内線規程の解釈と解説【019】|PCBの使用電気機械器具
出典:電気設備に関する技術基準を定める省令 第19条第14項・附則・省令の解説、電気設備の技術基準の解釈 第32条・解釈の解説
省令第19条第14項は、PCB(ポリ塩化ビフェニル)を含有する絶縁油を使用する電気機械器具と電線を、電路に施設してはならないと定めています。押さえるポイントは 「何が禁止か/すでにあるものの扱い/高濃度と期限」 の3つです。
ペン太
ハリタ
ペン太
ハリタこの記事で押さえる3つのこと
- PCBを含有する絶縁油を使う電気機械器具と電線は、新しく電路に施設してはならない。「含有」は、絶縁油1kgにつきPCBが0.5mgを超えるもの。
- 昭和51年10月16日の時点で施設済み(着手済み)の電路は、なお従前の例による。ただし、流用・転用は新たな施設になり、できない。
- 高濃度PCB使用製品(告示の12種類で、PCBが0.5%超)は、区域ごとの期限の翌日以後、第19条第14項が適用される。不要になったものは、廃棄物処理法の規制を受ける。
① 何が禁止か、「含有」とは何か
省令第19条第14項は、PCBを含有する絶縁油を使用する電気機械器具及び電線を、電路に施設してはならないと定めています。第19条は、公害等の防止の条文です。
- 省令第1条では、電路は「通常の使用状態で電気が通じているところ」、電気機械器具は「電路を構成する機械器具」
- PCBの使用は、化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)で、鉄道車両の主変圧器又は主整流器の整備に使用する場合を除き、禁止されている(省令の解説)
- ただし、化審法の「使用」は、PCBを機器その他の製品に組み込み、又は混入させる行為のこと。すでに組み込まれ、又は混入している製品を使うことは、「使用」に当たらない(省令の解説)
- そこで、PCBによる環境汚染を防ぐ観点から、PCB使用電気機械器具を新しく電路に施設することを、技術基準で禁止している(省令の解説)
次は、「PCBを含有する絶縁油」の意味です。これは、解釈第32条が決めています。
- PCBを含有する絶縁油とは、絶縁油に含まれるPCBの量が、試料1kgにつき0.5mg(重量比0.00005%)以下である絶縁油以外のもの(解釈第32条)
- 0.5mg/kgを超えたら、含有。ちょうど0.5mg/kgは、含有ではない
- 0.5mg/kgと0.00005%は、同じ濃さの2通りの書き方
- この基準値は、廃棄物処理法施行規則が定める、PCBを含有する絶縁油の基準値に準拠している(解釈の解説)
ペン太
ハリタ- PCBを含有する絶縁油を使用する電気機械器具と電線は、電路に施設してはならない(省令第19条第14項)。
- 禁止の中身は、新しく電路に施設すること。化審法の「使用」(組み込み・混入)とは、別の話。
- 「含有」は、試料1kgにつきPCBが0.5mg(重量比0.00005%)以下のもの以外(解釈第32条)。
② すでに施設してあるものと、流用・転用
すでに施設してあるものの扱いは、省令の附則で決まっています。省令の解説は、次のように説明しています。
- 昭和51年10月16日の時点で、現に施設し、又は施設に着手した電路は、「なお従前の例による」ので、そのままPCB使用電気機械器具を施設することができる(省令の解説)
- 平成9年の全部改正でも、附則第2項により、平成9年6月1日以降も、同等の措置がなされている(省令の解説)
- ただし、PCB使用電気機械器具を流用・転用して新たに電路に施設する場合は、第19条第14項が適用されるので、流用・転用はできない(省令の解説)
- 電線も同じ。平成28年の改正で、第19条第14項に電線が含まれることが明確になったが、PCB使用電線も、引き続き流用・転用はできない(省令の解説)
| 場面 | 扱い |
|---|---|
| 既設の電路 | 昭和51年10月16日の時点で、現に施設し、又は施設に着手した電路は、なお従前の例による。そのまま施設しておける |
| 流用・転用 | 外して別の電路に施設し直すのは、新たな施設。第19条第14項が適用され、できない |
| PCB使用電線 | 電線も、引き続き流用・転用はできない |
| 高濃度の製品 | 告示の12種類で、PCBが0.5%超のものは、区域ごとの期限の翌日以後、第19条第14項が適用される(③) |
- 昭和51年10月16日の時点で現に施設し、又は施設に着手した電路は、なお従前の例による。
- 流用・転用は、新たに電路に施設することになり、第19条第14項が適用される。電線も同じ。
③ 高濃度PCB使用製品の期限と、不要になったとき
PCBを含有する絶縁油を使う機器のうち、高濃度PCB使用製品には、別に期限があります。PCB特措法(ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法)は、高濃度PCB使用製品を所有する事業者に、期限までの廃棄を義務づけています。ただし、電気工作物であるものは、同法の適用が除外され(第20条第1項)、電気事業法の側で同等の措置が必要になりました。そこで、平成28年の改正で、省令の附則第2項に、ただし書が加わりました(省令の解説)。
- 対象は、告示で決まった電気工作物で、絶縁油に含まれるPCBの重量の割合が0.5%(試料1kgにつき5,000mg)を超えるもの(省令の附則第2項ただし書)
- 告示の電気工作物は、12種類。変圧器(電気事業法第38条第4項各号に掲げる事業を営む者が設置する柱上変圧器を除く)、電力用コンデンサー、計器用変成器、リアクトル、放電コイル、電圧調整器、整流器、開閉器、遮断器、中性点抵抗器、避雷器及びOFケーブル(平成28年経済産業省告示第237号第1条)
- 期限は、区域ごとに告示で決まっている(同告示第2条)。期限の翌日以後は、第19条第14項が適用される。3つの期限は、いずれも過ぎている
- 期限から1年を超えない期間に廃止することが明らかな場合は、期限から1年を経過した日以後に、第19条第14項が適用される
- 「廃止することが明らか」とは、たとえば、高濃度PCB廃棄物の処分を行う特別管理産業廃棄物処理業者との間で、期限から1年を超えない期間に廃棄することが明らかであることを証する書類に、廃棄予定年月が記載されている場合(省令の解説)
- 不要になったPCB使用電気機械器具及び電線は、廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)の、収集、運搬、処分等に関する規制の適用を受ける(省令の解説)
| 期限 | 告示の表記 | 施設されている場所の区域 |
|---|---|---|
| 2018年3月31日 | 平成30年3月31日 | 鳥取、島根、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛、高知、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄 |
| 2021年3月31日 | 平成33年3月31日 | 滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山 |
| 2022年3月31日 | 平成34年3月31日 | 北海道、青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、富山、石川、福井、山梨、長野、岐阜、静岡、愛知、三重 |
- 高濃度PCB使用製品は、告示の12種類で、絶縁油のPCBが0.5%(試料1kgにつき5,000mg)を超えるもの。
- 期限は、区域ごとに3つ(2018年・2021年・2022年の3月31日)。期限の翌日以後は、第19条第14項が適用される。
- 期限から1年を超えない期間に廃止することが明らかなら、期限から1年を経過した日以後。
- 不要になったPCB使用電気機械器具と電線は、廃棄物処理法の収集、運搬、処分等の規制を受ける。
よくある質問(FAQ)
Q. 「PCBを含有する絶縁油」は、いくつからなの?
A. 解釈第32条は、絶縁油に含まれるPCBの量が、試料1kgにつき0.5mg(重量比0.00005%)以下のもの以外としています。0.5mg/kgを超えたら含有で、ちょうど0.5mg/kgは含有ではありません。
Q. すでに施設してあるPCB使用の機器は、すぐ外さないといけないの?
A. 昭和51年10月16日の時点で、現に施設し、又は施設に着手した電路は、「なお従前の例による」ので、そのまま施設しておけます(省令の解説)。ただし、高濃度PCB使用製品(告示の12種類で、絶縁油のPCBが0.5%超)は、区域ごとの期限の翌日以後、第19条第14項が適用されます。
Q. 外したPCB使用の機器を、別の電路で使えるの?
A. 使えません。流用・転用して新たに電路に施設する場合は、第19条第14項が適用されるので、流用・転用はできません。PCB使用電線も同じです(省令の解説)。
Q. 不要になったPCB使用の機器は、どうなるの?
A. 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃棄物処理法)の、収集、運搬、処分等に関する規制の適用を受けます。PCB使用電線も同じです(省令の解説)。
まとめ|PCB使用の機器は、新たに電路に施設しない
PCBの使用電気機械器具のきまりは、PCBを含有する絶縁油を使うものを、新たに電路に施設しないということです。すでに施設してあるものの扱いと、高濃度PCB使用製品の期限も、あわせて確認します。
| 確認する項目 | 内容 |
|---|---|
| 禁止の中身 | PCBを含有する絶縁油を使用する電気機械器具及び電線を、電路に施設してはならない(省令第19条第14項) |
| 化審法との違い | 化審法の「使用」は、組み込み・混入。組み込み済みの製品を使うことは当たらない |
| 含有の線 | 絶縁油1kgにつきPCBが0.5mg(重量比0.00005%)以下のもの以外(解釈第32条) |
| 既設 | 昭和51年10月16日の時点で施設済み(着手済み)の電路は、なお従前の例による |
| 流用・転用 | 新たな施設になり、できない。PCB使用電線も同じ |
| 高濃度 | 告示の12種類で、PCBが0.5%(5,000mg/kg)超。区域ごとの期限の翌日以後、第19条第14項が適用される |
| 不要になったとき | 廃棄物処理法の収集、運搬、処分等に関する規制を受ける |
禁止の中身で押さえること
- PCBを含有する絶縁油を使う電気機械器具と電線は、電路に施設してはならないこと。
- 禁止の中身は、新しく電路に施設すること(化審法の「使用」とは別)。
- 「含有」は、1kgにつき0.5mg(0.00005%)以下のもの以外であること。
既設と流用・転用で押さえること
- 昭和51年10月16日の時点で施設済み(着手済み)の電路は、なお従前の例によること。
- 流用・転用は、新たな施設になり、できないこと。
- PCB使用電線も、引き続き流用・転用はできないこと。
高濃度と期限で押さえること
- 対象は、告示の12種類で、PCBが0.5%(5,000mg/kg)を超えるものであること。
- 期限は区域ごとに3つ。期限の翌日以後は、第19条第14項が適用されること。
- 不要になったものは、廃棄物処理法の規制を受けること。
すでに施設してあるPCB使用の機器は従前の例による一方で、流用・転用を含めて、新たに電路に施設するものは禁止です。機器や電線を入れ替えたり、別の場所に付け直したりする計画では、それが新たな施設に当たるかを、先に確かめておくと確実です。
ペン太
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