 4751-2-7 (2008)「診断用X線高電圧装置 – 安全」に適合する装置を設置する場合は、資料3-5-1を参考に、電線の太さと過電流遮断器の定格電流の関係を慎重に検討する必要があります。

3. 一次側配線の太さの重要性

エックス線発生装置の電源一次側配線には、瞬時撮影時の高い電力需要に対応できるよう、十分な太さの電線を選定してください。

また、選定する電線は、電源側に設置する過電流遮断器の定格電流以上の許容電流を持つ必要があります。

4. 過電流遮断器の適切な選定

過電流遮断器は、瞬時撮影時の動作を妨げないよう、適切な定格電流のものを選定することが重要です。

不必要な動作は、診断や治療に支障をきたす可能性があります。


(キーワード)

エックス線発生装置、施設基準、電気工事、安全対策


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